扶桑社教科書を受け継ぐ「育鵬社」が設立

「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会=代表世話人・屋山太郎)によると、扶桑社の教科書を受け継いで発行する新会社「育鵬社」が、8月1日に設立。同社は扶桑社の100%子会社。

教科書改善の会 育鵬社・片桐社長のあいさつ
教科書問題:「教科書改善の会」が発足、「育鵬社」の発行支援へ(毎日新聞)

しかし、扶桑社が100%子会社として教科書出版会社を設立し、なおかつその社長に扶桑社の社長が就任したというにもかかわらず、この「あいさつ」なるものは、扶桑社のホームページでは見つかりませんでした。そんなに疚しいことをやっているつもりなんですかねぇ…。(^_^;)

「教科書改善の会」は、「新しい歴史教科書をつくる会」に代わって、扶桑社の教科書発行を支援するために7月24日に発足した組織。代表世話人は政治評論家の屋山太郎氏、事務局は八木秀次氏。そして、歴史教科書は伊藤隆・東大名誉教授が、公民教科書は川上和久・明治学院大法学部長がそれぞれ責任者になっています。

そして世話人には、石井公一郎・元東京都教育委員、小田村四郎・元拓殖大学総長、中西輝政・京都大学大学院教授、三浦朱門・元文化庁長官、三宅久之・政治評論家、村上和雄・筑波大学名誉教授、渡部昇一・上智大学名誉教授、渡辺利夫・拓殖大学学長が名前を連ねています。

賛同者の名簿を見ると、先日クーデター的に「新しい歴史教科書をつくる会」会長を解任された小林正・元参議院議員やその前に同会会長をつとめていた種子島経・元東京BMW社長なども名前も見えます。

ちなみに、「教科書改善の会」の事務所は日本教育再生機構と同じ(台東区上野1-17-1-1大湖堂ビル4F)。さすがに電話は違っていますが、FAXも日本教育再生機構と同じでは「頭隠して尻隠さず」です。
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にもかかわらず、なぜこんなことをしたのかというと、現在の採択制度のもとでは、教科書執筆者たちは自分たちの教科書を売り込むための運動をすることができません。だから、執筆者集団=「教科書改善の会」を別団体としておけば、日本教育再生機構はいくらでも教科書採択の運動ができる、というつもりなんでしょう。しかし、住所が同じ、構成メンバーが同じでは、そんな理屈は通用しません。

教科書問題:「教科書改善の会」が発足、「育鵬社」の発行支援へ
[毎日新聞 2007年7月25日 東京朝刊]

 新しい中学校の教科書づくりを目指す「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」(教科書改善の会)が24日発足し、東京都内のホテルで会見を開いた。同会は次の教科書検定(実施時期は未定)に向け、扶桑社が設立する子会社「育鵬社」の教科書編集・発行を支援することを明らかにした。
 会見には、代表世話人の政治評論家、屋山太郎氏や、歴史教科書を担当する伊藤隆・東大名誉教授、公民教科書を担当する川上和久・明治学院大教授、事務局を担当する八木秀次・高崎経済大教授が出席した。
 今年5月、扶桑社が「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)執筆の教科書の継続発行を拒否したことが明らかになり、つくる会が事実上の分裂状態にあることも判明。同会元会長の八木教授らは扶桑社と新教科書の発行を目指していた。 改善の会の基本方針では、「従軍慰安婦は記述しない」「尖閣諸島、竹島などは我が国固有の領土であることを明記する」など個別論点も掲げた。八木教授はこの日、つくる会が執筆した歴史・公民教科書との違いについて「中身自体は大きな変化はないかもしれない」とし、「専門家と現場教員を中心に執筆してもらうことで、広く教育界に受け入れられる教科書にしたい」と新組織発足の理由を説明した。【高山純二】

ところで、小林正氏は、「つくる会」の「名誉」(そんなものがあったのかどうか私は知りませんが)を「著しく傷つけ」、同会の「活動を混乱」させる文書を配布したとして、7月25日付で「つくる会」から警告を受け、8月1日付で「つくる会」を除名処分になっています。

ちなみに、7月25日付の「ニュース」に掲載された小林正氏が配布している文書なるものからは、あらためて先日の小林正会長解任がクーデター的なものであったことが伺えます。

小林正前会長発信7月吉日付文書における会則第20条に該当する問題点

 小林正前会長発信7月吉日付文書には「疑問のある意思決定過程」と題して理事会について記述した箇所がありますが、その内容は明らかに誤っておりますので、その原文と問題点を説明します。

1.5月10日の緊急理事会についての小林前会長発信文書の記述(引用)
 【FAX通信第192号は、5月10日の緊急理事会の決定を受けて発行されたことになっていますが、この決定の経緯は不可解なものでした。
 緊急理事会の本来の目的は、4月26日の「つくる会」執行部(会長と副会長3名)と扶桑社との話し合いで、次期教科書発行について両者がほぼ合意し、新たなスタートラインに立つことが確認されたことを受けて、理事会に報告し今後の協力を要請するためのものでした。
 ところが、席上、藤岡副会長(当時)から突然「つくる会」の見解なるものを決議するように求める動議が出されました。決議は扶桑社の再考を求める体裁になっていますが、事実上の交渉打ち切りに等しいものです。この動議は賛成5・反対3・棄権1で可決されましたが、これをあらかじめ承知していたのは動議に賛成した5人の理事だけで、私を始め他の理事は誰も知りませんでした。しかも、この日欠席していた理事も多数いたのです。
 本来であれば、このような組織の命運を左右する決定を行うには、執行部会で事前に論議し、支部長や評議員の意見を聞き、理事にもあらかじめその論点を知らせた上で、理事会を招集し審議すべきものです。あらかじめ示し合わせて強引に決着を図るようなやり方が正当とは思えません。】

■上記引用部分の問題点
 本会は昨年11月21日に扶桑社宛てに「『新しい歴史教科書』『新しい公民教科書』の継続発行に関する申し入れ書」を提出し、つくる会と扶桑社の従来通りの関係を前提に継続発行するよう申し入れをしました。これに対し、扶桑社は本年2月26日に「前2回の枠組みは使えない」として絶縁を意味する回答をし、新たな方針を示してきました。
 4月26日、執行部(小林会長、高池・福地・藤岡の3副会長)が扶桑社を訪ねた目的は、扶桑社の意思を最終的に確認するためのもので、【次期教科書についてほぼ合意し、新たなスタートラインに立つことが確認された】という事実はありません。執行部会では副会長から扶桑社の回答に対する拒否の意思表明が再三にわたってなされており、そのために小林会長は理事会開催前に通例開催しなければならない執行部会を招集してきませんでした。
 文書には、また【突然「つくる会」の見解なるものを決議するように求める動議が出されました】とありますが、これは当日の理事会の議題に掲げられていた「次期教科書作成について」という議題の下、扶桑社の新たな提案を受け入れるか拒否するかのつくる会の最終意思を決定する審議の中で提案したものであり、動議ではありません。藤岡副会長が提案したのは拒否を内容とする提案であり、それを文書で提案したものにすぎず、議事進行上何ら問題はありません。
 文書には、また【これをあらかじめ承知していたのは動議に賛成した5人の理事だけで、私を始め他の理事は誰も知りませんでした】とありますが、小林氏がそれを知る機会となったはずの事前の執行部会の開催を拒否し続け、当日も開催しなかったのは小林会長自身です。決議の文書については、3人の副会長の間で確認した事実はなく、また賛成した5人の理事があらかじめ知っていたという事実もありません。それどころか審議の過程で文書を改善・修正する意見が出て、若干の変更が加わりその上で決議されたものです。

2.5月30日の理事会についての小林前会長発信文書の記述(引用)
 【会長を解任した5月30日の理事会も、それに先立つ評議会が扶桑社との関係について激論となり、とりまとめが不可能であったため、もっと慎重に多角的に意見を求める必要があるとして、私が理事会の延期を宣言し退席したにもかかわらず、それを無視して一部の理事が強引に決めたものです。規約では理事会の開催は会長の権限となっており、理事会も会長解任も規約を無視して行われたものです。】

■上記引用部分の問題点
 当日の評議会終了時に小林会長は突然、理事会の延期を宣言して退出しました。しかし理事会は会長によってすでに招集されており、例えば会場で火災が発生する等の緊急事態ならば格別、そうした合理的な理由もなく、会長の判断で一方的に理事会を延期することのできる規定は会則にはありません。もし当該議題の審議を延期する必要があると会長が判断した場合は、理事会をまず開催した上で、その議題のみ審議を延期することを諮って理事会の了解を得て行うべきものです。評議会においては熱心な審議によって大勢としては、5月10日の理事会決定をやむを得ないものとして容認する方向に向かっておりました。理事会において、会長が期待する決議が得られる見込みが立たないからといって理事会の開催そのものを会長が一方的に中止するようなやり方を認めれば、会長の期待する決議が行われる見込みが立つまで理事会が開かれないことになり、会は存亡にかかわる重大な損害を被ることになります。
 なお【一部の理事が強引に決めた】という箇所がありますが、当日小林会長に招集されて出席した理事で、小林会長の理事会延期の宣言に応じて退出した理事は1人もいませんでした。

3.小林前会長発信の文書には、その他明らかな誤りが多々ありますが省略します。

                              以上

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