タクシー運転手殺害容疑の米兵 逮捕状請求へ

3月19日夜、横須賀で起こったタクシー運転手・高橋正昭さんの殺害事件。車内に落ちていたキャッシュカードの名義人である米兵が、神奈川県警の事情聴取に殺害を認める供述。県警は、逮捕状がおり次第、米軍に身柄の引き渡しを求める方向。

運転手殺害 米兵の逮捕状請求へ 県警聴取に『刺した』(東京新聞)
米兵逮捕へ詰めの協議 神奈川県警と検察当局(東京新聞)

しかし、この事件。米兵が犯行を認める発言をしたからこそ、県警の事情聴取も実現したのであって、もし否認しつづけていたら、逮捕はもちろん日本側の事情聴取もできなかった可能性が大きい。もちろん、誰であっても推定無罪の原則は厳重に守られなければならないが、しかし、任意での事情聴取もできないというのは、やっぱりおかしいと言わざるをえない。

運転手殺害 米兵の逮捕状請求へ 県警聴取に『刺した』
[東京新聞 2008年4月2日 夕刊]

 神奈川県横須賀市でタクシー運転手高橋正昭さん(61)が刺殺された事件で、県警は二日午前、米海軍横須賀基地に脱走容疑で身柄拘束されている同基地所属のナイジェリア国籍の一等水兵(22)について、任意で事情聴取を始めた。一等水兵は米海軍犯罪捜査局(NCIS)の調べに、「私が刺しました」と犯行を認めているという。県警は容疑が固まり次第、殺人容疑などで逮捕状を請求する。
 県警の捜査員六人は二日午前九時ごろ、捜査車両二台に分乗して横須賀署を出発、約五百メートル北西の米海軍横須賀基地に入った。
 県警によると、一等水兵の任意聴取には米海軍関係者が立ち会い、同九時半ごろから同基地内の拘禁施設で始まったという。
 県警は今後、日米地位協定の運用改善合意に基づき、一等水兵の起訴前の身柄引き渡しを米側に求める方針。在日米海軍司令部は「全面的な協力」を表明しており、速やかに応じるとみられる。
 県警と米軍関係者などによると、高橋さんが刺殺されたタクシーの車内には一等水兵名義のクレジットカードが残されていた。NCISの調べに対し、一等水兵は当初、「現場近くの飲食店にいた」などと事件への関与を否定。しかし供述が二転三転し、最近になって殺害を認めた。凶器の包丁(刃渡り約二十センチ)は一等水兵が脱走中に出入りしていた東京都内の知人女性宅から持ち出したとみられる。
 高橋さんは三月十九日午後九時二十分ごろ、横須賀市汐入町の路上に止めたタクシーの運転席で、首の付け根に包丁が突き刺さった状態で発見された。一等水兵はこの直後、現場近くから携帯電話で知人に事件への関与を示唆していた。
 一等水兵はイージス巡洋艦「カウペンス」乗組員。三月八日に基地から脱走し、事件後の同二十二日未明に東京・五反田周辺でNCISに身柄を拘束された。

米兵逮捕へ詰めの協議 神奈川県警と検察当局
[東京新聞 2008年4月2日 17時48分]

 神奈川県横須賀市でタクシー運転手高橋正昭さん(61)が刺殺された事件で、県警横須賀署捜査本部は2日午後も、米海軍横須賀基地で、高橋さん殺害を認めたナイジェリア国籍の兵士(22)を取り調べた。捜査本部は供述の裏付けを急ぎ、逮捕に向け検察当局と詰めの協議をしている。
 捜査本部は3日にかけて殺人容疑などで逮捕状を取り、日米地位協定の運用改善合意に基づき、日米合同委員会で起訴前の身柄引き渡しを米側に求め、逮捕する。米側は速やかに同意するとみられる。
 2日の取り調べは県警の捜査員と通訳が午前9時半すぎから午後2時すぎまで、米海軍立ち会いのもとで実施。米兵は「自分がやった」と高橋さん殺害を認めた。
 米兵はイージス巡洋艦「カウペンス」乗組員の1等兵で、3月22日に米海軍が東京都内で脱走罪で身柄拘束した。
 これまでの調べで、車内から米兵のクレジットカードが見つかり、米兵が凶器の包丁を知人女性宅から持ち出していたことなどが分かっている。(共同)

31日、神奈川県警が、米兵が友人に「やっちまった」と電話していたことを突き止めた。このあたりからようやく風向きが代わり始めたが、しかし、この時点でも、県警はなお米軍側に米兵の事情聴取の要請をおこなっていなかった、というより要請できなかった、というべきだろう。

知人に関与ほのめかす電話=米水兵、近く聴取?タクシー運転手刺殺・神奈川県警(時事通信)
神奈川・横須賀のタクシー運転手殺害:防犯カメラに米兵?――東京・品川駅と横須賀(毎日新聞)

知人に関与ほのめかす電話=米水兵、近く聴取?タクシー運転手刺殺・神奈川県警
[時事通信 2008/03/31-12:19]

 神奈川県横須賀市でタクシー運転手高橋正昭さん=当時(61)=が刺殺された事件で、車内に残されたクレジットカードの名義人で米海軍横須賀基地内に脱走罪で拘束されている同基地所属の水兵(22)が事件直後、現場近くから知人に関与をほのめかす電話をかけていたことが31日、県警横須賀署捜査本部の調べで分かった。
 捜査本部は近く日米地位協定に基づき、米軍側に水兵の聴取を正式要請した上で、事件について詳しい事情を聴く方針。
 水兵はナイジェリア国籍で、捜査本部は水兵の携帯電話の発信履歴などから、事件直後の19日夜、水兵がナイジェリア人の知人に電話をかけ、事件への関与を示唆する話をしていたことが分かった。

神奈川・横須賀のタクシー運転手殺害:防犯カメラに米兵?――東京・品川駅と横須賀
[毎日新聞 2008年4月1日 東京朝刊]

◇東京・品川駅と横須賀の飲食街
 神奈川県横須賀市でタクシー運転手の高橋正昭さん(61)が刺殺された事件で、事件当日の3月19日夜、東京・品川駅と現場近くの飲食街の防犯カメラに脱走容疑で米海軍に拘束された米兵(22)と酷似した男が映っていることが分かった。現場周辺の鉄道駅の防犯カメラにはこの男は映っていないため、県警は高橋さんのタクシーで移動した物証の一つとみている。
 調べでは、高橋さんが品川駅周辺で最後の客を乗せた19日午後7時半の直前、駅改札口から米兵と似た男が出てきた。高橋さんが殺害された午後9時20分過ぎには、現場から数百メートル離れた横須賀市の飲食店街「ドブ板通り」の防犯カメラでも同一人物とみられる男の映像が確認された。一方、この男は現場近くの京急汐入駅などの防犯カメラには映っていなかった。米兵は米海軍の調べに「(事件当時は)ドブ板通りの飲食店にいた」と関与を否認しているが、県警は供述を覆す証拠の一つになるとみている。【鈴木一生、山衛守剛、池田知広】

26日は米軍から指紋などの提供をうけている。今回の事件では、米軍の方も神経を使っているようなので、ここで別人の指紋を提供するなどということは考えられなかっただろうが、しかし、こうした「お願いして情報を提供してもらう」というようなやり方では、ごまかそうと思えばいくらでもできてしまう。任意での指紋提出であっても、県警が直接本人から指紋を採取できなければ意味がないのではないだろうか。

米兵の指紋など提供受ける タクシー運転手刺殺事件(東京新聞)

米兵の指紋など提供受ける タクシー運転手刺殺事件
[東京新聞 2008年3月26日 18時25分]

 神奈川県横須賀市でタクシー運転手高橋正昭さん(61)が刺殺された事件で、車内に残っていたクレジットカードの名義人で、脱走罪で拘束されている男性兵士(22)の指紋と口内の粘膜組織などを、米海軍側が横須賀署捜査本部に提供したことが26日、分かった。
 捜査本部は提供を受けた資料と、タクシー内から採取した毛髪や微物とのDNA鑑定を開始。車内の指紋との照合も進め、最後の乗客の特定を急いでいる。
 また、兵士が米海軍の調べに「クレジットカードはなくした」と説明していることも判明。事件発生の19日夜は「現場近くの飲食店にいた」と事件への関与を否定している。(共同)

何はともあれ、友人に電話をかけていたことを突き止めたり、高橋さんが最後に乗客を乗せたころに米兵らしき男性が品川駅周辺で防犯カメラに写っていたことを割り出した県警の努力を多としなければならない。

それに比べると、県警の捜査待ちの態度に終始し、事件解明のために何もしようとしなかった政府の態度は、国民の生命を守るという主権国家の最低限の責務さえ蜂起したものと言わざるをえない。

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