続報 足立区の学力テスト不正

昨日の「毎日新聞」の報道に続いて、今朝の「東京新聞」にも、足立区の学力テストで不正が行なわれていた、との記事が報じられています。こんどは、テスト中に、校長が生徒の机の間を歩いて、間違っている答えを指差した、というもの。また、2005年の試験問題を丸写ししておいて、2006年のテスト前に、「過去問」として生徒にやらせた事実も発覚。

この学校は、2005年は足立区内の72の小学校中44位だったのが、2006年には一気に1位になっていたそうです。

学力テストの結果を公表し、学校選択制を実施、学校の予算も学力テストの結果によって配分、という、東京でも「先進的」な「学校改革」ですが、なんとも御立派なことで、としか言いようがありませんね。(-_-;)

校長主導学力テスト不正 足立区の公立小 昨年の試験、誤答指さす(東京新聞)
足立・テスト不正 成績が学校評価に直結(東京新聞)

校長主導学力テスト不正 足立区の公立小 昨年の試験、誤答指さす
[東京新聞 2007年7月8日 朝刊]

 昨年4月に実施された東京都足立区の学力テストの際、区西部にある公立小で、試験中に教員が児童の答案を指さして誤答に気付かせる不正を行っていたことが7日、分かった。共同通信の取材に対し、6人の教員が「校長の指示があった。校長自身も教室に来て、自ら率先して『指さし』をした」などと証言した。 
 校長は「日常の指導の一環でノートや小テストを指さすことはあるが、学力テストではやっていない」と否定。区教育委員会は「テストは適正に行われたと考えている」とする一方、事実関係を把握するため、調査を始めた。
 足立区はテストの順位を公表しているほか、学校予算の傾斜配分や学校選択制を取り入れており、教育関係者からは「競争原理の導入が不正の背景にあるのではないか」との指摘も出ている。
 同小は区内72小学校中、2005年は44位だったが、不正のあった06年は一気に1位になっている。
 テストは昨年4月25日、小学校では区内の2年生から6年生を対象に国語と算数で実施された。同小の複数の教員は試験中に机の間を歩き、答案に間違いがあると、問題を指さして児童に気付かせた。
 教員らによると、校長も教室の中に入り、自ら指をさした。教室内で教員に「指さし」を促すような態度を取ることもあったとしている。
 教員の1人は「指をさして意味の分かる児童とそうでない児童がおり、不正ぎりぎりだと思った。校長の指示があったかどうかと言えばイエスだ」と証言。教員らは「校長は学校の平均点を上げるのが目的だったのだろうが、あんなやり方で一位になっても子どもは喜ばない」と話している。
 また、校長は、本来すべてをそのまま回収しなければならないのに、05年のテストの問題をほとんどメモし、翌年の児童に練習問題として繰り返しやらせていた。
 翌06年のテストは、9割以上が05年と同一問題だった。
 校長は「(05年の問題が)良かったので参考にした。翌年も同じ問題が出るとは思わなかった」とする一方、「過去問をやらなければ一位にはならなかったと思う」とも話している。
 区教委は「メモを取ったのは不適切な行為」としている。

勇気ある不正証言

 教育評論家の尾木直樹法政大教授(臨床教育学)の話 学力テストをやれば必ず指さしなどの不正が起きる。答えを丸暗記するほど過去問を繰り返しやらせ、通常の授業時間が削られるような状況も生まれるなど、学力テストを行うことでかえって基礎学力が落ちてしまう。不正を証言した教員はとても勇気がある。子どもに対する本当の愛情が感じられ、生き方そのものが教育者としての姿勢を示している。管理が強まる学校の中で、不正があっても声を出せない教員は少なくない。全国では同じような問題がたくさんあるはずだから、後に続く人が多く出てきてほしい。

足立・テスト不正 成績が学校評価に直結
[東京新聞 2007年7月8日 08時16分]

 自治体が実施する学力テストをめぐり、不正が明るみに出た。表面化することはまれだが、学校の成績を上げるために不正が行われているとの指摘は各地にあり、不正行為は今回の学校に特有のものではない。
 「説明責任」を理由に、学校の成績を公表する自治体は全国で増加、背景には学校が競争的な環境に囲まれている状態を見て取ることができる。
 成績の公表は学校の評価に直結する。学校側が「テストで測れる学力はあくまで子供の能力の一部だ」と強調しても、保護者は数字で学校の良しあしを判断しがちだ。
 児童生徒の指導改善に生かすのが学力テスト本来の目的だが、現実には校長が目先の評価にとらわれ、目的を逸脱しているケースも少なくない。
 東京都足立区の場合、テスト結果の公表に加え、学校選択制、学校予算の傾斜配分など競争的な施策を次々に導入した。
 同区の校長や教員の多くは「人気校になるために、度を越したテスト対策に走る学校が出てきても不思議ではない」と現状を分析する。
 政府の教育再生会議は公教育への競争原理導入を強く打ち出した。国は9月にも全国学力テストの結果を都道府県別に公表することにしている。

追加。朝日新聞でも報道されています。

学校ぐるみで成績向上「不正」の疑いも 足立区立小(朝日新聞)

学校ぐるみで成績向上「不正」の疑いも 足立区立小
[asahi.com 2007年07月08日]

 東京都足立区の区立小学校で、区独自の学力テストの採点から障害のある児童3人を外したことが明らかになった。なぜ問題は起きたのか。区教委は7日の会見で「今後の調査を待ちたい」と明言を避けたが、教育関係者からは、学校ぐるみで成績を上げる「不正行為」をしていたのでは、との疑惑も出ている。
 「決して平均点を上げるためだったとは思っていない」。3人の答案を集計から外したことについて、区教委はこう説明した。
 学力テストは小2から中3まで原則として全員が対象だ。ただし、校長の判断で、障害がある子どもなどの答案は保護者の了解を得た上で対象外とすることを認めている。しかし、その線引きはあいまいだ。明文化されておらず、各校への説明会で口頭で1度伝えただけだ。
 問題が発覚した小学校の成績は05年度、72校中44位。ところが、3人を採点から外した06年度は1位に。この両年は、同種の問題がほぼ9割を占めていた。今年度からは業者が代わり、テストの内容も変わった。5日に公表された今年度の成績は59位に落ちていた。
 問題は回収されることになっているが、校長は「テストの記憶をメモにし、似たような問題を使って指導していた」と説明しているという。「不正の結果、成績が上がったのでは」という報道陣の問いに、斉藤幸枝事務局次長は「確率がゼロだとは言えないが、朝の読書などに力を入れて指導した結果だとも考えられる」と説明した。
 試験中に間違った解答を見つけると教師が机をたたくなどしていたという疑惑もあり、区教委は当時の教員から聞き取りを始めている。
 成績が大幅に上がった学校の存在は関係者の間でささやかれていた。
 足立区の小学校に勤務経験のある50代の教諭は、授業中に過去問を何回も受けさせたり、試験中に校長自らが間違っている子の机をたたいて書き直させたりしているという話を聞いたことがある。「うちの校長も『やればよかった』と冗談で言っていたほど。でも命令されても、普通の感覚なら『おかしい』と反対するはず」といぶかる。
 足立区の中学校の教諭(59)も「成績の悪い子の答案を採点しても、上にあげない学校があるという話はきいていた」という。同区は学校選択制をとっており、保護者にとっては調査結果が数少ない判断材料になっていることが「大きなプレッシャーにもなっていたのではないか」と話す。
 「足立の教育を考えるネットワーク」の高須有子代表(38)は「テストの結果で学校の人気が決まるため、校長は躍起になっている。休み時間を削ってテスト勉強をさせている学校もあると聞く」と憤る。
 自身も2人の子どもを区内の小学校に通わせている。「子どもたちの間で『バカ学校』『エリート校』という言葉が飛び交っている。人気校に行けない子はどう思うか。どの学校でも胸をはれるのが義務教育の良さではないでしょうか」

     ◇

 〈学力テスト問題に詳しい耳塚寛明・お茶の水女子大教授(教育社会学)の話〉 足立区教委は、学校の責任と教育行政の役割をきちんと分担しており、区の学力テストは、支援が必要な学校の「底上げ」を図ることに重点が置かれていたはずだ。しかし、区教委の説明どおりだと、本末転倒、その趣旨は実現されなかったことになる。底上げ以前に現場をゆがませるのであれば、学力テストの副作用が大きすぎたと考えざるを得ない。

この朝日の記事で分かることは、障害を持った子どもを採点から外したというのは、足立区が最初から認めていたこの学力テストのルールだということ。それだけでも十分差別的ですが、「朝日」紙面の記事によれば、採点から外された生徒には採点結果は返されないということで、この点でも非常に差別的です。

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