ヘーゲル弁証法の勉強(続き)

エンチクロペディーへの序論(続き)

◆精神は自分自身へ帰る

 精神は、感じ直観するものとしては感性的なものを、想像としては心象を、意志としては目的をその対象としているが、精神はこれら精神の定有および対象の諸形態と対立しながら、あるいは単に区別されながら、自己の最高の内面性たる思惟をも満足させ、そしてその思惟を対象としようとする要求を持っている。かくして精神は、言葉の最も深い意味において、自分自身へ帰るのである。(第11節、78ページ)

◆思惟の本性そのものが弁証法的である

 思惟の本性そのものが弁証法であり、悟性としての思惟は自己否定、矛盾におちいらざるをえないという洞察が論理学の主な側面の1つをなしている。(同前、79ページ)

◆思惟は出発点として経験をもつ。思惟は、経験に刺戟されて、経験の普遍的本質をなす理念に向かう。この発展は、一方では、経験諸科学の豊かな内容を哲学が受け入れるということであり、他方で、思惟そのものが事柄そのものの必然にしたがって現われ出た本源的な思惟、自由な思惟としてあらわれる、ということである。

 哲学は右に述べたような要求から生じるものであるが、その出発点としては経験、すなわち直接的および帰納的意識を持っている。思惟は、経験に刺戟されて、自然的意識、すなわち感性的および帰納的意識を超えて自己を自己自らの純粋な境地へ高め、かくしてまずその出発点から遠ざかりそれを否定するような関係をとるようになる。思惟はこのようにしてまず自己のうちに、すなわち経験的諸現象の普遍的本質をなす理念――この理念……は多かれ少なかれ抽象的である――のうちに満足を見いだす。
 ところが逆に経験諸科学は、それらの豊かな内容を単に直接的なものおよび見いだされたもの、単に並べられている多様にすぎないもの、したがって偶然的なものとして示しているに過ぎない形式を克服し、この内容を必然にまで高めようとする刺戟を必然的にともなっている。
 この刺戟は、思惟を右に述べたような普遍性および即自的に与えられているにすぎない満足から引き出して、自己からの発展へ駆り立てる。この発展は、一方では、単に経験的諸科学の豊かな内容をあるがままに受け入れることを意味するにすぎないが、他方では、それと同時に、この内容に、本源的な思惟という意味で自由に、事柄そのものの必然にしたがってあらわれ出るという形態を与える。(第12節、79?80ページ)

◆哲学の発展は経験に負うところがある。経験諸科学自身が、個々の現象の知覚にとどまらず、普遍的規定、類、法則を発見して、哲学のための材料を提供する。そうすることによって経験諸科学は、思惟が自ら具体的な諸規定へ進むことを強いる。他方で、この発展は、思惟の自己発展である。

 思惟の最初の抽象的な普遍性を考えるとき、哲学の発展が経験に負うところがあるということは、正しくかつ根本的な意味を持っている。なぜなら、第1に、経験的諸科学は個々の現象の知覚にとどまっているものではなく、思惟によって普遍的規定、類および法則を発見して哲学のために材料を作り、特殊なものの内容を哲学に受け入れられるように準備するからである。第2に、経験的諸科学は、このことによって、思惟が自分自身で具体的な諸規定へ進むことを強要するからである。
 思惟が、この内容になお付着している直接性および所与性を除去しながらこの内容を受け入れることは、同時に思惟の自己発展を意味する。このように哲学はその発展を経験的諸科学に負いながらも、目前にあるものおよび経験された事実をそのままに是認するのではなく、諸科学の内容に思惟の自由(先天的なもの)という最も本質的な姿と必然性の保証とを与え、事実をして思惟の本源的な、かつ完全に独立的な活動の表現および模倣たらしめるのである。(第12節・注釈)

◆自由な思想はそれ自身のうちで具体的である。そのような自由は思想は理念である。そのような理念を示す学は体系的でなければならない。なぜなら真なるものは、自己のうちで自己を展開しながら、他者へ向かうのではなく、自己の統一へと向かい、自己を統一のうちに保持するもの、総体的なものだからである。

 自由な本当の思想はそれ自身のうちで具体的である。かくしてそれは理念であり、その完全な普遍性においては、理念そのものあるいは絶対者である。絶対者の学は必然的に体系でなければならない。というのは、真なるものは具体的なものであって、それは自己のうちで自己を展開しながらも、自己を統一へと集中し自己を統一のうちに保持するもの、一言で言えば統体(Totalität)としてのみ存在するからであ〔る〕……。(第14節、84ページ)

エンチクロペディーへの序論は、まだもう少しあるが、それらは省略。ということで、エンチクロペディーの序論はこれで終わり。

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