『資本論』第3部第5章 疑問箇所に遭遇

『資本論』第3部の再読・精読ですが、目下、第5章「不変資本の使用における節約」に突入。

しかし、その途端、疑問な箇所にぶつかってしまいました。第5章の冒頭に、こんなふうに書かれています。文脈をはっきりさせるために、あれこれの保留条件などの追加的記述部分は省略。

 絶対的剰余価値の増加、または剰余労働の延長、それゆえ労働日の延長は、可変資本が等しいままである場合には、すなわち同数の労働者が名目的には同じ賃金で使用される……場合には、不変資本の価値を、総資本および可変資本にたいして相対的に減少させ、そのことによって利潤率を高める……。(新日本新書版『資本論』第8分冊、132ページ)

何が疑問かというと、労働日が延長される場合、当然、消費される原料が増えるのだから、不変資本の価値は増大するはず。したがって、可変資本が同じままである場合には、総資本および可変資本にたいする不変資本の割合は増大するのではないか、ということ。

で、さらに読み進めると、マルクスは、「不変資本の固定部分――工場の建物や機械など――の規模」は労働日を延長しても変わらない、「この部分における新たな投資をなんら必要としない」(同前ページ)と書いています。ということは、先の引用部分でマルクスが問題にしているのは、「不変資本」の割合ではなくて、「固定資本」の割合ではないのだろうか。もし固定資本の割合だとすれば、労働日が延長されて、よりたくさんの商品が生産されるようになれば、商品1個あたりの固定資本の割合は低下することになって、筋は通ります。

しかし、そうなるのは、固定資本の磨滅分が同じままで、それをよりたくさんの商品に均等に割り当てるから。ところが、マルクスは、続けて、労働日を延長した場合は、「固定資本の価値が、……より短い回転期間で再生産」されると指摘しています。つまり、ここでは、1個あたりの商品に移転する固定資本の価値は、労働日を延長する前と同じだと考えていることになります。で、そうだとすると、労働日を延長してみても、商品1個あたりの固定資本の割合は低下しません。

ということで、ここでマルクスが言いたいことはいったいどういうことか。よく分らない訳です。

さらに続けて読んでいくと、133ページに入って、マルクスは、「労働日が不変である場合には……いっそう大きな総量の労働を搾取するためには、労働者の数を、それとともにまたある一定の比率で建物、機械などの固定資本を増大させることが必要である」と言っています。そうなると、上記引用部分でマルクスが論じているのは、やっぱり、固定資本のことかと思われるのですが…。

あるいはいま引用したところで、マルクスが「労働の総量」を問題にしているので、むしろ、ここでマルクスが言っているのは、この生産過程で動かされる生きた労働の総量のことではないのか? とも思うのですが、どうでしょうか。実際、生産過程で実際に動かされる生きた労働の量を問題にしていると考えると、確かに、労働日の延長とともに、それは増加するし、そうなれば、それとの対比で不変資本の価値は小さくなります。

ということで、ここんところをどういうふうに読んだらよいのか、どなたかご教示を。m(_’_)m

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