9条改正反対が過半数―メディアの世論調査

「朝日新聞」2008年5月3日付朝刊から
「朝日新聞」2008年5月3日付朝刊から

マスコミ各紙が憲法世論調査を発表。いずれの調査でも、9条については改正反対が多数を占めているのが特徴です。

「朝日」の調査では、9条について「変えない方がよい」が66%を占め、「変える方がよい」の23%を大きく上回っています。

9条改正反対66%に増、賛成23%に減 本社調査(朝日新聞)
「改憲に賛成」48%、「現在のまま」43%・日経世論調査(NIKKEI NET)
改憲必要57%、不要34% 南日本新聞鹿県民調査(南日本新聞)
改憲容認の道民 九条維持58%に増加「戦力明記を」14ポイント減 世論調査(北海道新聞)

「朝日」調査では、憲法全体について尋ねると、改正「必要」は56%にのぼっていますが、そのなかで9条改正を支持する人は37%しかありません。つまり、全体では、20%ほど。「改正」が必要だとする理由でも、「9条に問題がある」は13%(全体に対する割合では7%余り)しかありません。

また、「朝日」調査では、9条について、自民支持層でも57%が「変えない方がよい」と回答していることも注目される(「変える方がよい」は30%)。

9条改正反対66%に増、賛成23%に減 本社調査
[asahi.com 2008年05月02日21時33分]

 3日の憲法記念日に合わせて、朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)によると、憲法9条を「変えない方がよい」との回答が66%にのぼり、「変える方がよい」の23%を大きく上回った憲法改正が「必要」とする人は56%いるが、その中で9条改正を支持する人の割合は37%にとどまり、54%が「9条は変えない方がよい」と答えた。

憲法改正の必要性は…(「朝日新聞」2008年5月3日付)

 調査は4月19、20の両日に実施した。
 前の安倍内閣時代の07年4月に実施した調査でも、9条は「変えない方がよい」が49%で「変える方がよい」の33%を上回っていたが、今回は大きく差が広がった。
 この1年間は、安倍内閣が改憲への準備や集団的自衛権の議論を進めたほか、福田内閣のもとでもインド洋への海上自衛隊派遣をめぐる国会論戦が続くなど、9条や自衛隊の対米協力にかかわる論議が具体性を帯びた時期だった。
 一方、憲法全体について聞くと、憲法改正が「必要」とする人は56%なのに対し、「必要ない」は31%。07年調査で「必要」58%、「必要ない」27%だったのと大きな変化はなかった。
 憲法改正が「必要」と答えた人に理由を聞くと、74%が「新しい権利や制度を盛り込むべきだから」と答えた。「9条に問題があるから」は13%、「自分たちの手で新しい憲法を作りたいから」は9%にとどまった。
 また、憲法改正が「現実的な問題」と思う人は52%、「まだ先の問題」とする人は35%。07年調査ではそれぞれ59%、31%だった。「先の問題」とする人に理由を聞くと、71%が「国民の間で機運が高まっていない」を選んだ。国会で与野党の対立が深まっていることを挙げたのは19%、安倍首相が退陣したことを挙げた人は5%だった。
 衆参両院で多数派が異なるねじれ国会への評価を聞いたところ、「好ましくない」が62%を占めた。ただ、憲法を改正して衆議院の権限をさらに強めることについては、反対が58%だったのに対し、賛成は23%だった。

以下は、「朝日」の紙面から。

「9条改正反対」自民支持層でも57%
[朝日新聞 2008年5月3日付14面]

 戦争の放棄や戦力の不保持を定めた憲法9条について、「変えない方がよい」と考えている人が今回増え、「変える方がよい」は減った。イラク戦争(03年)やイラクへの自衛隊派遣が注目を集めたころに、「変える」に傾きつつあった世論が、以前の水準に戻ってきたと映る。
 「変えない」とする人は今回、自民支持層でも57%にのぼり、「変える」は半分の30%。07年4月の調査では「変えない」が41%、「変える」が43%だった。自民と政権を組む公明支持層では今回「変えない」が約8割に達している。民主支持層は71%、無党派層は67%だった。
 「変える」「変えない」の割合は、男性が63%対31%、女性が69%対17%で、女性の方が改正に慎重な意見が目立つ。年代別では20代が77%対16%と最も差が大きい。
 9条を守るべきだとする方向へ針が振れたことは、他の質問分析からもうかがえる。憲法全体をみて改憲が「必要はない」とした人(31%)の中で、理由を「9条が変えられる恐れがある」とした人の割合は51%に達した。07年調査で「改憲の必要なし」とした人(27%)のうち、9条を理由にしたのは39%だった。
 一方、9条を「変える方がよい」と答えた人(23%)には、どう変えたらよいかを聞いた。憲法に自衛隊の定めがないことを踏まえ、「いまある自衛隊の存在を書き込むにとどめる」「ほかの国のような軍隊と定める」の2つを示したところ、「存在を書き込むにとどめる」が56%で多数を占め、「軍隊と定める」は38%だった。
 また全員に、自衛隊の海外活動をどこまで認めるか3つの選択肢で聞くと、「武力行使をしなければ認める」が最も多く07年と同じ64%。「必要なら武力行使も認める」が17%(07年22%)、「一切認めない」は15%(同10%)だった。海外での武力行使には強い抵抗感がうかがえる。

「朝日」2008年5月3日付の紙面から

ほかにも、「年代別に見て前回と変化があったのは20代だ」として、20代では、改正必要は55%、不要は35%で、前回(07年4月調査)の78%対13%から大きく差が縮まった、としています。9条についていえば、20代では「変えない」が77%など、若者の動向がはっきりしてきたのではないでしょうか。

質問と回答
[朝日新聞 2008年5月3日付14面]

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で、該当する回答者の中での比率。<>内の数字は全体に対する比率)

◆憲法改正は、現実的な問題になってきていると思いますか。まだ先の問題だと思いますか。
 現実的な問題     52
 まだ先の問題     35
◇(「現実的な問題」と答えた52%の人に)それはどうしてですか。(選択肢から1つ=択一)
 国民投票法など制度が整ってきたから   20<11>
 自民党の新憲法草案など具体的な案が出ているから   15<8>
 国民の間で理解が進んできたから   57<30>
◇(「まだ先の問題」と答えた35%の人に)それはどうしてですか。(択一)
 国会で与野党の対立が深まっているから   19<7>
 憲法改正に積極的だった安倍首相が退陣したから   5<2>
 国民の間で気運が高まっていないから   71<24>

◆憲法全体をみて、いまの憲法を改正する必要があると思いますか。必要はないと思いますか。
 改正する必要がある   56
 改正する必要はない   31
◇(「改正する必要がある」と答えた56%の人に)それはどうしてですか。(択一)
 自分たちの手で新しい憲法を作りたいから   9<5>
 第9条に問題があるから   13<7>
 新しい権利や制度を盛り込むべきだから   74<42>
◇(「改正する必要はない」と答えた31%の人に)それはどうしてですか。(択一)
 国民に定着し、改正するほどの問題点はないから   29<9>
 第9条が変えられる恐れがあるから   51<16>
 自由と権利の保障に役立っているから   17<5>

◆憲法は第9条で「戦争を放棄し、戦力は持たない」と定めています。あなたは、憲法第9条を変える方がよいと思いますか。変えない方がよいと思いますか。
 変える方がよい     23
 変えない方がよい    66
◇(「変える方がよい」と答えた23%の人に)では、憲法第9条をどのように変えるのがよいと思いますか。
 いまある自衛隊の存在を書き込むのにとどめる     56<13>
 自衛隊をほかの国のような軍隊と定める      38<9>

◆これからの自衛隊の海外活動についてうかがいます。自衛隊の活動はどこまで認められるかについて、あなたの考えは、次の中でどれに一番近いですか。(択一)
 外界での活動は一切認めない     15
 武力行使をしなければ、海外での活動を認める     64
 必要なら武力行使も認める     17

◆いま国会では、衆議院で与党が、参議院で野党が多数を占めています。法律や人事が決まりにくい一方、野党の意見が反映されやすくなるという面もあります。あなたは、いまの国会の状況は好ましいと思いますか。
 好ましい      26
 好ましくない    62

◆いまの憲法では、予算や法律の議決について、衆議院の方に、参議院よりも、ある程度強い権限が与えられています。これに対して、憲法を改正して、衆議院の権限をさらに強くすべきだという違憲意見があります。あなたは、この意見に賛成ですか。反対ですか。
 賛成     23
 反対     58

 調査方法 4月19、20の両日、全国の有権者を対象に「朝日RDD」方式で電話調査を実施した。対象者の選び方は無作為3段抽出法。コンピューターで無作為に発生させた電話番号のうち、有権者がいる家庭用番号にかかったのは3600件。有効回答は2084人。回答率は58%。

「日経」調査では、憲法全体について、「改正すべきだ」(48%)が「現在のままでよい」(43%)を上回っていますが、それでも1年前と比べて改憲支持は3ポイント低下し、護憲支持は8ポイント上昇しています。9条にかんする態度は不明。

「改憲に賛成」48%、「現在のまま」43%・日経世論調査
[NIKKEI NET 2008年5月2日 22:12]

 日本経済新聞社が憲法記念日に先立ち実施した世論調査によると、現憲法を「改正すべきだ」との回答が48%で、「現在のままでよい」の43%を上回った。前回の2007年4月の調査と比べて改憲支持は3ポイント低下し、護憲支持は8ポイント上昇した。国会が憲法調査会を設置した2000年以降、改憲支持は減少傾向が続いている。
 現憲法の問題点を複数回答で聞いたところ「環境権やプライバシー権など時代の変化に対応した規定がない」が31%で最多。次いで「地方自治の考え方が不徹底だ」(28%)、「衆参両院の二院制など国会に関する規定が適当ではない」(24%)だった。改憲を支持する理由は<1>新しい考え方を盛り込む必要がある(54%)<2>現実とかけ離れた条文が目立つ(22%)<3>国の仕組みを、改革を進めやすいように変える必要がある(14%)――などの順。
 「現在のままでよい」と考える理由は「よほどのことがない限り、憲法は改正すべきでない」(35%)がトップで、「憲法改正をきっかけに平和主義が変質する恐れがある」(29%)、「現在のままで特に問題がない」(19%)だった。
 調査は日経リサーチが4月18?20日、全国成人男女に乱数番号(RDD)方式により電話で実施。有権者のいる1541世帯に調査を依頼、908件の回答を得た。回答率は58.9%。

「南日本新聞」が鹿児島県で実施した調査でも、9条改定反対が51.7%(「反対」「どちらかといえば反対」の合計)で、賛成39.1%(「賛成」「どちらかといえば賛成」の合計)を上回りました。自衛隊海外派遣の恒久法制定についても、反対51.3%、賛成36.0%で、反対が過半数を超えていることが注目されます。

改憲必要57%、不要34% 南日本新聞鹿県民調査
9条改正51%が反対
[南日本新聞 2008 05/03 07:44]

 南日本新聞は4月中旬、憲法問題をめぐる電話世論調査を鹿児島県内で行い、「憲法改正が必要」が計57.8%、「必要ない」が計34.6%だった。2007年4月の同様の調査と比べると、両派とも増加し、関心の高まりを示した。憲法九条を変えることには反対計51.7%、賛成計39.1%。自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法制定については、反対計51.3%、賛成計36.0%だった。調査は県民1085人から回答を得た。

◆憲法改正は必要か(単位%)
必要 18.4
どちらかといえば必要 39.4
どちらかといえば必要ない 17.9
必要ない 16.7
分からない・答えない 7.6
◆9条改正について
賛成 17.6
どちらかといえば賛成 21.5
どちらかといえば反対 17.7
反対 34.0
分からない・答えない 9.3
◆自衛隊海外派兵恒久法の制定
賛成 12.9
どちらかといえば賛成 23.1
どちらかといえば反対 25.3
反対 26.0
分からない・答えない 12.8

 憲法改正問題に「非常に関心がある」「少し関心がある」は計75.1%で、前回調査より6.7ポイント増。昨秋、任期中の憲法改正に意欲をみせた安倍晋三前首相から、改正に慎重な福田康夫首相に代わったが、県民の関心はなお高い。
 昨年5月に憲法改正手続きを定めた国民投票法が成立。その後も、年金・医療制度や格差社会への不信感の増大、混迷するねじれ国会、出口の見えないイラク情勢など、国の在り方にかかわる重要課題が山積する現状が憲法への関心度に反映されているようだ。
 戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法9条を変えることについて、反対が過半数となったのは、04年12月以降4回目の調査で初めて。前回より7.5ポイント増えており、憲法問題への関心の高まりが、9条改正への抵抗感となって表れた形だ。
 間もなく成立から1年となる国民投票法を「よく知っている」は10.5%にとどまった。「少し知っている」38.6%、「知らない」47.7%で、具体的な改憲手続きはまだ浸透していないといえる。
 憲法を改正する場合、議論の対象とすべき項目(複数回答)としては「社会保障」が最多の47.6%で、前回調査より9.7ポイント伸びた。

「北海道新聞」の世論調査では、改憲容認が71%で、現状維持24%を大きく上回っています。しかし、改憲容認と回答した人の58%が、9条については「変更しなくてよい」の回答。したがって、全体では、71%×0.58+24%=65%が9条の改正に反対している、ということになります。

また、20代では、改憲容認派の中でも9条は「変更しなくてよい」が72%、改正反対派の中でも「いま変えれば、9条改正につながる」が75%を占め、「9条守れ」が圧倒的多数を占めています。

改憲容認の道民 9条維持58%に増加「戦力明記を」14ポイント減 世論調査
[北海道新聞 04/27 06:48]

 北海道新聞社は5月3日の憲法記念日を前に、憲法に関する道民世論調査を行った。「憲法を全面的に改めるべきだ」あるいは「一部を改めるべきだ」とした「改憲容認」は71%に達したが、戦力不保持を明記する9条については、その6割近くが「変更しなくてもよい」と回答。国民投票法が昨年5月に成立して改憲への手続きが整った中で、9条変更に対しては警戒感が高まっていることが浮かび上がった。
 全面的な改憲容認は14%、一部改憲容認は57%と、昨年4月の調査に比べ、改憲を容認する人は約1ポイントの微増だった。「改めずに、このまま存続すべきだ」とする「護憲」は24%と約5ポイント減少した。いずれの年代でも改憲容認が護憲を上回り、20代と40代では8割を超えた。
 改憲を容認する人に理由を尋ねたところ66%が「時代の変化に応じた方がよいから」と回答。「解釈が分かれる条文をはっきりさせた方がよいから」の27%を大きく引き離した。
 戦力不保持を定めた9条については、改憲容認の58%が「変更しなくてもよい」とし、昨年の調査に比べて9ポイント弱上昇。同じ質問を設定した2004年4月調査以降、初めて過半数を占めた。
 これに対し、「変更して戦力を持つことを明記すべきだ」は31%で、昨年に比べ約14ポイントも減少し、04年以降で最低となった。
 年代別では、いずれの層も「変更しなくてもよい」が5割を超え、20代は72%と特に高かった。性別でみると、男女ともに「変更しなくてもよい」が最多だったが、男性の45%は「戦力保持を明記すべきだ」と答えた。
 一方、護憲の理由では、「世界に誇る平和憲法だから」が48%と最多で、昨年に比べ約7ポイント上昇した。だが、今回を含む5回の調査の中では昨年の41%に次ぐ少なさだった。
 代わって護憲の理由として伸びているのは、「いま変えれば、9条改正につながるから」で、昨年比10ポイント以上増の38%を占めた。年代別では20代と40代で最多の理由となり、20代では75%と高率だった

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  1. 参考になります。

    すみません。 誤植に気がつきました。

    質問と回答
    [朝日新聞 2008年5月3日付14面] の最後の質問(下記)で、「違憲」は誤り、「意見」が正しい。

    ◆いまの憲法では、予算や法律の議決について、衆議院の方に、参議院よりも、ある程度強い権限が与えられています。これに対して、憲法を改正して、衆議院の権限をさらに強くすべきだという違憲があります。あなたは、この意見に賛成ですか。反対ですか。

  2. ささきさん、初めまして。

    誤植の指摘ありがとうございました。
    2年間も気がつかなかったなんて…恥ずかしい限りです。(^_^;)

    ということで、さっそく訂正させていただきました。m(_’_)m

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