派遣労働者の「使い捨て」は許されない

米欧金融危機の影響で、日本国内でも、早くも自動車などのメーカーで、派遣労働者の契約解除(つまりクビ)が始まっている。

トヨタ自動車は、8800人いた期間社員を2割減らし、6800人に減らした(一部は正社員化したと言っているが)。トヨタ九州は、800人の派遣労働者を解雇。トヨタ紡織九州は、派遣社員500人のうち200人の契約を打ち切り。日産も2000人いる派遣社員の削減に乗り出す。森精機製作所は派遣社員を630人から350人に減らす予定。

トヨタ九州 32万台に減産(西日本新聞)
クローズアップ2008:東証バブル後最安値 雇用、賃金に影響(毎日新聞)
日産:輸出減少で九州工場も減産 栃木工場は期間延長(毎日新聞)
世界経済混乱、急速な円高 自動車関連 影響広がる 県内 売上高減、リストラも(西日本新聞)
トヨタ:国内期間従業員、半年で2割削減(毎日新聞)
派遣切り 加速 不況・円高直撃「簡単に使い捨て」(東京新聞)

トヨタ九州 32万台に減産

[西日本新聞 2008年10月28日 00:23]

 トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)が2008年度の生産計画を32万台に引き下げたことが27日、分かった。北部九州の自動車生産台数の合計は昨年度を下回る見通しとなった。
 トヨタ九州は高級車「レクサス」ブランドとスポーツ多目的車(SUV)の「ハイランダー」を生産、約9割を輸出している。昨年度は過去最高の約44万台を生産した。
 本年度も当初は前年度並みの生産を予定していたが、主力の北米市場での原油高や金融危機による需要減を受け、6月から減産。生産台数は4年ぶりに減少する見込み。減産に伴い、同月と8月には約800人の派遣社員との契約を解除した
 日産自動車九州工場(同県苅田町)も11月から来年3月末までにSUVを3万7000台減産する。このため、両社にダイハツ九州(大分県中津市)を加えた、九州に拠点を置く自動車メーカーの本年度の合計生産台数は約111万台で、過去最高だった前年度の約113万台を下回り、4年ぶりに減少に転じる見通しとなった。

クローズアップ2008:東証バブル後最安値 雇用、賃金に影響

[毎日新聞 2008年10月28日 東京朝刊]

 日経平均株価の終値が27日、03年4月28日のバブル後最安値を下回り、82年10月7日以来、約26年ぶりの安値に沈んだ。今回は、同水準だった82年、03年に比べると環境も異なり、米国発の金融危機が発端だけに一見、「実感の薄い株安」に映る。しかし、大手メーカーなどは、超円高や販売不振による業績悪化で人員削減や設備投資の抑制に動き出しており、今後、賃金の低下や雇用情勢の悪化など一般の暮らしにも影響が広がりそうだ。

◇「負の連鎖」の恐れ 消費低迷、景気さらに後退

 「銘柄によっては株価が3分の1に落ちた。当分は無駄な買い物は控えて節約しないと……」。年金と退職金の運用で生活する東北地方の無職男性(64)は話した。
 株安は、株や投資信託で資産運用する消費者の懐を直撃しており、現役世代への影響も深刻だ。運用実績によって将来受け取る年金額が上下する「確定拠出年金」(日本版401k)の加入者は、08年7月末で約310万人。株式を組み込んで運用している人が大半で、「401kの含み損が将来不安となり、消費を控える動きが出ている」(大手銀行)という。
 大和総研によると、国内の個人金融資産は、27日時点で約1437兆円。米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題が顕在化する前の07年6月末に比べ、1割弱の約134兆円も目減りした。百貨店業界は「株価が下がると2?3日で売り上げに影響が出る」(高島屋の鈴木弘治社長)と嘆く。
 自動車や電機メーカーの一部は、既に人員削減に乗り出している。この影響が広がり、家計の所得が減って一層の消費低迷を招き、一段の景気悪化をもたらす「負の連鎖」を懸念する声が強まっている。
 トヨタ自動車は、3月末に約8800人いた期間従業員を9月末までに2割削減した日産自動車も国内工場で働く派遣労働者(約2000人)の一部を減らす方針だ。09年3月期の業績予想を大幅下方修正したソニーも「人の削減が出ても不思議ではない」(大根田伸行・最高財務責任者)という。
 自動車業界などは設備投資の抑制に動き出し、影響は他の業界にも波及。工作機械大手の森精機製作所は、生産台数を今年度上半期の月650台から下半期に月500台に減らし、来年2月までに派遣社員を630人から350人に削減する予定だ
 業績の悪化は、まず給料やボーナスの減少に跳ね返る。日本経団連がまとめた大手企業の今冬ボーナスの妥結状況によると、組合員1人当たりの妥結額は前年同期比0.03%減の90万4885円と、6年ぶりに前年実績を下回った。【秋本裕子、小倉祥徳】

◇「石油危機後」82年、「金融不安」03年…今回は外需頼み露呈

 82年10月は、70年代の石油危機を乗り切った直後で経済成長率や失業率は安定。為替レートも1ドル=270円台と輸出を後押しし、株価は上昇過程に入っていた。80年代後半のバブル景気の前だったため銀行の不良債権比率も低かったとみられる。
 03年は、バブル経済崩壊後に大手行が巨額の不良債権処理に苦しみ、金融不安が広がっていた。大手行の融資全体に占める不良債権の比率は7.2%と高く、銀行株低迷が相場全体の足を引っ張っていた。企業は過剰な債務や雇用を抱え、電機メーカーなどは相次いで1万人単位の人員削減を実施。失業率は5.5%に達した。
 これに対し、今回は大手行の不良債権比率は1.4%に低下し、銀行の経営体力は回復。一般企業も身軽になっている。このため市場では「株は売られ過ぎ」との見方は根強い。
 03年は、日経平均がバブル後最安値をつけた直後の5月、政府がりそなホールディングスに2兆円の公的資金を投入する実質国有化を決め、不良債権の本格処理に乗り出したことを契機に、株価は底を打った。
 今回の株安をめぐっては、「日本の株価は海外経済の動向に大きく左右される構造となっており、日本の対応は難しい」(みずほ総研の太田智之シニアエコノミスト)と指摘される。02年から続いてきた戦後最長の景気拡大局面も輸出依存型だったためで、外需頼みのもろさをさらけだした格好だ。【坂井隆之】

日産:輸出減少で九州工場も減産 栃木工場は期間延長

[毎日新聞 2008年10月21日 19時09分(最終更新 10月21日 20時58分)]

 日産自動車は21日、九州工場(福岡県苅田町)で11月から、北米輸出用の大型車を減産すると明らかにした。米国での販売不振による措置で、栃木工場(栃木県上三川町)も減産期間を来年3月まで延長する。自動車各社は北米工場で生産体制の見直しを進めているが、輸出の減少で国内にも減産の動きが広がっている。
 2工場の減産規模は計約7万5000台で、今年度の国内生産台数計画の約5%に当たる。大型のスポーツタイプ多目的車(SUV)「ムラーノ」などを生産する九州工場では、生産ラインの休止日を設けるなどして、来年3月までに約3万7000台減産する。
 海外向け高級ブランド「インフィニティ」などを生産する栃木工場でも、9月から2カ月間の予定だった減産を来年3月まで延長。減産規模を当初計画の約1万台から約3万8000台に拡大する。全国に約2000人いる派遣社員の削減にも乗り出す意向だ
 米国では金融危機やガソリン高で新車市場が縮小し、日産の9月の販売台数も前年同月比36.8%減だった。自動車業界ではトヨタ自動車も、北米輸出用の大型車などを生産している子会社、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)で減産している。【宮島寛】

世界経済混乱、急速な円高 自動車関連 影響広がる 県内 売上高減、リストラも

[2008/10/11付 西日本新聞朝刊 2008年10月11日 02:05]

 日経平均株価の下げ率が戦後3番目となった10日、東京外国為替市場では円相場も急伸し、一時は1ドル=97円台を付けた。1週間で5円、この2カ月で10円を超える急速な円高に、輸出に支えられてきた県内の自動車関連企業などには懸念の声が広がった。米国のサブプライムローン問題に端を発した世界経済の混乱で、地方経済も「消費低迷」「金融不安」「株安」「円高」の四重苦に直面している。
 輸出関連の中でも深刻なのは、米国のほか、中国やインドといった新興国の外需に引っ張られてきた自動車産業だ。売上高の9割を自動車関連で占めるボルト製造の佐賀鉄工所(佐賀市)は「米国の景気悪化で、10月の売上高が前年同月比で数%減った」。海外取引は4半期ごとに為替レートを設定しているため、すぐに円高の影響が出ることはないが、「次期改定の来年1月まで続けば、影響は大きい」という。
 シート製造のトヨタ紡織九州(神埼市)は、全製品を納入するトヨタ自動車九州(福岡県宮若市)が北米での販売不振で減産体制に入ったことにより、5月以降、派遣社員500人中200人の契約を打ち切った。ヘッドランプ製造の小糸九州(佐賀市)も短期雇用者を減らすなどしてきたが、円高で新たな対応を迫られる可能性もある。
 北部九州は福岡県を中心に自動車関連企業が進出、県も積極的に誘致している。九州経済調査協会(福岡市)の豆本一茂主任研究員は「佐賀を含めた北部九州は『カーアイランド化』で輸出依存度が全国平均より高い。円高が長期化すれば影響は大きい」と指摘する。
 一方、製品の95%が国内向けで、原材料の3割を輸入に頼る久光製薬(鳥栖市)の斎藤久企業部長は「原油価格が高騰しているので、円高で原材料の仕入れ価格が安くなるのは助かる」としつつも「景気後退で市場全体がしぼむ恐れもある」と警戒感を強めている。

トヨタ:国内期間従業員、半年で2割削減

[毎日新聞 2008年10月4日 東京朝刊]

 トヨタ自動車は3日、国内工場で働く期間従業員を9月末までの半年間で2割減らしたと明らかにした。輸出の低迷などで国内生産が減少しているため。日産自動車も、国内工場で働く派遣労働者(約2000人)の削減を検討しており、米国の金融危機が国内の雇用にも影響を及ぼし始めている。
 トヨタは6月末から新規採用をやめ、3月末に約8800人いた期間従業員を9月末で6800人に減らした。「正社員への登用を進めたことも人数減につながった」という。
 同社の国内生産の約6割は輸出向けだが、北米市場の悪化で輸出台数が減り始めたうえ、国内販売も低迷しており、一部の工場で稼働率が落ちていた。【宮島寛】

派遣切り 加速 不況・円高直撃「簡単に使い捨て」

[東京新聞 2008年10月28日 朝刊]

 急激な円高による業績悪化や世界同時不況への不安が強まり、自動車や精密機器など輸出産業の工場で働く派遣社員の契約解除が相次いでいる。四年前に製造業派遣が解禁され工場で働く派遣社員が急増したが、メーカーには雇用責任がなく立場の弱い派遣社員の“大量解雇”が進む。寮生活者の中には住む場所を失う人もおり、貧困層の拡大を懸念する声が上がっている。 (砂本紅年、菊谷隆文)

 「本当に使い捨て。何の保障もなく、簡単に切り捨てられて終わった」。埼玉県内に住む元派遣社員の男性(25)はそう怒る。
 5年前に東京都内の派遣会社に登録。自動車部品メーカーの埼玉工場と群馬工場で、半年ごとに契約を更新しながら組み立てや検査の仕事をしてきた。
 今年7月、メーカー側から「8月いっぱいでやめてくれ」と言われた。翌月、男性を含め約20人の契約を中途解除。全国では約200人の契約を打ち切った。男性の毎月の手取りは15万円程度。ボーナスも退職金もなかった。今は実家に戻り、正社員を目指して職業訓練校の入学を希望している。
 「自分はまだ若いからいいけど、工場は30代、40代の派遣の人が多く、家族がいる人もいる。そういう人はどうしようもないだろう」と気遣う。
 「職場では人員整理のうわさばかり。自分の番はいつかって」。昨秋から長野県内の半導体メーカーで働く派遣社員の男性(37)も不安でいっぱいだ。
 9月以降、派遣社員数十人が契約を打ち切られた。昼食を共にしていた40代の男性も「参っちゃった。リストラだ」と横浜の実家に帰っていった。
 東北出身の男性はこれまで派遣で全国を転々としたが、こんな行き詰まりを感じたのは初めてだ。派遣会社の寮に住むため、寮費などを引かれた手取りは約13万円。失業すれば住む家も失うことになる。「この先どうなっちゃうんだろう。明日から来なくていいと言われたら情緒不安定になりそう」
 製造業の派遣社員でつくる労働組合「ガテン系連帯」共同代表の池田一慶さんは「派遣切りはこれからどんどんひどくなるだろう。構造改革で雇用を崩壊させた国は、雇用保険の受給資格の緩和や雇用促進住宅の活用などで、緊急措置を取る責任がある」と訴える。

Similar Articles:

Leave a Comment

NOTE - You can use these HTML tags and attributes:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">