『資本論』、「大学生がよむ50冊」に選ばれる

今朝の「産経新聞」に、東海大学湘南キャンパスで、古今東西の名作から大学生の読むべき50冊を選ぶというシンポジウムが開かれ、マルクス『資本論』が50冊のなかに選ばれた、という記事がありました。それで、いろいろ検索してみたら、東海大のホームページに、このシンポジウムの記事を発見。

それを読むと、シンポジウムが開かれたのは5月31日。シンポジウムのなかで、いろいろ議論して50冊を選んだようです。

文芸創作学科のシンポで「大学生がよむ50冊」を選定しました(東海大学)
学生が読むべき50冊 定番から異色作まで 川上未映子ら選定(産経新聞:イザ!)

文芸創作学科のシンポで「大学生がよむ50冊」を選定しました
[東海大学文学部]

 文学部文芸創作学科が5月31日(土)に、公開シンポジウム「大学生がよむ50冊」(毎日新聞社後援/紀伊國屋書店協賛)を湘南キャンパスの松前記念館講堂で開催しました。このシンポジウムは、ジャンルや地域、時代を問わず、大学生にぜひ読んでもらいたい50冊を選び、若者たちを読書の世界に誘おうという催しです。その背景には、若者の読書離れが指摘される一方で、出版点数の増加や情報氾濫などから書籍選びに戸惑いを感じている学生も少なくないという現状があります。
 学生や教職員、一般の参加者など約400人の聴衆が会場を埋め尽くす中、今年『乳と卵』で芥川賞を受賞した作家の川上未映子氏が特別ゲストとして登壇。同じく芥川賞作家の辻原登教授、俳人の長谷川櫂教授ら同学科の教員5人に川上氏を加えた計6人のパネリストたちが、毎日新聞東京本社学芸部長の重里徹也氏の司会進行で、事前にリストアップした150冊以上の図書についての公開討論を行いました。
 「今日は学生の皆さんの代表として、いろいろな話を聞きたいと思って来ました」(川上氏)、「大学生が読むことを考え、(1)図書館に置いてあるもの、(2)文庫本になっているもの、(3)短編小説、の3点に注意して選びました」(堀啓子准教授)、「時間と心の余裕がある大学時代にこそ、読んでほしい本もあります」(山城むつみ教授)など、各パネリストたちはそれぞれの想いを胸に、候補図書の1冊1冊について語り合いました。パネリストらの白熱の討論に予定時間を延長する嬉しいハプニングもありましたが、約4時間の討論の後、無事に「大学生がよむ50冊」が決まりました。

【パネリスト】
 辻原登教授(作家)
 長谷川櫂教授(俳人)
 山城むつみ教授(文芸評論家)
 堀啓子准教授(比較文学)
 室井光広准教授(作家)
 特別ゲスト=川上未映子氏(作家)
 司会=重里徹也氏(毎日新聞東京本社学芸部長)

で、選ばれた50冊はこちら↓。

【大学生がよむ50冊】
日本編 古典 1 万葉集
2 源氏物語 紫式部
3 平家物語
4 徒然草 吉田兼好
5 おくのほそ道 松尾芭蕉
6 歎異抄 唯円/親鸞
7 心中天網島 近松門左衛門
近現代 8 山椒大夫・高瀬舟 森 鴎外
9 吾輩は猫である 夏目漱石
10 たけくらべ 樋口一葉
11 武蔵野 国木田独歩
12 金色夜叉 尾崎紅葉
13 瘋癲老人日記 谷崎潤一郎
14 病床六尺 正岡子規
15 きりぎりす 太宰 治
16 堕落論 坂口安吾
17 遠野物語 柳田國男
18 様々なる意匠 小林秀雄
19 豊饒の海 三島由紀夫
20 富士日記 武田百合子
21 第七官界彷徨 尾崎 翠
22 春宵十話 岡 潔
23 いきの構造 九鬼周造
海外編 中国 24 紅楼夢 曹雪芹
アジア 25 千一夜物語
ギリシア 26 イリアス ホメロス
聖書 27 聖書(旧約+新約)
英米 28 ハムレット シェークスピア
29 嵐ヶ丘 エミリー・ブロンテ
30 インドへの道 E.M.フォースター
31 フィネガンズ・ウェイク ジョイス
32 ナイン・ストーリーズ サリンジャー
33 タイタンの妖女 カート・ヴォネガット
フランス 34 幸福論 アラン
35 危険な関係 ラクロ
36 感情教育 フローベール
37 赤と黒 スタンダール
38 夜の果ての旅 セリーヌ
39 失われた時を求めて プルースト
ドイツ 40 ファウスト ゲーテ
41 資本論 マルクス
42 ブッデンブローク家の人々 トーマス・マン
43 精神分析入門 フロイト
44 変身 カフカ
その他 45 ドン・キホーテ セルバンテス
46 ゴッホの手紙
ロシア 47 魅せられた旅人 レスコフ
48 白痴 ドストエフスキー
49 カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー
50 戦争と平和 トルストイ

こうやってみると、選ばれた50冊はほとんど全部が文学作品。そのなかで、マルクス『資本論』が選ばれたというのは、なかなか凄いことです。『資本論』以外に文学作品でないものといえば、九鬼周造『「いき」の構造』、フロイト『精神分析入門』ぐらい。

ということで、学生のみなさん、ぜひ『資本論』をお読み下さい。m(_’_)m

学生が読むべき50冊 定番から異色作まで 川上未映子ら選定
[産経新聞 2008年6月23日10:21更新]

 書籍・活字離れが叫ばれるなか、古今東西の名作から大学生の読むべき50冊を選ぶというシンポジウムが東海大学湘南キャンパスで行われた。パネリストは文学部文芸創作学科の教員5人と芥川賞作家の川上未映子。事前に提示されていた150冊以上のなかから公開でセレクト。定番の作品からやや異色のものまで50冊が出そろった。
 東海大からは教授の辻原登、長谷川櫂、山城むつみ、准教授の堀啓子、室井光広の5氏が登壇。実作者、評論家、研究者と多角的な顔ぶれとなり、それぞれの読書体験や専門分野をふまえ、同一著者からどの作品を選ぶかや翻訳による差異について、活発な議論で“品定め”を展開した。「(太宰治の)『人間失格』や『斜陽』は短編のあとに読むおまけのようなもの」、森鴎外の作品について「しょせんは役人の小さな悩み」といった指摘は会場の笑いを誘った。
 「読書は事件」と話す川上は、『富士日記』(武田百合子)や『第七官界彷徨』(尾崎翠)、『タイタンの妖女』(カート・ヴォネガット)などを推薦。いわゆるブックガイドなら漏れかねない作品だが、「読みやすいものや感情移入しやすいものが評価基準となることが多いが、それだけではもったいない。難解なものを読んで、自分の価値観や枠組みをはずすおもしろみもある。岡潔の作品はさっそく読みます」と話した。(酒井潤)

それにしても、毎日新聞社が後援したというのに、「毎日新聞」のサイトからは関連記事が見つからない…。(^_^;)
↑と思ったら、22日(日)の「毎日新聞」8面に広告として、記事が出ていました。

↑それによると、「野蛮な思想書をあげました」という文芸評論家の山城むつみさん(東海大教授)が、『資本論』について次のように語っています。

 『資本論』や『精神分析入門』は論理のすみずみまで血のかよった文体が魅力。

フロイトの『精神分析入門』がはたしてそうかどうかは僕には分かりませんが、マルクスの『資本論』が「論理のすみずみまで血の通った文体」であることは間違いありません。(^_^;)

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  1. マルクス Bon appetit! - trackback on 2008/06/24 at 13:36:36

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