金融と投機はどこで区別するか?

マルクスは「貨幣取扱資本」について、次のように書いている。(第3部 第19章「貨幣取扱資本」の冒頭部分)。

 産業資本……の流通過程において貨幣が遂行する純粋に技術的な諸運動――それが自立して、この諸運動を、そしてこの諸運動だけを自分に特有な諸操作として営む1つの特殊な資本の機能となれば、この諸運動はこの資本を貨幣取引資に転化する。(新日本新書、第9分冊、532ページ、MEW, S.327)

 貨幣支払いおよび貨幣収納のこの単に技術的な操作は、特別の労働を形成するのであり、この労働は、貨幣が支払手段として機能する限り、差額計算や決済行為を必要とする。この労働は、1つの流通費であり、決して価値を形成する労働ではない。この労働は、それが特殊な1つのカテゴリーの代理人たちまたは資本家たちによって、残りの全資本家階級のために遂行されることによって、短縮される。(同前、534ページ、MEW, S.328)

 資本の一定部分は、つねに蓄蔵貨幣として、潜在的な貨幣資本として、手許に存在していなければならない――購買手段の準備金、支払手段の準備金、貨幣形態のままで使用を待っている遊休資本として存在していなければならない。また、資本の一部分は、常にこの形態で還流する。このことは、〔貨幣〕収納や支払い、記帳以外に、蓄蔵貨幣の保管を必要とするが、これもまた1つの特殊な操作である。……資本のうち、資本機能そのものから分離され、貨幣として存在する部分のこの恒常的な運動、この純粋に技術的な操作、それが、特殊な労働および^費用――流通費の原因になる。(同前、同ページ)

分業の結果、資本の諸機能によって条件づけられているこの技術的な諸操作は、可能な限り、資本家階級全体のために1つの部類の代理人たちまたは資本家たちによって専属の機能として行なわれるようになったり、これらの人々の手に集中したりする。それは……二重の意味での分業である。それは特殊な営業となる。そして、特殊な営業として全階級の貨幣機構のために行なわれるので、それは集中されて大規模に営まれる。ところがまた、この特殊な営業の内部に、互いに自立した様々な部門への分裂によっても、これらの部門内部での仕事場〔特殊な施設〕の形成によっても、分業が生じる(大きな事務所、多数の簿記係と出納係、細分化した分業)。貨幣の支払い、収納、差額の決済、当座勘定の処理、貨幣の保管などが、これらの技術的な諸操作を必要にさせる諸行為から分離されて、これらの諸機能に前貸しされた資本を貨幣取扱資本にする。(同前、534-535ページ、MEW,SS.328-329)

外国と交易する商人のためには、さまざまな鋳貨を世界貨幣としての未鋳造の純金・純銀と交換する必要がある。そこから両替商が生まれ、そこから「振替銀行」が発展してくる(同前、535ページ)。

商業一般、資本主義的生産過程からからは――

  1. 蓄蔵貨幣としての貨幣の収集。蓄蔵貨幣の2つの形態――第1の形態は、支払手段および購買手段の準備金としてつねに貨幣形態で存在していなければならい資本部分の収集。第2の形態は貨幣形態で遊休していて、さしあたりは運用されていない資本。この蓄蔵貨幣の形成によって、保管や簿記などの機能が必要とされる。
  2. 購買、販売のさいの貨幣の支出、受領、支払金の支払いと受領、支払いの決済など。「これらのすべてのことを、貨幣取引業者は、さしあたり……単なる預金出納業者として行なう」(同前、538ページ、MEW,S.331)。

これらの機能に、貸付・借入の機能および信用取引が結合するようになれば、「貨幣取引業は完全に発展している」。(同前、540ページ、MEW, S.332)

外国との決済のための「地金取引」は、商品取引の結果であり、それは「国際適所支払いの状態およびさまざまな市場における利子率の状態を表現する為替相場」によって規定されている。地金取引業者がそれらを決めるのではなく、地金取引業者は、その諸結果を媒介するだけである。(同前、540ページ、MEW, S.332)

貨幣取引業が媒介するものは、貨幣流通の技術的諸操作であり、貨幣取引業はこれらの操作を集中し、短縮し、簡単にする。貨幣取引業は、蓄蔵貨幣をつくり出すのではなく、この蓄蔵貨幣が自発的につくり出される場合に、それを経済的な最小額に縮小するための技術的諸手段を提供するのである。(同前、542ページ、MEW, S.333)

貨幣取引業は、貨幣が支払手段として機能するときに、差額の決済を容易にして、またこの決済の人工的な機構によって、決済に必要な貨幣送料を減少させる。しかし、貨幣取引業は、相互的な諸支払いのつながりも規模も規定しない。……貨幣取引業は、ただこの売買にともなう技術的諸操作を短縮し、それによって売買の回転に必要な現金の送料を減少させることができるだけである。(同前、542ページ、MEW, S.334)

要するに、社会的空費である貨幣の流通経費(収納、保管、簿記など蓄蔵貨幣の管理コストと、貨幣の支払いと受領、相互決済のコスト)を節約する、というのが貨幣取扱資本の特徴。1人1人の資本家が自分で蓄蔵貨幣を金庫に保管し、帳簿をつけるよりも、貨幣取扱業者に任せて管理した方が安くつく、ということだ。

これが、貸付・借入、信用取引と結びついたのが利子生み資本(銀行資本)である。それに対して、上述のような条件のもとで純粋な形態でとりあげられた貨幣取引業は、「貨幣流通の技術」と「この貨幣流通から生じる貨幣のさまざまな機能」に関連するだけである。

「彼らの利潤が剰余価値からの控除にすぎない」ことも明らかである。(同前、543ページ、MEW, S.334)

この項、まだまだ続く…。

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