NHK会長選出過程の透明化を

NHK経営委員会の2委員が、委員長の古森重隆氏(富士フイルムホールディングス社長)の強引な委員会運営を批判。

NHK経営委員長を批判 2委員が会長人事めぐり(中日新聞)

NHK経営委員長を批判 2委員が会長人事めぐり
[中日新聞 2007年12月19日 夕刊]

 NHKの最高意志決定機関である経営委員会(委員長=古森重隆・富士フイルムホールディングス社長)の一部委員が19日、緊急会見を行い、来年1月24日に任期満了を迎える橋本元一NHK会長の後任人事をめぐる古森委員長の議事運営について「独善的に過ぎ支持できない」と述べ、強い不満を示した。
 会見したのは菅原明子委員(菅原研究所所長)と保ゆかり委員(オフィスピュア代表)。経営委員が委員会運営に関して公の場で委員長を批判するのは異例。菅原委員らは会見で、古森委員長に対し、会長選出過程の公開や民主的な議事運営などを文書で要望したことを明らかにした。民主的な方法で経営委員会運営がなされない場合は辞任を覚悟しているという。
 NHK会長は放送法に基づき、経営委員会が任命するが、委員12人中9人の同意が必要。経営委はすでに、後任については橋本会長を含めた現在の執行部から起用しないことを全会一致で決めている。古森委員長は年内に新会長を選出する意向を示しており、25日の委員会で決定するとみられていた。

従軍慰安婦問題を取り上げた番組を事前に安倍、麻生氏に見せ、一方的に改変した事件をきっかけに発足したNHKの橋本体制。問題となった番組への政治介入は否定するというスタンスは変えなかったものの、例えば、昨年のNHKスペシャル「硫黄島・玉砕戦」や今年のハイビジョン特集「証言記録・兵士たちの戦争」などは戦争の実相を真正面から取り上げた優れた番組だったし、同じく今年のNHKスペシャル「A級戦犯は何を語ったか」では南京大虐殺事件も(当たり前だけれども)事実として取り上げられた。その限りでは、明らかに政治介入とは一線を画したと言ってよいのではないかと思う(もちろん、NHKの全部がよくなったと言うつもりはないが)。

だから、橋本会長を再任しないというのであれば、その理由が明確にされるべきだし、新会長の選出もオープンな形で進められるべきだ。その意味で、2人の経営委員の“内部告発”は非常に重要な問題と思う。

その意味で、この問題を“内紛”扱いしかできない産経新聞は、ジャーナリズム失格としか言いようがない。ただ、2人の申し入れ書の全文などを紹介しているので、以下、資料として貼り付けておく。

NHK経営委員会の内紛露呈(MSN産経ニュース)
NHK経営委員長に対する申し入れ全文(MSN産経ニュース)
「古森委員長はこう言った」 会見のNHK経営委員が備忘録を公表(MSN産経ニュース)
古森NHK経営委員長がコメント 菅原委員らの申し入れ受け(MSN産経ニュース)

NHK経営委員会の内紛露呈
[MSN産経ニュース 2007.12.19 20:27]

 古森重隆委員長のリーダーシップのもと、思い切ったNHK改革を進めてきた経営委だが、今回の“内紛”で、一枚岩でない内情が暴露された。足並みの乱れは会長人事だけでなく、今後の改革そのものにも影を落としそうだ。
 古森委員長の運営手法については、これまでも「強引」との批判がなかったわけではない。委員会終了後も、会見をせず、簡単なブリーフィングのみとしたり、一部の議事録を非公表(公表分もホームページで約1カ月後に掲載)と不透明な部分も多かった。
 会見した2人の委員も「議事運営は独断的にすぎ、到底、支持することができない」と批判。申立書にも「威圧的ともいえる言辞で議論を封殺」と、物騒な文言が並んだ。
 しかし、委員の1人は「確かに、古森さんは、はっきりものを言う、言葉の荒っぽいところはあるが、誰かがまとめないと委員会は成り立たない。議論の進め方自体は民主的だと思う」と弁護。そのうえで、「経営委は一つの組織なのに、こういう形で会見をするのはいかがなものか。国民の目にどう映るかが心配だ」と批判会見に疑問を投げかける。
 今回、明らかにされた“議事録”の一部によると、会長人事については前回の経営委員会の段階で、「外部」からの登用に賛成している委員が8人、態度保留が2人。批判した2委員は「内部」のOBを明確に推す“少数派”だった。
 2委員は「民主的な運営がなされない場合、辞任を覚悟している」と表明している。古森委員長の求心力に陰りが出たことが、NHK改革にどう影響するかが注目される。

NHK経営委員長に対する申し入れ全文
[MSN産経ニュース 2007.12.19 14:38]

 NHK経営委員会委員長
 古森重隆様

 公共放送NHKの最高意思決定機関である経営委員会の委員長として重責を担い、一連の職員不祥事により失った視聴者の皆さまの信頼を取り戻すため、粉骨砕身、NHKの改革を牽引(けんいん)されていることに、心より敬意を表します。私たち2名の経営委員も、そのような委員長の努力と情熱に深く共感し、ともに汗をかく決意で、NHK改革の推進のため、例えば経営計画案の練り直しの方針を支持するなど、微力を注いでまいりました。
 しかし、来年1月に任期が切れる会長人事に関しては、これまでの議事運営は独断的にすぎ、到底、支持することができません。このままでは、前委員長時代から進めてきた経営委員会自体の改革、とりわけその大きな柱である会議の透明性、公開性の確保はもとより、委員同士の自由闊達な議論により意思決定に至る民主的運営が水泡に帰すとの危機感を、強くもちます。その結果として、果たして、厳しい経営環境の中で公共放送NHKの真の改革を担い、将来にわたって間違いのない方向へと導くことができる人物を選出することができるのか、また、そのことにより視聴者の皆さまの支持を得て、道半ばの信頼回復を達成することができるのか、選出当事者の列に加わる者として大いに危惧(きぐ)の念を抱かざるを得ません。もし、私たちが恐れるそのような結果になれば、またもやNHKは視聴者の皆さまから厳しい批判を受け、今度は回復しがたい痛手を被ることでしょう。そして、私たち経営委員は、未来にわたってその汚名を受けることになります。
 決してそうなってはならない、との切実な思いから、私たちは、異例ではありますが、いまただちに委員長の議事運営の姿勢を改めていただくよう、次の事項を要望致します。

  1. 特定の個人のプライバシーを侵害する部分を除き、指名委員会の議論を含め、会長選出の過程を、委員長ブリーフィングや議事録において公開すること
  2. 威圧的ともとれる言辞で議論を封殺することなく、各委員が自由闊達に意見を提出し議論を行えるよう、少数意見の取り扱いを含め、民主的な議事運営を行うこと
  3. 委員長個人の“意中の人物”があるとしても、一方的に押しつけるような手段はとらず、各委員からの推薦も平等に扱い、議論のうえ、最終的には放送法に定める採決により選出すること

 放送法は、その目的のひとつに、「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」(第1条第3号)とうたっています。私たち経営委員こそ、重い社会的・公共的使命にてらし、NHKの将来を左右する会長選出において率先垂範、この高邁な理念を実践、体現することが求められていることを、強く肝に銘じる必要があります。
 委員長におかれましては、改めてその重責に思いを致し、放送法のうたう精神に立ち返った議事運営に努められることを、強く要望致します。
 なお、私たちの以上の思いを直接、視聴者の皆さまにも訴え、その理非をご判断いただくため、本日、記者会見を開く予定であることを申し添えます。

 平成19年12月19日

 経営委員 菅原明子
 経営委員 保ゆかり

「古森委員長はこう言った」 会見のNHK経営委員が備忘録を公表
[MSN産経ニュース 2007.12.19 15:10]

 菅原委員と保委員は、19日の記者会見で、13日に行われた委員会での議事のもようを記した備忘録を公表した。そのなかでの古森委員長の主な発言は以下の通り。

 ――次期会長には外部からの登用がいいか、内部がいいかについて

 「内部の人材がいるとすればこれまで8年間もの間改革をしてきたはずだ。それが全くなされていないということは、内部ではやる気がないということだ」

 ――外部にするなら、OBもしくは内部からも優秀な人をセットで登用すべきでは、という意見に

 「私はたくさんの人からリサーチをかけた。NHKの人にも聞いたけれどOBや内部の職員では無理だと言っている。私の回りの人は全部、外部の人がずっとよい改革が出来るといっている」

 ――OBを推したいという菅原委員に

 「自分は海老沢(勝二)時代の人は全部だめだと言ったはずだ」

 ――11月13日に自身で記者に「内部が望ましい」と答えたという指摘に

 「記者が何と記事を書こうとそんなことは関係ない」

 ――菅原委員が候補にOBを残してほしい、プロフィルを送ると話したことに

 「プロフィルを見たって人物の中身などはわかるものではない。自分がノミネートする人物は、追って皆さんに直接御紹介したいと思う。ただし、そこで否定されると本人の面子がつぶれるから困る」

 ――推薦する人物の名前を挙げてほしいという他の委員の要望に

 「それは今日は出せない。経営改革は文化をよく理解する人、そして、放送のことを理解する人であると同時に経営者としての才能が必要だ。無駄な出費を大胆にカットするような経営者としての能力が必要とされている。今回非常に大事なのはそこだと思う」

 ――古森委員長の推す人物が、メディアから批判されるような人なら、また受信料収入が下がるかもしれないという懸念が示されて

 「私自身も最初は経営委員長として、マスメディアから大いにバッシングされたが、今ではメディアからも大いに尊敬されている。多少マスメディアに叩かれて、受信料(収入)が下がってもそれは長くは続かないから大丈夫だ。それでは21日に1人だけ会長候補を自分が連れてきて紹介する。他に会長候補を今からでも出したい人がいたら、出してください」

古森NHK経営委員長がコメント 菅原委員らの申し入れ受け
[MSN産経ニュース 2007.12.19 20:34]

 NHK経営委員長の古森重隆氏は19日午後、菅原委員らの申入書に対するコメントを発表した。全文は以下の通り。

 《一部経営委員からのNHK経営委員会議事運営に関する申し入れについて》

 6月末に委員の互選により経営委員長に就任して以降、経営委員会の運営につきましては常に公正な議事運営を心がけ、各委員が真摯に意見を交わしながら公共放送NHKの真の改革に資するべく議論を重ねてまいりました。
 本日の菅原・保両氏による急遽開催された会見については、本来経営委員会の中で議論すべき内容を、何故委員会内での議論を経ずに他の委員への連絡もなくこのような運びとなったのか驚いております。備忘録と称する資料にも多々不正確な、あるいは、意図的ともとれる誤った記述もみられ、恣意的で無責任との印象を受けております。また、発言者の了解なく個人名の記載された議事録様の文書を公開するなど、コンプライアンス上不適切であります。
 ご指摘の、次期会長選出に関する先回の指名委員会の議事について、一方的な運営をしたという事実はありません。全ての委員からの意見を聴取の上、少数意見(NHKのOBについて検討の余地を残す等)についても尊重し、今後の議論の対象としたほか、各委員からの個別のご推薦についてもさらに呼びかけをしていたところであります。本日、一部のメディアで事実と異なる報道(現執行部を会長候補対象外とする決定が全会一致ではなかったかのような報道。さらに5カ年経営計画を承認しなかった9月の審議について経営委員会の見解が全会一致でなかったかのような報道を指す)が見られましたが、先日ブリーフィングでご報告したとおり、現執行部を会長候補対象外とすることは全会一致で決定、さらに外部を中心に検討していくということも圧倒的な多数の意見として、書記をお願いした多賀谷代行の記録に残っております。
 本日、本コメントを出させていただくにあたり、他の委員の方々の意見も聴取いたしましたが、経営委員会の議事運営については適切であるとの意見をいただきました。また、あたかも不適切な議事運営が行われてきたかのように称することは、議事に参加してきた他の委員に対しても、礼を失する発言・態度であるとのご意見もありました。
 厳しい環境変化にさらされる公共放送としてのNHKの、将来に向けた真の改革が、今、必要であります。経営委員会はそのために重要な役割を果たす機関です。今後とも各委員が議論を交わしながら、NHKの改革に貢献していきたいと考えています。経営委員会の場を通じて、今回の両名のご意見についても十分に議論し、経営委員会としての機能を果たして参る所存であります。

 NHK経営委員長
 古森重隆

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