ネットカフェ難民、初めての全国調査

厚生労働省が、全国のネットカフェを調査し、「ネットカフェ難民」の実態を調べました。

その結果、帰る家のないいわゆる「ネットカフェ難民」は終夜利用者の約7.8%、全国に5400人いると推定。その4分の1は20代だけれども、意外だったのは、50代も23.1%を占めたこと。また彼らの大半は派遣など非正規労働者、4分の1は失業者だというのは分かるとして、正社員も6%程度いたというのも驚き。住居を失った理由は、「仕事を辞めて家賃が払えなくなった」というのとともに「仕事を辞めて寮や住み込み先を出た」というのも多い。

彼らの平均月収は、東京で月10万7000円。確かにこれでは、敷金・礼金まで払ってアパートの部屋を借りるのは不可能です。

ネットカフェ難民、全国に5400人…4分の1は50代(読売新聞)
ネットカフェ難民5400人 4分の1が20代 厚労省(朝日新聞)
「将来不安、3時間しか眠れず」 ネットカフェ難民(朝日新聞)
ネットカフェ難民5400人 厚労省、初の実態調査(産経新聞)

ちなみに、↓これが厚生労働省の発表した調査結果。

厚生労働省:日雇い派遣労働者の実態に関する調査及び住居喪失不安定就労者の実態に関する調査の概要

厚生労働省の報告書を読んでみると、非正規・日払いの仕事から抜け出せない理由の1つとして、正社員になる仕事口があったとしても、月給が出るまでの間、生活するだけのお金がない、だから日払いの仕事を続けざるを得ない、というものが出てきます。問題の解決には、こうしたところまでフォローする必要があるということです。

ネットカフェ難民、全国に5400人…4分の1は50代
[2007年8月28日12時48分 読売新聞]

 定住先がなく、ネットカフェや漫画喫茶で寝泊まりするいわゆる「ネットカフェ難民」は、全国で推計約5400人に上ることが28日、厚生労働省による初の実態調査でわかった。
 うち半数は、派遣労働やパートなど不安定な職に就いていた。住所がないと安定した職にも就けない現実を反映している。
 厚労省では、「就職と家の確保ができる支援を同時に進めることが必要」としており、来年度予算概算要求に支援策の事業費を盛り込んだ。
 ネットカフェなどは、1時間200円前後で利用できるところが多く、一晩過ごしても1500円程度。このため、ネットカフェ難民が若者を中心に徐々に広がっているといわれる。路上生活者よりも実態がつかみにくく、「見えないホームレス問題」とも指摘されている。
 調査は今年6?7月に実施。全国3246店舗を対象に平日1日あたりの平均利用者数を聞き取り調査し、東京23区と大阪市では利用者への面接も行った。
 その結果、ネットカフェなどを深夜から朝までの時間帯に5時間以上利用する「オールナイト利用者」は、1日あたり約6万900人。仕事で帰宅が遅くなるなど一時的に利用した人が大半だったが、帰る家がないため日常的に使っている「住居喪失者」は推計で約5400人となった。東京が2000人、大阪が900人、名古屋が200人などとなっている。
 年齢別では、20歳代が26.5%と最多、50歳代が23.1%で続いた。50歳代は、路上生活をする失業者や日雇い労働者が利用するケースが多いためとみられる。また、男女別では男性が82.6%、女性が17.4%だった。
 また、労働形態を調べたところ、派遣労働などの非正規労働者は半数の約2700人で、このうち契約期間が1か月未満だったのは約1700人。平均月収は、東京で10万7000円、大阪では8万3000円だった。仕事をしていない人は約2200人、正社員は約300人などだった。

ネットカフェ難民5400人 4分の1が20代 厚労省
[asahi.com 2007年08月28日]

 住居を失い、主にインターネットカフェで寝泊まりしている「ネットカフェ難民」が全国で約5400人に上ることが28日、厚生労働省の調査で明らかになった。半数は日雇いなど短期雇用を中心とした非正規労働者で、約4分の1が20代の若者だった。若年層を中心に広がる、働いても住居費さえ賄えない「ワーキングプア」の厳しい生活が浮き彫りになった形だ。
 ネットカフェ難民の公的調査は初めて。今年6?7月、全国の24時間営業のネットカフェや漫画喫茶計約3200店の店長や店員、一部店舗の利用者を対象に実施した。
 店舗側への調査では、寝泊まりしている利用者は全国で1日につき約6万900人。このうち7.8%の約4700人が住居を失って宿泊していた。住居がなくて週の半分以上ネットカフェに泊まる人をネットカフェ難民とすると、厚労省は全国で約5400人いると推計した。
 5400人の雇用形態別の内訳は、日雇い派遣のような雇用契約が1カ月未満の短期派遣労働者は約600人、建設現場の日雇い労働やアルバイトなどの短期直接雇用は約1200人で、長期雇用のパートらをあわせた非正規労働者は全体で約2700人。正社員も約300人おり、失業者は約1300人だった。
 年齢別では20代が26.5%で最も多く、50代が23.1%、30代が19.0%と続いている。
 東京と大阪で実施したネットカフェ難民計約360人への聞き取り調査では、住居を失った理由は「仕事を辞めて家賃が払えない」(東京32.6%、大阪17.1%)と、「仕事を辞めて寮や住み込み先を出た」(東京20.1%、大阪43.9%)が多い。平均月収は東京10万7000円、大阪8万3000円だった。
 また、約4割が路上生活を経験。東京ではネットカフェのほかにファストフード店(46.1%)やサウナ(32.1%)を寝泊まりに利用する人も多かった。

「将来不安、3時間しか眠れず」 ネットカフェ難民
[asahi.com 2007年08月28日13時54分]

 実態が把握しにくいネットカフェで、事実上ホームレス状態の新たな貧困層が確実に広がっていた。厚生労働省の「ネットカフェ難民」実態調査が示した深刻な結果に、専門家からは早急な対策を求める声が相次いだ。
 「将来が不安で、毎晩3時間ほどしか眠れなかった」。6月まで、東京・浅草や池袋のネットカフェで寝泊まりしていた男性(40)は振り返る。
 地元に仕事がなく、派遣社員として食品工場で働くため、今年4月に東北から妻(27)と2人で上京。だが工場では、深夜から早朝にかけての労働時間が、面接での約束より長いうえ休憩もなし。最初の3カ月は社会保険もなく、夫婦で会社の寮を飛び出した。残金1万3000円を手にネットカフェに泊まり、求人雑誌で仕事を探した。
 まもなく妻は旅館の住み込みの仕事が見つかったが、男性は複数の日雇い派遣会社に登録。書籍発送や引っ越し作業などを続けたが、腰を痛めて働けなくなり、8月から生活保護を受けている。
 こうした東京のネットカフェ難民300人に対する厚労省の今回の聞き取り調査では、48.6%が日雇い労働に従事。毎月の支出は食費が平均2.5万円、宿泊費2.4万円。住まいを得られないのは「敷金など初期費用を貯蓄できない」(66.1%)、「家賃を払い続ける安定収入がない」(37.9%)と、低賃金が一番の壁になっている。
 厚労省は来年度からネットカフェ難民向けの相談窓口を設け、職業紹介や無料技能講習の紹介などを始める。だが、NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」の湯浅誠事務局長は「就労支援だけでは解決は難しい。職業訓練の間の生活費、住居費をどうするか。日雇い雇用保険の適用など、既存の制度で使えるものもあるはずだ」と指摘する。
 今回の調査は、こうしたホームレス状態が若年層にも広がっている現実を行政にも突きつけた。独協大学の森永卓郎教授は「非正規雇用の拡大で、新たな貧困層がネットカフェに集まっており、放置すればスラム化の恐れもある。今なら敷金や家賃の無利子融資など、わずかな支援で生活を立て直せるので、早急な対策が必要だ」と訴える。

ネットカフェ難民5400人 厚労省、初の実態調査
[Sankei WEB 2007/08/28 10:12]

 住居がなくインターネットカフェなどで寝泊まりしている人が全国で約5400人いると推計されることが28日、厚生労働省が実施した調査で分かった。このうち半数の約2700人が、日雇い労働など非正規労働で生計を日々立てているとみられる。全国的な「ネットカフェ難民」の実態調査は初めてで、厚労省は今後の具体的な支援策を検討することにしている。
 調査は今年6?7月に実施。24時間営業する全国のインターネットカフェや漫画喫茶など1173店と、抽出したオールナイト利用者1664人に生活実態を調査した。
 店舗調査の結果、夜から朝までオールナイトで利用する人は1日あたり約6万900人と推計。多くが「パソコンなどを利用するため」(52.8%)や「夜遅くなり帰宅がおっくう」(27.8%)だったが、「住居がなく寝泊まりのため」が7.8%いた。
 オールナイトの利用者に利用頻度を聞いたところ、「週5日以上」が17.8%、「週3?4日」が20.1%だった。これらから、週の半分以上を常連的にネットカフェなどで過ごしている住居喪失者が約5400人いると推計した。
 住居喪失者の雇用形態別の内訳は、アルバイトなど短期直用労働者が約1200人、日雇い労働など1カ月以内の短期派遣労働者が約600人で、長期を含めた非正規雇用の労働者は計約2700人。正社員として勤務する正規雇用労働者も約300人と推計された。また、失業中が約1300人、仕事を探していない無業者も約900人と推計した。
 厚労省職業安定局は「住居のない不安定就労者の数が、多いか少ないか、意見は分かれるところ。しかし、就職していないために住居を持てず、住所がないために就職できないという悪循環があるのは確かで、これを絶つための支援を行っていく必要がある」と話している。

他方で、ネットカフェの業界団体(日本複合カフェ協会)からはこんな動きも。まあ、「ネットカフェ難民」という言葉が広がれば、ネットカフェそのものが「怪しいところ」と見られてしまうので、業界としては黙っていられないということでしょう。

「お客様は難民ではない」ネットカフェの業界団体が声明(INTERNET Watch)

「お客様は難民ではない」ネットカフェの業界団体が声明
[INTERNET Watch 2007/08/28 18:27]

 お客様を「ネットカフェ難民」と呼ばないで――。最近の報道などでよく用いられるようになったこの言葉について、日本複合カフェ協会(JCCA)が使用を止めてほしいと訴えている。
 JCCAはインターネットカフェやマンガ喫茶の業界団体で、加盟企業は8月末で235社、各社が運営する店舗は全国に1,361店ある。 JCCAによると、「ネットカフェ難民」についてのセンセーショナルな報道の影響により、風評被害で実際に利用者が減っている店舗もあるという。加盟企業から協会としての公式声明を求める声もあって、7月17日には「いわゆる『ネットカフェ難民』について」という文書をJCCAのサイトに掲載。そもそも「難民」とは「戦禍・政難を避けて放浪する亡命者」だとする「広辞苑」の定義を紹介しながら、「一般社会と隔たりのあるケースにおいて『○○難民』と安易に定義づける傾向を私たちは危惧している」などとコメントしている。
 なお、JCCAによれば、深夜にネットカフェを利用する人の中には定職に就くことが難しい人もいることは認めており、地域によってはその数が多いこともあるという。ただし、これを大きな社会問題だとする見方には疑問を投げ掛けるとともに、「お客様は難民ではない」(JCCA)と強調している。
 厚生労働省が8月28日に公表した「住居喪失不安定就労者の実態に関する調査」では、ネットカフェなどに寝泊まりしながら不安定就労に就いている人の実態を報告している。この調査にあたっては、JCCAにも協力の打診があったが、「ネットカフェ難民ありき」の調査だとしてJCCAでは協力を断わったという。(永沢茂)

しかし、他方で、↓こういう動きも広がっています(記事は去年の10月のものですが)。確かに、不正アクセスやネットを利用した犯罪の防止のために会員制にするというのは分からなくはないけれど、そうなれば住所を持たない「ネットカフェ難民」はネットカフェからも追い出される訳で、なんとかならないもんでしょうか。

ネットカフェ急増、「危ない場所」からイメチェン図る(朝日新聞)

ネットカフェ急増、「危ない場所」からイメチェン図る
[asahi.com 2006年10月22日]

 急増しているネットカフェや漫画喫茶のイメージチェンジが進んでいる。会員制と連動して未成年を有害サイトから切り離し、なるべく個室を少なくして死角の少ない空間作りに力を入れる。ビリヤードや高酸素ルームなどの癒やし空間をねらう店も増えた。「犯罪・非行の温床」という、これまでの一部にあった世間の厳しい視線を打ち消し、一層の市場拡大を狙う。
 東京・池袋。JR駅近くのビル7階にある漫画喫茶「スペースクリエイト自遊空間」。受付で会員カードを示す。カードを作る時には氏名、年齢、住所、電話番号、性別を入力し、店員が免許証や学生証で裏付けをとる。約150店舗を展開する全国チェーンで、会員登録数は約550万人に上る。
 18歳未満だとカードを読み込んだ瞬間、その利用者が座る席のパソコンに制限がかけられる。「フィルタリングソフト」と呼ばれるソフトが起動し、自殺を誘ったり犯罪手口を教えたり、ポルノ画像が出たりするサイトを閲覧できなくする仕組みだ。
 ソフトの開発会社もこうした店を支えている。家庭や企業向けに同ソフトを開発してきた「デジタルアーツ」(本社・東京)。昨年10月、「ネットカフェ用」を売り出した。会員証システムと連動できるのが特徴で、導入先は年内に500店舗に達する予定という。
 フィルタリングソフトを導入した「快活CLUB(クラブ)」は約80店舗で全国展開する。「我々の店から犯罪者を出したくない」と担当者は話す。
 対象は18歳未満だけではない。大人の客に対しても自殺や犯罪を促すサイトからは遮断する。さらに、「密室」になりがちな個室型のブースから扉を撤去して見通しを確保した。それでも18歳未満は仕切りのないオープン席にしか案内しない。
 「うちは郊外で地域の人に何度も使ってもらうビジネスモデル。『ネットカフェに行ってはダメ』と学校で指導されるようでは成り立たない」
 日本複合カフェ協会によると、昨年9月末現在で全国の漫画喫茶・ネットカフェは2737店。市場規模は約2000億円。首都圏を中心に増え、初めて調査した01年から4年間で約730店増。協会は5年後には4000店を突破すると推計する。
 他業種から参入が相次ぎ、これまでの暗くて危なそうな印象を一新し、本格的なサービスを付け加える新タイプのネットカフェや漫画喫茶も登場した。快活CLUBはその好例で、紳士服販売大手AOKI(アオキ)のグループ会社が運営する。
 24時間営業が当たり前となり、サービスも多様化。ビリヤードやダーツで遊ぶコーナーがある店や、マッサージルームやネイルサロン、高酸素ルームなど癒やしの空間を狙った店も登場。シャワールームがある店は、ホテル代わりに使う客から重宝されている。
 イメージが変わり始めただけに犯罪には神経をとがらせる。協会は昨年9月、運営ガイドラインを改正。会員制導入や防犯カメラの設置、ネット犯罪防止策に力を入れるよう加盟店に呼びかけた。
 会員制は18歳未満の入場時間制限や、不正に使われたパソコンの利用者特定などに活用されている。パソコンから利用客の情報を盗まれないため、客が入れ替わるたびにデータを消去する店も増えている。
 加盟店はようやく1300店を超えた。協会の若松修顧問は「自助努力をしなければ深夜営業禁止などの規制を招きかねない。今後も成長していけるかどうか、今が分岐点だ」と話している。

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