宗教は妄想である

リチャード・ドーキンス『神は妄想である 宗教との決別』(早川書房)

『利己的な遺伝子』で話題を呼んだリチャード・ドーキンスが、こんな本を出していました。全部で550ページほどもある大著。徹底的に「神は妄想である」ことを論じています。

まだ読んでいる途中ですが、印象的なことの第1は、アメリカってホントに救いようのない社会だということ。ダーウィンに始まる進化論にたいして、神がすべての生物をつくりだしたとする「インテリジェント・デザイン(ID)」なるものを執拗に主張し続ける、その異常さ。それから、「無神論」にたいする拒絶、嫌悪、排除の根強さ。たとえば、ドーキンスは、「その他の点では十分な資格を持つ次のような人物に投票するかどうか」という1999年のギャラップ調査の数字を紹介しています(14ページ)。

それによれば、投票するとした割合は、女性95%、ローマ・カトリック教徒94%、ユダヤ人92%、黒人92%。ちょっと下がって、モルモン教徒79%、同性愛者79%にたいして、無神論者は49%と断トツのビリ。

もう1つは、ドーキンスがアメリカという国がもともとは世俗主義の国であったことを強調していることです。ドーキンスは、1797年のトリポリ条約の冒頭の一節を紹介しています(同書、64ページ)。

 アメリカ合衆国の政府はいかなる意味でもキリスト教の上に築かれたものではなく、それ自体として、イスラム教徒の法律、宗教あるいは平穏に敵対するいかなる性質も持っておらず、わが合衆国はこれまで、いかなるイスラム国家に対しても戦争ないし敵対的行動に突入したこともないがゆえに、宗教的意見のちがいから生じるいかなる口実によっても、両国のあいだに現存する調和の途絶を生むことはないと、両当事者によって宣言される。

ここからも分かるように、ドーキンスは、明らかに9・11以後のアメリカの政治・イデオロギー状況を念頭において、それにたいする批判として、キリスト教原理主義にたいする徹底したたたかいを繰り広げているのです。ドーキンスの進化論の理解や「利己的な遺伝子」論にたいする意見はいろいろあっても、この点では、ドーキンスの戦闘的無神論を熱烈に支持したいと思います。

【書誌情報】
著者:リチャード・ドーキンス/訳者:垂水雄一/書名:神は妄想である 宗教との決別/出版社:早川書房/発行年:2007年5月刊/ISBN978-4-15-208826-0/定価:2500円+税

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