国際的枠組みが変わる歴史の転換点

今日の「日経新聞」夕刊「十字路」欄に、「金融危機と歴史の転換点」と題する島根大学名誉教授・保母武彦氏のコラムが掲載されています。

「何年かごに金融不安が沈静化するとしても、米国の派遣とドルが元の地位を回復することはないのではないか」と述べて、「今回の事態は、国際的枠組みが変わる歴史の転換点と言うにふさわしい」と指摘されています。

さらに、そうした危機の大きさにたいして、日本の国会論戦――麻生首相の施政方針演説も民主党・小沢一郎氏の代表質問も「米国との緊密な関係を強調」するだけの「旧態依然」とした内容だと批判されています。まったくの同感です。

【十字路】金融危機と歴史の転換点

[日本経済新聞 2008年10月17日付夕刊]

 世界を巻き込んだ米国発の金融危機に対して、主要7力国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を経て、主要国の金融危機対策がほぼ出そろった。これによって、急落した株価は上昇に転じたが、将来への不安感は依然として強く、実体経済の悪化はこれからだとの見方が支配的だ。
 現代史を時期区分するとき、日本では第2次世界大戦が画期とされる。米国では1929年のニューヨーク株式相場の大暴落から始まった世界恐慌だろう。世界恐慌は米国民にとって歴史的転換点であった。今回の金融危機を世界恐慌と比較する議論も出始めている。
 当時と比べて米国内の統治制度も国際的な通貨制度も整えられており、 「世界恐慌の単純な再来とはならない」との見方もある。しかし今回の金融危機によって、米国経済の問題点が浮き彫りになり、信用が地に落ちたことは確かだろう。
 今後の対策が功を奏して、何年後かに金融不安が沈静化するとしても、米国の覇権とドルが元の地位を回復することはないのではないか。その意味で今回の事態は、国際的枠組みが変わる歴史の転換点と言うにふさわしい。
 米国の金融危機のただ中で日本の国会論戦が始まった。しかし、麻生太郎首相の施政方針演説も民主党の小沢一郎代表の代表質問も、米国との緊密な関係を強調するだけで旧態依然とした国際認識に終始した。現実に進行している国際社会の変化を踏まえた、新しい国際秩序づくりの方向性は示されなかった。日本は戦後一貫して米国との2国間調整が国際関係の中心課題であり、その視角だけで世界を見ることに慣れすぎてきたのではないか。
 旧態依然の視角からは、実力をつけてきた中国やインドなどアジア諸国との関係構築や、顕在化してきた世界的食料危機への対処策などは見えず、対応が後手になりかねない。(島根大学名誉教授 保母武彦)

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