中国・冷凍餃子事件から考える

食品に農薬が混入というのは論外。しかし、“中国が悪い”とだけ言っていてはすまない、日本の“食”の問題が浮かび上がってくる…。

中国製ギョーザで10人中毒症状 農薬検出 千葉・兵庫(朝日新聞)
体調不良、29都道府県で387人に(TBS News-i)
冷凍食品、中国製品依存の現状(TBS News-i)
どう見分ける?中国製 原産地表示ない加工食品(中国新聞)
輸入食品のチェックを公開 厚労省・横浜検疫所(中国新聞)
「なぜ消費者に伝えない」 最初の異変から1カ月(中国新聞)
「最初の被害」から1カ月、公表遅れる ギョーザ中毒(asahi.com)

まず、輸入食品にたいする日本の安全検査体制の問題。冷凍食品については、何の検査もおこなわれていないそうだ。
2つめに、影響の広さ。ファミレス、学校給食…。まだまだ広がるかも知れない。
3つめに、異常を訴えていたのに、どうして対応がここまで遅れたのか?
4つめに、生協が、輸入冷凍食品を販売しているという事実。そんなことで、本当に生活協同組合といえるのだろうか?

確かに冷凍食品は簡単だし、僕もよく利用する。事件の後、冷凍室にある餃子を見てみたら、しっかりジェイティーフーズの製品だった(ただし、問題の商品ではなかったが)。しかし、便利、安い、そういう理由だけで、輸入冷凍食品に流れてしまってよいのかどうか。あらためて考えないといけない。

中国製ギョーザで10人中毒症状 農薬検出 千葉・兵庫
[asahi.com 2008年01月31日03時11分]

 日本たばこ産業(JT)子会社の「ジェイティフーズ」(東京都品川区)が輸入した冷凍ギョーザを食べた千葉、兵庫両県の3家族計10人が下痢や嘔吐(おうと)などの中毒症状を訴え、このうち、女児(5)ら3人が一時重体になっていたことが30日、わかった。いずれも中国の食品会社「天洋食品廠公司」の製造。両県警がギョーザを鑑定したところ、メタミドホスなど有機リン系農薬の成分が検出されたため、ジェイティフーズは同公司製造の23品目、約58万点の自主回収を始めた。
 厚生労働省は、同公司から冷凍ギョーザを輸入した実績がある業者に対し、都道府県を通じて輸入自粛と販売中止を要請。事態を重く見た中国の国家品質監督検査検疫総局も「早急に事実解明したい」として調査に乗り出した。
 厚労省によると、同公司の食品は、ギョーザのほかにも、ビーフジャーキーや塩蔵ニンニク、トンカツ、肉まんなどがあり、07年の輸入量は3535トンに達している。
 同公司から商品や原材料を輸入していたとして、ジェイティフーズ以外で自主回収を決めたのは、「加ト吉」(香川県観音寺市)市販用「Sごっつ旨(うま)いチャーシュー6枚入りラーメン」「ごっつ旨いチャーシューメンとんこつ」など18種▽「味の素冷凍食品」(東京都中央区)市販用「ピリ辛カルビ炒飯」など2種▽江崎グリコ(大阪市西淀川区)レトルト食品「DONBURI亭かつとじ丼」。こうした企業から製品を仕入れていた大手コンビニエンスストアでも販売中止が相次いでいる。
 両県警などによると、中毒症状が出たのは千葉県市川市の女性(47)ら家族5人と、千葉市稲毛区の女性(45)と女児(3)の母子、それに兵庫県高砂市の男性(51)ら親子3人。
 市川市の5人は今月22日、同市内の「ちばコープ コープ市川店」で購入した「CO・OP 手作り餃子(ギョーザ)40個」を食べて吐き気や下痢の症状を訴えたという。女性と長女(18)、長男(10)、次男(8)が重症、次女(5)が意識不明の重体になった。5人とも快方に向かっているが、現在も入院している。
 千葉市の母子2人は昨年12月28日、同市花見川区の「コープ花見川店」で買った同じ商品を食べて吐き気などをもよおし、入院や通院をしたという。
 高砂市の3人は今年1月5日、スーパーで購入した「ひとくち餃子」(20個入り、260グラム)を食べた後、同じ症状で入院。次男(18)ら2人は重体になったという。
 警察当局によると、市川市と高砂市の被害者が食べたギョーザなどからはメタミドホスが検出された。千葉市のケースでは、メタミドホスとは特定できていないものの有機リン系農薬の成分が検出された。冷凍ギョーザは、原材料がキャベツ、ニラといった野菜と豚肉などで、中国内でパッケージされて輸入されているが、市川市と高砂市のケースではパッケージからも成分が検出されており、中国の製造過程で混入した可能性があるという。
 厚労省などによると、同公司製造の冷凍ギョーザは、昨年1月から今年1月28日までに約1300トン輸入され、約1230トンをジェイティフーズが、残り約70トンを日協食品(東京都中央区)とワントレーディング(大阪市)の2社が扱ったという。

    ◇

 〈メタミドホス〉 主に殺虫のために使用される有機リン系の農薬の一つ。日本では農薬として登録されていない。中国では使用されていたが、厚労省によると、今月に入って製造と使用が禁止された。中毒症状としては、神経が異常に興奮状態となり、吐き気や発汗、瞳孔の縮小などが現れる。ひどい時には呼吸障害から昏睡(こんすい)となり、死亡に至る。内閣府食品安全委員会によると、一度に口から与えて半数が死ぬ「半数致死量」は、ラットの場合、体重1キロ当たり16ミリグラムで、急性毒性は毒物劇物取締法の毒物に相当する。

体調不良、29都道府県で387人に
[TBS News-i 2008年1月31日20:06]

 中国産の冷凍餃子などを食べて体調不良を訴えた人は、全国の29都道府県、387人に上ることがJNNのまとめで分かりました。
 中国産の冷凍餃子を食べて健康被害を受けた千葉県・兵庫県の10人に加え、冷凍餃子などを食べて体調不良を訴えた人は、東京・千葉・大阪・沖縄など全国の29都道府県、387人に上ることがJNNのまとめで分かりました。
 福岡県では、生協が餃子の購入客に聞き取り調査をしたところ110人が体調不良を訴え、長崎県でも、生協に対し28人が「冷凍餃子を食べて具合が悪くなった」と届け出たということです。
 また、秋田県では、問題が発覚した30日の夜、自宅で「手包みひとくち餃子」を食べた9歳の小学生が直後に腹痛と頭痛を訴えたケースもありました。

冷凍食品、中国製品依存の現状
[TBS News-i 最終更新:2008年1月31日(木) 19時0分]

 中国製冷凍ギョーザの事件を受けて影響が広がっている食品業界ですが、冷凍食品の分野では中国製の食品に頼っている現状を簡単には変えられないようです。
 「はじめに、今回の冷凍ギョーザを生産したとされています、河北省の天洋食品。この会社とは、当社は取引はございません」(冷凍食品等の新商品発表会でのコメント)
 31日、都内で開かれた冷凍食品などの新商品発表会。商品の説明に先立って冒頭から安全対策を説明するという異例の展開となりました。今回の中国産冷凍ギョーザの問題は、冷凍食品業界に暗い影を落としています。
 「中国の食料品なくして、日本の食は成り立たない」(日本水産の会見)
 厚生労働省の調べによりますと、中国からの冷凍食品の輸入量は年々増加していて、おととしは7割以上を中国からの輸入に依存しています。
 冷凍食品は、小売店などで特売品として扱われることが多い上、少子高齢化や原材料価格の高騰で国内のメーカーは逆風にさらされています。そのため、製造にかかるコストを削る目的で、中国のメーカーに製造を委託するケースが増えているのです。
 「冷凍食品関係の事業者団体に対しまして、被害拡大防止のための対応窓口の設置なり、情報の提供というものも要請することとしているわけでございます」(農林水産省 白須敏朗 事務次官)
 食料自給率が39%と極端に低いため、海外からの輸入に頼らざるを得ない日本の食料事情。メーカーも行政側も、チェック体制を強化する以外に有効な対策は見当たらないのが実情です。(31日18:06)

どう見分ける?中国製 原産地表示ない加工食品
[中国新聞 1月31日17時29分更新]

 中国製冷凍ギョーザによる中毒をきっかけに、中国製食品への不安が再燃している。「中国製の食材が含まれるかどうか知りたい」と思ったとき、見分ける手段はあるのだろうか。
 消費者にとって、商品を選ぶ際、重要な基準になるのが食品表示だ。
 農林水産省の「加工食品品質表示基準」によると、今回有機リン系の殺虫剤が検出されたジェイティフーズの「CO・OP手作り餃子」(40個入り)のように、外国製の加工食品を輸入した場合は「中国」など、製造国を表示することになっている。
 判断に困るのは、今回販売元の味の素冷凍食品が自主回収対象とした「ピリ辛カルビ炒飯」(450グラム)のような場合だ。
 「ピリ辛?」の原材料の一つである味つけの加熱牛肉は、殺虫剤が検出されたギョーザを製造した中国河北省の天洋食品が製造したもの。だが、最終加工は日本で行っており、複数の加工工程を経ているため原料原産地表示の義務はない。パッケージには、国内の生産工場名や販売元は表示されているが、牛肉の産地が中国であることは分からない。
 味の素冷凍食品は「消費者への情報提供の一環」として、ホームページで牛肉の産地が中国であることを明記しているが、店頭では問い合わせをしない限り分からない。

輸入食品のチェックを公開 厚労省・横浜検疫所
[中日新聞 1月31日19時19分更新]

 中国製ギョーザによる中毒を受け、厚生労働省は31日、横浜検疫所輸入食品検疫・検査センター(横浜市金沢区)で、輸入食品の残留農薬を検疫する様子を報道陣に公開した。
 センターでは白衣の検査官が輸入ニンニクを粉砕、ろ過し、残留農薬を測定する作業をした。
 厚労省によると、冷凍ギョーザのような加工度の高い輸入食品の場合、問題物質を抽出し多くの原材料のうち何に由来するかを特定するのが技術的に難しいため、検疫でのチェックが事実上、行われていないのが現状という。

それにしても、なぜ問題の公表が遅れたのか? 有機リン系の毒物といえば、猛毒である。それだけに、故意に混入した可能性(つまり、犯罪)が疑われ、対応が遅れてしまったようだ。しかし、朝日新聞の記事によれば、兵庫と千葉の事件がつながったのは、たまたま双方の県警が同じ会社に問い合わせをしたからだという。もし別会社に問い合わせていたら、さらに公表が遅れていた可能性があった訳だ。

「なぜ消費者に伝えない」 最初の異変から1カ月
[中国新聞 2008/1/31]

 中国製冷凍ギョーザから有機リン系の殺虫剤が検出され、兵庫県や千葉県の十人が次々に中毒症状を起こしていた事実が30日、表面化した。最初に千葉市の家族が異常を訴えてから1カ月。この間、自治体や厚生労働省の連携はなく、事態の公表もなされなかった。
 「食の安全」が再三問われる中、消費者の不信感は増す一方。行政の対応について「食の安全・監視市民委員会」の神山美智子代表は「情報が消費者に全く伝えられておらず由々しきことだ。早急に汚染の可能性がある食品の流通を止めるべきで、速やかな公表を行わなかった役所の責任を問わなければならない」と批判している。
 厚労省などによると、最初の発生は昨年12月28日。冷凍ギョーザを食べた千葉市内の母子が下痢や嘔吐おうとなどの症状を訴えた。こうした事態が表に出ないまま、1月5日と22日に、兵庫と千葉の8人に同様の症状が起こっていた。
 厚労省が一連の事案を把握したのは今月29日午後9時。ジェイティフーズを所管する東京都からの連絡だったという。
 厚労省によると、食品衛生法は、食中毒事案について医師、保健所が都道府県知事に報告、調査するよう定めている。中でも、患者が50人を超えるか超える恐れがある場合や、50人を下回っても(1)死者が出た(2)原因が輸入食品に由来する可能性がある――ケースでは、省令で厚労省への報告を求めている。
 今回の食中毒は中国製ギョーザによるものとされるが、発生直後は原因がはっきりしなかったことから、自治体から厚労省への連絡はなかった。
 最初の発生地となった千葉市。当初段階でギョーザを販売したコープ側から「食べ残しの微生物検査をしたが、通常の食中毒を疑わせる結果は出なかった」との報告を受けた。症状を訴えたのも2人だけだったため厚労省への届け出も公表もしていなかったという。
 市川市でも5人が発症という事態を千葉県が知ったのは今月23日。吐瀉としゃ物や便を調べたが、細菌性やウイルス性のものは検出されず「むしろ事件性を疑った」(担当者)という。その時点で県としての調査は事実上ストップした。
 警察庁によると、兵庫県警と千葉県警の科学捜査研究所(科捜研)が有機リン系農薬のメタミドホスを検出したのはいずれも同29日。30日になってそれぞれ警察庁に報告があったため、厚生労働省に連絡、被害が広がる恐れがあるとして公表を決めた。
 兵庫県は29日の時点で、殺虫剤に関する情報を得ていたが、消費者に公表もせずスーパーや小売店への注意もしていなかったという。

「最初の被害」から1カ月、公表遅れる ギョーザ中毒
[asahi.com 2008年01月30日23時11分]

 中国製冷凍ギョーザによる毒物中毒は、最初の被害とみられる昨年末の千葉市の事例から30日に公表されるまで、ひと月余りもかかった。輸入元のジェイティフーズを所管する東京都に兵庫県から一報が入ってからも23日経過。行政機関が事態を見極められない間に、被害は広がった。
 兵庫県には今月6日午前11時ごろ、病院に運ばれた同県高砂市の親子3人が毒物中毒症状を起こしているとの一報が入ったが、公表は見送った。県担当者は「国内で誰かが混入したという、事件性が高い事案と判断し、捜査を優先させるべきだと考えた」と説明する。
 同県から都に連絡があったのは、7日午前9時ごろ。ジェイティフーズの本社が品川区にあるため、調査を依頼された。
 区が同社に聞き取りをしたところ、健康被害の報告は他に入っていないことが判明。都は(1)製品自体の問題だと断定できない(2)農薬系中毒は故意に誰かが毒物を入れるケースが多い(3)家庭内の事件なら公表には人権上の問題もある――として、公表を見送ったという。
 29日午後6時ごろ、千葉県から都に「市川市の一家5人が有機リン系中毒とみられる症状を訴えた」との連絡があり、都は30日になって、同社に立ち入り調査を実施した。
 都福祉保健局は「ジェイティフーズと中毒との関連を明確にできず、公表すべき案件と考えなかった」としながらも、「結果論だが、7日時点で徹底的に調べていれば、市川のケースは防げたかもしれない」。
 一方、捜査当局も連携をとるまで時間がかかった。
 千葉県警が殺人未遂容疑で捜査を始めたのは今月23日。市川の一家が病院に運ばれた翌日、病院から通報があった。一家が食べたギョーザからメタミドホスが検出されたとする鑑定結果を得たのは29日だった。
 高砂市の親子が入院した翌日に通報を受けた兵庫県警が同様の鑑定結果を得たのも29日。両県警がメタミドホスの特性などを調べるため、それぞれ、同じ化学薬品工場に問い合わせたことから、両県の事件がつながった。
 両県警から報告を受けた警察庁が、被害の拡散を防ぐために急きょ公表に踏み切った。

さらにこんなニュースもある。こうなると、日本企業は被害者だと言ってはいられなくなる。

香港でもギョーザ撤去 日本から輸入「原材料が中国産」(asahi.com)

香港でもギョーザ撤去 日本から輸入「原材料が中国産」
[asahi.com 2008年01月31日22時39分]

 中国製ギョーザによる中毒問題で31日、日本からの輸入食品を売る香港のデパートやスーパーも一斉にジェイティフーズ社のギョーザなどを店頭から撤去した。日系のユニー、ジャスコのほか、地元資本が経営するそごう、西友などが、日本で自主回収の対象になったギョーザやロールキャベツなどの発売を中止した。
 そごうの食品部門担当者は「安全な日本食品を売り物にしているが、原材料が中国産という商品は多い。消費者の懸念が広がらないか心配だ」と話した。
 香港政府食物安全センターは「店頭から撤去された商品を検査するとともに、中国政府を通して状況を見極める」としている。
 香港は肉や野菜、魚など中国産食品への依存度が高いが、この1年余りの間に中国産の魚や缶詰め肉などから基準値を超える発がん性物質が相次いで見つかっている。

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