まず消費税増税か、あとで消費税増税かの争い

自民党・財政改革研究会(これは、自民党内の勉強会であって、自民党の正式な機関でもなんでもない)が2010年代半ばまでに消費税を10%程度に引き上げる必要があるとの報告をまとめたことについて、自民党内で議論が起こっている。TBSのニュースではこれを「財政再建重視派」と「上げ潮派」と名づけている。

だが、大事なことは、「財政改革研究会」の報告に反対している「上げ潮派」が、消費税増税に反対しているのではないということだ。山本一太衆議院議員や西村康稔衆院議員が正直に語っているように、彼らは、いま消費税増税の数字を掲げることに反対しているにすぎない。

消費税引き上げ巡る自民党内の暗闘(TBS News-i)

要するに、同じ消費税増税派のなかで、消費税の上げ方をめぐって、対立しているだけだ。一方は、「責任政党」らしく、このままでは社会保障は不可能だと国民を脅かして、消費税増税に持ち込むべきだと主張する「まず増税を」派であり、他方は、社会保障、国民生活予算の切り捨てを続け、国民に痛みを押しつけて、我慢の限界に至ったところで初めて消費税増税を持ち出すべきだという「あとで増税」派なのである。

しかしそれにしても、毎度くりかえされるこの議論。根本には、消費税増税にたいする国民の反発が非常に大きい、ということがある。だから、「まず増税を」派にしても、それが国民に痛みを押しつけることになることを認めつつ、それでも増税を提起するのが「責任政党だ」と開き直らざるを得ないし、国民の反発を恐れる「あとで増税」派の議員たちは、本音は増税賛成でも、さしあたりは反対派としてふるまわざるをえないのだ。

国民の反対が大きければ大きいほど、「まず増税を」派と「あとで増税」派の対立は深刻になり、迷走することになって、マスメディアは、その混乱ぶりを大事件のように報道する。そうしたマスメディアの騒ぎには振り回されることなく、しかし、国民の反発の強さに確信を持って、さらに消費税増税反対の世論を広げることが重要だ。

消費税引き上げ巡る自民党内の暗闘
[TBS News-i 2007年11月21日18:17]

 財政再建に向けた自民党の勉強会「財政改革研究会」は、福祉財源の確保のため、2015年頃までに消費税を10%程度まで引き上げる必要があるとの報告をまとめました。
 ただ、消費税を巡っては2つの勢力の間で暗闘が繰り広げられています。

 自民党内では、消費税を巡って2つの主張がぶつかり合っています。1つは、与謝野前官房長官ら、消費税アップを正直に国民に訴えるべきだという「財政再建重視派」です。
 21日の財政改革研究会で、将来の福祉財源の確保、財政再建のために消費税を「社会保障税」として、2015年頃までに10%程度まで引き上げる必要があるとの意見をまとめました。
 「税を負担するというのは誰でも嫌ですよ。しかし(国民に)正直に申し上げる方が、本来の自民党らしい評価を受けるんであって」(自民党財政改革研究会・園田博之座長)

 そしてもう1つが、中川元幹事長を中心とする「上げ潮派」と呼ばれる消費税の引き上げの前に歳出削減や経済成長による税収増で財政健全化を図るべきとの勢力です。「上げ潮派」は21日、財政改革研究会の機先を制するように、消費税の引き上げ方針を打ち出す事に反対する提言を行いました。
 「安易に財政再建を目的とする消費税率の具体的な数字を示す事には反対する。数字が出された瞬間から歳出改革の努力にブレーキがかかるからだ」(山本一太衆院議員)
 「上げ潮派」は、無駄遣いをやめて3%以上の名目成長率が達成できれば、すぐに消費税を引き上げなくてもいいと主張します。
 「私たちは成長はもっと出来るはずだという認識に立っていまして、政策をきちっとやれば税収はそれなりに増えていくはずだという認識でね。消費税は本当に最後の最後だと思うんですね」(西村康稔衆院議員)

 「皆さん、一般消費税が大変問題になっているようであります」(大平正芳首相〔1979年当時〕)
 ところで、大平内閣の一般消費税構想以来、消費税による増税を訴える事は選挙へのマイナスと考えられてきました。
 「上げ潮派」の中川氏は、消費税アップでは選挙に勝てないと、与謝野氏らを牽制してきました。
 「どう考えたって選挙に負ける前提の政策作りはあり得ません。それは福田内閣退陣前提、自民党下野前提の議論だ」(中川秀直元幹事長)
 「私は正しいことを言って、落選するなら本望です。私は」(後藤田正純衆院議員)
 議員が最も気にする「選挙」を持ち出しての「上げ潮派」の牽制に、「財政再建重視派」は強く反発しています。この日曜日、後藤田議員は地元での集会で「消費税を引き上げないと福祉の予算が組めなくなる」と訴えました。

 ただ、支持者の意見は分かれました。
 「無駄遣いを明らかにしていく方が先やと思うけどね。国民を泣かすより先に」
 「福祉目的に使うんだったら消費税を少々上げるのも、3%や5%上げるのもしょうがないと思うよ」(支持者)
 「次の選挙を考えるのは『政治屋さん』ですよ。次の世代を考えるのが『政治家』ですよ。与謝野さんや我々は政治家だと思っています。政治屋さんと一緒にされたくないですね」(後藤田正純衆院議員)

 一方、就任当初は消費税の引き上げによる福祉財源の確保に前向きだった福田総理は、ここに来て発言のトーンを変えています。
 「今、消費税をすぐ上げるとかなんとかいう話にならないんです。これはね。やっぱり段階を追っていくということが大事だと思います」(福田首相〔11月15日〕)
 「本当にこのままで、漫然と政権政党として続けていくことが出来るのかなという心配は、実はしている訳です」(与謝野馨前官房長官)
 福田総理が「上げ潮派」に軸足を移したと見られる中、それでもなお、与謝野氏ら「財政再建重視派」は「消費税率の引き上げは避けられない」と言い続けています。
 「政治家が正直にものを言わないことにむしろ(国民が)不信感を持ち始めているという事を、自民党はむしろ認識しなきゃいけない」(与謝野馨前官房長官)
 消費税引き上げを巡る自民党内の政策論争は、政争めいた対立にまで発展しています。

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