「大連立」は壊れても、自衛隊海外派兵恒久法が現実的な話に…

「大連立」はつぶれたけれど、にわかに浮上してきたのが、自衛隊海外派兵の恒久法。

自衛隊派遣:恒久法、現実的課題に 大連立騒動で認識広がる(毎日新聞)

しかし、そもそもなぜ自衛隊海外派兵の恒久法が、自民・民主の「共通認識」になるのか。そこんところを、押さえておくことが大事。

そこで注目しておきたいのが、すでに、自民党、民主党がそれぞれ準備している恒久法案。自民党のは、昨年8月に、防衛政策検討小委員会で確認された「国際平和協力法案」。民主党のは、2003年9月、第156通常国会に民主党が提出した「安全保障基本法案」。

自民党案は、ぐちゃぐちゃしてややこしいけれど、ポイントは以下のとおり。

  • 要請主体として想定されているのは、国連だけではない。たとえば、NATOだって「国際平和協力活動のいずれかに関する活動に係る実績又は専門的能力を有するもの」(第2条3項一のロ)に該当する。
  • さらに、国連その他の決議がない場合でも、「国際の平和及び安全を維持するため我が国として国際的協調の下に活動を行うことが特に必要であると認める事態」(同二のロ)ならば、自衛隊の海外派遣が可能だとされていて、事実上、フリーハンド。
  • 活動内容として、「人道復興支援活動」「停戦監視活動」とともに「安全確保活動」「警護活動」などが含まれ、破壊活動などの防止のためであれば、武器の使用が認められていること。
  • また、「船舶検査活動」として、いわゆる「臨検」が可能とされている。そのとき、「国際連合安全保障理事会の決議に基づいて、又は旗国の同意を得て」おこなうと書かれているとおり、国連安保理の決議あれば、「旗国」の同意がなくても臨検できるとなっている。
  • 「後方支援活動」ができることになっているが、これは文字どおり、イラク、アフガニスタンで自衛隊がやったこと、あるいはやっていること。「後方支援」だから非軍事だという理屈が通用しないのは言うまでもない。

自衛隊派遣:恒久法、現実的課題に 大連立騒動で認識広がる
[毎日新聞 2007年11月6日 東京朝刊]

 福田康夫首相と小沢一郎・民主党代表の「大連立構想」がとりあえず失敗に終わったため、当初は自衛隊を海外に派遣する要件を定める恒久法の制定は遠のいたと受け止められた。だが、自民、民主両党には元々、恒久法制定の必要性を訴える議員が多い。むしろ「大連立騒動」で恒久法制定が現実的な課題との認識が急速に広がったことで、連立の成否にかかわらず、安全保障政策の重要課題として、与野党の枠を超え議論が活発化する可能性が出てきた。【古本陽荘】
 「どういう状況で活動ができるのか、よく国会でも議論しなきゃいけない。時間もかかりますよ」
 福田首相は5日、記者団に、恒久法の具体的な姿については十分に時間をかけて議論すべきだとの認識を示した。
 党首会談では、小沢氏から恒久法制定を提案したとされるが、もともと制定に前向きなのは福田首相の方だ。02年に福田官房長官(当時)の私的諮問機関「国際平和協力懇談会」が恒久法制定を提言。福田氏は翌年、内閣官房に法案化の作業チームを設置した。
 小沢氏は、福田首相が恒久法制定論者であることを見越し、大連立協議に入る「踏み台」として恒久法の協議を持ちかけたと見られる。
 小沢氏は記者会見で、福田首相が「自衛隊派遣は国連決議を原則とする」という小沢氏の主張に歩み寄ったと強調した。ただ、小沢氏が明らかにした党首会談での合意は「国連決議によって設立、あるいは認められた国連の活動に参加する」としており、定義はあいまいだ。特に問題となるのは、後段の「決議で認められた活動」の部分。小沢氏はインド洋での海上自衛隊の給油活動は「直接の根拠となる決議がない」と主張してきたが、政府・与党は、「国連で認めた活動」と主張しているからだ。
 実は同じような論争が17年前にもあった。自民党幹事長だった小沢氏が中心となってまとめ、90年に国会提出したが廃案となった「国連平和協力法案」だ。同法案では「国連決議に基づき、または国連決議の実効性を確保するため国連、国際機関、国連加盟国が行う活動」に自衛隊を派遣するとした。
 今回の党首会談の合意案とよく似た表現となっているが、政府関係者は、「後段の『国連決議の実効性を確保する活動』はかなり柔軟に解釈できるもの。インド洋の補給活動などは含まれていたはず」と語る。仮に恒久法で容認できるような国連決議がない場合でも、「特別措置法を制定すればこれまで通り派遣は可能」(内閣官房幹部)と受け止めている。
 小沢氏は4日の記者会見で、恒久法での国連決議原則を福田首相が認めたことを「憲法解釈の大転換」と強調したが、福田首相は5日、記者団に対し、「私には説明できない」と語った。

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