チョン・ミョンフン×東フィル×ヴェルディ「椿姫」

東フィル:ヴェルディ歌劇「椿姫」

東京フィルハーモニー交響楽団 第772回サントリー定期演奏会

ヴェルディ:歌劇「椿姫」より(コンサートスタイル・オペラ)

指揮:チョン・ミョンフン/ヴィオレッタ(ソプラノ):マリア・ルイジ・ボルシ/アルフレード(テノール):ダニール・シュトーダ/ジェルモン(バリトン):ヴァシリー・ゲレッロ
合唱:新国立劇場合唱団

サントリーホール/2009年6月26日 午後7時?午後9時40分

僕の通っている東フィルの定期はホントは日曜日のオーチャードなのですが、仕事が入ってしまったので、昨日のサントリーと振り替えてもらいました。

当日会場に行ってみると、2階LBの前の方で、舞台に近いかなりいい席でした。チケットを見るとA席。僕の定期はB席なので、かなり得な振り替えになったようです。(^_^)v

コンサート形式ということで、舞台の上にはもちろんオケがのったまま。「その他大勢」のみなさんは、オケの後ろに合唱団としてならびます。で、下手側、第1ヴァイオリンの前に少しスペースがあけてあって、そこでソリストが歌うかっこうです。

チョン・ミョンフンが振ると、東フィルもよくしまりますね。オペラはお手のものだし、合唱も新国合唱団なので安心して聞いていられます。

ソリストは、とくにジェルモン役のヴァシリー・ゲレッロが好演でした。ヴィオレッタ役のマリア・ルイジ・ボルシと、アルフレード役のダニール・シュトーダは、第1幕ではやや伸びが足らない感じでしたが、ゲレッロに引っ張られるかっこうで、第2幕からぐんとよくなったと思います。

ところで、この「椿姫」、松竹新喜劇さながらのコテコテのストーリーですが、音楽が効果的なので、第3幕で、ヴィオレッタが「さようなら、過ぎた日」を歌うあたりから、ぐいぐいストーリーに引き込まれ、本当に切なくなってきます。(それは僕だけではなかったようで、1つ隣の席に座っていたオッサンはこのあたりからずっと鼻をぐずらせていました)。それにしても、アルフレートの親父のジェルモンは、ほんとに身勝手な奴ですねぇ…。

ただ、この日のコンサートは出だしでつまづきました。チョン・ミョンフンが登場して、いよいよ序曲を振り始めようとしたのですが、2階席の後ろの方でなにやらビニール袋かなにかをパリパリいわせる音が止まず、結局、チョン・ミョンフンは2度までも構えた腕を下ろしてしまったのです。この序曲は第3幕の前奏曲にも再現する物悲しい旋律で始まるだけに、チョン・ミョンフンも気を遣ったのでしょう。1度振り出すのを止めたところで、会場のお客さんも大体気がついて静かにしたのですが、件の人物はまったく気がつかなかったようです。

コンサートオペラと言っても、ソリストは多少の身振り、手振りを交えて演技をします。しかし、それが中途半端というか、決まらないというか、そのあたりはなお工夫の余地があると思いました。(だから、新日本フィルの指揮者アルミンクは、むしろ簡単な舞台までしつらえて、ソリストには衣装も着せて、舞台上で疑似オペラをやろうとするのかも知れません)

たとえば第2場第1幕で、アルフレードが使者から手紙を受けとる場面。使者は手紙を渡すふり、アルフレードは手紙を受けとって広げて読むふり、ということになるのですが、実際に手紙があるわけでないので、渡す方も受けとる方も、漠然とした演技になってしまいました。むしろ、実際に手紙を渡してしまった方がよかったのではないでしょうか。

また同第2幕で、アルフレードとドォフォール男爵がゲームで勝負をする場面では、ソリストの立ち位置に不満が残りました。2幕の冒頭で、指揮者に一番近いところにアルフレードが立ち、そのとなりに、あとからヴィオレッタとドゥフォール男爵が寄り添って登場したのですが、そのままの立ち位置で、勝負の場面が始まってしまいました。しかしこれでは、アルフレードとドゥフォール男爵の間にヴィオレッタが立っていて、彼女が二人の勝負をハラハラしながら見ているという雰囲気が出ません。もう少し、しっかりした演出がほしかったところです。

もう1つ気になったのは、アルフレード役のダニール・シュトーダくん。ちょっと恰幅がいいというか、ちょっとぷよっと太っていて、しかも猫背なのです。一生懸命熱演していて、それに不満はなかったのですが、好青年なアルフレードという雰囲気がいま一つ出ませんでした。猫背の声楽家というのは様にならないし、あれじゃ声も出にくかろうと勝手な心配をしてしまいました(御本人は、舞台がうまくいったことにいたく感動されていたようですが)

そういうことはありつつも、最後は拍手拍手の大喝采でした。

東条碩夫氏も同じサントリーで聴かれたようですが、同ブログによれば、主役の出来は前日のオーチャードホールの方がさらによかったそうです。歌がオケに埋没するのは、ピットに入っているはずのオケが舞台上にのかっているのですから、コンサートオペラではやむを得ないところかも知れません。

東条碩夫のコンサート日記 6・26(金)チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団ヴェルディ: 歌劇「椿姫」(演奏会形式上演)

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