日米安全保障戦略会議 秋山直紀氏とは?

昨日の東京新聞「こちら特報部」で、日米安全保障戦略会議や日米平和・文化交流協会の秋山直紀氏について取り上げています。秋山氏は、守屋元防衛事務次官の証人喚問でも名前が出てきた人物。日米の軍需産業と防衛族・国防族を結ぶ謎のフィクサー?

その秋山氏が唯一の専務理事を務める「日米平和・文化交流協会」の役員名簿を調べてみました。

安保サロン仕切る 秋山直紀氏の素顔は
[東京新聞 2007年11月17日]

「大臣と飲むから来ないか」守屋氏誘う

 久間章生元防衛相と額賀福志郎財務相。15日の証人喚問で、守屋武昌前防衛事務次官の口から、飛び出した2人の名前に意外性はない。しかし、「大臣と飲むから来ないか」と誘われた、と守屋氏が名指しした日米平和・文化交流協会専務理事の秋山直紀氏の名前が出たことに、敏感な政界関係者は少なくないはずだ。秋山氏とはどんな人物なのか。知られざる素顔を探ってみると――。

 「防衛族議員を仕切り、軍需産業からは一目置かれる防衛ロビイストだ」
 秋山氏の周辺を取材してきた「社会新報」の田中みのる氏は、秋山氏をこう評した。
 秋山氏は外務省所管の社団法人「日米平和・文化交流協会」の専務理事。同協会は、瓦力元防衛長官を会長に、理事に久間元防衛相や前原誠司・民主党前代表ら与野党の防衛族議員のほか、米国のコーエン元国防長官ら米国の国防関係者、軍需産業企業の役員がずらりと名を連ねる。
 秋山氏は、いわば日米安保関係のサロン的存在である同協会の常勤理事として、実質的にこの協会を仕切るほか、防衛族議員でつくる「安全保障議員協議会」の事務局長も務める。両団体は、国会近くの同じマンションに事務所を構え、昨年6月までは同じ部屋にあった。
 同協会はもともと、「日米文化振興会」と名乗っていたが、2001年に秋山氏が買い取る形で引き継ぎ、昨年に現在の名称に変更した。
 田中氏は言う。「秋山氏が振興会を引き継いで以降、看板は日米の文化交流を目的としながらも、実態は日米安保問題に特化していった。社団法人は税制の優遇措置を受けられ、軍需産業からの寄付金は非課税で入る。秋山氏が急進後悔を引き取ったのも、防衛でひともうけしようと思ったのではないか」

日米軍需メーカーずらり

 両団体は03年から、日米両国の国防関係者が一堂に会し、ミサイル防衛(MD)などの技術交流を深める「日米安全保障戦略会議」を開催。三菱重工業など数多くの軍需メーカーが協賛企業に名を連ねた。守屋氏との癒着ぶりが明らかになっている防衛専門商社「山田洋行」もその1つだ。
 第10回会議は今月7日から3日間、「新しいアジアと日米同盟」をテーマに東京都港区で開催された。ただ、今年は折からの「守屋疑惑」の浮上で、ドタキャンする政治家が相次いだ。
 昨年の東京での会議(第8回)では、地対空誘導弾PAC3をライセンス生産する三菱重工の西岡喬会長らが「武器輸出三原則の緩和」や今年5月に日米で合意した「軍事機密情報保護協定」の締結を訴えた。戦略会議は軍・産・政の決起大会という色彩が強い。
 田中氏は「秋山氏は会議を重ねるごとに力をつけていった。メーカー側も日米両国の防衛族にカオがきく秋山を『秋山さん、秋山さん』と頼っていた。ロビー活動では当然、怪しいカネも動いただろう」。
 反軍拡運動を続ける杉原浩司氏は秋山氏の人物像について、「居丈高な人物だった」と振り返る。杉原氏は昨年7月、戦略会議を傍聴しようと申請したが断られ、理由を秋山氏にただした。秋山氏は「会議ではデリケートな話も出る。だから、事前に(参加者の)思想調査もする」と言い放ったという。
 ただ、その風評は政界関係者の間でもあいまいだ。現役議員の1人は「米軍需産業のロビイストの出先」と話すが、ある政党職員は「日本の防衛産業の政界工作“請負人”」という。いずれも彼の人脈からの評価だ。

防衛人脈 陰の主役

国の助成金と日米安保戦略会議の関係

 ところで、日米平和・文化交流協会をめぐっては、過去のカネの不透明な経理が次々と指摘されている。
 共産党の大門実紀史参院議員が、6日の参院財政金融委員会で、交流協会理事と同協議会の事務総長を勤めた額賀財務相を追及した。
 大門氏はまず、外務省所管の独立行政法人「国際交流基金」から1998年から2001年までの4年間に受けた助成金計2000万円が、「安全保障議員協議会」など2つの任意団体に流れたのではないかと問いただした。
 大門氏は、交流協会と同協議会が同じ一室に事務所があった点などを指摘した上で、額賀氏に対しては「交流協会のお金の使い方に大変疑問がある。国の助成金が交流協会をトンネルにして別の任意団体に流れている」と質問。額賀氏は「協議会を中心に議員同士で議論をしてきた。全体のことは分からない」と述べるにとどまった。

議員に「基金」から訪米“接待費”?

 大門氏は続いて、同基金からの助成金4300万円が、「日米安全保障戦略会議」出席のため訪米する国会議員の“接待費”に充てられたのではないか――と指摘した。
 交流協会は98年から今年までの10年間、同基金から会議出席者の渡航費と通訳領の一部に充てる名目で計4300万円の助成金を受けた。今年5月に米国で行われた会議には400万円の助成を受けた。
 大門議員によると、5月の出席議員は額賀氏を含め7人。1人あたりの経費は百数十万円に上るのに、議員負担はわずか20万円。「(同協議会という)任意団体が主催する会議に、国の助成を受けて国会議員が飛行機代、参加費を出してもらうのはおかしい」として、税金による“接待”だと追及した。
 これに対し、額賀氏は「参加費は払った。協会の経理内容は承知しない」と答弁、“接待”との認識はないとの考えを示した。

秋山氏「僕は単なる事務局」

 一方、15日の証人喚問で、守屋氏が久間元防衛相や「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者と同席したと名指ししたことについて、秋山氏は「4人で会食した事実はない。守屋氏と国会議員との会食はあるが、民間人は入っていない。そんなことは安全保障議員協議会は認めていないし、あり得ない」と重ねて否定した。
 共産党の大門議員の指摘についても「法律の範囲で適切にやっている」。
 「日米国防関係者のフィクサーと言われることについてどう思うか」という「こちら特報部」の取材に対して「僕は単なる事務局。先生方の行動の支障がない程度でやっている。みんな誤解して、勝手に解釈しているだけ」と話した。
 だが、政治家2人の実名が飛び出した15日の守屋氏の証人喚問について、軍事ジャーナリストの前田哲男氏はもう1点、重要なポイントを指摘する。
 「これまで闇に閉ざされてきた日米をつなぐ防衛人脈が照らし出されてきた」
 海をまたいだ「死の商人(防衛産業)」と政、官のトライアングル。そこに横たわる巨大な利権。
 「2014年までに完了する米軍再編で、日本側は(グアム移転で)約60億ドルを負担する。すでに業者への事業説明が始まった。加えて、MDの導入経費は約6兆円ともいわれる」(前田氏)
 これらにかかわる軍需産業、自民、公明、民主各党の防衛族らが公に一堂に会すのが先の「日米安全保障戦略会議」だった。

【デスクメモ】
 防衛利権に食い込んでいたのが、元専務が逮捕された「山田洋行」だけでないことは、日米で毎年開かれる「日米安全保障戦略会議」をみれば、歴然だ。主催は超党派の防衛族議員でつくる「安全保障議員協議会」と、日米の軍需産業が群がる「日米平和・文化交流協会」。その実務を仕切っていたのが秋山氏だ。(吉)

で、↓こっちが、日米平和・文化交流協会のホームページ。
社団法人 日米平和・文化交流協会

同協会の役員名簿には、理事の肩書きなどほとんど書かれていない。しかし、調べてみると、政治家では防衛庁長官経験者など、いわゆる防衛族が、企業関係では川崎重工、三菱重工、石川島播磨、NEC、日立、伊藤忠、三菱商事、丸紅など、防衛関連産業がぞろぞろ登場する。また、同役員名簿からはすでに外れているが、今年4月9日までは、福田康夫・現首相も理事だった。

役職 氏名 備考・肩書き(分かった範囲で)
理事 綿貫民輔 元自民党、現在、国民新党代表
理事
(会長)
瓦 力 1987/11-1988/8(竹下内閣)、1999/10-200/7(小渕内閣、森内閣)防衛庁長官
理事 久間章生 1996/11-1998/7(第2次橋本内閣)、2006/9-2007/1(安倍内閣)で防衛庁長官、2007/1/9 防衛省発足にともない初代防衛大臣に。「しょうがなかった」発言で辞任。安全保障議員協議会副会長
理事 額賀福志郎 8月27日辞任。 1998/7-1998/11、2005/10-2006/9、防衛庁長官
理事 西岡 喬 三菱重工会長
理事 谷口一郎 三菱電機(現在は相談役?)
理事 玉澤徳一郎 1994/6-1995/8、防衛庁長官。衆議院議員。政治資金報告書で、同一領収証による偽造が発覚し、自民党を離党し、現在は無所属。安全保障議員協議会理事
理事 中谷 元 防衛大学校(24期)、陸上自衛官(二等陸尉)から加藤紘一、宮沢喜一などの秘書を経て衆議院議員。2001/4?2002/9、防衛庁長官。安全保障議員協議会理事
理事 石破 茂 ※9月25日辞任。2002/9-2004/9、防衛庁長官。2007/9、福田内閣で防衛大臣に。安全保障議員協議会理事
理事 井上喜一 自民党衆議院議員。新生党、新進党、自由党、保守党、保守新党をへて、2003年、保守新党解党で自由民主党に復党
理事 赤松正雄 公明党衆議院議員、同党政調副会長、同憲法調査会座長、同外交安全保障調査会顧問、同兵庫県本部代表。安全保障議員協議会理事
理事 前原誠司 民主党衆議院議員、2005/9-2006/4、民主党代表、現在、同副代表。安全保障議員協議会理事
理事 宝珠山昇 元防衛施設庁長官
理事 佐藤達夫
理事 斉藤斗志二 自民党衆議院議員、2000/12-2001/1、防衛庁長官
理事 武部 勤 自民党衆議院議員、元同党幹事長(小泉内閣)
理事 佐藤 謙 元防衛事務次官
理事 杉田和博 元内閣官房内閣危機管理監
理事 木下博生 元中小企業庁長官
理事 堀川英嗣 川崎重工業、航空宇宙カンパニー・バイスプレジデント
理事 西山淳一 三菱重工航空宇宙事業本部副本部長(2007年3月退職)
理事 山下 守 日本電気執行役員、航空宇宙防衛事業本部長
理事 酒井邦造 日立製作所ディフェンスシステム事業部長&CEO
理事 渡辺康之 石川島播磨重工業航空宇宙事業本部長
理事 小泉 正
理事 笠川信之 伊藤忠商事株式会社宇宙・情報・マルチメディアカンパニー航空宇宙・電子部門長
理事 藤浦吉廣 住友商事船舶・航空宇宙・車輌事業本部長
理事 山下洋司 丸紅エアロスペース代表取締役
理事 曽良道治 双日ホールディングス執行役員、機械・宇宙航空部門長補佐(宇宙航空担当)
理事 田中 順 神戸製鋼常務執行役員機械エンジニアリングカンパニーエンジニアリング事業部長?
理事 畠山圭一 学習院女子大学教授(国際政治、アメリカ政治外交、日米関係)
理事 秋山直紀 唯一の常勤理事
理事 葛西敬之 JR東海会長
理事 井上美悠紀 元学生援護会会長?
理事 米津佳彦 山田洋行社長
理事 ウィリアム・S・コーエン 1997-2001年、米国防長官
理事 ウィリアム・J・シュナイダー 元米国防長官顧問、国防科学評議会(国防長官直属)議長
理事 エドゥイン・J・フェルナー 保守系シンクタンクのヘリテージ財団総裁
理事 マイケル・アマコスト 元駐日アメリカ大使(1982?1993年)
監事 原田和郎

それから、こちら↓が安全保障議員協議会のホームページ。
安全保障議員協議会

日米安全保障戦略会議で、どんな議論がされているかは、こちらで知ることができる。これは、宝珠山昇氏がつくっているホームページに載っているもの。

ちなみに、民主党の前原誠司副代表は、日米安全保障戦略会議では毎回参加し、基調報告をしたり発言したりしている。

前原誠司ブログ ? 01 May 2007
前原誠司ブログ ? 30 April 2007
前原誠司ブログ ? 11 August 2006

↓こっちが、共産党の大門実紀史参議院議員の質問を報道する「しんぶん赤旗」の記事。
税金と軍需産業資金で宿泊か/米国で開催の“軍拡推進会議”/額賀元防衛庁長官らに接待疑惑/参院委 大門議員が追及

↓こちらは日本航空宇宙工業会のホームページ。会員企業が全部防衛産業ではありませんが、防衛関連企業も加入しています。
社団法人 日本航空宇宙工業会

【追記】
大門実紀史議員のホームページに、質問の大要が掲載されています。
額賀大臣・防衛族議員の社団法人を使った政官財癒着を追及:国会質問:大門実紀史

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