引き続きリカードの『経済学および課税の原理』(岩波文庫)を読んでいます。
第2章「地代について」は、有名なリカードの地代論(マルクスが「差額地代」と呼んだもの)の解明です。
しかしその中に、こんなくだりが出てきました。
製造品、鉱産物、土地生産物のどれであろうと、あらゆる商品の交換価値は、つねに、きわめて有利な、そして生産上の特殊便宜をもつ者だけがもっぱら享受する事情のもとで、その生産に十分である、より少ない労働量によって規定されるのではなく、このような便宜をもたない者、つまり最も不利な事情のもとで生産を継続する者によって、その生産に必然的に投下される、より多くの労働量によって規定される。(岩波文庫、上110ページ)
ここでリカードは、地代の問題に限らず、一般の「製造品」であっても、その交換価値は、最劣等条件のもとで生産する場合の投下労働量によって規定されると言っています。
地代の場合は、土地が独占されているがゆえに、最劣等地での必要労働量が価値を規定するというのは分かりますが、工業生産物の場合も、そうなるというのは、いったいどういうことでしょうか?