見てきました「ドレスデン、運命の日」

ドレスデン、運命の日

5・3憲法集会&銀座パレードのあと、日比谷の映画館で、映画「ドレスデン、運命の日」を見てきました。(今年5本目)

1945年1月、なかなか降伏しようとしないヒトラー・ドイツにたいし、連合軍が大攻勢を開始。ドイツは制空権を失い、激しい攻撃に見舞われていた。ドイツ東部の都市ドレスデンでは、主人公アンナが、父カールが病院長を務める病院で看護師として働いていた。ある日、アンナは病院の地下で、銃弾で負傷した男を見かける。
同じころ、イギリスでは、ドイツ東部の都市を目標に大規模な戦略爆撃をおこなう計画を立てる。その対象に、ドレスデンが選ばれる。ついに、なにも知らないアンナたちの上空に爆撃機が迫ってくる…。

以下続く(ただし、一部ネタばれあり)

ということで、ドイツの戦争被害を描いた作品として物議をかもした作品ですが、映画としてはなかなか工夫されていました。とくに、主人公アンナと、英空軍パイロット・ロバートとの出会いは、ちょっと“ありえない”設定ですが、それによって、いわばドレスデンの被害を客観化してみせている訳です。また、ドレスデン空襲の背景には、東部戦線で前進を開始したソビエト軍にたいし、戦略的優位にたつために、建物が密集し、街路が狭く、いってみれば“見せしめ”的な効果の大きい都市が標的として選ばれた、という事情があったこともしっかり描かれています。

また、アンナの母親マグタはお金とマインツの陶器にしか興味がないし、妹エファはナチスかぶれ、父カールは家族のスイス亡命のため、病院のモルヒネをこっそり横流しする。と、なかなか複雑です。また、アンナの親友マリアは、ユダヤ人の夫(ジーモン)がいて、まわりからは「離婚すべきだ」と言われながら、離婚せずにがんばってたりします。こんな時期まで、ドイツでユダヤ人が残されていたというのも驚きでしたが、そのジーモンは、ユダヤ人宛の郵便配達担当で、ドイツ当局からの出頭指令の手紙を配って歩く役割をさせられていたりします。こういうふうに描くことで、そのときドイツがなにをやっていたかも描いている訳です。

そして、ついにドレスデン空襲の日。燃え上がる街の様子は、圧倒的。本物の英軍機が利用できなかったという爆撃機のCGシーンはちょっとお粗末でしたが、それに比べると、本当に大迫力でした。

プログラムによれば、ドレスデン空襲の犠牲者がどれぐらいになるか、いまだに確定していないそうです。ドイツの戦争被害は、ヒトラーとナチス・ドイツの侵略および人道的犯罪を曖昧にするとして、これまでなかなか取り上げられてこなかった問題だということのようです。この作品についても、多少の批判めいた議論がわき起こったそうです。しかし、決してこの作品は、ヒトラーやナチス・ドイツの犯罪に目をつぶって、自分たちの被害を言いつのるようなものではありません。プログラムでは、「中立の視線で描く」ことにつとめたと書かれていますが、それは“どっちも悪かった”などという底の浅いものでもないことは、作品を見ればよく分かると思います。

「戦争から人間が学べることがあるとすれば、それはただ1つ――いかに戦争が無意味であるかということだけなのです」(プログラム)という監督の言葉が重く伝わってきます。

[映画]ドレスデン、運命の日-DRESDEN- 公式サイト

【映画情報】
監督:ローランド・ズゾ・リヒター/脚本:シュテファン・コルディッツ/出演:フェリシタス・ヴォール(アンナ)、ジョン・ライト(ロバート)、ベンヤミン・サドラー(アンナの婚約者)、マリー・ボイマー(マリア)、カイ・ヴィージンガー(ジーモン)/ドイツ、2006年、2時間30分

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