参院選が終われば消費税増税論議へ

安倍内閣が、「骨太方針2007」(「経済財政改革の基本方針2007」)を閣議決定。

メディアでもさんざん言われていることだけれども、ぱっと見は「総花的」で、しかもすでに策定されている「なんとかプランを着実に実行する」などの文言が目立つ。

他方で、参院選を意識して、消費税増税をふくむ税制の抜本的見直しについては、「平成19年秋以降、税制改革の本格的な議論を行い、平成19年度を目途に、……消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組む」と、まことに歯切れの悪い書き方。それでもよく読めば、<1>増税議論は参院選後(「平成19年秋以降」)に先送りするが、<2>2008年3月までに(「平成19年度を目途に」)、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させる」と言っています。

つまり、消費税増税について、参院選では政策・争点にはしないけれども、選挙が終わったら、一挙に本格的な議論をすすめて、来年3月までに実行する、というのです。参院選、年金問題(それ自体は非常に重要だけれど)だけで盛り上がっていたら、あとで大変なことになりそうです。

「骨太方針2007」閣議決定、08年度予算最大限歳出削減へ(朝日新聞)

「骨太方針2007」閣議決定、08年度予算最大限歳出削減へ
2007年06月20日06時45分

 [東京 19日 ロイター] 政府は19日夜に臨時閣議を開き、安倍内閣として初の「骨太の方針2007」を閣議決定した。経済財政運営の方向性と課題を示した方針は、安倍首相が掲げる「成長戦略」と行財政改革が柱だが、7月に迫る参議院選挙を控え「検討」項目の列挙も多く、具体策では踏み込み不足の内容となった。
 2008年度予算編成に向けた指針となる歳出改革では、昨年の「骨太方針2006」に則り、「最大限の削減を行う」と明記したが、少子化対策や教育再生などの各論で与党内の主張に配慮した結果、膨張する歳出拡大圧力への歯止めにもあいまいさが残った。
 一方、税制改革は「秋以降、税制改革の本格的議論を行い、2007年度目途に消費税を含む抜本改革を実現」との既定方針を明記するにとどめ、消費税増税の議論は封印。「ふるさと納税」の検討や地域経済活性化のための「地域力再生機構」の創設など、地方重視・格差是正の施策が盛り込まれた。
 マクロ経済運営では、「再びデフレに戻ることがないよう、民需主導の持続的成長と両立する安定的な物価上昇率を定着させる必要がある」とし、日銀には「物価安定を確実なものとし、持続的な成長を支えていくこと」を期待した。
 とりまとめ後に記者会見した大田弘子経済財政担当相は、策定過程で歳出拡大圧力の強さを素直に認めながらも、「新たに必要な歳出を行う際は他の経費の削減で対応する」予算原則も明確に示しており、「歳出改革に対する姿勢は変わっていない」と説明。「選挙とは全く関係ない」と述べ、構造改革に緩みがないことを強調した。
 今回の骨太方針から、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」としてきた正式名称を「経済財政改革の基本方針2007」に改めた。副題は「『美しい国』へのシナリオ」。未来に向けた新たな改革の枠組み作りへの気持ちを込めた。
 「骨太方針2007」のポイントは以下の通り。

 <成長力強化>

  • 人口減少状況のなかで、経済成長を持続させ、生活の質を高くしていくことが、今後の日本経済の最も重要な課題である。
  • 成長力強化はすべての経済政策の基本。成長力強化と財政健全化を車の両輪として一体的に改革を進めていく。
  • 「成長力加速プログラム」推進で、労働生産性の伸び率を5年間で5割増目指す。
  • 「中小企業生産性プロジェクト」の推進と最低賃金制度の充実。

 <グローバル化改革>

  • WTOへの積極的取組。工程表に従ったEPA交渉の取組強化。米国・EUとのEPA交渉を将来の課題として検討。
  • 2007年内に「金融・資本市場競争力強化プラン」を取りまとめ。株式、債券、金融先物、商品先物など総合的に幅広い品揃えを可能とするための具体策について結論を得る。銀行と証券にかかわるファイアーウォール規制の見直しを行うなど。
  • 大都市圏国際空港の24時間化促進。

 <地域活性化>

  • 地域の中規模企業や第3セクターなどの再生を手がける「地域力再生機構」の創設に向け、具体的に検討。

 <行財政改革>

  • 歳出・歳入一体改革:2011年度の基礎的財政収支の黒字化や、2010年代半ばに向けて債務残高GDP比の安定的な引き下げなど、「進路と戦略」に定められた中期的な財政健全化目標を確実に達成する。
  • 社会保障については「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」を推進。年内に「基本方針2006」を達成するための道筋を示す。公務員人件費改革では「基本方針2006」(2.6兆円)を上回る削減を目指し改革を具体化。
  • 税制改革:2007年秋以降、税制改革の本格的な議論を行い、07年度を目途に消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する。金融所得課税のあり方を検討。歳出改革でも対応しきれない社会保障や少子化に伴う負担増に対しては、安定財源を確保。地方間の税源偏在を是正する方策を検討し、格差の縮小を目指す。「ふるさと」への貢献や応援が可能となる税制を検討。
  • 全独立行政法人の民営化や民間委託の是非を検討、07年めどに整理合理化計画を策定。
  • 教育再生:授業時間数の1割増。国立大学への運営費交付金制度の見直し。予算面では、歳出・歳入一体改革の実現と整合性を取りつつ、メリハリをつけて教育再生に真に必要な予算について財源を確保する。
  • 少子化対策:2007年内に重点戦略を策定し取り組み強化。有効な少子化対策実施のためには、一定規模の効果的な財政投入の検討も必要。
  • 年金記載漏れ問題では約5000万件の名寄せを1年内に完了。

 <2008年度予算>

  • 国・地方を通じ「基本方針2006」に則り、最大限の歳出削減を行う。
  • 成長力強化や持続的で安心できる社会の実現のための取組みを推進。そのため、予算面において所要の対応を行うことを含め、予算配分の重点化・効率化を行う。

 <今後の経済動向と当面の経済財政運営の考え方>

  • 2007年度において、世界経済の着実な回復が続くもと、企業部門・家計部門ともに改善が続き、自律的・持続的な経済成長が実現することが見込まれる。2008年度においても、こうした成長が持続することが期待される。
  • 再びデフレに戻ることのないよう、民需主導の持続的な成長と両立する安定的な物価上昇率を定着させる必要がある。このため、政府と日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点──民需主導の持続的成長の実現、物価の安定を実現、中期的な課題と整合的な政策運営、透明性と説明責任の徹底──を共有する。
     このことを前提に、日銀には、政府の政策取組みや経済の展望と整合的なものとなるよう、金融政策運営において、物価の安定を確実なものとし、持続的な成長を支えていくことを期待。

こっちが、閣議決定された「経済財政改革の基本方針2007」(pdf)

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