フルキャスト ふたたび業務停止

フルキャストが再び業務停止に。何かと思ったら、前回の業務停止中に業務をやってたんだって。はなから法律守る気のない会社。

フルキャスト再び事業停止へ 停止命令中に派遣繰り返す(朝日新聞)

ところで、こちらは「毎日新聞」の「経済最前線」。記者みずからが派遣会社に登録して、建設現場の「違法」派遣を体験している。違法派遣の実態は、まだまだ告発されるべき問題だ。

経済最前線:40歳、派遣労働9年 悲しき「滑り台社会」(毎日新聞)
経済最前線:建設現場に「違法」派遣 指示と違う作業、再発防止策なく(毎日新聞)

フルキャスト再び事業停止へ 停止命令中に派遣繰り返す

[朝日新聞 2008年9月29日]

 厚生労働省は、日雇い派遣大手フルキャスト(東京都渋谷区)に対し、来月初めにも2度目の事業停止命令を出す方針を固めた。昨夏に事業停止命令を受けながら、停止期間中に新規の派遣を繰り返したためで、全国155の全事業所を対象に1カ月の処分とする見通しだ。
 日雇い派遣をめぐっては、最大手のグッドウィルが廃業し、厚労省は原則禁止の方針を決定。すでに関係業界では日雇い派遣離れが進んでいるが、今回の停止命令もその動きを加速させそうだ。
 フルキャストは昨年3月、労働者派遣法で禁止されている建設や警備などの業務に派遣したとして、事業改善命令を受けた。その後も禁止業務の港湾荷役業務に派遣したとして、同8月、全事業所に1?2カ月の事業停止命令を受けていた。
 同社によると、その停止期間中に121拠点で961件の新規の派遣を行ったと厚労省に指摘されたという。命令が出れば、それ以前から継続していた派遣は行えるが、新規の派遣はできなくなる。同社の派遣労働者は1日約8千人で、うち約4割を占めるとされる日雇いを中心に利用企業への影響が出そうだ。
 日雇い派遣最大手だったグッドウィルは二重派遣などの違法行為を繰り返し、7月末に廃業に追い込まれた。低賃金で雇用が不安定な日雇い派遣は、「働く貧困層」(ワーキングプア)の温床になっているとの批判が高まっており、厚労省は日雇い派遣を原則禁止する派遣法改正案を近く国会に提出する方向だ。
 今回の件について、フルキャスト広報室は「指摘は真摯(しんし)に受け止め、心からおわびしたい。違反事案の詳細は、現在確認中です」としている。

経済最前線:40歳、派遣労働9年 悲しき「滑り台社会」

[毎日新聞 2008年9月30日 東京朝刊]

◇預金消え、全財産は衣類詰めたリュック

 ネットカフェ難民だった多城守さん(仮名、40)は9月初旬、関東の金属部品会社から、業績不振を理由に年内いっぱいでの解雇を打診された。就職して1週間足らず。派遣先の愛知県内の自動車部品工場を今年5月でクビになり、出身地の東京都内のネットカフェ暮らしを3カ月余り。8月末にようやく、契約社員として働き始めたばかりだった。
 高校卒業後の85年、「親の借金返済のため」進学を断念し、大阪府内の警備会社に就職した。仕事は順調で10年目には年収700万円を得た。ところが、警備会社の経営悪化で99年に退職を余儀なくされ、生活は一変した。就職氷河期のまっただ中。婚約中の女性がいたため「相手の家族の手前もあり、何でもいいから仕事に就きたい」と、派遣会社に登録。その後は日雇いや自動車工場などでの派遣労働を繰り返す。多くは3年足らずで契約を切られた。安定しない暮らしにしびれを切らし、婚約者は多城さんに別れを告げた。
 行政にも頼れない。東京都はネットカフェ難民の自立支援策「TOKYOチャレンジネット」で、住宅確保の費用や生活費など計60万円を無利子で貸している。だが、申し込み時に都内での生活期間が半年以上ないと借りられない。都内在住3カ月の多城さんは対象外で、利用を断られた
 暮らしぶりに無駄があったのだろうか。多城さんの工場派遣での月収は20万円台半ば。月々の支出は▽派遣会社に支払う寮費6万?7万円▽光熱費など1万円▽食費6万?7万円▽携帯電話代、娯楽費、社会保険など4万?5万円――。1万?2万円を手元に残すのがやっとだ。会社員時代の預金約400万円はほぼ底をつき、財産は、スーツや下着などをパンパンに詰め込んだ約15キロの重さのリュックだけになった。
 派遣先の業績悪化のたびに職を失ってきた多城さんは「雇用の調整弁」として企業のリスクを一身に押し付けられたとの思いを募らせる。貧困問題に取り組むNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」事務局長の湯浅誠さん(39)は「日本は、一度、足を滑らせるとどん底まで落ちて、はい上がれない『滑り台社会』に陥っている」と指摘。「雇用関係の規制緩和で、労働者を簡単にやめさせられるようになっている現状を踏まえず、努力や能力不足による自己責任論だけで片付けては貧困問題の解決はない」と警鐘を鳴らす。【後藤逸郎、森禎行】

◇貧困、抜け出せず NPO「残業ないと年収200万円未満」

 厚生労働省のまとめによると、派遣労働者は99年度の約107万人から、06年度は3倍の約321万人に急増した。一方、総務省の調査では、正規社員の占める割合は、99年の75.1%から07年は66.5%に減った。
 都のネットカフェ難民支援策を活用し、融資を受けた男性(44)も、物流会社での仕事を業績不振で9月に打ち切られた。「自立しようにも、断続的にしか仕事ができない状態から抜け出せないままでは難しい」と不安をもらす。
 製造業の派遣社員らで作るNPO法人「ガテン系連帯」の池田一慶・共同代表(28)は「時給は1000円が多く、残業代がないと年収200万円に届かない。昇給が保証されているわけでもなく、いくら働いても貧困から抜け出せない」と指摘した。
 総務省によると、15?24歳の若年層の46%が非正規社員。日本弁護士連合会が6?8月に実施した非正規労働者の電話相談では、働き盛りの40代からの相談が最も多かった。低賃金で不安定な労働状況はあらゆる年代に広がり、貧困の固定化、再生産に結びついている。【森禎行】

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■ことば

◇日雇い派遣

 人材派遣会社が労働者と1日単位で契約を結び、他の企業に派遣する事業。引っ越しやイベント会場設営など繁閑の差が大きい業務で利用され、携帯電話やメールで登録者に仕事を通知し、就業を募る形態が多い。99年の労働者派遣法改正で派遣先業種が原則自由化されたことで急速に広がった。雇用が不安定で「ワーキングプア」(働く貧困層)増加の要因になっているとの批判が強まっている。重機操作など危険性の高い作業があり、労災事故も多いことから禁じられている建設業などへの派遣も横行。厚生労働省は30日以下の短期派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案を国会に提出する方針を決めた。

経済最前線:建設現場に「違法」派遣 指示と違う作業、再発防止策なく

[毎日新聞 2008年9月30日 東京朝刊]

 「ワーキングプア」(働く貧困層)の温床とされる日雇い派遣。原則禁止とする労働者派遣法改正案の骨格はまとまったが、国会提出のめどは立っていない。非正規雇用の若者や中高年が働く現場はどうなっているのか。都内の大手建築請負・派遣会社A社の紹介で違法派遣の疑いのある建設現場に入った。

   ◇  ◇

 「ああ、中入って」。午前8時、世田谷区の民家建設現場に着いた。名前を問われることもなく、仕事が始まる。A社による書面での指示は、建物の基礎から不要な型枠を取り外すこと。しかし実際には、一輪車での土砂運びを任された。1回約30キロの土を運び基礎の内側を埋める。一輪車の取っ手が指に食い込み、10分もたたないうちに足がふらつき始める。一輪車に土を投げ込むパワーショベルが眼前をかすめる中、午前8時から午後5時まで、休憩を除き、100回以上計数トンの土を運んだ。日給は7900円。
 職業安定法などは危険な作業の多い建設現場への派遣を禁じている。A社の窓口には「建設業は請負のため、注文主の指示を受けてはいけない。指示を受けていい派遣とはすみ分けしている」と掲示されていた。しかしA社社員は現場に現れず、注文主側の指示を待つほかなかった。
 厚生労働省東京労働局は「注文主側からの指示で働いたなら違法派遣の疑いがある」と指摘。一方A社側は「電話連絡してくれれば対応した」と、責任は注文主側にあるとした。だが、厚労省需給調整事業課は「違法業務の場合、請負会社側も処分対象になる」と説明する。A社の労働者からは「注文主の指示を受ける建設現場に何度も行った」との証言も出ている。【森禎行】

   ◇  ◇

 日本の派遣労働者数は06年度、前年度比26%増の約321万人と過去最多だった。その半数程度は、年収200万円以下。違法派遣の摘発も後を絶たない。

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■おことわり

 A社での建設請負業務の実態を調べるため、記者の身分を明かさずに建設現場での作業に従事しました。A社には後日、正式に取材を申し込み、見解をうかがいました。

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