正社員前年比2%の伸びは15年ぶり

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」2月分の結果によって、正社員(正確には「一般労働者」)が前年同月比2.4%増と15年ぶりの高水準。パートタイム労働者の0.9%を上回った。

雇用者数:正社員の伸び15年ぶり2%台 パート上回る(毎日新聞)
2月の現金給与、1.3%増=冬のボーナス4年ぶり減?厚労省(時事通信)

しかし、同じ「毎月勤労統計調査」からは、次のようなことも判明。

  • 昨年12月の冬のボーナスが4年ぶりにマイナスになったこと。
  • 2月の現金給与は1.3%伸びたけれど、これはいわゆる「うるう年効果」であること。

「毎日新聞」は分かりやすくするために「正社員」とくくっているが、正確には「常用雇用」のうちの「一般労働者」。定義は次のようになっている。

◎常用労働者は、以下のいずれかに該当するもの。

  1. 期間を定めずに、又は1カ月を超える期間を定めて雇われている者
  2. 日々又は1カ月以内の期間を定めて雇われている者のうち、調査期間の前2カ月間にそれぞれ18日以上雇われている者

◎パートタイム労働者とは、常用労働者のうち、以下のいずれかに該当するもの。

  1. 1日の所定労働時間が一般の労働者より短い者
  2. 1日の所定労働時間が一般の労働者と同じで1週の所定労働日数が一般の労働者より短い者

◎一般労働者とは、常用労働者のうち、パートタイム労働者でない者のこと。

したがって理論上は、アルバイトであっても、2カ月契約で、なおかつ、一般労働者と同じように1日8時間、週5日勤務であれば、「一般労働者」に分類されることになる(逆に、正社員であっても、最近流行の短時間勤務であれば「パートタイム労働者」に分類されるのだが)。だから、「一般労働者」=正社員というのは正確ではない。

しかし、企業が正社員の確保に乗り出していることは確かである。

雇用者数:正社員の伸び15年ぶり2%台 パート上回る
[毎日新聞 2008年3月31日 15時00分(最終更新 3月31日 15時44分)]

 2月の常用雇用者数で、06年10月以来1年4カ月ぶりに正社員の伸びがパートを上回ったことが明らかになった。パートは1150万4000人で07年2月と比べ0.9%増に対し、正社員は3302万4000人で2.4%増だった。厚生労働省が31日にまとめた2月分の勤労統計調査結果(速報)で分かった。厚労省は「景気の減速傾向をにらみ、一部企業が優秀な人材を囲い始めたことがうかがえる」と分析する。正社員の伸びが前年比2%台となったのは、93年2月(2.3%増)以来15年ぶりだ。
 正社員の増加は給与水準にも表れ、現金給与の平均額は1.3%増の27万4521円となった。残業時間も1.8%増の11.1時間で、4カ月ぶりに増加に転じた。厚労省は、景況感の悪化が一部企業を人材確保に走らせ、賃金増に結びついた可能性があると分析している。
 一方、原油高による景気の後退ぶりは、07年末のボーナス額に反映した。支給額は06年末比2.8%減の41万7507円で、4年ぶりに減少した。運輸業は13.4%の大幅減だった。規模別でみると、従業員500人以上の企業は0.5%増(74万5365円)に対し、29人以下は2.6%減(29万4554円)で、規模による格差が広がっている。
 勤労統計調査は、従業員5人以上の企業3万3000社を対象としている。【吉田啓志】

2月の現金給与、1.3%増=冬のボーナス4年ぶり減?厚労省
[時事通信 2008/03/31-10:52]

 厚生労働省が31日発表した2月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、現金給与総額は前年同月比1.3%増の27万4521円と2カ月連続で増加した。内訳は、所定内給与が0.9%増の25万0347円、所定外給与は2.6%増の2万0095円。ボーナスなど「特別に支払われた給与」も28.1%増の4079円だった。
 産業別の給与総額は、情報通信業が6.0%、卸売・小売業が3.8%、サービス業が2.8%の各増。半面、不動産業は3.6%、鉱業は3.2%、複合サービス事業(協同組合など)は3.1%それぞれ減少した。
 総実労働時間は1.8%増と3カ月ぶりに増加。常用雇用は2.0%増だった。
 一方、同時発表された2007年の冬のボーナス(07年11月?08年1月支給)は前年比2.8%減の41万7507円で、冬季としては4年ぶりに減少した。

2月の現金給与総額が前年同月比1.3%増になっているが、これは、今年の2月が「うるう年」で1日長かったこともあずかっていると考えるべきだろう。2月は土日各4回+休日1回(「建国記念の日」)で、平年なら月の勤務日は19日。これがうるう年には20日に伸びるから、日給などで働いている人は単純計算で約5%給与が増えることになる。これを「うるう年効果」という。もちろん月給制の人は関係ないのだから、単純に現金給与総額が5%増えるわけではないが、1.3%増のうちのいくらかは「うるう年効果」によるものと考えられるわけだ。

厚生労働省の発表資料は、↓こちら。

毎月勤労統計調査 平成20年2月分結果速報及び平成19年年末賞与の結果(確報)

【追記】

東京新聞でも取り上げていましたが、こちらの方が毎日新聞よりも深まってますね。

正社員70万人増 パート法改正先取りで効果(東京新聞】

正社員70万人増 パート法改正先取りで効果
[東京新聞 2008年3月31日 夕刊]

 パートの正社員化の動きが、企業の間で本格化してきた。厚生労働省が31日発表した2月の毎月勤労統計調査(速報、従業員五人以上の事業所)によると、正社員を中心にフルタイムで働く「一般労働者」は、前年同月より2.4%増の3,302万4,000人。1992年6月以来、15年8カ月ぶりの高い伸び率を示した。人数では70万人以上増えた。

非正社員の社員化に取り組む例
高島屋 店舗の契約社員などの一部を社員として雇用
三井住友銀行 店舗の派遣社員などの一部を社員として雇用
ユニクロ 店舗の非正社員を正社員にする「地域限定正社員制度」を導入
トヨタ自動車 期間従業員が試験などを経て正社員に

 増加の原動力の1つは改正パート労働法だ。4月1日から施行される同法は、パート労働者の正社員への転換推進措置を企業に義務付けている。施行に先駆けてパートの正社員化に取り組む企業が増えており、着実に数字となって現れた形だ。加えて、都市部を中心とした人手不足で企業が人材確保を急いでおり、パートやアルバイト、派遣社員を正社員にする動きが加速している。
 厚労省も正社員増加の要因について「企業がパート労働者の正社員化を進めた影響ではないか」と分析している。
 半面、2月のパート労働者は0.9%増にとどまり、1年4カ月ぶりに一般労働者の伸びを下回った。
 多くの企業はバブル経済崩壊後、正社員の大規模なリストラを実施。コストの安いパート労働者や派遣社員ら非正社員を活用し、人件費を抑えた。
 企業業績は大きく改善したものの、職場のノウハウが継承されにくくなるというデメリットも生じた。
 大企業は景気回復を追い風に、優れた人材を確保するため正社員重視に徐々に転換。最近では高島屋、三井住友銀行、ユニクロ、トヨタ自動車など多くの大企業が非正社員の正社員化に取り組んでいる。
 政府もフリーターらの就業支援を目指す「ジョブカード制度」を4月から本格実施。雇用の安定に向けて官民の取り組みが進んでおり、正社員化の流れが今後も期待できそうだ。

 <改正パート労働法> パート労働者の待遇改善を目指し、4月1日に施行される。パート労働者を雇う際、昇給や賞与の有無の明示を経営者に義務化。仕事の内容や責任、転勤の範囲などが正社員並みなら、パートを理由に賃金などで正社員との差別的な取り扱いをすることを禁じた。正社員登用制度の導入など正社員化の推進措置も経営者に義務付けた。

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