仏AFP通信「日本経済の落ち込みで共産党が前進」

13日付でフランスの通信会社AFPが、「日本経済の落ち込みで共産党が前進」という記事を配信しています。こちらは、イタリアの某記事とは違ってちゃんと取材して書かれたもののようです。

『蟹工船』や『資本論』のブームにも触れながら、「日本共産党は長いあいだ周辺的なグループとみなされていたが、この国の経済が混迷するなかで入党者が押し寄せている」「世界第2位の経済大国だと思われていた日本で、巨大企業がクビ切りを始め、若者たちは資本主義システムに疑問を投げかけている」と紹介しています。

Communist party gains as Japan economy sinks : AFP

Communist party gains as Japan economy sinks

[AFP : Wed May 13, 12:02 pm ET]
by Harumi Ozawa

TOKYO (AFP) — Once banned and long seen as a fringe group, Japan's Communist Party has enjoyed a surge in membership during the country's economic meltdown.

In the country at large, Karl Marx's "Das Kapital" has become a manga comic best-seller and an inter-war tale of worker exploitation has found a new readership as a graphic novel.

Japan may be the world's second-biggest economy, but as it hits its worst slump since 1945, with corporate titans going into the red and shedding jobs, a youthful grassroots movement has started to question the capitalist system.

Japan's Communist Party does not advocate violent revolution, and its members say they are not bound by the doctrines of Russia's Lenin or China's Mao, or even the party's own radical student movement of the 1960s and 1970s.

But disaffection with mainstream political parties and labour unions has seen its membership surge by 1,000 people a month, while its Red Flag daily newspaper now has a readership of over 1.6 million, the party says.

"This country is the world's second-biggest capitalist country," said Kimitoshi Morihara, deputy head of the party's international bureau. "But now the situation is quite difficult, particularly for the young."

Labour market deregulation has made it easier for companies to hire and fire workers, and Japan's traditional jobs-for-life have given way to uncertainty and lower wages for the latest generation to enter the job market.

"I hear many stories about people, especially temp workers, of my age who make less and less money for longer working hours and can't even pay their rent," said a new party member, a part-time worker at a Tokyo photo studio.

"Casting a vote is not the only thing you can do if you want change in politics," said the 32-year-old woman, who like many party members asked not to be named because of communism's lingering social stigma in Japan.

"Workers should be able to demand their rights," she said.

Mari Miura, associate professor of political science at Tokyo's Sophia University, said Japan's labour unions "are organised by regular, full-time employees of each company, and temporary contract workers are not allowed to join.

"Temporary workers can become members only of small independent unions, which are often linked to the Communist Party network," she said.

Japan's Communist Party, founded in 1922, was legalised only after World War II. Since the turbulent days of the 1960s and 1970s student protest movement, it has served as one of Japan's perennial opposition parties.

Today it has only 16 of 722 seats in parliament, making it the fourth- biggest party, but membership is growing while mainstream parties are losing support. And it is making its presence felt on the streets.

A May Day rally in Tokyo, co-organised by the party, drew an unusually large crowd of 36,000, many of them young people.

"I feel the most sympathetic toward the Communist Party of all the political parties," said one demonstrator, a 19-year-old university student. "Many of my generation feel dubious about leading one's life just to make money."

Pop culture has reflected the shift to the left over the past year.

A manga version of "Das Kapital" has become a best-seller, as has a graphic novel of the 1929 classic "Kanikosen" or The Crab-Canning Ship, by communist author Takiji Kobayashi, which describes grim worker exploitation.

The movie version opens this summer, starring up-and-coming actor Ryuhei Matsuda.

But some commentators say the communist gains are just Japan's latest fad.

"Young people don't know about communism or Marxism so it is quite new to them, it's a kind of fashion," said Daisaburo Hashizume, deputy head of the Center for the Study of World Civilizations at Tokyo Institute of Technology.

Miura of Sophia University said young people all over the world tend to be drawn to polarised political ideologies when an economy starts to tumble.

But unlike Japan's right-wing nationalist groups, which she said "tend to become more xenophobic, as in an anti-immigrant movement," the Communist Party avoids extremism and plays by the rules of Japan's liberal democracy.

"The Japanese Communist Party is now part of the parliamentary system, it's not going for armed revolution," she said

日本経済の落ち込みで共産党が前進する

[AFP : Wed May 13, 12:02 pm ET]
by Harumi Ozawa

 東京(AFP)――日本共産党は、かつては禁止され、長いあいだ周辺的グループとみなされていたが、この国の経済が混迷するなかで、入党者が押し寄せている。
 この国全体で、カール・マルクスの『資本論』がマンガのベストセラーになっているし、戦間期の労働者搾取の小説がグラフィック小説として新しい読者を獲得している。
 日本は世界第2位の経済大国だと思われていたが、1945年以来最悪の景気後退に直撃され、巨大企業が赤字となってクビ切りを始めるとともに、若者たちの草の根の運動は、資本主義システムに疑問を投げかけ始めている。
 日本共産党は、暴力的な革命を主張していないし、そのメンバーは「私たちはロシアのレーニンや中国の毛沢東のドクトリンにも、まして1960年代、70年代のこの党自身のラディカルな学生運動にさえ、縛られていない」と言う。
 しかし、主要政党や労働組合にたいする不満から、同党の党員は毎月1,000人ずつ増加しているようだし、日刊新聞の赤旗はいまや160万人以上の読者を持っている、と同党は言っている。
 「この国は世界第2位の資本主義国です」と、同党国際局長代理の森原公敏は言った。「しかし、いまや状況は非常に困難です。とくに若者にとっては」
 労働市場の規制緩和は、企業が労働者を雇い入れたり、首を切ったりするのを簡単にした。そして、日本の伝統的な終身雇用は不確かなものになり、そして労働市場に一番最後にはいり込んだ世代にとってはいっそうの低賃金に道を譲ってしまった。
 「私は、私と同じ世代の人たち、とくに非正規労働者の話をたくさん聞きました。彼らは、長時間働いてもますますわずかな金しか得られず、家賃さえ払えないのです」と、東京の写真スタジオで働くパートタイム労働者の新入党員は言った。
 「もし政治を変えたいと思うのであれば、あなたにできるのは一票を投じることだけではありません」と32歳の女性は言った――彼女は、日本で共産主義がいまなお引きずっている社会的な烙印のために、他の多くの党員と同じように名前を明らかにしないことを望んだ。
 「労働者たちは、自分たちの権利を主張することができるはずなのです」と彼女は言った。
 三浦まり・上智大学准教授(政治学)は、次のように言った。日本の労働組合は「各企業の正規、フルタイム従業員によって組織されていて、臨時契約の労働者たちは加入を認められていません」
 「臨時労働者たちは、小さな独立した組合のメンバーになれるだけです。それらの組合は、しばしば共産党のネットワークにつながっています」と彼女は言った。
 日本共産党は、1922年に創立され、第2次世界大戦後になって初めて合法化された。1960年代、70年代の学生運動の騒々しい時代から、日本の万年野党の1つとして役割を果たしてきた。
 今日では、同党は、国会722議席中16議席しかもっておらず、そのため第4党に甘んじている。しかし、主要政党が支持を失う一方で、党員が増えている。そして、街頭でその存在感を発揮している。
 同党も協力して組織した東京のメーデー集会には、3万6,000人もの非常に多くの人たちが集まった。その多くは若い人たちだった。
 「私は、すべての政党のなかで共産党に一番共感します」と、デモ行進していた19歳の大学生は言った。「私の世代の多くは、自分の人生を金儲けのためだけに送っていいのかと疑問を感じています」
 ポップ・カルチャーは、過去数年間にわたって、左翼への変化を反映してきた。
 『資本論』のマンガ版がベストセラーになったように、共産党員作家の小林多喜二が冷酷な労働者搾取を描いた1929年の古典小説『蟹工船』はグラフィック小説としてベストセラーになっている。
 この夏には、有望な俳優・松田龍平の主演で映画化され公開される。
 しかし、評論家の中には、共産主義の人気は、日本の最後の流行だというものもいる。
 「若者たちは共産主義やマルクス主義について知らないので、彼らにとっては非常に新鮮で、一種のファッションなのです」と、橋爪大三郎・東京工業大学世界文明研究センター副センター長は言った。
 上智大学の三浦は、経済が悪化し始めるときには世界中の若者が極端な政治イデオロギーに引かれるものだ、と言った。
 しかし、日本の右翼・国粋主義集団――彼女に言わせれば「反移民運動のように、ますます排他的になる傾向をもつ――とは違って、共産党は、過激主義を避け、日本のリベラルな民主主義のルールに従って行動している。
 「日本共産党は、いまでは議会システムの一部です。同党は武装革命を目指してはいません」と彼女は言った。

AFPの記事には、いくつか誤解があります。たとえば、60年代、70年代のいわゆる過激派の学生運動を共産党の運動の一部であるかのように述べていますが、いわゆる過激派は、共産党とは無関係です。彼らは、むしろ共産党を攻撃・打倒の対象にしていました。

また、「しんぶん赤旗」日刊紙が160万の読者を持っているかのように書かれていますが、これは日曜版を含む読者数です。「しんぶん赤旗」日刊紙の読者が160万いたらいいのですが…。(^_^;)

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  1. こんばんは。「イル・サンジェルマンの散歩道」のjeanvaljeanです。貴ブログでAPFが日本共産党の記事を配信していると書いておられたので、さっそく探したところ、ル・モンド経由で入手することが出来ました。情報ありがとうございます。私のブログで拙訳を載せましたので、ぜひお立ち寄りください。

  2. jeanbaljeanさん、おはようございます。

    AFPの記事、フランス語と英語では、ベースは同じでも、かなり印象が違いますね。

    とくに、この部分↓。

    「特別の政党を手引書のようにみなすことは、社会主義とはなんの縁もないことであり、非難されるべきことである」と断言する。
     
    日本共産党は米ソ冷戦のあいだ、他の共産党とは正反対に、ソ連あるいは中国によるモデルの押しつけをすべて拒否し、そのことによってその独自の立場を際立たせた。そして1968年のプラハの春の弾圧、1979年のソ連軍のアフガニスタン侵略を非難した。

    フランス共産党が「モスクワの長女」といわれるほどのソ連派で、アフガニスタン侵略も支持していたので、同じ共産党でも日本共産党はソ連を批判したというのが驚きなんでしょうね。

    ありがとうございました。m(_’_)m

  3. こんばんわ。英語版の訳読ませていただきました。仏文とかなり違いますね。フランス版が日本共産党の自主独立に注目したのは、ご指摘の通りモスクワに対する姿勢でしょう。フランスの昔の映像を見ましたが、ユマニテの社屋にスターリンの肖像写真が掲げられていたり、弔問に訪れた人は涙を流したり、モスクワじゃないかと思ったほどです。またよろしくお願いします。こちらこそm(_’_)mです。

  4. すみません。リード文の「世界第2位の経済力の対極にある」は「世界第2位の経済力から除外された人々を魅了する」でした。お詫びして訂正いたします。よろしく。

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