雇用危機 問題の焦点が分かりやすく

『議会と自治体』2009年2月号
『議会と自治体』2009年2月号

現在発行中の『議会と自治体』2009年2月号(日本共産党発行)に載っている大木一訓「『非正規』労働者の失業にどう対応するか」という論文。現下の雇用危機の焦点がどこにあるか、非常に分かりやすく論じられている。関心ある方にお薦めします。

大事だと思った第1の点は、「非正規」労働者とは具体的にはどういう人かという点で、大木氏が「本来は外国人労働者もこのなかに加えて考えなければならない」と指摘されていること。

地方によっては、外国人労働者が多く住み、その解雇・失業問題への対応に迫られている自治体もある。先日もニュースで、これまで私立の学校でポルトガル語で授業を受けていた日系ブラジル人の子どもが、親の失業で公立小学校に転校してきたが、日本語がほとんどわからないという話が紹介されていた。こうした問題を含めて対応が求められている。

大木氏は、「非正規」労働者が、実態はけっして臨時的・補助的ではなく、正社員と同じように基幹的な仕事を担っていることも強調されている。これは現在の問題をとらえるうえで非常に重要な視点だと思う。

 「非正規」という表現は、臨時的・補助的な仕事をしている、という意味合いをこめて使われることが多いが、これら「非正規」労働者のほとんどは、正社員と同じように基幹的な仕事を担い、同じ就業条件のもとで働いている。

現在、契約打ち切りで解雇されている「非正規」労働者の中には、技能的にも高く、新人正社員を指導しているような人までいるという。「非正規」という呼称に惑わされてはいけないのだ。

「非正規」労働者の貧困化の実態が、7項目にわたって整理され、指摘されているが、これは問題を全面的にとらえるうえで非常に大事なポイントだ。

  1. 「非正規」労働者の賃金が文字どおり飢餓的水準であること。そのために、まったく蓄えをもてず、失業するとたちまち窮迫した状態におかれる。
  2. 雇用保険も適用されず、生活保護を申請するすべもないなど、社会保障の諸制度から排除されていること。そのため、失業した場合の生活保障手段をまったくもたない状態におかれている。
  3. 家族や地域社会からも切り離されてい、孤立した状態で生活していることから、生活に困窮したときに相談できる人間関係も失っている場合が多いこと。
  4. したがって、このような状態で特段の資産もなく会社の寮などで暮らして働いている「非正規」労働者は、基本的にホームレス状態にある労働者である。
  5. 企業は「非正規」労働者に職業訓練をおこなう意志がないため、「非正規」労働者はなんの職業資格も熟練・技能ももたず、そのことが求職活動をおこなううえで大きな障害になっていること。
  6. 失業した「非正規」労働者は、住所、緊急の連絡先、選挙権、銀行口座、医療保険、介護資格など、市民としての基本的な生活要件や権利を失ってしまうこと。
  7. 「非正規」労働者のなかには、失業にかんする企業の責任や社会的背景を理解できないなかで、精神的にみずから追いつめてしまい、精神健康を害したり、自殺以外に「解決」方法を見いだせなくなっている人が少なくないこと

こうやって考えると、解雇・失業という問題にとどまらず、問題が非常に多面的・複合的であることが分かる。それだけに、対応も総合的なものが求められる。

ところで、論文の中で、こんなグラフが紹介されている。先進国の雇用政策費の支出をGDP比で比較したもの。

主要先進諸国の雇用政策費支出(対GDP比)(『議会と自治体』2009年2月号)

注目すべきは、日本とEUとの比較。日本の雇用政策費がGPDの1%に満たないのにたいして、ドイツやフランスは約3%ある。「受動的雇用政策」とは「失業給付、早期退職」(手当のことか?)ということだが、ドイツはGDP比で2%近く、日本の4倍近くになるようだ。

しかし、それ以上に驚くのは、「積極的雇用政策」の大きさ。「エンプロイヤビリティ関連支出」(教育訓練、若年対策)、「その他の積極的雇用政策」(公共職業紹介、給与助成、障害者対策)のことだが、とくに「エンプロイヤビリティ関連」は、日本は対GDP比0.1%もない。

こうした積極的雇用政策については、もっと研究する必要がありそうだ。

『議会と自治体』のホームページはこちら↓。
日本共産党 「議会と自治体」

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