福田・小沢会談の裏事情が明らかに…

自民党・福田総裁と民主党・小沢代表の党首会談が開かれることになった裏事情がいろいろと明らかになっています。

どうやら、読売新聞の渡辺恒雄氏がお膳立てをしたようですが、「大連立」話は小沢氏の側から持ちかけたという話は、どこまでホントか。読売が推進派であるのに対し、産経は渋っているのも面白い。

検証―自・民『大連立構想』 お膳立て読売・渡辺氏か
[中日新聞 2007年11月4日 10時03分]

 発端は、先月25日夜に都内の料亭で開かれた会合だった。
 会合の出席者は、元首相・中曽根康弘や読売新聞グループ本社代表取締役会長の渡辺恒雄、日本テレビ取締役会議長・氏家斉一郎ら。渡辺、氏家は福田政権の誕生にも大きな役割を果たし、首相・福田康夫に、大きな発言力を持つ。民主党代表の小沢一郎とも「しょっちゅう会っている」(閣僚経験者)関係とされる。この席で、自民党と民主党の「大連立」が話題に上った。
 中曽根や渡辺は、宿願である憲法改正を実現するためにも、「大連立」を熱望している。ただ、大連立が実現するとしても、次期衆院選後だと考えていた中曽根は、「衆院解散前に大連立ができるんですか」と質問。渡辺は「できます」と応じた。
 28日には若いころ中曽根の秘書を務め、今も中曽根側近の前官房長官・与謝野馨が小沢と都内のホテルで共通の趣味である囲碁の公開対局を行っている。
 福田は翌29日朝、自民党幹事長・伊吹文明に党首会談の調整を指示した。「小沢氏は応じないのでは」と懸念する自民党幹部もいたが、福田は「受けるでしょ」と軽くいなした。その言葉通り、小沢は同日夕、あっさり会談を承諾した。
 「党首会談をお膳(ぜん)立てしたのは渡辺氏」。複数の与野党幹部は、こう口をそろえる。
 福田の「大連立」打診にはどんな背景があり、小沢はなぜ申し入れを拒むことになったのか。そして、傷ついたのはどちらだったのか。舞台裏を検証した。(政治部与野党取材班、敬称略)

■検証『大連立』頓挫

 福田、小沢の1回目の会談がセットされたのは10月30日。福田は新テロ対策特別措置法案の成立に協力を求めたが、小沢は「自衛隊の海外活動は国連決議に基づくものに限るべきだ」との持論を展開。平行線が続き、再び会談することになった。二人とも連立は話題にしなかったと説明しているが、自他共に認める大連立論者の渡辺が仲立ちをして会談が実現することが広がると、与野党幹部の間では「当然、大連立の話もしているはずだ」との憶測が渦巻いた。
 2日午後3時から始まった再会談。福田は自衛隊海外派遣の恒久法を検討する代わりに、新法案への協力を求めた。
 しかし小沢は、ここでも原則を譲らなかった。平行線のまま一時間経過すると、福田は「あなたの原則と新法案が法的に合うか検討してみる」と中断を提案。会談をしていた国会から首相官邸に戻って、官房長官・町村信孝らと対応を協議した。
 小沢も、党本部に戻り民主党代表代行・菅直人や幹事長・鳩山由紀夫と対応を検討。鳩山らは「もし大連立を提案されたら、『小沢首相』の実現が条件だ。就任したら、すぐに解散すればよい」と小沢が安易な妥協をしないようくぎを刺した。
 午後六時半の再開後、福田は「国連決議で認められた活動に限るという前提で、恒久法がつくれるかどうかを検討する」と小沢の主張を丸のみする考えを示した。さらに、「今日の状況の中で力を合わせないと政策実現できない。連立を組んでいただけないだろうか」と、ついに本題を持ち出した。
 小沢は「そんな大きな話はここでは決められない」と回答を留保。約1時間で会談を打ち切り、党幹部と協議するため党本部に戻った。
 福田は、成算があったのだろう。会談後、伊吹に「もし、民主党がオーケーの返事を出したら、政策協議機関を設置して滞っている政策を中心に実行する」と指示。直後に記者会見した伊吹は「ボールは民主党にある」と、民主党に決断を促した。

  ■     ■

 だが、ほどなくして福田のもとには、期待に反する知らせが届く。
 「誠意ある対応をしていただきましたが、結果として、のめません」
 小沢は2日午後9時半すぎ、民主党本部八階の代表室で、福田に電話で大連立拒否を伝えた。
 小沢は党首会談終了後、民主党の役員会に出席。「政策協議が(大連立の)入り口だが、どうだろう」と切り出した。
 小沢は「政策協議をしていけば、参院選で掲げた公約を実現できる。ただし、本当の意味での政権交代ではない。国民がどう見るかも分からない」と、大連立参加のプラスとマイナスを説明した後、「両院議員総会を開こう」と提案した。小沢は最後まで連立への賛否は口にしなかったが、党の正式な議決機関である両院議員総会の開催を提案したことからも、小沢が連立に傾いているのは明らかだった。
 しかし、これに対し「政権に入ることが目的なのではない。政権交代が目標だ」「大政翼賛会的で国民の反発を招く」と反論が続いた。発言者は六人。全員反対だった。
 小沢は「みんながそう言うのなら、分かった」と決断。大連立構想は表に出てから、わずか数時間で頓挫した。
 町村は記者団に「答えがこんなに早く出るとは思わなかった。しかも、ノーという答えが。意外であり、かつ残念だ」と福田の思いを代弁した。

  ■     ■

 自民党の連立パートナー、公明党代表・太田昭宏に大連立打診の可能性を福田から知らされたのは、二日午後二時半の与党党首会談の席だった。大連立が実現すれば、公明党は自民党から使い捨てにされかねず、党内は動揺した。
 小沢が連立の打診を持ち帰った後、公明党は、常任役員会を開いて対応を協議。その最中に、民主党が申し出を拒否したとの一報が入ってきた。
 ある幹部は「ボールを投げたと思ったら、あっという間に返ってきた。そして、ボールはなくなってしまった」と皮肉な笑いを浮かべた。
 小沢は、提案を持ち帰ったことで党内の疑心暗鬼を招いた。
 福田はいきなり切り札を切ったのに成果は得られず、公明党の不信も買った。
 「福田も小沢も両方傷ついた」
 自民党の閣僚経験者はこうつぶやいた。(敬称略)(東京新聞)

「民主党内、絶対まとめる」大連立は小沢氏が持ちかけ
[2007年11月4日3時0分 読売新聞]

 2日の福田首相と小沢民主党代表の会談で、議題になった自民、民主両党による連立政権構想は、実は小沢氏の方が先に持ちかけていたことが3日、複数の関係者の話で明らかになった。
 「大連立」構築に向け、小沢氏がカギと位置づけたのは、自衛隊の海外派遣をめぐる「原理原則」だった。
 関係者によると、小沢氏は当初から、首相側に連立政権の考えを持っていることを内々伝えていたという。
 2日午後3時から行われた会談で、首相は新テロ対策特別措置法案への協力を要請。これに対し、小沢氏は「自衛隊派遣には原理原則が必要だ」と主張した。
 さらに、自衛隊の海外派遣のあり方を定める一般法(恒久法)について、「『派遣は国連決議に基づくものだけに限る』と決めて欲しい」と求めた。内容の検討は、「内閣法制局に頼らない方がいい」などとも注文した。
 首相は「与党が納得するかどうか確認したい」と答え、休憩を取ることにした。
 直前に、小沢氏は「それさえ決めてくれれば、連立したい」と述べ、連立政権への参加を持ち出したという。
 連立参加は、首相の方から要請した形とすることも小沢氏は求めた。民主党内の説得に有利と判断したと見られる。
 会談が6時半から再開したところで、首相は小沢氏の主張に沿った文書を手渡した。
 小沢氏は「これで決める。(連立参加で)私が党内をまとめます」と明言。首相が「大丈夫ですか」と問いかけると、小沢氏は「絶対にまとめます」と重ねて強調した。
 そもそも、10月30日の最初の党首会談を持ちかけたのも小沢氏の側だった。
 打診は10月半ば。30日の会談では、2日の再会談を確認するにあたり、31日の国会の党首討論をどうするかが話題になり、首相は予定通り行うことを主張したが、小沢氏は難色を示し、延期が決まった。

小沢氏の連立構想、狙いは政策実現と衆院選戦略
[2007年11月4日9時13分 読売新聞]

 民主党の小沢代表は自民党との連立政権構想をなぜ進めようとしたのか――。福田首相との党首会談から一夜明けた3日も、様々な見方が飛び交った。
 3日明らかになった2日夜の民主党役員会の激論の模様からは、小沢氏が政策実現にこだわったこと、次期衆院選への思惑があったことなどが浮き彫りになった。
 役員会の内容については、外部に漏らさないよう、かん口令が敷かれた。出席者によると、小沢氏は冒頭、「大連立という流れの中に、政策協議がある」と述べたうえで、自民党と連立政権を組む「利点」と「不利益」の双方を伝えた。
 利点について、小沢氏は「参院選で訴えた政策が実現できる」と説明。
 そのうえで、「政権を取りに行くのが我々の最大の目標だ。民主党は7月の参院選で勝利したが、このままでは、参院選で国民に約束した政策が実現できない。次期衆院選は厳しい」と語った。
 一方、不利益については「自分たちだけの力で政権を取るという、本当の意味での政権交代にならない」と説明した。
 一方、小沢氏はこれまでも、自民党と公明党の選挙協力を切り崩すことが重要だと強調していたことから、自民・公明両党の結束にくさびを打ち込むため、連立構想の検討に動いたとの見方もある。
 2日の役員会では、小沢氏の説明の後、5、6人が発言を求めた。全員が反対意見を唱えた。小沢氏は「民主党として、最終的にどう決断していくのか、週明けに両院議員総会を開き、皆で決めたい」と述べた。幹部だけでなく、党に所属する国会議員全員による議論で決着をつけようと、連立にこだわったわけだが、賛同は得られなかった。

小沢氏提案説に肯定的見方・「大連立」で町村氏
[NIKKEI NET 2007/11/04 12:59]

 町村信孝官房長官は4日のNHK番組で、2日の福田康夫首相と小沢一郎民主党代表の党首会談で「大連立」を提案したのは小沢氏との見方が出ていることに関し「自民党の伊吹文明幹事長が記者会見で『連立は形の上ではこちらから話を出した、ということになっている』と言っていた。多分、実態はそういうことだ」と、肯定的な見方を示した。
 自衛隊海外派遣を随時可能にする「恒久法」をめぐる党首会談でのやりとりに関しては「インド洋での給油活動が必要とまず決め、恒久法は議論に時間がかかるので(まとまるまで)給油活動を続けるという話し合いをしたと首相から聞いている」と指摘した。
 衆院解散・総選挙の見通しについては「(首相は)頭の片隅にもない」と強調した。〔共同〕

【検証・党首会談(上)】首相は大連立を打診、民主は拒否・「悪魔のシナリオだ」
[MSN産経ニュース 2007.11.4 02:01]

 福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表の2回目の党首会談が行われた国会議事堂3階の常任委員長室は午前中から物々しい雰囲気に包まれた。
 扉の前で衛視が目を光らせ、中では国会職員数人が、テーブルや椅子(いす)を次々にひっくり返していた。盗聴器が仕掛けられていないかチェックしていたのだ。
 首相は予定の3分前の午後2時57分、淡々とした表情で部屋に入った。1分遅れで民主党の小沢代表。こちらは口を一文字に結び、いつになく厳しい表情だった。
 民主党の鳩山由紀夫幹事長が「まず自己紹介を」と切り出すと、首相は「よくご存じじゃないですか」と応じ、みなが笑ったが、小沢氏はすぐ硬い表情に戻った。自民党の伊吹文明幹事長も場を和ませようと「われわれはビールのラベルみたいなものですから」と難解なジョークを言ったが、黙殺された。
 伊吹氏らは直後に隣の控え室に移動し、前回と同様に首相と小沢氏の2人だけで会談は進んだ。
 新テロ対策特別措置法案への理解を求める首相に対し、小沢氏は従来通り反対を表明、「それならば、基本法を作ったらどうですか」と自衛隊海外派遣のための恒久法制定を持ちかけた。
 首相は「どういう原則でやりますか」と身を乗り出し、小沢氏の持論を熱心に“拝聴”した。会談中にもかかわらず、時折担当官僚らに電話で実現の可否を訪ねた。
 会談開始から1時間10分で会談は中断したが、午後6時半すぎに再開。ここで首相は恒久法制定への意欲を強く示した上で、唐突に自民、民主の大連立構想を切り出した。
 「この状況を打開しないといけない。政策実現のためにぜひ一緒に新体制を作りたい」
 首相は大連立とセットで現職の自民、民主両党議員が定数1の小選挙区で激突しないよう中選挙区制復帰もいとわない考えを示し、小沢氏との信頼構築に向けた強い思いをにじませた。小沢氏は「党内で協議したい」とだけ述べた。
 午後7時26分、小沢氏が先に席を立ち、会談は終了した。首相は伊吹氏らとしばらく話し込んだ後、部屋を後にしたが、その表情はいつになく穏やかだった。
 10月30日の会談で、首相と小沢氏は45分間にわたりひざ詰めで語り合ったが、首相は手の内を明かさなかったため、永田町は会談をめぐる憶測で持ちきりとなった。
 首相の秘密主義は徹底していた。
 1日昼、首相官邸で昼食を取っていた首相はポツリとつぶやいた。
 「おいしいワインが飲みたいなあ。そうだ、今夜はワインのおいしい店に行こう」
 首相はこの夜、ひいきにしている東京・帝国ホテル内の「レ セゾン」に秘書官らを連れていき、ワインを堪能した。
 「そういえば、小沢さんもワインが好きだって言っていたなあ…」
 「口が堅い」のは小沢氏も同じだった。恒久法制定に向けて動き出せば、旧社会党系勢力を多く抱える民主党の足元はグラつく。菅直人代表代行は、イラついた表情で小沢氏に近い議員らを次々に訪ね、「恒久法を協議するなんて、絶対にやっちゃダメですよ」とクギを刺して回った。
 会談内容が漏れなかったが、会談の仲介者が読売新聞の渡辺恒雄グループ本社代表取締役会長だったことがジワジワ知れ渡ったため、混乱に拍車がかかった。渡辺氏は熱心な大連立論者であり、中選挙区論者として知られていたからだ。
 渡辺氏は2日夕、民放報道番組の収録で、党首会談の仕掛け人なのかと問われ、「知りません」とうそぶいたが、「年内にも大連立政権を作って懸案をドンドン合理的に処理すべきだ」と持論をぶった。同席した中曽根康弘元首相も「政治家の本領を発揮するときだ。小沢氏が思い切って国家本意で大連立に踏み切ってくれれば」と同調した。
 しかし、大連立構想は政局を不安定化し、解散風を加速しかねない。特に自民、民主のはざまに埋没しかねない公明党は危機感を募らせた。動揺を押さえようと森喜朗元首相は31日昼、自民党本部で細田博之幹事長代理に会い、首相に(1)公明党との連立維持(2)大連立構想に乗らない(3)早期解散に応じない?の3条件を譲らぬよう提言したことを伝えた。
 それでも公明党の疑念は解けなかった。2日朝には、ある有力幹部が「今日の党首会談で憲法改正、中選挙区制、恒久法の3つが合意に向け大きく動く。完全な公明外しだ」との情報を流布。支持母体の創価学会までも「悪魔のシナリオだ」(関係者)とパニック寸前に陥った。
 結局、「悪い予感」は的中した。会談後、公明党の北側一雄幹事長は「首相の判断を尊重したい」と語ったが、複数の与党幹部は2日夜、「大連立を持ちかけたのは小沢氏」との情報を流した。
 民主党が受けた衝撃も大きい。会談後、小沢氏は役員会で「申し出を前向きに検討したい」と語ったが、党役員は「ちょっと待ってくれ。そんなもの信じられない」と一斉に反発。小沢氏は「分かった!断ってくる!」と憤然と席を立った。
 一方、首相は同日夜、記者団に「小沢氏は信頼に足るのか」と問われ、「ああっ!信頼できないで話ができますか!」と気色ばんだ。小沢氏は首相に電話で連立構想拒否を告げたというが、両氏に芽生え始めた「絆(きずな)」が落とした波紋は幾重にも広がりつつある。

【検証・党首会談(下)】大連立構想 水面下の1カ月 「小沢代表の焦りだ」
[MSN産経ニュース 2007.11.4 02:02]

 3日午前、早くも冬空が広がった北海道・帯広のパーティー会場に、麻生太郎前幹事長が中川昭一元政調会長とともに手を振りながら現れた。福田康夫首相に総裁選で敗れ、無役に甘んじている麻生氏と、幹事長派閥(伊吹派)に属しながら麻生氏と連携を強める中川氏は、首相にとって手ごわい反主流勢力だ。
 首相が民主党の小沢一郎代表との2度の党首会談で決定的な失点をすれば、党内で権力闘争が再燃する可能性もあった。特に大連立構想は危険なカケだった。
 だが、麻生氏は「大連立は小選挙区では難しい。では中選挙区に戻すかといえば、小選挙区にしたのは小沢氏ではないか。自民、民主両党とも消化不良のまま突っ込んだ感じだが、首相は局面を動かそうと努力した」と評価した。中川氏も「会談の中身はよく知らないが、首相には日本のために頑張ってもらう。国会の駆け引きなどばかり言っても日本のためにはならない」と述べた。
 両氏が首相を評価するのは、会談の目的が新テロ対策特別措置法案の成立を期すことにあったからだ。
 逆に言えば、首相が新テロ特措法成立を断念する方向で会談に臨んでいたら、党内から厳しい突き上げを受けた公算が大きい。少なくとも首相は党首会談で党内の権力闘争の芽を摘むことには成功した。
 首相と小沢氏の会談を仲介したとされる渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長は党首会談の最中の2日夕、東京・グランドプリンスホテル赤坂で開かれた竹下亘衆院議員のパーティーに姿を現した。政治家は派閥領袖らのあいさつもそっちのけで渡辺氏の周囲に殺到、会談の行方を聞き出そうとした。渡辺氏は笑顔でごまかしたが、ある領袖級にはこう耳打ちした。
 「会談で中選挙区制にも踏み込むぞ。今がまさに交渉がうまくいくかの瀬戸際だ」
 渡辺氏が小沢氏と接触したのは福田政権発足直後の10月上旬。「小沢氏は会談に乗り気だ」という情報が伝わったのはこの直後だったとされる。
 19日夜、首相は自民、公明両党執行部を公邸に招き会食し、中国の故事「韓信の股(また)くぐり」を例に「まさにこういう心境です」と語った。出席者は新テロ法案を指したと思ったが、首相の胸の内には党首会談があったようだ。
 10月25日夜、渡辺氏と中曽根康弘元首相は、東京・紀尾井町の料亭「福田家」で与謝野馨前官房長官の慰労会を開いた。
 故福田赳夫元首相が中国の華国鋒首相(当時)を招待し、「ここは名の通り、私の迎賓館だ」とジョークを飛ばしたことで知られる料亭で、与謝野氏らは2代目・福田政権の行く末を案じた。
 「このままだと最低6年間は政治が停滞する。政策遂行のために与野党が何とか協力する枠組みが必要だ」
 中曽根氏が大連立の必要性に踏み込むと、渡辺氏は「年内にも何かことが起こるかもよ」とニヤリと笑った。
 与謝野氏は1回目の党首会談の2日前の10月28日、小沢氏と碁盤を挟んで向き合っていた。アマ七段の与謝野氏は囲碁では小沢氏の師匠格。「胸を貸す」つもりだったが、与謝野氏の「正攻法」は小沢氏の「奇手」に敗れた。
 実は与謝野氏は27日に渡辺氏から電話を受け「小沢氏と囲碁をやるんだって。小沢氏とは仲良くした方がいいぞ」と言われていた。29日に党首会談決定を知り、与謝野氏はひざをたたいた。
 「すべてはこの流れにあったのか…」
 「小沢さんの焦りだろう」
 3日夜、民主党幹部は苦渋の表情で、なぜ小沢氏が福田首相との会談で大連立に前向きな姿勢を示したかの謎解きをした。
 小沢氏は党首会談の直前、「次の衆院選では、200議席は簡単に取れるだろう。しかし、それからが難しいんだ」と周辺に漏らした。
 党幹部は「小沢代表は次の衆院選で勝てる自信がないのかもしれない」と語る。「(立候補予定者は)みんなオレのように(選挙運動を)やっているのか」という小沢氏のつぶやきを直接、聞いたからだ。
 2日の党首会談後の民主党役員会は緊迫した雰囲気だった。小沢氏は「首相から、私たちの主張に大きな理解をいただいた」と語り、「(大連立を)決めるなら両院議員総会に諮らねばならない」と提案した。
 だが賛同する役員はおらず、これまで小沢氏の意向を一貫して尊重してきた菅直人代表代行も「唐突すぎる。衆院選をどう戦うのか」と述べた。
 小沢氏は顔を紅潮させた。「分かった。話はなかったことにしよう」。小沢氏が大連立に前向きな姿勢を示したことについて党幹部は「選挙がよくわかっている小沢氏だけに、参院選と異なる衆院選で過半数をとるのは難しいと考えたのではないか」との見方を示した。
 参院選で大勝してから見られなかった小沢氏への批判が出始めた。一方で「小沢代表に代わる党首はいない。今ガタガタしたら党は終わる。だが7日の党首討論はできるのか。小沢氏はさっさと代表を辞任しやしないか」(若手)と危惧(きぐ)する声もある。
 執行部は焦りを隠さない。鳩山由紀夫幹事長は3日、京都府京田辺市内で「大連立は自民党の唯一の生き残り戦略で、会談は首相が小沢氏の考えを丸飲みしただけ。新テロ法へ(民主党が)協力するというのもウソだ。相手の情報操作による混乱を避けたい」と火消しに躍起だ。
 民主党は、選挙の顔である小沢氏の党首力低下や党内の疑心暗鬼を抱えたままで、新テロ法案の攻防や衆院解散・総選挙に突入せざるを得ないかもしれない。
 一方、首相は3日午前、皇居で行われた文化勲章親授式に出席後、首相公邸に約3時間こもり、町村信孝官房長官らと今後の国会対応などで秘策を練った。
 党首会談がもたらした与野党の混乱は今後も続き、早期解散への流れが加速する可能性もある。自民党の加藤紘一元幹事長は民主党の状況をほくそ笑むようにつぶやいた。
 「企業合併に失敗した会社は、会社が割れるか、社長が辞任するしかないんだよね…」
  ◇
 この連載は石橋文登、今堀守通、大谷次郎、榊原智、佐々木美恵が担当しました。

渡辺恒雄氏「自民、民主大連立」仕掛け人だった
[スポニチ 2007年11月4日付]

◆ 両党首会談で新たな事実判明 ◆

 福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表による会談から一夜明けた3日、会談の模様や背景など、新たな事実が判明。「自民、民主大連立構想」には、森喜朗と中曽根康弘の両元首相、渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役会長が大きくかかわっていた。
 森氏は常々、福田首相の後見人を自任。中曽根、渡辺両氏は、7月の参院選でねじれ国会が生まれた時点から「連立」が持論だ。特に渡辺氏の読売新聞では参院選直後の社説で「大連立」の記事を展開している。
 こうして膨らんだ連立構想。民主党幹部の1人は、「小沢氏は今、連立を組めば民主党の意のままにできると考えたのではないか」と話す。
 だが、小沢氏の思い通りにはいかなかった。民主党の鳩山由紀夫幹事長によると、2日の会談再開後に福田首相が連立協議を提案。会談中断中に党3役で対応を協議した際、「連立を受けるなら“小沢総理”が条件」との会話まで交わされたが、首相から「小沢総理」との言葉は一度も出なかったという。
 小沢氏は首相の「クリンチ(抱きつき防御)作戦」にはめられたとする見方も多い。鳩山氏は首相の連立提案に「断っても引き受けても民主党に傷がつく。王手飛車取りのような戦略だった」と認めざるを得なかった。

「福田・小沢会談」の裏で、大連立実現へ暗躍したあの“妖怪”たち
[日刊サイゾー2007.11.01 木]

  「密室の45分」が永田町を揺るがせている。
 先日30日、福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表がほかのだれも同席させず、2人きりの党首会談に臨んだせいだ。それを受けて、今でも「衆院の早期解散?」「いや、自民・民主の大連立の密約では?」とウワサはウワサを呼んでいるわけだが、ここに来て「密約」を疑わせる新情報が本誌に舞い込んできた。

争点はテロ特措法ではなかった?

 そもそも前記のような噂を煽ったのは、党首の側近たちがオロオロと慌てたせいでもある。「対テロ新法案の成立と引き換えに、衆院解散なんて約束してはダメ。大連立も受けてはなりません」。会談の直前、自民党ナンバー2の伊吹文明氏はいつものおっとりした表情から一転、引きつった声で福田首相に進言している。
 一方、小沢氏の側近を自任する山岡賢次国対委員長は、てっきり自分が日程調整するものだと思っていたのに、頭越しに党首2人で日程を決めてしまったことにショックを受け、「夜襲に遭った」とこぼした。
 これまで明らかになった会談のやりとりといえば……。
 福田 「テロ措置法案になんとか協力してほしい」
 小沢 「協力できることはするが、特措法は認められない。原則は国連の平和活動。その枠内で可能なことをすればいい」
 「こんなやらせ会談を2人きりで交わすわけがない。やはり、大連立を話し合った形跡があるんだ」と両党の幹部たちは爆弾証言する。さらに、「あのフィクサーたちが蘇り、きな臭い裏工作があったんだよ」と、新情報を提供してくれた。

裏にうごめく3つの不気味な影

 証言を総合すると、それは先週のことらしい。東京・千代田区の料亭「福田家」で、自民党の与謝野馨前幹事長を3人の大物が取り囲んでいた。その3人とは、“大勲位”こと中曽根康弘元首相、“ナベツネ”こと読売新聞グループの渡辺恒雄会長、そしてナベツネの盟友である日本テレビの氏家斉一郎議長だったという。
 「その席で中曽根さんたちは『現状を打開するには、大連立しかない』と与謝野さんを焚き付けたというんだ。なかでもナベツネさんはかつて、犬猿の仲だった自由党党首の小沢さんと自民党の野中広務さんを引き合わせ、保保連合を組ませた連立フィクサー。3人の勢いに与謝野さんも重い腰を上げたんだよ」(幹部)
 そこで与謝野氏は10月28日の日曜日、20年来の碁敵とされる小沢氏をわさわざ誘い出し、都内のホテルで囲碁対決をマスコミに公開。いわばアリバイづくりをした与謝野氏は、その際、公開されていない2人きりの時間を使い、“大連立”を説いたというのだ。
 「しかも、この大連立工作の渦中、密かに福田さんと小沢さんを密会させたという情報もあり、確認に走っている」(政治部デスク)
 密室政治の復活、そしてフィクサーの暗躍。まるで、ひと昔前の自民党料亭政治をほうふつとさせるできごとではないか。マスコミの政治部記者も追い切れないこうした政界情報を、本誌は今後もウオッチしていきたい。(編集部)

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