靖国DVDは文科省の研究委託事業に選ばれなかったのか?

日本青年会議所がつくった靖国DVD「誇り」。問題の発端は、共産党の石井郁子議員がこのDVDが文部科学省の研究委託事業に採用されたことを取り上げたことでした。

これにたいし、日本青年会議所は、会頭名による「(社)日本青年会議所(以下日本JC)の近現代史教育プログラムに対する国会での質問並びに一部の報道について」(以下「一部の報道について」)で、「DVDアニメ「誇り」が認定になったのではありません」と弁解しています。

はたして、このDVDは文科省の研究委託事情に選ばれたのか、選ばれなかったのか? 結論から言えば、日本青年会議所自身がDVD「誇り」をふくむ「近現代史教育プログラム」が文部科学省の研究委託事業に採択されたと宣伝していました。つまり、DVD「誇り」が文科省の研究委託事業に選ばれていなかったのだとしたら、最初に日本青年会議所が靖国DVDを学校現場に持ち込もうとウソをついたということであり、逆に、文科省の研究委託事業に選ばれていたのだとしたら、「様々な誤認・誤解を生んでいる」などと言いつつ、ウソをついて言い逃れをはかったということになります。

どっちに転んでも、日本青年会議所はウソをついている訳で、教育だの誇りだのいう資格がそもそもあるのか、ということが問われるのではないでしょうか。

最初に、日本青年会議所が、靖国DVD「誇り」が、文部科学省の研究委託事業に選ばれたと主張したホームページの記事は、現在では削除されています。そこでは、次のように書かれていました。

2007年度協働運動が
文部科学省「新教育システム開発プログラム」研究事業に採択

この度、アニメ『学の夏休み』を教材にした倫理・道徳教育プログラムと環境教育プログラム、そして、『誇り」を用いた近現代史教育プログラムをはじめとする2007年度協働運動が、文部科学省の「新教育システム開発プログラム」研究事業に採択されました。

地域のアイデンティティの核である小学校・中学校の教育現場へ青年会議所など地域ボランティアが参加協力することにより、子どもたちには、地域に見守られている感覚と郷土愛、国を愛する心の涵養を、そして大人たちには、地域の子供は地域で育てるという公共性が醸成醸成されることを検証いたします。

また、地域の人材が学校に参画・協力するにあたって、地域人材が留意すべき事項や、充実した授業・教育活動としていくための必要なノウハウを整理することにより、地域人材の協力をより充実させることが可能となります。

この認可を契機に、全国の青年会議所メンバーが積極的にこれらのプログラムを実践していただき、市民意識変革へ邁進されますことを心より願います。

(参考)
「新教育システム開発プログラム」
将来の制度改正を見据え、新しい教育システムの導入の可能性の検証を行うことを目的とした調査研究を行う新規の事業です。

出所:土佐高知の雑記帳 日本青年会議所は国民を欺く団体か?

このように、日本青年会議所自身が「『誇り』を用いた近現代史教育プログラムをはじめとする2007年度協働運動が、文部科学省の『新教育システム開発プログラム』研究事業に採択されました」と明言しています。

ちなみに、「2007年度協働運動」なるものは、学校教育にかんしては、<1>「アニメ『学の夏休み』を活用した倫理・道徳教育プログラム、環境教育プログラム」と<2>「アニメ「誇り」を活用した近現代史教育プログラム」の2本立てになっています(資料:日本青年会議所「2007年度協働運動・連携推進運動の具体的な内容」)。ですから、採択されたのは「2007年度協働運動」であって、DVD『誇り』ではない、という言い訳は通用しません。

ところで、日本青年会議所は、上記「一部の報道について」では、次のように述べて、DVD「誇り」は、文科省の研究事業に選ばれてはいないと主張しています。

「新教育システム開発プログラム」として日本JCが委託契約を結ぶ予定の調査研究テーマは、(多様な主体)地域に開かれた学校運営についてです。
 研究タイトルは、「地域のちから」による学校教育支援の実践と検証。
 よって、DVDアニメ「誇り」が認定になったのではありません。

他方で、2007年5月17日付の会頭メッセージ「教育再生特別委員会の各党代表質問をみて」では、次のように述べています。

日本青年会議所が開発した教育プログラムを用いた地域教育実践成果の調査研究事業が文部科学省の「新教育システム開発プログラム」に採用されたのは衆知のことと存じます

同じ会頭が、一方では、DVD「誇り」を使った授業実践は文科省の研究事業に選ばれてはいないと言い、他方では、文科省のプログラムに採用されたと主張しているのです。わざとウソをついているのでなければ、自分が何を言っているのかさえ分からないアホだ、というふうに思われても仕方ないのではないでしょうか。

ちなみに、会頭メッセージでは、この「日本青年会議所が開発した教育プログラム」は、DVD「誇り」だけではないと弁明しています。

アニメ『学の夏休み』を用いた倫理・道徳教育プログラム及び環境教育プログラムも、アニメ『誇り』を用いた近現代史教育プログラムも、また全国の数ある青年会議所が独自で開発された教育プログラムも、全ては明るい豊かな社会構築に向けた手段として開発してきた教材です。

しかし、この弁明を100%認めたとしても、DVD「誇り」を使った授業実践は「日本青年会議所が開発した教育プログラム」に含まれる訳で、DVD「誇り」は研究事業に認定されていないという言い訳は成り立ちません。

そもそも、文科省が資金を出す委託事業に、「全国の数ある青年会議所が独自で開発された教育プログラム」までも含んだような茫漠としたプログラムが選ばれるはずがありません。

つまり、どこからどう考えても、靖国DVD「誇り」をつかった授業実践は文部科学省の研究事業に採択された、というのが真実のようです。

【追加】
石井郁子議員の質問を、議事録から貼り付けておきます。

まずは5月17日の質問から。

166-衆-教育再生に関する特別委…-13号 2007年05月17日

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 まず、文科省にお聞きをいたします。
 新教育システム開発プログラムというのを進めていると思いますけれども、説明していただきたいと思います。

○銭谷政府参考人 新教育システム開発プログラムは、義務教育の構造改革を進めていく際のさまざまな教育課題につきまして、客観的なデータ等を収集、検証することを目的として行う調査研究事業でございます。平成十八年度から実施をいたしておりまして、研究テーマを四点ほど設定した上で、そういうテーマについて研究をしたい各団体を公募して、そして研究委託をしているものでございます。

○石井(郁)委員 日本青年会議所が提案団体となっている地域の力による学校教育の実践と検証というのが、文科省の新教育システム開発プログラムに採用されています。文科省事業として全国で実行されようとしているんですけれども、この事業には幾らの予算がついていますか。

○銭谷政府参考人 日本青年会議所の、地域力による学校教育実践と検証という事業につきましては、委託額の上限が百三十五万円とされたところでございます。その範囲内で、契約の締結に向けまして、現在手続を進めているところでございます。

○石井(郁)委員 れっきとした文科省の委託事業として行われているわけでございますけれども、この事業について、ホームページで見ますと、このように書いてありました。
 このたび、「誇り」、これはDVDのアニメーションなんですけれども、日本青年会議所が作成した歴史教材を用いた近現代史教育プログラムが、文部科学省の研究事業に採択されました、この認可を契機に、全国の青年会議所メンバーが積極的にこれらのプログラムを実践していただき、市民意識変革へ邁進されることを心より願いますというふうにあるんですね。
 だから、みずから行ってきた運動が文科省の研究事業、調査事業といいますけれども、採択されたということが宣伝されている。そして、これは全国の中学の総合の時間などで近現代史プログラムをやるというふうに言われているんですね。
 このプログラムというのは、ただDVDを見せるというだけではないんです。上映後、子供たちにグループディスカッションを行わせる、そこに青年会議所のメンバーの方々が入って議論をリードする、それで自分たちの論点を徹底しようとするものでございまして、ことし二月から六月にかけて、既に全国で百カ所近く行われているというふうに聞いています。実際にもう既に行われている学校もあるわけです。
 文科省は、この実態を把握していますか。

○銭谷政府参考人 先ほど申し上げましたように、新教育システム開発プログラムは、文部省が定めました四つのテーマのうちから、研究をしたいという団体が公募に応じて申し込みまして、テーマを決めて事業を委託して実施していただいているものでございます。十九年度では、採択件数は七十六件ございます。
 この四つのテーマをちょっと申し上げますと、学校運営と教育条件整備、学校運営の裁量拡大、地域に開かれた学校運営、新しいタイプの自律的な学校運営、この四つのテーマの中から、そのテーマの幾つかを選択して申し込んでもらうわけですけれども、今お話しの日本青年会議所の研究は、地域に開かれた学校運営というテーマの中で研究、実践をしていただいております。
 それで、この研究は、地域の人材が学校の求めに応じて教育活動に参画をするという際に、有意義な活動を行うために必要なノウハウや留意すべき事項などを検証することを目的といたしております。
 私ども、当該団体が作成をした教材の内容等を評価した上で調査研究を委託しているものではございません。むしろ、そういう外部の人材が学校に来て学校の教育活動に参画をする場合に、どういう留意事項が必要かということを実践的に検証していただくという意味で、事業委託をしているものでございます。

○石井(郁)委員 しかし、その中身は、近現代史プログラムということをもって学校でいろいろな実践をしているということがあるんですね。
 そこで、総理に伺いますが、この「誇り」というアニメーションのDVD、御存じですか。

○安倍内閣総理大臣 存じ上げておりますが、まだ私も見ておりません。

○石井(郁)委員 たしか総理は、このDVDなんですけれども、青年会議所会頭の方と対談をされて、昨年の十二月ですけれども、そこで渡されて、ぜひ教育再生の参考にしたいというお返事をされたと思うんですが、それは間違いありませんね。

○安倍内閣総理大臣 突然そのときの会話を持ち出されて、私もよく覚えておりませんが、青年会議所の皆様が、教育再生また教育に大変熱心に取り組んでおられる、また、そういうDVDをつくられたことに対しまして敬意を表したことを記憶いたしております。(発言する者あり)

○石井(郁)委員 それはしっかりこの雑誌にあるんです。「誇りある日本国を創るために」、総理大臣安倍晋三と池田佳隆日本青年会議所の会頭、この対談の中から私は見せていただきました。
 私は、このアニメーションのDVDを実際に見て、びっくりしたわけでございます。きょう、これは実物なんですが、「誇り」というタイトルになっているんですね。カバーには靖国神社が入っているんですよ。靖国神社です。
 それで、シナリオも私はきちっと読みました。このシナリオも、これもホームページにありますから、「誇り」なんですけれども、ここにもちゃんと靖国神社がしっかり入っております。こういうものでございます。
 ストーリーなんですけれども、こういうものになっているんですね。若くして戦死して靖国神社に祭られている青年が現代にあらわれる。自分の子孫である女子高校生と一緒になって、一緒に靖国神社に行かないかと誘うんですね。日本の行った戦争を大東亜戦争と呼んで、大東亜戦争は自衛のための戦争だった、愛する自分の国を守りたい、そしてアジアの人々を白人から解放したい、そういうものだったとその高校生に教えるわけであります。朝鮮などについては、日本は国を近代化するために道路を整備し、学校を設置したというだけで、日本の侵略、加害の歴史については一言もありません。植民地支配という言葉も一言もありません。そして、主人公の女の子がアニメの最後の方で、靖国までの道を歩いたあの日、あの日からほんの少しだけ周りの景色が変わったような気がする、こういうふうに言って、アニメを使って、これで結局、子供の心にすっとこういう特異な戦争観が入っていくという、周到につくられたアニメだと私は言わざるを得ません。
 だから、靖国神社の戦争観を子供に刷り込むための教育プログラムと言っていいと思うんですね。私は、靖国DVDだと言わなくてはならないと思いますけれども、総理は、今お聞きになった限りではどう思いますか。

○安倍内閣総理大臣 それは、共産党の視点からこのビデオを評価されているんだろうと思います。
 あのときには会頭にそういうふうにお話しをしたかもしれませんが、まだ私は詳しくよく見ておりませんので、また時間ができたらよく拝見させていただきたいな、こう思っています。

○石井(郁)委員 私は、今のお話の限りで、これを共産党の視点だと言われるのは本当に心外ですね。とんでもないですよ、総理。どこからそんなことが言えるんでしょうか。
 つまり、あの戦争を、自衛のための戦争だ、アジア人の解放のための戦争だった、こういう指摘でいいのかということを言っているわけでございまして、それは、総理、一九九五年の村山総理大臣の談話はどうですか。戦後五十周年の終戦記念日に当たっての談話。言うまでもありません、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」中略しますけれども、「疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」私の言っていることは村山談話そのものじゃありませんか。では、村山談話が共産党の視点だというんですか。全くおかしいですよ。
 それで、伺います。
 安倍総理は、村山談話を継承するということは表明されていますよ。これは、総理そして政府の立場だというふうに思うんですね。そういうことからしますと、先ほどのこのDVDの歴史教育プログラムというのは全く違うんじゃないんですか。それが、文科省が受け入れた事業となって学校で普及するというようなことは政府の立場と相入れないんじゃないですか。そのことを伺っているんです。総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 私が申し上げましたのは、そのDVDの解説においては、石井議員は共産党に属しておられますから、それは恐らく石井さんはその立場で解説をされたんでしょう、こう申し上げたわけでございます。別に共産党の立場ということは、それが悪いということでは全くないわけでありまして、それぞれの党の人たちはいろいろな立場があるんだろうと。ただ、私はそれをまだ自分の目で確かめておりませんから、何とも申し上げようがない、こういうことでございます。

○石井(郁)委員 確かにしっかり見ていただきたいと思います。本当に見ていただきたいと思います。そして、ちゃんとシナリオもございますから、これ見ていただきたいと思います、読んでいただきたい。
 私はその中を御紹介したわけです。それがどうして共産党の立場なんですか。御紹介しただけですよ。だから、そういう言いがかりみたいなことはやめていただきたい。(発言する者あり)そのとおりですよ。(発言する者あり)いや、文科大臣はまだ。私は今総理に伺って、総理は見ていらっしゃらない。だから、ぜひ見てください。その上でしっかりと考えていただきたいというふうに思います。
 それで、重ねて申し上げますけれども、このDVDでは、要するにアジアの人々を白人から解放しただとか。侵略と植民地支配については本当に一言もないんですから。これは後で確かめてください。一言もない。そういうものでございます。ですから、村山談話の踏襲、継承というんだったら、その言葉を行動で否定するということになるわけですよ、これは。だから、極めて重大なことだというふうに思うんですね。
 さて、学校教育の問題でも、やはりこれは文科大臣に伺っておかなくてはいけませんので続けて申し上げますけれども、日本の政府は、過去の日本とアジアの問題について学校教育でどう取り組むのかということについての基準を持っているはずです。
 一九八二年の官房長官談話がございます。そこにはこのようにあります。「日本政府及び日本国民は、過去において、我が国の行為が韓国・中国を含むアジアの国々の国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って平和国家としての道を歩んできた。」これは、日韓共同コミュニケ、日中共同コミュニケとして実っているわけでございますけれども、この精神は、我が国の学校教育、教科書の検定に当たっても当然尊重されるべきものという立場なんですね。
 そうしますと、今、ある団体ではありますけれども、子供たちに、学校に、こういう靖国神社という異常な歴史観を宣伝している神社に行くことを勧めているわけですよ。戦争は自衛のためだ、アジア人解放のためだ、そういう歴史観を教え込む事業を学校の授業で行うということは、こういう政府の立場に照らしても、本当に成り立たないんじゃありませんか。
 私は、こうした事業委託は直ちに撤回をして、また、上映活動をしようとしていますから、やめさせるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

○伊吹国務大臣 先生、どうなんでしょう、先生が最も嫌われることは、特定のイズムあるいは思想を押しつけるということじゃないんでしょうか。ですから、日本は国定教科書制度もとっておりませんし、文部科学省がこれを補助対象として選択したときも、この内容を検閲して補助金を出したわけでは私はないと思います。
 あと、これができたものについて、各学校にこれを持って各団体が授業をなさる際に、当然、各学校が判断をされれば、そういうものは教材としてお使いになる学校もあるでしょうし、ない学校もあるでしょうが、私が校長であれば、使いません、それは。
 だから、日本というのは、つまりそういう国だということです。特に近現代の歴史の判断は、見る人によっていろいろ立場が違います。総理が申し上げたのも、いろいろな立場での判断があるということを申し上げているのであって、一つの判断ですべてを押し切る、割り切る、そうでなければ学校現場では何も話させないという怖い国であっては日本はならないと私は思います。

○石井(郁)委員 私は、文科大臣の御答弁は問題のすりかえだと思います。やはりやってはならないことなんですよ、こういうことは。だって、政府の公式見解。
 そして今は、歴史認識、戦争認識については厳しく問われているときじゃないですか。そしてまた……(発言する者あり)もちろんそうです、教科書の採択基準もあります。村山談話を踏襲するという見解もございます。
 そういうことからして、全くまさに一方的な価値観を持ち込んで。しかも靖国神社の歴史観ですよ、これは。靖国神社を賛美する歴史観を子供たちの中に持ち込むという問題なんですよ。こういうことはやってはならないことだということはやはりはっきりさせるべきだと私は思うんです。それは決して大臣が言うような、一般的にどういう思想も自由だという話とは全く違う話ですよ。そこは私は厳しく申し上げておきたいと思います。
 今、こういう事態がもうわかったわけですから、今後文科省がどのような対応をとるかを私はしっかり見ておきたいというふうに思います。
 私は、安倍内閣が、美しい国へ、また、戦後レジームの脱却ということをスローガンにしていらっしゃるわけですけれども、これは、教育基本法を変えたことがまさにそのことだということを、昨日でしたか、おっしゃったと思いますけれども、まさに教育基本法は、戦前の国家主義や軍国主義の体制を反省して、その教育を反省してできたのが教育基本法でした。その教育基本法を変えるということは、これは普通に考えても、やはり、戦後の大事な民主主義や人権や平和の理念を否定することにつながっているんじゃありませんか。
 ですから、私は、この美しい国というのは、やはり戦前のレジームが美しかった、そういうことを言いたいのかなと言わざるを得ないわけであります。
 それで、安倍内閣はそのようにして教育基本法を変えました。そして今、学校で具体化をするために、今回、学校教育法を改悪しようとしているわけです。先ほど文科大臣言われましたが、私は逆に、本当に、特定の価値観を国家が子供や国民に押しつけるということは憲法に違反するものですけれども、まさに、安倍内閣が今、国家主導で教育に介入をする、こういうことを押しつけようとしている中身というのは、この靖国DVDにあらわれたような戦争観、こういうものが中心になっているんじゃないかということをやはり言わざるを得ませんし、戦前型の価値観そのものだというところに私は今回の法案の決定的な問題があるというふうに考えているところであります。
 もう時間ですので、そういう法律は国民は絶対に許さないということを強く申し上げまして、私のきょうの質問を終わります。

で、こっちは6月6日の質問。

166-衆-文部科学委員会-11号 2007年06月06日

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
 五月十七日の教育再生特別委員会で私は、日本青年会議所が中学校などでいわゆる靖国DVDを上映している、それで、グループディスカッションを行っているという問題を取り上げました。きょうは、この問題に関しまして質問いたします。
 改めて紹介をしておきますと、このDVDのストーリーというのは、若くして戦死して靖国神社に祭られている青年が現代にあらわれる、それで、自分の子孫である女子高校生を、一緒に靖国神社に行かないかと誘う、日本の行った戦争を大東亜戦争と呼ぶ、大東亜戦争は自衛のための戦争だった、愛する自分の国を守りたい、そしてアジアの人々を白人から解放したいということを教えるものになっているわけですね。朝鮮などについても、日本は、国を近代化するために道路を整備し、学校を設置したというだけでありまして、日本の侵略、加害の歴史については一言もありません。植民地支配という言葉も一言もありません。私は、これは、アジアの国々に対して植民地支配と侵略をしたという歴史の事実について痛切な反省を行うといういわゆる村山談話ですね、一九九五年、この談話はやはり今日も引き継ぐ政府の立場だと思いますけれども、その立場に反するものだというふうに言わざるを得ません。
 それが文部科学省の委託事業に採択をされる、学校でこの靖国DVDを上映する、生徒の間でグループディスカッションをやる、発表会もやる、生徒は感想文も書くということが、まだ一部ですけれども、行われた、行われようとしているという問題を取り上げたわけでございます。今、こうした靖国DVDに対して各地の教育委員会、校長先生などから、こんな偏ったものは見せられないという声が上がっているところでございます。
 そこで、なぜこういうものが文部科学省の事業として認可されるのか、されたのかということをお尋ねしたいというふうに思っております。
 ここに、採択番号七十七というぺーパーを持ってまいりましたけれども、これを見ますと、「研究タイトル」として「地域のちからによる学校教育支援の実践と検証」というふうにあるんですね。その「実施方法・検証方法」としてこのように書いています。「社団法人日本青年会議所が作成した補助教材をもとに、全国JCがそれぞれの地域において、小中学校の「総合的な学習の時間」または学校と連携した青年会議所主催の事業においてプログラムを実施して効果を測るとともに、よりよい教材づくりなど、各地JC会員の学校協力活動に対する組織的支援の手法について検討する。」というふうに書かれています。この文書に沿って採択されたわけですが、そうしますと、審査に当たって、まず文部科学省は補助教材を見たのでしょうか。

○銭谷政府参考人 お答えを申し上げます。
 日本青年会議所から申請のありました調査研究は、日本青年会議所の会員が全国各地の学校に出向いて授業を行い、アンケート調査を活用してその成果を分析することを通じまして、地域の人材が学校教育活動に参画する際に必要なノウハウや留意点などを整理することを目的としているものでございます。
 このため、DVDの内容は調査研究の直接の対象ではないために、採択の可否を決定するに当たりまして、その内容の審査は行っていないところでございます。

○石井(郁)委員 おかしいですよね。授業を行う、そのために補助教材というのが必要になってくるわけでしょう。授業を行うということは審査するけれども、補助教材は審査の対象にならない、そういうことなんですか。もう一度お答えください。

○銭谷政府参考人 今回の日本青年会議所から申請のありました調査研究は、全国におります日本青年会議所の会員が学校に行って授業を行って、そしてその授業を行う際に、いわば彼らは地域の人材ということになるわけでございますが、そういう地域の人材が学校教育活動に参加をする際にどういう点に留意をしたらいいのか、あるいは授業の反応はどうなのか、そういったようなことを、アンケートなどを通じまして収集、分析をして、これから地域の方が学校教育にどういうぐあいに協力をしていくのか、そういうことを調査するという、その点に着目をしたものでございまして、私ども、審査に当たりましては、その点を着目して採択をしたわけでございますので、具体的なそのDVDの内容そのものにつきましては、これは直接の対象ではないということで、採択の決定に当たりましては、その内容については審査はしていないということでございます。

○石井(郁)委員 このプログラムの採択に当たっては、文科省としては審査基準というのを一応設けていると思うんですね。私、見ましたけれども、形式要件の中には三項目ありまして、「仕組みの見直しにつながるものであること」「費用対効果など、客観的な検証が可能であること」三つ目に「国の教育政策(中央教育審議会答申など)に反するものではないこと」とあるんですよ。国の教育政策に反するものではないこととあるわけで、だとすれば、その補助教材の内容など、今申し上げましたように、これは明らかに国の政策に反する内容ですよ。ですよね。そういうことを、見ないで認可するということがあり得るわけですか。私はあり得ないと思いますけれども。
 そして、しかも、あなた、重大な御答弁だと私は思いますけれども、それは直接の審査の対象にはならないと、わざわざ分けているんですよね。審査の対象じゃないから見なくて済むということですか。しかし、全体としてこういうプログラムで授業あるいは学校に出向くということですから、これは見ないで認可する。
 では審査基準、何のために設けているんですか。おかしいじゃないですか。

○銭谷政府参考人 今回の経緯について少し申し上げますと……(石井(郁)委員「ちょっと済みません。時間がないので、簡単にで結構です。見たか見ないか、なぜなのか」と呼ぶ)

○桝屋委員長 委員長の許可を得て発言をしてください。

○銭谷政府参考人 今回の事業の採択に当たりましては、地域の人材が学校の教育活動に参画する際に必要なノウハウや留意すべき事項など、貴重なデータが得られることになると期待をして採択したものでございます。この事業の目的にかんがみまして、授業に用いるDVD教材につきましては、採択に係る審査の対象とはしておりません。

○石井(郁)委員 同じ答弁を繰り返していらっしゃるわけでありまして、それは本当におかしいですよ。納得できない答弁だということを私は重ねて申し上げておきます。
 この日本青年会議所はこのように言っているんです。二〇〇七年度協働運動が文部科学省新教育システム開発プログラム研究事業に採択、これはインターネットで大きく報道されておりました。このように書いていました。この都度、「誇り」なんですね、このDVDの名称が、を用いた近現代史教育プログラムを初めとする二〇〇七年度協働運動が文部科学省の新教育システム開発プログラム研究事業に採択されましたと。大宣伝ですよ、これはインターネットですから。DVDのこのプログラムが採択されたと当事者は言っている。
 そして、私は先ほど十七日の国会で取り上げましたと言いましたが、その後、そうしますと、この「DVDアニメ「誇り」が認定になったのではありません。」と打ち消しているんですよね。私は、これを聞いて、今まさに局長が御答弁になったのと、文科省と、これは口裏を合わせているとしか思えません。そうでしょう。あなたたちはこのDVDは認定したのではありません。すると、この団体もそのように言い逃れをしているということですね。
 では、さらに申し上げたいと思うんですが、日本青年会議所の会頭であった池田佳隆氏でございますけれども、最近、本を発行されております。この「誇り高き国日本」という書名なんですが、ことしの一月に出ておりますけれども、そこではこのように述べているんですね。国家戦略として現在の教育行政、教育現場の改革を進めていくことが必要ですが、この問題について我々日本JCは直接教育現場に流れを生み出すべく、独自に新しい近現代史教育プログラムを作成しました、日本JC制作の「誇り―伝えようこの日本のあゆみ―」と題したアニメーション教材を使った歴史教育プログラムです、二〇〇七年から本格的に全国展開しています、これも政治家、文部科学省、教育委員会ほか多くの方々に御評価していただき力強い教育変革の流れを生み出されるものと確信しています、このようにこの本の中で述べています。
 当然、本人がみずから書いているし、そして文科省も、この団体の現場に出向いて、いろいろ実践することは大いに結構だとあなた方はおっしゃったわけですけれども、まさに文科省の評価とお墨つきを得て、こういう非常に特定の価値観、そしてまた間違った歴史観に基づいて全国展開を図ろうとしているということは明白ではないのでしょうか。どうですか。

○銭谷政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、私どもは、事業の採択に当たりまして、このDVDのアニメの内容を、例えば文部科学省の認定とか、そういうことで採択をしたというわけではございませんで、DVDの内容は、先ほど申し上げましたように、審査の対象にはなっていないわけでございます。日本青年会議所の方も、この点については、DVDアニメが認定になったのではありませんということは、ホームページによりまして明記をしているところでございます。
 私どもが今回採択をいたしましたのは、こういう、地域の人材の方が学校に行っていろいろ授業に参画をして、その場合のいろいろな留意点について、これは全国的な規模で調査研究を行うというところを評価して採択をしたというものでございます。

○石井(郁)委員 同じ答弁の繰り返しなんですけれども、私、御紹介したでしょう。当初は、この「誇り」、近現代史教育プログラムが認定されましたとはっきり言っていたんですよ。今それは消していますけれどもね。本当にそういう同じ答弁で、とても納得ができない答弁を繰り返しているわけですけれども、私は、今回の文科省の対応というのは、見て見ぬふりをしたのか、無理やり通したのか、極めて不明朗な、また理解しがたい対応だったというふうに思います。
 それでは、伺いますけれども、この新教育システムの開発プログラムの実施の委託要綱を見ますと、委託手続としてこのようにあります。文部科学省は、提出された事業計画書等の内容を検討し、第三者有識者会議であるステアリングコミッティー、これは運営委員会のようですが、の意見を聴取した上で、適切な計画と認める場合は事業実施の委託費として支出するとしています。この第三者有識者会議、ステアリングコミッティーが公募案件の審査を行うということですか。

○銭谷政府参考人 新教育システム開発プログラムにつきましては、この事業を開始いたしました平成十八年度から、自治体、団体等からの申請を審査するために、ステアリングコミッティー、有識者会議を置いております。この有識者会議で審査をいたしまして、採択するものを決定しているところでございます。

○石井(郁)委員 それで、日本青年会議所からの、地域の力による学校教育の支援の実証と検証が審査されたとき、この審査機関である第三者有識者会議、ステアリングコミッティーですね、このメンバーには、日本青年会議所の会頭の池田氏は入っていましたか。

○銭谷政府参考人 このステアリングコミッティーの委員は、事業の効果的かつ適正な運営を図るために、中教審の委員の方や教育行財政に詳しい有識者、市町村の教育長、私学関係者、地域で活動を行っている団体など、多様な分野から十名の方に御就任をいただいております。
 当時の池田佳隆日本青年会議所会頭につきましては、地域において多彩な活動を行う団体の関係者として、その経験に着目をして、会議発足当初の平成十八年四月から、ステアリングコミッティーのメンバーとして参加をいただいております。

○石井(郁)委員 今お聞きしましたように、この有識者会議のメンバーは十人だと。私もメンバーをいただきましたけれども、各分野別といいますか、そういう形で選ばれているんですね。ところが、団体という枠で一人なんですよ。団体が一団体、一人です。その方が今取り上げております日本青年会議所会頭の池田氏なんですね。
 なぜこの一団体なんでしょうか。地域における活動というのは、いろいろな団体があると思いますよ。なぜこの団体が選ばれるのか。また、池田氏が入ったのはどういう経緯なんでしょうか。私は、官邸からの指示があったのではないかということまで言わざるを得ないんですが、ちょっと簡潔にお答えください。

○銭谷政府参考人 ステアリングコミッティーのメンバーは、先ほど申し上げましたように、中教審の関係者の方、教育行財政に詳しい有識者の方、市町村、私学の団体の関係の方、NPOの方ということで、十人の方に御就任をいただいております。
 この十人の方の選定に当たりましては、こういった分野等を考慮いたしまして、団体につきましては、日本青年会議所が、いわばPTA相当の三十代の方が中心の実業家の集まりであり、学校教育に対して積極的な活動を全国規模で展開をしているということで、日本青年会議所の会頭に御就任をいただいたものでございます。

○石井(郁)委員 審査機関である第三者有識者会議ですよね、その十人のメンバーの一人、しかも団体枠ではただ一人という形で入っている。あなたが何度もおっしゃるように、全国展開をするという。まさにこういうDVDを使って全国展開をするというのは、本当に重大なことじゃありませんか。
 私は、既にこういうプログラムをもって授業をしたい、学校でやりたいということを公言している団体が、そういう審査の有識者会議のメンバーに入り、みずからの内容を、受託をするということというのは、余りにも意図的なやり方だというふうに言わざるを得ません。
 だから、特定団体のいわば思想とか、これは文科大臣に言わせるとそういうことになると思うんですが、そういう利益まで絡んで事が運ばれていくということというのは、余りにも不公正なことになっているのではないかというふうに思いますが、ここは大臣、ひとつ御答弁いただけますか。

○伊吹国務大臣 私が大臣に就任しておりませんときのことですから、私が予断を持って申し上げるのはいけないと思いますが、こういう人事について、官邸がだれを入れてくれとか、そういうことは、私が今まで各省をお預かりしてきた中ではなかったと思います。ですから、先生、官邸がというようなことはないと思いますが、自分の団体が採択の対象になっているときは、その会議を中座するとかあるいは遠慮するとかいうのは、これは人間として当たり前のことでして、当時私は大臣じゃなかったからわからないけれども、政府参考人も、当然そういうことぐらいの配慮はしたぐらいの答弁は私はすると思います。
 問題は、この補助教材と言われるDVDがどういうものであったかということを除くと、申請書を私、先生から御指摘があって読んでみましたけれども、読んでいる限り、書面を読む限りは、そんな違和感はないんですよ。DVDを見て採択を決めるか決めないかというのは、これは確かに今おっしゃったような御注意はしなければいけないかもわからないが、同時に、そのことを文科省がやると、唯物史観的なフィルムがあったから今度は採用しないよとか、そういうことをやると、一種の検閲にもなるんじゃないですか。
 だから、私は、そこのところは、確かに今回のことは、今までの政府の方針から見ると、DVDにとっておられることは、私が校長だったら、持ってこられたときは採択しないなと思う内容なんですけれども、だから文科省がすべて事前に目を通して検閲をして、いいか悪いかを決めて補助金を交付しろというのも、ちょっとこれは怖い思想だなという気がしますね。

○石井(郁)委員 私は、検閲という問題と同列にできないことだと思うんですね。国自身が国の教育政策に反しないと言っているじゃないですか。そういう基準を設けている。ですから最初から、その基準に照らしてどうなのかということを言っているわけですよ。ぜひ大臣、そういうすりかえをしないでいただきたいと思うんです。
 それと、今申し上げましたように、この団体が、今の教科書はほとんど自虐的過ぎるというところから出発して、教育現場がこれをできないので放棄するのであれば、我々JCが買って出よう、この新しいプログラムは来年からぜひとも教育現場に持ち込みたいと、やはり意図的に、近現代史ですよ、教育歴史プログラム、まさにそういうことをしていいのかという問題として私は指摘をしているところでございます。
 もう一つ、もう時間なんですけれども、実は、昨年の教育基本法審議のときにも参考人質疑でこの方はいらっしゃっていますよ。だから、文科省はそこでお述べになったことを十分知っているはずですよ。昨年のたしか五月の段階ですよね。そして、こういう本も書いて、全国展開しようと言っているような団体を有識者会議のメンバーに入れて、そしてみずからのそのプログラムを採択させる。何か本当に、こういうことこそ怖いんじゃないですか、大臣。
 私はこのことを申し上げて、もう時間になりましたから、質問を終わりたいと思います。

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    http://www.asyura2.com/07/senkyo34/msg/861.html

    しばしば無断で貴サイトの記述を転載させていただいています。

    「どこへ行く、日本」(http://ameblo.jp/warm-heart/)を主のheartさんと共同編集しています。

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