新型インフルエンザ 国内感染確認が139人に

兵庫、大阪を中心に新型インフルエンザの感染確認者が139人になりました。気がつけば、感染確認者数で日本は世界4位に。

兵庫県ではすでに感染者を入院させる特別病床が足りなくなり、軽症者については自宅での療養に切り替えざるを得なくなっています。

しかし政府の方針は、依然として、「感染の疑いのある例についてはすべて検査し、感染が強く疑われる場合には、軽症・重症を問わず措置入院し、更なる感染の拡大を防ぐ」(「『基本的対処方針』の実施について」5月16日付)というもの。

自宅待機させて健康観察をするという「濃厚接触者」にしても、兵庫県内で最初に分かった感染者8人についてだけでも161人に上っています。この割合でいくと、現在、感染確認者139人にたいし、濃厚接触者は2800人近くになる計算です。このまま発症者が増えていけば、たちまち「濃厚接触者」を特定する作業も、その全員を自宅待機させて経過観察することもやりきれなくなることは確実です。

ということで、厚生労働省も対策の見直しにとりかかることになったようです。

新型インフル国内感染者数139人に、休校対象134万人(読売新聞)
【新型インフル】医療現場大混乱 発熱外来はパンク状態(MSN産経ニュース)
新型インフル:兵庫県内の8人の「濃厚接触者」は161人(毎日新聞)
新型インフル:「季節性と変わらず」厚労相、新たな対策へ(毎日新聞)

新型インフル国内感染者数139人に、休校対象134万人

[2009年5月18日21時39分 読売新聞]

 厚生労働省などによると、国内で確認された新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染者数は18日になっても増え続け、同日午後9時現在、成田空港の検疫で判明した4人を合わせ、計139人となった。
 神戸市の5歳男児と60歳の無職男性、JR三ノ宮駅にある売店の女性店員や三菱東京UFJ銀行三宮支店の女性行員(24)の感染も確認され、これまで中心だった高校生以外にも感染が拡大した。大半が軽症で、回復に向かっている人も多いという。
 神戸市では30人の感染が判明した。同市によると、5歳男児は兵庫県芦屋市の私立幼稚園に通っており、16日に発症。4?8日に男児の家族がグアム島旅行をし、家族が一時体調を崩したという。このほか、10?12日に香港に行った44歳の女性もいた。60歳男性について同市は「行動の詳細を調べている」としている。
 一方、JR西日本グループ「ジェイアール西日本デイリーサービスネット」(大阪市)の説明では、三ノ宮駅で感染が確認されたのは50歳代の女性。16日からのどの痛みなどがあったが、17日午前は勤務し、午後に受診した。同社は女性と接触した可能性が高い約50人を自宅待機とした。三菱東京UFJ銀行も三宮支店と同じビル内にある三宮支社の行員計約70人を自宅待機させた。
 大阪府高槻市などによると、同府茨木市の関西大倉高生4人と教諭、生徒の姉のほか、府立春日丘、柴島(くにじま)両高生も感染が確認された。
 一方、厚労省は大阪、兵庫両府県に全中学、高校の臨時休校を求め、大阪府では府内全中学、高校について、兵庫県では県内全小中高校の臨時休校措置が18日からとられた。
 読売新聞の集計によると、大阪、兵庫両府県で臨時休校の対象となった小学校は1323校、中学校は915校、高校は497校。影響を受ける生徒らは計約134万人に上る見通し。

【新型インフル】医療現場大混乱 発熱外来はパンク状態

[MSN産経ニュース 2009.5.18 22:18]

 新型インフルエンザの感染拡大で、医療現場に混乱が広がっている。大阪府や兵庫県では確認された感染者を入院させる、「発熱外来」の病床が“パンク”状態となっている。感染地以外では医療機関が発熱患者を診療拒否するといった問題も出ている。
 「患者数が増えると、発熱相談センターや発熱外来だけでは対応しにくい。国から的確な指導をいただきたい」。18日に厚生労働省を訪れた兵庫県の井戸敏三知事は、舛添要一厚労相と会談後、現在置かれている苦難の状況を語った。
 発熱外来は新型インフルエンザに感染した患者と、一般患者が接触することで感染が広がらないように感染症指定医療機関などに設置されている。感染が疑われる患者は、医療機関を受診する前に発熱相談センターに相談した上で受診することになっている。
 しかし、急速に患者が拡大していることから、兵庫県では発熱外来の受け入れ能力が限界に近づいているのだという。県内で入院できるベッド数は52床。すでに感染者は100人に迫る勢いだ。
 神戸市や大阪府では、軽症者については発熱外来で入院措置を取らずに自宅療養を求めることを決めた。
 (以下略)

新型インフル:兵庫県内の8人の「濃厚接触者」は161人

[毎日新聞 2009年5月17日 20時10分]

 厚生労働省は17日、兵庫県内で最初に新型インフルエンザへの感染が確認された高校生8人の「濃厚接触者」は計161人だったと発表した。感染の危険性があるため、抗インフルエンザ薬の予防投与や外出自粛を要請しており、渡航歴の有無なども聞き取って感染経路の解明を目指す。
 8人は県立神戸高校(神戸市灘区)生徒3人と県立兵庫高校(長田区)生徒5人。医師らの調査チームが8人に発症1日前からの行動歴を聞き、感染者に直接触れたり2メートル以内で面と向かって会話した人をリストアップした。神戸市によると、161人は感染者の家族や同じ部活動の生徒、最初に診察した医療機関の医師や看護師。この医療機関は休業したという。
 他の感染者についても濃厚接触者の確定を急いでいるが、大阪府の担当者は「感染が疑われる患者が次々と出ており、なかなか手が回らない」と話している。【内橋寿明】

新型インフル:「季節性と変わらず」厚労相、新たな対策へ

[毎日新聞 2009年5月18日 21時25分(最終更新 5月18日 21時37分)]

 舛添要一厚生労働相は18日会見し、新型インフルエンザについて「感染力や病原性などは季節性インフルエンザと変わらないとの評価が可能」と述べ、感染者の入院措置などを緩和していく意向を示した。さらに「全国でまん延している可能性がある」との認識を示し、今週内に行動計画を第3段階(感染拡大期、まん延期)へ移行することも含め、新たな対策に切り替える方針を明らかにした。
 政府対策本部は、水際阻止以外の国内初感染が確認された16日、市町村単位を原則とする学校の休校要請や、医療体制の整備促進などの対応策を示した。その後、感染が急拡大し、兵庫県と大阪府が全域で小中高校の1週間休校を決めるなど市民生活への影響が広がるとともに、患者を入院させる感染症指定医療機関の病床が不足する恐れも出ている。
 舛添氏は国内の現状について「感染源もまだ分からない。基本的にまん延していることを前提にした方がいい」と指摘。感染拡大の防止と死亡者を出さないことが大切だとして「学校を早期に広範囲で臨時休校するのは有効だ」と住民に理解を求めた。
 そのうえで「季節性インフルエンザと同様の対応にしないと、都市機能がまひするとの(地元の)意見を踏まえて運用したい」と述べ、弱毒性であることを考慮した対策への切り替えが必要との認識を示した。
 具体策としては、重症者の病床を確保するために軽症者の在宅療養を進めることや、水際対策に投入した医師を医療現場に戻すことなどを挙げた。発生国からの帰国者の健康観察も「海外渡航歴のある人だけフォローしても、既に大阪や兵庫にはたくさん人がいる」として、縮小する考えを示した。
 会見に先立って舛添氏も出席した全国知事会議では、大阪府の橋下徹知事が「休校をずっと続けるわけにはいかず、対応にかじを切らないと大阪はもたない」と主張。感染者がいない地域からも「健康観察の対象が東京都内で1万人もおり、水際対策の担当者を国内対策に回したい」(東京都)、「新型インフルエンザは災害事象ととらえ、医療従事者の万一の手当てを考えてほしい」(鳥取県)などの要望が出された。【清水健二、内橋寿明】

ところで、厚生労働省は、5月9日付で、「新型インフルエンザ疑似症患者の取り扱いについて」という「事務連絡」を出していました。

新型インフルエンザ疑似症患者の取り扱いについて(厚生労働省健康局結核感染症課、2009年5月9日付)

事務連絡
平成21年5月9日

各都道府県・政令市・特別区新型インフルエンザ担当部(局)長 殿

厚生労働省健康局結核感染症課

新型インフルエンザ疑似症患者の取り扱いについて

 従来、症例定義における疑似症患者について、インフルエンザ迅速診断キットの結果がA型陰性かつB型陰性の場合であっても、医師が臨床的に新型インフルエンザの感染を強く疑う場合は届出の対象としてきた。これについてはインフルエンザにおいて発症した初日は迅速診断キットの結果が陰性となることがあるため、新型インフルエンザ患者の見逃しを回避するために設けたものである。
 ところが昨今、インフルエンザ様症状を呈している患者との接触歴など疫学的関連をまったく認めない症例や他の疾患の有無が十分確認されていない症例など、新型インフルエンザの感染を強く疑う根拠に乏しい症例も届出がなされているところである。
 ついては、今後、症例定義上、疑似症患者の連絡をする際は、別紙(PDF:266KB)などを参考されたい。また、迅速診断キットでA型陰性の場合は、疑似症患者の連絡をする前に、5月9日の結核感染症課課長通知「新型インフルエンザに係る症例定義及び届出様式の改定について」を踏まえ、下記の事項など確認するよう、各医療機関に対して周知徹底されたい。

(1)インフルエンザ特有の症状の有無
(2)疫学的関連の有無
・10日以内のインフルエンザ様症状を呈している者との接触歴
新型インフルエンザの蔓延している国又は地域への渡航歴や滞在歴の再確認
(3)他の疾患の有無等確認(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎など)

つまり、新型インフルエンザが疑われる奨励がたくさん報告されるようになっていたことにたいして、「新型インフルエンザの感染を強く疑う根拠に乏しい症例」がたくさん報告されるようになったので、今後は、「疫学的関連の有無」をちゃんと確かめて報告せよ、ということです。

この段階では、国内感染確認はなかった訳ですから、「疫学的関連の有無」とは、つまるところ「新型インフルエンザの蔓延している国又は地域への渡航歴や滞在歴」のある人間以外については、インフルエンザが疑われても報告しなくていい、ということです。

しかし、実際には、兵庫や大阪の高校では、このころからインフルエンザの症状を示す生徒が出ていた訳で、このような「事務連絡」が出ていなければ、もっと早く、国内感染が確認できたかも知れません。(もちろん、そうだったとしても、感染の広がりは防止できなかった可能性が大きいですが)。「ウィルスの侵入を水際で防ぐ!」といえば聞こえはいいですが、「水際作戦」ばかりに集中した結果、国内での感染を見逃した可能性があります。

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  1. Shibuya Works | シブヤワークス - trackback on 2009/05/19 at 02:33:41

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