男女コース別処遇は労基法違反!

東京高裁で、総合商社・兼松の「コース別賃金」を労働基準法違反とする判決。

「コース別賃金」は、結局は女性の賃金差別温存の仕組みだということがあらためて明確になったわけです。勤務地の制限も、賃金差別の理由にはならないとしたことは画期的。だいたい、労働者は奴隷じゃないのだから、「社命とあれば、いつでもどこでも赴任します」と誓約しないと総合職になれない、という一方的なやり方こそ改めるべき。

「コース別賃金」は違法、兼松に差額賠償命令 東京高裁(朝日新聞)
「賃金で男女差別」認定 東京高裁逆転判決 兼松に7200万円賠償命令(中日新聞)
男女賃金差別 兼松に賠償命令(NHKニュース)

「コース別賃金」は違法、兼松に差額賠償命令 東京高裁
[asahi.com 2008年02月01日01時26分]

 総合商社「兼松」(東京都港区)に57?82年に入った社員と元社員の女性6人が「女性というだけで差別される賃金制度は違法」として、男性との差額など3億8400万円余を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。西田美昭裁判長は請求棄却の一審・東京地裁判決を変更。「男女同一賃金の原則」を定めた労働基準法に違反する行為があったとして、うち4人に計7257万円余を支払うよう兼松に命じた。兼松は上告する方針。
 違法な男女のコース別処遇を認定した例としては、野村証券に慰謝料の支払いを命じた02年の東京地裁判決(その後和解)などがある。今回の判決は差額賃金の支払いも命じており、同様の雇用形態をもつ企業に影響がありそうだ。
 兼松は85年に「職掌別人事制度」を実施。男性中心の「一般職」と女性中心の「事務職」で別の賃金体系をとった。兼松側は「業務や転勤の有無の違いによるもので、男女差別ではない」と反論していた。兼松は97年に「総合職」を加え、昨年4月からは職責の重さに応じた「職群」制度を採っている。
 判決は、兼松では少なくとも原告が問題としている92年以降、(1)事務職の女性が定年まで勤めても27歳の一般職の男性と同じ賃金に達しなかった(2)原告と職務内容が同程度だった男性一般職との間に相当な賃金格差があった――ことから違法な男女差別が続いていたと指摘。97年の新人事制度でも、賃金格差は引き継がれたと認定した。毎月の賃金と一時金を合わせて1カ月につき10万円の損害に慰謝料も加えて、1人あたり842万?2355万円の賠償を命じた。
 ただ、原告6人のうち2人については「専門知識や一定程度の交渉力などにより重要な仕事をしてきたと言えない」「勤続年数や職務内容に照らして違法とは言えない」として請求を退けた。

     ◇

 「同じ会社で同じくらい働いていても、コースが違うだけで27歳の男性の賃金を超えられず、悔しかった。そんな人事管理の違法性が初めて一部認められた」。提訴から13年。原告の女性たちは声を弾ませた。
 85年の男女雇用機会均等法制定の際、兼松は、男女で明確に人事管理を分けると性差別になるからと、全国転勤で幹部昇進のあるコース(兼松では一般職)と地域限定で昇進のないコース(事務職)にわけ、男性を一般職、女性を事務職とした。
 こうした制度は事実上の男女別人事管理として批判を浴び、いくつも訴訟が起きた。02年の野村証券訴訟や04年の岡谷鋼機訴訟の地裁判決では、コース別の採用や処遇で賃金差ができても、採用や配置、昇進などの違いによるもので男女の賃金差別を禁じた労働基準法4条違反とはいえないと判断した。
 しかし、今回の判決では、原告の女性たちの職務を「職務内容や困難度を截然(さいぜん)と区別でき」ず、「同質性があると推認」される30歳程度の男性一般職と比べても格差に合理性がないとして、初めて労基法4条違反にあたると判断。職務が全く同じでなくても、質で比較して判断した点は画期的だ。
 また、事務職の勤務地が限定されていることはこうした賃金格差の合理的な根拠にはならないとした点も大きい。勤務地限定を理由に賃金に差をつける企業は多く、家庭を持つため転勤しにくい女性社員への間接的な差別と言われる中、「転勤を理由にした安易な格差に歯止めをかけた」と原告代理人の中野麻美弁護士は言う。
 さらに、一般職への転換試験を設けているとの会社側の主張についても、英語の検定試験のハードルが高すぎ、この水準に達しない一般職男性もいることや、転換後の格付けの低さから、実質的な格差是正措置とはいえないとした。いずれも、形式だけ整えて差別を温存する手法に警鐘を鳴らした。

「賃金で男女差別」認定 東京高裁逆転判決 兼松に7200万円賠償命令
[中日新聞 2008年2月1日 朝刊]

 総合商社「兼松」(東京)の元女性社員ら6人が、男女のコース別人事による賃金格差は違法として、差額など計約3億8000万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は31日、請求を棄却した一審東京地裁判決を変更、4人について賃金差別を認め、計約7200万円の支払いを命じた。
 西田美昭裁判長は「男女の違いで賃金を差別する状態を形成、維持した措置は違法。4人は一定の経験を積み、男性と同程度の困難な職務をしており、合理性のない差別」と判断した。
 兼松は「職務内容が違うコース別賃金制度による格差で、男女差別ではない」と主張。判決に対し「認められず大変残念」とし、上告する方針。
 原告側弁護士は「コース別に職務を分けた企業について、男女差別による賃金格差を認めた判決は初めて」としている。
 女性6人は1957?82年に入社し、現役社員はうち1人。
 判決によると、同社では男女別の採用が行われ、それに伴う賃金格差があった。85年に総合的な職務と事務的職務とに振り分けるコース別制度を実施したが、男女別の賃金制度が基本的に維持された。
 コース変更の制度はあったが、西田裁判長は「要件が厳しく、給与格差を実質的に是正するものではない」と判断した。
 賃金差別訴訟では、99年の改正男女雇用機会均等法の施行後も、男女をコース別に処遇していたとして、東京地裁が野村証券に慰謝料などの賠償を命令。住友金属工業をめぐっても大阪地裁が「昇進や賃金の男女差別があり違法」として差額賃金などの支払いを命じた。いずれも高裁で和解した。

男女賃金差別 兼松に賠償命令
[NHKニュース 1月31日 21時10分]

 総合商社「兼松」の女性社員が、同じ仕事をしている男性より賃金が低いのは不当な差別だと訴えた裁判で、東京高等裁判所は、男女差別があったと認めて、兼松に7200万円余りの賠償を命じました。
 総合商社「兼松」の女性社員と元社員6人は、「同じ仕事をしている同期の男性より賃金が低いのは不当な差別だ」と主張して、差額分の賃金の支払いなどを求めていました。裁判で、兼松は、「賃金に差があるのは、総合的な職務と事務的な職務に分かれているためで、男女差別ではない」と反論していました。31日の2審の判決で、東京高等裁判所の西田美昭裁判長は、「職務が異なっていても勤続年数や年齢、仕事の質が同じ男女の社員にかなりの賃金格差があれば不当な差別にあたる。兼松では、女性社員は定年まで働いても、入社5年目の男性社員の賃金に達することはなく違法だ」と指摘し、訴えを退けた1審判決を取り消し、原告のうち4人にあわせて7200万円余りを支払うよう命じました。
 原告の弁護士によりますと、いわゆる「総合職」と「一般職」のように職務を分けている企業で、賃金格差は男女差別だと認めた判決は初めてだということです。判決について、原告で現役社員の木村敦子さんは、「去年、人事制度が改められたが、今でも女性社員の賃金は低いのが現状です。今回の判決を基に会社に働きかけて男性社員と同等の賃金になるよう頑張っていきたい」と話していました。
 一方、兼松は「主張が認めらず残念です。直ちに最高裁判所に上告したい」というコメントを出しました。

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