米国家情報機関が「イランは2003年に核兵器開発計画を停止」と報告

アメリカの情報機関が、3日、イランの核兵器開発計画にかんする米国家情報評価(NIE)を発表。イランの核兵器開発計画は2003年に停止され、現在も停止していると分析している。

米当局「イランは03年に核開発中断」(TBS News-i)
米情報機関、「イランは2003年に核兵器開発を停止していた」(AFPBB News)
「イランが核開発中止」との米評価、大統領には8月に根拠情報を報告か(AFPBB News)
米情報評価、IAEAの見解と一致=イラン核兵器開発の証拠なし?事務局長(時事通信)
イランへ「脅し使えなくなった」 英戦略研部長(MSN産経ニュース)

米当局「イランは03年に核開発中断」
[TBS News-i 2007年12月04日09:12]

 核開発を続けているとしてイランに圧力を強めているアメリカ政府の情報当局が、「イランが核兵器開発を2003年の秋に中断した」とする報告を発表し、波紋が広がっています。
 報告はCIAなど10以上もの情報機関を統括する国家情報長官が発表したものです。
 その内容は、イランは2003年の秋に核兵器開発を中断し、2007年中盤の時点で開発計画を再開していない、開発中断は国際社会の圧力を受けたものであろうという判断を示しています。この判断は、「イランが核兵器開発を決意している」とした2005年の報告を大きく転換したものです。
 「この国家情報評価の後でさえ、イランの核兵器開発に懸念を持ち続ける十分な理由があるのです」(ハドリー大統領補佐官)
 ハドリー大統領補佐官は、報告はこれまでの戦略が正しかったことを示しており、さらに圧力を強める必要がある、と正当化するのに懸命です。
 確かに報告は、イランがウラン濃縮活動自体は続けており、2010年から15年の間に核兵器開発に必要な能力を持つであろう、ともしていますが、現在の兵器開発の意図について見立てが大きく違っていたことは明らかです。
 ブッシュ大統領は、先日、「イランの核開発は第3次世界大戦につながる」という趣旨の発言まで行いましたが、そうした主張の根拠に疑いをいだかせるこの報告は、国内外に波紋を広げそうです。

米情報機関、「イランは2003年に核兵器開発を停止していた」
[2007年12月04日 07:12 発信地:ワシントンD.C./米国]

【12月4日 AFP】米情報機関は3日、イランが2003年に核兵器開発を中止したとする国家情報評価(National Intelligence Estimate、NIE)を発表し、イランの核開発に対する米国の非難は、少なくともこの2年間は過剰だったとする見解を示した。
 だがNIEは、イランが尚も核兵器開発の選択の余地を残しており、2010年から2015年の間に核兵器を製造することができるとも警告している。
 米国の全16情報機関の総意を盛り込んだ今回の評価では、核兵器開発計画は依然として休止中であり、イランの狙いは不明確だとしている。だがイラン政府が国際社会の圧力に対し予想以上に敏感だったとも述べている。

「イランが核開発中止」との米評価、大統領には8月に根拠情報を報告か
[AFPBB News 2007年12月05日 10:29 発信地:ワシントンD.C./米国]

【12月5日 AFP】イランが2003年に核兵器開発を中止したとする米国家情報評価(National Intelligence Estimate、NIE)の発表を受け、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は4日、ホワイトハウスで(White House)で記者会見し、米評価の変更は今年8月の「重要情報の発見」によるものだと説明した。
 ブッシュ大統領は詳細には言及しなかったが、この「重要情報」に基づいて、イランの核兵器保有の決定を「高い確度」で確認したとされる2005年調査報告書の基礎資料の徹底的な見直しが行われたもよう。
 大統領はこの情報について、マイク・マコネル(Mike McConnell)米国家情報長官から8月に直接報告を受けたことを明らかにしたが、その際、情報の中身については報告を受けていないと語った。
「どんな情報だったかは報告を受けていない。分析に多少時間がかかるとの報告を受けただけだ」(ブッシュ大統領)
 ブッシュ大統領とディック・チェイニー(Dick Cheney)副大統領は、イランが2003年に核兵器開発を中止したとする新たな証拠を米情報機関がつかんでいたことについて、前月28日まで公式には知らされていなかったとしている。

米情報評価、IAEAの見解と一致=イラン核兵器開発の証拠なし?事務局長
[時事通信 2007/12/05-00:36]

 【ベルリン4日時事】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は4日、イランが2003年に核兵器開発計画を停止していたとする米国家情報評価(NIE)について「イランに継続中の核兵器計画や未申告の核施設があることを示す具体的な証拠はないという、IAEAが過去数年にわたり一貫して示してきた見解と一致する」との声明を発表した。
 同事務局長はその上で、NIEが「現在の危機の沈静化に寄与すると信じる」と指摘。同時に、「過去と現在の核計画に関する具体的な状況を解明するために、イランに対し、IAEAに積極的に協力することを促すものだ」と強調した。

イランへ「脅し使えなくなった」 英戦略研部長
[MSN産経ニュース 2007.12.5 19:19]

 米国務次官補代理として大量破壊兵器拡散防止(PSI)構想に携わった英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のマーク・フィッツパトリック部長は4日、産経新聞に、米国家情報評価(NIE)がイラン核兵器計画は4年前に中断されたとしたことで、「軍事攻撃の脅しは使えなくなった。ブッシュ政権はウラン濃縮活動を停止させるため圧力強化を望むだろうが、追加制裁も難しくなった」と述べた。発言要旨は次の通り。(ロンドン 木村正人)

               ◇

 通常NIEは機密扱いだが、今回、イランの核兵器計画の評価が大きく変わり政策決定への影響が避けられないため、広く知らせることが大切だとの情報機関の明確な意思決定に基づき公表された。リークではない。政治的意図もないと思う。
 イラン軍事関係者が核兵器開発停止についての不満を誰かに漏らすのを米情報機関が傍受したもので、他の情報で補強されている。イランのニセ情報に踊らされている恐れはない。国際原子力機関(IAEA)はスパイも傍受も電子情報収集も行えず、確度ではNIEの方がはるかに高い。
 イランが2003年に核兵器計画を中断したのは2つの圧力が原因。第1に、IAEAが対イラン非難決議案を採択、国連安全保障理事会も制裁を決議するよう欧州連合(EU)が圧力を強めていた。第2に、米国がフセイン政権打倒のためイラク戦争を始め、イランは次は自分の番かもしれないと恐れた点がある。
 新情報でも出てこない限り、軍事攻撃の可能性はない。攻撃の脅しを外交のてこに使えなくなったブッシュ政権はイランを説得する別の選択肢を考えるべきだ。イランのウラン濃縮活動は継続しており、早ければ09年までに核兵器製造に必要な高濃縮ウランを調達できる状況に変わりはない。
 NIEは圧力が効いたことを明らかに示しており、米政府は濃縮停止のため圧力強化を望むだろう。ロシアや中国はNIEを協調的な手法が有効だとの根拠とみなし、3度目の安保理制裁決議は困難になった。米国が独自制裁を続ける一方、限定的にせよイランがIAEAへの協力を拡大するのが次善の策だと多くの国が結論付けるだろう。

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  1. いつも読ませていただいています。
    ときに。表題が「イラ『ク』」になっていますが、「イラ『ン』」ですよね?

    何か揚げ足取りみたいで、すみません。

  2. かわうそさん、お早うございます。

    ご指摘、ありがとうございます。
    さっそく訂正させていただきました。m(_’_)m

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