防衛省がイージス艦衝突事件で中間報告書

防衛省が、イージス艦「あたご」の衝突事件の中間報告書を発表。

見張りが艦橋の外ではなく艦橋内でおこなわれていたこと、CICの当直体制は、ほんらい7人だったのに3?4人しかおらず、そのためレーダーの1台はまったく監視されていなかったこと、など明らかに。また、当直員の1人は、赤色灯を見ておきながら、当直士官に報告していなかった。事件直後に元艦長が「監視員は見たものをそのまま愚直に報告するようにしつけられている」と指摘していたが、それが守られていなかったことが明らかになったわけだ。

「緑色灯を見た」という証言が確認されなかったというが、実は、「12分前に確認した」という発言も確認されていない。要するに、事件直後の防衛省の発表はいったい何だったのか? ということだ。

「あたご」衝突時の見張り手薄、回避も不十分…中間報告(読売新聞)
イージス艦衝突事故報告要旨 防衛省(中国新聞)

「あたご」衝突時の見張り手薄、回避も不十分…中間報告
[2008年3月21日13時45分 読売新聞]

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、防衛省は21日、事故調査委員会の中間報告を発表し、「見張りが適切に行われず、回避措置も不十分だった可能性が高い」との見方を示した。
 事故前に戦闘指揮所(CIC)にいた当直員が通常体制より少なかったほか、艦橋の外にいるはずだった見張りも、艦橋内にいたことを明らかにした。
 中間報告によると、CICの当直は通常、7人体制で行われることになっていたが、事故前の2時間は、レーダー責任者の判断で3?4人で行っていた。このため、CIC内にある2台のレーダー画面のうち1台は継続的に監視できていなかった。艦橋の当直体制は通常通りの10人だった。
 また、見張り員は艦橋の左右の外側にある「ウイング」で行うことになっているが、事故前の当直の際に雨が降ったことから、艦橋内で見張りを行っていた。
 一方、当直員の1人は衝突1分前の午前4時6分ごろ、右前方約500メートル先に左に進む2隻の船を視認。この当直員はこの時、当直士官が「この漁船近いなあ」と発言し、別の当直員が「近い、近い」と話すのを聞き、ほぼ同時に、右斜め前方約100メートル付近に清徳丸の左舷のものと思われる赤い灯火を発見したという。
 海上衝突予防法では、2隻の船が交差する場合、右側に相手の船を見る方に回避義務があるため、中間報告では「あたごに回避義務があった」と認定した。
 同省では、海上保安庁の捜査が続いているため、事故の「核心」を知る当直員数人についてはまだ事情を聞けておらず、さらに事情聴取を進める方針。

イージス艦衝突事故報告要旨 防衛省
[中国新聞 3月21日12時58分更新 初版:3月21日12時43分]

【あたごの当直体制】

 2月19日未明、あたごは当直士官の命令により自動操舵で航行。当直体制は艦橋に11人、レーダーなどがある戦闘指揮所(CIC)に7人、機関操縦室に6人の24人で構成。午前4時に当直交代した。

▽艦橋の当直体制

 事故前の当直は通り雨があったため、見張り員の配置をウイング(艦橋左右のデッキ)から艦橋内にした。3時55分に交代の当直員が艦橋に整列し引き継ぎ。交代後も見張り員の配置は引き続き艦橋内とした。

▽CICの当直体制

 通常であれば7人が勤務だが、前の当直体制では電測員長の判断により3人または4人しか勤務しておらず、2台のレーダーのうち1台は継続的に要員が配置されていなかった。交代後は通常通り7人が勤務していた。

【漁船の視認状況】

▽前の当直の視認

 午前3時半から40分ごろにかけ、当直員Aが右方向に白い灯火3つを確認し、いずれも電話で当直士官に報告した。当直員Bは同48分に右方向に赤い灯火を確認したが、漂泊中か低速の船で距離は約10キロ程度と考え衝突危険がないと判断。当直士官に報告していない。

▽交代後当直の視認

 当直員Cは前の当直から右方向の赤い灯火について危険はないとの引き継ぎを受けた。当直員Dは4時2分ごろから4分ごろにかけ、右側に複数の白い灯火を確認、当直士官に報告した。

▽衝突前後の状況

 当直員Cは午前4時6分ごろ、当直士官が「この漁船近いなあ」と発言したのを聞き、窓から右側100メートル付近に接近した清徳丸とみられる船を見た。別の当直員は、モニターで艦首付近右側から灯火が現れ左に見えた直後に、推進停止、後進一杯の命令を受けた。
 事故直後に公表した「緑色の灯火が見えた」という情報はこれまでの調査で得られていない。

【レーダーでの認識】

 通常は3台のレーダーを使用。1台は表示内容の記録が可能だが記録はない。当直員がレーダーで清徳丸を認識していたとの情報はない。

【衝突回避の措置】

 主な当直員の供述内容は以下の通り。

  • 当直士官が「両舷停止、自動操縦止め」「両舷後進一杯」と命令。当直士官の後を追い右ウイングに向かうところで衝突音らしき音を聞いた。
  • 「両舷停止」「両舷後進一杯」の命令を聞き、(速力変更指示の)ランプの点滅を確認。2つの命令の間隔は5秒から10秒だと思う。

【艦長の供述内容】

 18日午後6時ごろ艦橋から降り、夕食後は艦長室にいた。19日午前0時半ごろ仮眠。2時半ごろ航海長の報告があった。4時ごろ目が覚め艦橋に上がろうか考えていた時に「漁船と衝突した」との放送が流れた。

【副長の行動】

 略

【全体の対応評価】

 衝突前の見張り員や当直員の配置など、艦全体として見張りが適切でなかった。4時6分ごろ清徳丸を右舷に見ておりあたごに避ける義務があったが、適切な避航措置を取らず回避措置も十分でなかった可能性が高い。

【海保への通報】

 4時23分に通報した乗組員の供述は以下の通り。

  • 衝突を知り寝室から5分以内に艦橋へ移動。当直員から衝突位置を記載したメモを受け取り、当直記録で時刻、船の位置、気象などを確認、海図やGPS(衛星利用測位システム)で船の位置を確認、国際無線で横浜海上保安部に通報した。

 当直員が直ちに衝突の事実のみ速報していれば通報時間を短縮できた。

【捜索・救助の状況】

 4時8分に救助作業開始命令。探照灯で海域を照らし、数メートル間隔で甲板に乗員を並べ捜索した。4時21分以降、内火艇(小型艇)3隻に潜水員を乗せ発進。命令後13分の発進が遅いとは考えていない。5時40分に海保の潜水員による捜索開始。

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