これは笑うしかない 映画「わが教え子、ヒトラー」

わが教え子、ヒトラー

さて、コンサートが終わって外へ出てみたら、あたりは真っ暗、ガラガラと雷鳴が鳴り響き、渋谷は土砂降りの真っ最中。

もちろん傘など持ってなかったので、そのままBunkamuraの6階に上がり、雨をやり過ごすあいだ、ル・シネマで昨日封切りになったばかりの映画「わが教え子、ヒトラー」を見てきました。

1945年の新年の大演説会をひかえて、心を病んで落ち込むヒトラーを何とかしようと、宣伝相ゲッペルスは、ユダヤ人の元俳優アドルフ・グリュンバウムを収容所から呼び寄せる。グリュンバウムは、収容所に残された家族と一緒に暮らすことを条件に、ヒトラーに演説指南をおこなうことに…。

ということで、およそあり得ないストーリーですが、実際のところ、1932年に、ヒトラーは、ポール・デヴリエンというオペラ歌手兼ボイストレーナーに発声法や呼吸法を習っていたそうです。その人物設定をユダヤ人俳優ということにして、しかも帝国崩壊目前の時期に移して映画化したのは、監督・脚本のダニー・レヴィのアイデア。

映画は公開になったばかりなので、ストーリーを詳しく紹介しない方がいいと思いますが、冒頭から、ナチスの厳格・煩雑な手続きを風刺する場面が登場して、もうこれは笑ってしまうしかありません。落ち込んで風采の上がらないヒトラーというのも見ものです。それでも、要所要所では、問題の深刻さを感じさせる場面が登場し、製作スタッフの真剣さが伝わってくるように思いました。

とくに、ラストの大集会での演説の場面は、なかなかの見せ場。チャップリンの「独裁者」にも匹敵するものかも知れません。(^_^;)

主役のアドルフ・グリュンバウムを演じるのは、「善き人のためのソナタ」で市民を監視する国家保安省の大尉を演じたウルリッヒ・ミューエ。昨年7月に胃ガンでなくなって、本篇が最後の出演作になってしまいました。ヒトラー役のヘルゲ・シュナイダーは、テレビで活躍するミュージシャン兼コメディアンだそうですが、のどを絞ったようなしゃべり方など見事に演じています。

原題はMein Führer。もちろんFührerは「総統」のことですが、この映画では、ヒトラーがグリュンバウムにかける言葉から採られています。

「わが教え子、ヒトラー」公式サイト

【映画情報】
原題:Mein Führer/監督・脚本:ダニー・レヴィ/出演:ウルリッヒ・ミューエ(アドルフ・グリュンバウム)、ヘルゲ・シュナイダー(ヒトラー)、ジルヴェスター・グロート(ゲッペルス)、アドリアーナ・アルタラス(グリュンバウムの妻)、ウルリッヒ・ネーテン(ヒムラー)/2007年 ドイツ 95分

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