今週の「九条の会」(4月28日まで)

全国各地の草の根で活動している「九条の会」の活動を報道するニュースを、インターネットから拾い集めています。

広島に子どもの本・九条の会

[中国新聞 2009/4/28]

 戦争放棄をうたった憲法九条を守ろうと、広島県内で子どもの本にかかわる人たちが27日、広島市役所で記者会見し、「子どもの本・九条の会広島」を6月21日に設立すると発表した。
 設立の集いを同日午後1時半から広島市中区のアステールプラザで開催。憲法九条を守る活動をする「九条の会」呼び掛け人で作家の井上ひさしさんが「子どもにつたえる日本国憲法」と題して講演する。
 「子どもの本・九条の会」は全国の児童文学者や絵本作家らが昨年4月に設立。「広島でも同様の取り組みを」と、同6月に設立準備会(約30人)を作った。
 集いでは、広島市安佐南区出身で安曇野ちひろ美術館(長野県)の竹迫祐子副館長も、絵本作家いわさきちひろについて語る。入場料は大人前売り1500円。高校生以下は無料だが整理券が必要。

100万人のイラク人が被害にあっている

[京都民報 2009年04月27日 23:13]

 フリージャーナリストの西谷文和氏は27日、今年3月までイラクで取材した映像を使って現地の最新情勢を報告しました。京都市北区の立命館大学で立命9条の会が主催した大学新入生歓迎企画で行ったもので46人が参加しました。
 西谷氏は劣化ウラン弾の影響と見られる生まれつき指がくっついた子どもや国際的に禁止されている毒ガス攻撃の被害と見られる全身まひの子どもの映像を示しながら、「最低でも100万人のイラク人が被害にあっている。戦争は無関係な民間人に被害が出てしまう」と述べました。
 さらに、ブッシュ元大統領(父)が軍産複合会社の役員となって戦争でもうけていることやその会社の株主にオサマ・ビンラディンの一族がいることを指摘し、「イラク戦争はアメリカの軍産複合体がもうけるために始まった。世界は戦争経済から脱却しなければならない」と訴えました。
 西谷氏は、憲法9条について「日本をアメリカの戦争から守っている」とした上で、「軍事予算は福祉・医療・教育など社会保障費と両立し得ない。アメリカや日本では軍事を拡大するために社会保障が削られている。憲法9条を守ることは平和だけでなく生活を守ることにもなる」と述べました。
 質疑応答で西谷氏は、北朝鮮のロケット発射問題やソマリア沖への自衛隊派遣について詳しく説明しました。
 参加した法学部の新入生は「北朝鮮は怖いと思ったけど、アメリカの方が怖い」と述べていました。

沖縄戦、三井三池闘争、憲法九条… 市民主体の自主上映会 26日から、県内各地で

[2009/04/25付 西日本新聞朝刊 2009年04月26日 11:25]

 市民主体の実行委員会などが主催する映画の自主上映が26日から、県内各地で開かれる。沖縄戦や三井三池闘争、憲法九条などをテーマにした4作品で、主催側は来場を呼び掛けている。
 上映作品や日程は次の通り。

 【26日】宗像市の市中央公民館で午前10時半、午後2時スタートの2回。沖縄戦に動員された15?19歳の女学生「ひめゆり学徒隊」の証言を集めたドキュメンタリー映画「ひめゆり」。主催は、むなかた九条の会。前売り券1000円、当日券1200円。
 【5月1日】古賀市の市中央公民館で午後2時半、同7時半開始の2回。大牟田市の三井三池炭鉱で展開された戦後最大規模の労働争議・三井三池闘争を歌で励ました作曲家荒木栄について描いたドキュメンタリー映画「荒木栄の歌が聞こえる」。主催は福岡東部地区春闘共闘会議。前売り券1000円、当日券1200円。
 【5月3日】久留米市の久留米大御井キャンパスで午後一時スタート。日本国憲法の成り立ち、憲法九条をめぐる出来事を積み重ねたドキュメンタリー映画「戦争をしない国日本」。主催は「5.3憲法を考える集い」実行委。大人700円。
 【5月23日】福岡市の市中央市民センターで午前11時、午後一時35分開始の2回。日露戦争の影響を受け、ロシア国内で起きたゼネストを描いた映画「戦艦ポチョムキン」。主催は完全版「戦艦ポチョムキン」上映実行委。前売り券1000円、当日券1300円。

ピースフェスタ:「平和憲法」考えよう 稲美「9条の会」、来月3日に/兵庫

[毎日新聞 2009年4月23日 地方版]

 稲美町の「いなみ9条の会」は憲法記念日の5月3日、町立コミニュティセンター(役場新館4階)でピースフェスタ「みんな集まれ憲法9条の輪・環」(花房弘明実行委員長)を開く。3年前の会結成以来、恒例の集会で「平和憲法共有」を呼びかける。
 10時開会の午前の部では、子どもたちが受けた戦争被害を描いた映画「火垂(ほた)るの墓」を上映する。午後1時からの午後の部では、沖縄民謡の演奏に続き、森田勝さんが「戦時の少年期を語る」と題して、太平洋戦争の激戦地、フィリピン・ルソン島での体験を話す。また、アフガニスタンの農業支援「緑の大地計画」に参加したペシャワール会の山口敦史さん(姫路市出身)が「アフガンの農民とともに生きる」のテーマで講演する。会場内には、山口さんが現地で撮影した写真が展示される。
 参加無料。【成島頼一】〔播磨・姫路版〕

ノーベル賞・益川さん「9条京都の会」の代表世話人に

[asahi.com 2009年4月22日18時15分]

 作家の瀬戸内寂聴さんや哲学者の梅原猛さんらが代表世話人を務める「憲法9条京都の会」の7人目の代表世話人に、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん(69)が内定した。同会の事務局によると、益川さんは「研究者であると同時に一市民であり、9条を守る運動の末席に身を置きたい」と表明したという。
 同会は08年6月に結成。大蔵流狂言師の茂山千之丞さん、臨済宗相国寺派管長の有馬頼底さんらも名を連ねている。

憲法9条京都の会:代表世話人に益川教授就任――来月2日集会/京都

[毎日新聞 2009年4月22日 地方版]

 府内の個人や団体が平和憲法を守り、生かす思いを共有する「憲法9条京都の会」で、ノーベル物理学賞受賞の益川敏英・京都産業大教授が代表世話人を務めることになった。同会は憲法記念日(来月3日)に合わせて同2日、東山区の円山音楽堂で「生かそう憲法 守ろう9条 5・2憲法集会」を開催、益川教授もスピーチする。
 同会は昨年6月に発足。作家の瀬戸内寂聴さんや哲学者の鶴見俊輔さんら6人が代表世話人を務め、現在賛同者は1060人。
 益川教授は、戦争体験や憲法9条について講演で発言してきており、会が代表世話人を依頼したところ、了承が得られたという。近く正式に就任する。
 集会では瀬戸内さんが「いのち」と題して記念講演。集会後、市役所前まで歩く「憲法ウオーク」を実施する。
 午後2時から約2時間。参加無料。【熊谷豪】

「憲法9条の大きさ分かった」 宇治市で憲法集会

[京都民報 2009年04月21日 15:32]

 「中宇治九条の会」は、19日、同市で7回目の憲法集会を開きました。元人形劇団京芸・枝松こずえさんが「平和ひとり人形劇」を演じ、ジャーナリスト・西谷文和さんが「最新の映像で見るイラク戦争」と題して講演しました。
 枝松さんは、死んでもわが子のためにあめを買い求めてこの世に現れる民話「あめ買いゆうれい」の母親が子に寄せる思いと同じように、憲法9条と平和の大切さを訴えました。参加者は、柔らかな京言葉でゆうれいの人形に9条の尊さを語らせる枝松さんの演技にじっと見入りながら、9条の大切さをかみしめていました。
 西谷さんは、現地で自ら撮影した最新の映像を用いながら、戦争で使われた劣化ウラン弾のためにガンを発病した子どもたちや歩行障害や言語障害、脳性まひなどに苦しめられているイラク国民の実態を報告。参加者は、次々と映し出される悲惨な映像を食い入るように見つめ、まるで最新兵器の実験場のようになっているイラク戦争の実態に驚き、民営化された戦争によって莫大な利益を得た戦争企業とその役員にチェイニー副大統領らブッシュ政権の閣僚たちがおさまっていた事実に、怒りの声があがりました。
 最後に、西谷さんは、ブッシュ政権はイラク戦争を始める前に虚偽の情報を流し、戦争を批判する言論を取り締まる法令までつくった経過を示し、日本政府も北朝鮮の核開発問題などを利用して9条を変えアメリカと一緒に戦争ができる国にしようとしていることを見抜き、9条を守ることの大切さを広く訴えてほしいと締めくくりました。
 集会後、「イラク戦争の悲惨な実態を知り、戦争を放棄した9条の大切さがわかった。多くの人に知らせていきたい」などの感想文が寄せられました。(櫻井昇)

子どもの本・九条の会:設立1周年、被爆のピアノ演奏――25日につどい/東京

[毎日新聞 2009年4月21日 地方版]

 作家の松谷みよ子さん(83)や小宮山量平さん(92)ら児童文学界の重鎮らが代表を務める「子どもの本・九条の会」が今月で設立1周年を迎え、記念のつどいが25日、渋谷区渋谷1の都児童会館ホールで開かれる。
 「児童書にかかわる有志で平和憲法を守る行動を」と設立された。会の代表は、松谷さん、小宮山さんをはじめ、絵本作家の太田大八さん(90)、神沢利子さん(85)、古田足日さん(81)、丘修三さん(68)ら12人。
 当日は松谷さんが、原爆で残ったピアノを題材にした自身の著書「ミサコの被爆ピアノ」を朗読し、太田さんが「絵描きの見たヒロシマ」と題して講演する。広島市在住のピアノ調律師で、被爆ピアノの再生に取り組む矢川光則さん(56)の話やNHK教育テレビ「にほんごであそぼ」の音楽制作を担当する歌手、おおたか静流(しずる)さんとピアニスト、大友剛さんのコンサートもある。大友さんは実際に被爆ピアノを演奏する。
 会では憲法に関する学習会やオリジナルバッジの制作などを通じて賛同を呼びかけ、会員は現在約800人。6月には広島にも同様のグループが結成される予定だ。
 丘さんは「軍備強化の流れに抗するには、市民が不戦の立場を守ろうと声を上げることだ」と話す。
 午後1時半開演。1500円。中学生以下500円。【明珍美紀】〔都内版〕

「九条の会」1年で記念集会

[中国新聞 2009/4/20]

 広島市西区己斐地区の住民でつくる「己斐『九条の会』」が19日、地元の公民館で結成1周年を記念する集会を開いた。平岡敬前広島市長=西区=が招かれ、「憲法九条の意味」をテーマに講演した。
 平岡前市長は、核兵器の小型化や開発技術の拡散など、核を取り巻く国際情勢の悪化に言及し「国際平和の実現に向けた核軍縮の動きもあるが、楽観はできない」とした。
 その上で「憲法九条は人間の尊厳を守るためにある」と強調。改憲論についても「米軍と自衛隊の一体化が加速する中、九条は変える状況にない」と指摘した。訪れた約80人は熱心に耳を傾けた。

なばり9条の会:イラクの子どもの実情報告 あす3周年記念講演――名張/三重

[毎日新聞 2009年4月18日 地方版]

◇市武道交流館

 憲法9条を守る活動を続けている「なばり9条の会」は19日、設立3周年を記念して講演会「憲法九条とイラクの子どもたち」を、名張市蔵持町里の市武道交流館いきいきで開く。
 03年2月にボランティア団体「セイブ・イラクチルドレン・名古屋」を設立し、医療品を送ったり、白血病のイラクの子どもたちらの医療支援などをしている小野万里子弁護士が現地医療の実状などをスライドで報告。名古屋市の大学で小児科医の研修を受けているイラク人女性医師2人も質疑応答に参加する。
 現在同会の会員は約460人。開会のあいさつをする代表世話人で書家の藤田透石さん(65)は「戦争の放棄を定めた9条の尊さを訴え、賛同者を増やしていきたい」と話している。
 午後1時半から。協力費500円(高校生以下無料)。【宮地佳那子】〔伊賀版〕

朝日訴訟 再び脚光

[asahi.com 2009年04月15日]

◆最低限度の生活とは…争った10年

 格差社会の波が広がり、長引く不況の底は見えない。そんな中、「健康で文化的な最低限度の生活とは何か」と問いかけた「朝日訴訟」が再び注目されている。訴訟を継承した朝日健二さん(74)への講演依頼が昨年から急増し、11、12両日には岐阜市などでも県内初となる講演会があった。(中沢一議)

◆不況下で講演依頼が急増

 朝日さんは、原告の故朝日茂さんの養子になって妻とともに訴訟を継承した。
 飛騨市古川町の西光寺で12日にあった講演会(九条の会・ひだ主催)には、約50人が集まった。「人間裁判」とも呼ばれる訴訟を茂さんが起こした経緯や、10年にも及んだ訴訟の結末などを語った。
 訴訟を起こした57年当時、結核の重症患者だった茂さんは月600円の生活扶助を受けていた。兄が「せめて栄養をつけられるように」と1500円の仕送りをすると、役所は生活扶助費と同額の600円を残し、900円は国庫に入れるよう求めた。
 「(当時の)生活保護制度は生存権を保障する憲法に反している」などと国を訴えた。茂さんは50歳で死去。朝日さん夫妻が訴訟を引き継いだが、最高裁は認めなかった。
 講演では、東京の日本青年館であった「春の面談・電話相談村」に参加したことも話した。日本は貧しさを放置していると感じたという。「生活保護は、健康で文化的な生活のモノサシになる。モノサシを削ったら国民全体に影響が出る」と静かに訴えた。
 朝日さんによると、こうした「訴訟」の話が聞きたいという要望が急増しているという。裁判後も日本患者同盟の仕事で医療や福祉に尽力したこともあって、介護問題などの講演はしてきたが、訴訟をテーマにした講演の依頼はほとんどなかったという。
 増え始めたのは生活保護への不安が広がり始めた2?3年前から。不況が深刻化した昨年はさらに注目を集めるようになった。昨年だけで30回ほど訴訟について語り、今年はすでに各地で20回近く講演したという。
 「朝日訴訟の時代が再来したように感じる。自殺者が増えているのも同じ。自分がやってきたことが否定されているようにも思えるし、今また訴訟を闘っている気にもなる」
 朝日さんは今の時代を憂え、そう話した。

一行詩:憲法問題考え 20日まで募集――神戸「とうぶ連九条の会」/兵庫

[毎日新聞 2009年4月16日 地方版]

 憲法問題の学習に取り組む神戸市の市民グループ「とうぶ連九条の会」(畦布哲志代表)が、「憲法」や「九条」をテーマにした「一行詩」を募集している。20日まで。
 一行詩は、40字程度の短い詩で書き方は自由。同会は「身近な生活の話題から憲法問題を考えてほしい。そのことが憲法を守る運動につながるはず」としている。
 作品は、日本機関紙協会県本部(〒651?0079 神戸市中央区東雲通3の3の20)へ郵送する。参加費900円で、一行詩を収録したCDを贈呈。優秀作品は5月3日に神戸市勤労会館で展示され、賞金が贈られる。〔淡路版〕

憲法9条世界に広げよう  京都演劇人九条の会結成

[京都民報 2009年04月15日 22:00]

 京都の演劇界で活躍する茂山千之丞や藤沢薫、菊川徳之助、谷ひろしら11氏が呼びかけた「京都演劇人九条の会」が15日結成され、京都市中京区のハートピアで開かれた集会には約50人が参加しました。
 代表世話人の大蔵流狂言師・茂山千之丞氏が結成の口上をのべ、「戦争は人殺し。人を殺したり人に殺されたりすることを2度と繰り返さないと誓った憲法9条は世界に誇るべきもの。世界中から戦争をなくすために『京都演劇人九条の会』の輪を広げていこう」と呼びかけました。
 「じこくのそうべい」で知られる画家・絵本作家の田島征彦氏が、幼い頃に近所に住んでいた女の子を空襲で亡くしたという自身の戦争体験を語り、反戦への願いを込めて「日本は憲法9条をもっと世界に訴えていくべき」と訴えました。
 俳優による戦争反対の少女を描いた田島氏の絵本朗読や京言葉で平和を訴える人形劇が演じられました。

三原で26日、九条の会講演会

[中国新聞 2009/4/13]

 憲法記念日を前に、市民グループ「九条の会・三原」と「九条の会・おのみち」は26日、三原市城町の市民福祉会館で護憲をテーマにした講演会を開く。
 講師は、作家の大江健三郎さんや井上ひさしさんらが参加する「九条の会」(東京)の事務局員で護憲に関する著書もある高田健さん(64)。「自衛隊ではなく9条を世界に」と題し、平和憲法の意義などについて語る。
 午後2時から。資料代500円が必要。高校生以下無料。事務局は日本基督教団三原協会。

講演会:鯖江の辻本さんが戦争体験語る――12日/福井

[毎日新聞 2009年4月10日 地方版]

 太平洋戦争中、パプアニューギニア・ニューブリテン島の最前線で死線をくぐり抜けた鯖江市中野町、辻本喜平さん(90)が、戦場での体験を語る講演会が12日午後2時から、同市水落町のアイアイ鯖江で開かれる。
 辻本さんは、空襲が激しくなって逃げ込んだジャングルでの悲惨な日々を振り返り、「仲間は次々に死んでいった。食べ物は何もなく、カエルも食べた。着る物は死んだ者の服だった」と話す。記憶をたどって95年ごろから絵日記に残しており、講演ではスライドを使って、死と隣り合わせのかつての体験を語る。
 主催は鯖江・九条の会。参加無料。【安藤大介】

小山・九条の会:2周年記念集会――11日/栃木

[毎日新聞 2009年4月8日 地方版]

 憲法を守り平和を求める「小山・九条の会」(松島隆裕代表)の設立2周年記念集会が11日午後1時半から、小山市文化センターで開かれる。
 ノンフィクション・ライターの島本慈子さんが「今、働くことと戦争?改憲を戦争と労働の現場から考える」をテーマに記念講演。憲法九条が改憲されたら自分の仕事はどう変わるか、日本の進路はどうあるべきか、を考える。
 入場無料。【佐野信夫】

支局長からの手紙:毒ガスが沈められた海/高知

[毎日新聞 2009年4月6日 地方版]

 「ドボン、ドボンと白い飛沫(ひまつ)を残して、(中略)容器が次々と沈んで行った。厚さ5ミリの鋼板で作られ、更に内側に厚さ3ミリの鉛板を張られた容器は、毒ガスという悪魔を固く密閉していた」(服部忠著「秘録 大久野島(おおくのしま)の記」)
 戦前に地図から消された島がありました。瀬戸内海に浮かぶ周囲約4キロの大久野島(広島県竹原市)です。1929年から終戦の45年まで旧陸軍の極秘の毒ガス工場が置かれました。皮膚をただれさせるびらん性ガスの「イペリット」と「ルイサイト」を主に製造し、年間生産量は1200トンとも言われています。実戦で多くの中国人が犠牲になったとされます。
 女性「九条の会」高知のメンバーら28人が1月にこの島を訪れました。同会は憲法9条を守る立場から05年に結成されました。今回の訪問は4回目の「平和の旅」です。薬剤師の梶田順子さん(68)=高知市福井町=は「(日本の)加害の側面を肌身に感じました」。そして案内役の説明に、みんながびっくりしました。「毒ガスは終戦直後に土佐沖に投棄された」
 冒頭の服部さん(99年に92歳で死去)は29年、同島に開所した忠海(ただのうみ)兵器製造所に入所しました。毒ガス兵器を造り、戦後は米軍の監督の下、土佐沖へ投棄しました。
 秘録によると、46年10月13日夜、毒ガス容器数百本を満載した貨物船「新屯丸」が島を出港しました。数十人が乗り組みました。船内にはかすかなガス臭がし、検知用に小鳥が置かれました。投棄は15日。褐色のドラム型容器(直径40センチ、高さ70センチ余)を船倉からつり上げ、斜めになった板の台を使って海に捨てました。服部さんが「昼夜兼行、心身を粉にして」造らされたイペリットです。作業は台風接近のため、午後に中止となります。投棄したのは1割以下でした。数日後に給水のため高知港に寄り、服部さんには帰還命令が下りました。新屯丸は27日に残りの投棄作業を終えました。
 土佐沖への投棄は秘密ではありません。旧日本軍の毒ガス弾などについて、環境省が全国調査し、03年11月に公表しました。ホームページなどによると、各地に残ったり、廃棄処理されたりした地点が全国41都道府県138カ所あります。土佐湾には大久野島に残った毒ガスが1946年8?10月に3回投棄されています=表参照。一番近いところは室戸岬沖南69キロ、深度2?2・3キロの海底です。
 環境省と県によると、これまで環境に実害があったという情報はありません。水域の毒ガス弾の処理は、福岡県苅田港で04年から行われています。国土交通省が2034発を回収し、爆破しました。海水や海底から、毒ガス弾の成分は検出されていません。
 九条の会を現地案内した市民団体「毒ガス島歴史研究所」事務局長の山内正之さんは指摘します。土佐沖について「完ぺきに安全という解決でしょうか。今は海砂に埋まっていても、地震などで浮き上がってくるかもしれません」。県によると、環境省の調査直後の会合で県の担当者が「安全宣言」を求めましたが、見送られたそうです。半世紀以上前の「負の遺産」である悪魔は眠ったままなのです。【高知支局長・大澤重人】

■土佐沖に投棄された毒ガス

イペリット        1845トン
ルイサイト         930トン
ジフェニルシアンアルシン(くしゃみ性ガス)  990トン
砲爆弾          16308発

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