契約期間中の期間従業員の一方的解雇は無効だ!!

自動車メーカーによる期間従業員、派遣労働者の契約打ち切りが続発している。

しかし、「景気が悪くなったから仕方ない」ではすまされない問題がそこにはある。

まず、期間従業員の場合。たとえば、「来年3月末まで」という契約になっていた場合、契約期間中の一方的な契約打ち切りということになるが、これは労働契約法第17条に違反する行為で、無効である(つまり、解雇できない)。

労働契約法では、「期間の定めのある雇用契約」について次のように定められている。

第17条 <1> 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

つまり、たとえば来年3月末までという約束で働いている期間従業員の場合、「やむを得ない事由」がない限り、「12月末で契約を打ち切る」ことはできないのだ。

問題は何が「やむを得ない」理由になるかだが、これまでの裁判では、整理解雇するときには次のような4つの条件を満たしている必要がある、ということが判例として定着している。

  1. 人員整理の必要性(どうしても整理解雇しなければならないような切迫した経営状態にあるか)
  2. 解雇回避努力義務の履行(解雇を回避するために、あらゆる努力をつくしたかどうか)
  3. 被解雇者選定の合理性(解雇の人選基準が合理的であり、その適用基準も合理的であるか[1]
  4. 手続の妥当性(労働者および労働組合と事前に協議を尽くすなど、合理的で相当性のある手続きを踏んでいるかどうか)

これに照らして考えれば、たとえば、いすゞ自動車が来年3月期で600億円の営業利益を見込み、株主にたいして1株当たり1円の増配(全体では17億円の増配)を予定しているように、主要自動車メーカーはどこも営業利益を見込んでいる。こんな状況では、とても<1>の「人員整理の必要性」を満たしているとは言えない。

したがって、工場が減産するからといって、契約期間中の期間従業員の契約を突然打ち切って12月末で契約解除することはできない。期間従業員は、非正規雇用、非正社員とくくられるが、派遣労働者とはちがって、企業が直接雇用する労働者である点では、正社員と何ら変わりがない。したがって、大量に整理解雇する場合には、当然、上記「整理解雇の4条件」が適用される。

労働契約法第16条は、「客観的に合理的な理由」を欠いた解雇は「無効」だと定めている。

第16条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

したがって、労働契約法第17条に違反した契約期間中の解雇(契約解除)は無効であり、政府は、そうした違法な解雇をやめさせるように厳しく対処する必要がある。

そもそも、企業同士の取り引きであれば、契約期間中に一方的に契約を打ち切るなどということは許されない。「うちの会社が大変なんです」といっても、契約は契約で、それに違背すれば損害賠償を求められても文句は言えない。トヨタだっていすゞだって、企業に対してはそうやってきちんと契約を守っているはず。

期間従業員だって、立派な雇用契約の当事者だ。だから、「やむを得ない事由」がないにもかかわらず途中解除された場合には、契約期間いっぱいまで働いた場合の賃金(報奨金などを含む)を損害賠償として要求する権利が当然あるのだ。

契約を守ることは企業人として、最低限のルール。ところが相手が弱い立場の労働者だということなれば、とたんに、一方的に契約解除をして、なんら悪びれない。資本主義失格としか言いようのない振る舞いだろう。

  1. たとえば、整理解雇が必要になったことに便乗して、気に入らない人物を狙い撃ちにして解雇するようなことは認められない []

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