税源移譲の影響で国保料負担が増加

税源移譲で住民税の最低税率が5%から10%になったことにたいし、政府は、所得税減税とで差し引きゼロだと強調しています。しかし、住民税額に連動した国民健康保険料が大幅に上がるなど、低所得層を中心に負担が大きくなっています。

今日の「読売新聞」では、「税源移譲の余波 国民健康保険料増加も」と詳しく取り上げています。

税源移譲の余波 国民健康保険料増加も 低所得層に負担重く
[読売新聞 2007年7月6日付朝刊]

 国から地方への税源移譲税と定率減税廃止の影響で、国民健康保険料も大幅に上がる人が出ている。6月から大半の人の個人住民税が上がった結果、東京23区など、住民税をベースに保険料を計算している大都市で、年金生活者など低所得層の負担が増えるケースがあるためだ。住民税をもとに保険料を決める方式は、所得が一定額以下の人から保険料を取らない低所得者層対策の意味合いがあったが、この仕組みがあだになった格好だ。(鹿川庸一郎)

東京23区のモデル世帯ごとの国民健康保険料の変化(杉並区試算)

収入 世帯構成 国民健康保険料(円)
2006年度 2007年度 差額
250万円 25歳1人 11万6000 12万9000 1万3000
500万円 40歳代夫婦、
子2人の4人
31万 31万1000 1000
250万円(年金) 70歳1人 5万6000 7万5000 1万9000
300万円(年金) 70歳代夫婦2人 9万5000 11万1000 1万6000

■問い合わせ殺到

 今年度の国民健康保険料が通知された6月中旬ごろから、保険料を住民税に連動させる方式の自治体に「なぜこんなに保険料が上がっているのか」といった問い合わせが相次いでいる。東京都杉並区には、多い日で600件の電話があり、窓口への来訪者も400人に上った。
 国民健康保険は、自営業者や農業者、年金生活者など、サラリーマンや公務員の健康保険組合に加入していない人が対象。国や都道府県の補助を受けて市区町村が運営し、病気などの医療費分と、40?64歳が支払う介護費分からなる。
 保険料を算出する料率は、各自治体が住民の所得や必要な医療費に応じて毎年、独自に決める。具体的には、各世帯の所得に応じた「所得割り」と、世帯の人数に一定の額をかける「均等割り」、世帯ごとに定額を払う「世帯割り(平均割り)」などをもとに算出する。

■東京23区など

 ただ、東京23区のほか、仙台、川崎、横浜、浜松、名古屋、神戸、広島市など16の市と町では、この「所得割り」の算出根拠に住民税額を使う「住民税方式」を採用している。6月から税源移譲で多くの人の住民税が上がったため、これらの自治体の多くは今年度の保険料の料率を引き下げた。しかし、住民税率は課税所得200万円までの人は税率5%が10%に倍増した反面、200万円超から700万円までの所得は10%で変わらないなど、低所得者ほどアップ率が大きかった。このため、低所得者層を中心に、料率引き下げによっても保険料が上がる世帯が続出した。
 住民税方式をとる39の自治体は人口が多く、かつ保険料収入も多い自治体が中心で、影響は多くの世帯に広がっている。住民税は所得が言っていいかの低所得者には課税されず、住民税方式をとっていれば保険料の所得割もゼロになる。低所得者の保険料を軽減するという意味合いで導入された住民税方式が、多くの低所得者の負担増につながるという皮肉な結果になった。
 京都、大阪、福岡市などを含む大半の市町村は保険料率の算定根拠に世帯の所得を採用しており、税源移譲の影響はない。

■年4万5千円増も

 東京23区は、低所得者層の保険料負担の急増を避けるため、料率算定のベースとなる住民税額から所得の2.5%分を最高5万円まで差し引ける独自の経過措置を設けた。だが、杉並区の試算によると、年収500万円の4人家族の場合、保険料は前年度に比べ年1000円しか増えないのに対し、年収250万円の高齢者1人世帯の場合、2万円近く負担が増える。
 横浜市では年収が400万?500万円程度より低い人は、保険料負担が重くなるケースが多い。神戸市では、年金収入250万円の単身世帯では、今年度の年間保険料が15万7000円となり、前年度より4万5000円増えるという。
 23区以外の住民税方式の政令市では、緩和措置を取っておらず、保険料が変わることもあまりPRされていない。ある自治体の担当者は「ここ数年の税制改正で高齢者への税負担が重くなった結果、国民健康保険料は(高齢者や低所得者の負担を少なくする)住民税方式の本来の意図から離れてきている」と話している。

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