毎日新聞が憲法、核密約で世論調査

「毎日新聞」が憲法問題で世論調査を実施。

特集:憲法問題、全国世論調査 「改憲論議に関心」66% : 毎日新聞
毎日新聞世論調査:「密約認めるべきだ」60% 「三原則堅持を」72% : 毎日新聞

毎度の「憲法を改めることに賛成ですか、反対ですか」という質問には、賛成58%、反対32%と、賛成が上回っていますが、9条に限ってみれば、「改正が必要」48%、「一切、改めるべきでない」43%とわずかの差。しかし、従来から言っているように、「9条の改正が必要」という意見の中には、自衛隊の海外派兵を一切禁止するために9条を改正するという意見もあるので、これだけでは、「戦争放棄、戦力不保持」という憲法9条を捨てるような「改正」論が多数かどうかはまったく不明でしょう。

自衛隊の海外派遣についても、「武力行使を認める」はわずか10%。「停戦後のPKOまで」が過半数を占めるなど、自衛隊の海外での武力行使にたいする反対論は根強いものがあります。

また、「核密約」問題では、「密約」を「認めるべきだ」の声が60%で、「認める必要はない」32%を大きく上回っています。また、非核3原則については、「堅持」が72%と圧倒的多数を占めています。

特集:憲法問題、全国世論調査 「改憲論議に関心」66%

[毎日新聞 2009年11月1日 東京朝刊]

 日本国憲法は3日、公布から63年を迎える。戦後初めて本格的な政権交代のあった9月、憲法問題に対する国民意識を探るため毎日新聞は面接方式の全国世論調査を実施した。憲法改正論議に「関心がある」と66%が回答し、改正への賛成も58%と過半数に達した。ただ、景気低迷の続く中、民主党が衆院選マニフェストに掲げた子ども手当など生活関連政策の行方に注目は集まる。国民投票法が来年5月に完全施行され憲法改正手続きが可能となるが、改憲論議が盛り上がる気配はない。【平田崇浩、仙石恭】

◇国民投票法、来年施行 機運は高まらず

 世論調査で憲法改正論議に関心があるかを聞いたところ、「かなり関心がある」との回答が14%、「ある程度関心がある」が52%で、合わせると3人に2人は関心を示した。
 憲法改正に賛成と答えたのは58%、反対は32%だった。改憲論議に関心がある人の中では賛成派が66%と全体より割合が多いものの反対派も29%いた。
 過去の世論調査では、小泉政権時代の05年9月の面接調査も改正賛成は58%、反対34%。安倍政権が憲法改正を最優先課題の一つに掲げていた07年4月の電話調査では「今の憲法を改める方がよい」が51%、「改めない方がよい」が19%、「分からない」が22%だった。調査方式や設問が違うため単純に比較できないが、時の政権の姿勢にかかわらず、この数年、改正賛成派の割合はあまり変わっていないと言えそうだ。
 支持政党別にみると、民主党支持層のうち賛成派は64%で、自民党支持層の57%より多かった。憲法改正を結党以来の党是に掲げる自民党に対し、民主党は積極的に改正を主張しておらず、憲法改正が政党間の争点として受け止められていないことがうかがえる。
 改正賛成派に理由を聞いたところ「今の憲法が時代に合っていないから」が54%で最も多く、「一度も改正されていないから」が22%、「米国から押し付けられたものだから」が10%で続いた。この傾向も05年調査からほとんど変わらない。反対理由で多いのは「9条改正につながる恐れがあるから」(36%)、「改正するほどの積極的理由がないから」(32%)だった。
 賛成派に改めるべき点を複数回答で尋ねた結果は(1)首相を国民の直接投票で選べるようにする(42%)(2)自衛隊の位置づけを明確にする(37%)(3)憲法の文章が翻訳調なので、分かりやすい日本語にする(36%)(4)地方分権を現在より拡大する(32%)(5)国民の新たな権利を作る(22%)――の順となった。首相公選制への関心の高さは、政党政治への不信感の表れとも受け取れる。一方で、改正賛成派の中でも過半数が支持する改正点がないことは、改憲を急ぐムードが広がらない現状を映している。

◇9条改正、割れる賛否 「加憲を」最も多く

 第1項で戦争放棄をうたい、第2項で戦力の不保持を定めた憲法9条は改正論議の最大の焦点とされてきた。世論調査では9条について「何らかの改正が必要だ」との回答が48%、「一切、改めるべきでない」が43%と拮抗(きっこう)。憲法改正に賛成と答えた人の中でも「改正が必要」66%、「改めるべきでない」30%と意見が分かれ、9条改正への抵抗感がなお強いことを示した。
 「改正が必要」と答えた人に「どのように改正するのが望ましいか」を聞いたところ(1)新たな条項を付け加えるべきだ(44%)(2)第2項だけ改めるべきだ(26%)(3)第1、2項とも改めるべきだ(17%)(4)第1項だけ改めるべきだ(9%)――の順となった。(1)と(2)を合わせれば7割に達し、その多くが新条項か第2項に自衛隊の存在を明記する案を想定しているとみられる。第1項の戦争放棄を見直す意見は9条改正派の中でも少数派だ。
 支持政党別では、民主党支持層の50%、自民党支持層の52%が「改正が必要」と答えた。公明党支持層では42%だったが、そのうち6割は「新たな条項を付け加えるべきだ」と回答。公明党は現行憲法に新しい権利や自衛隊の規定を加える「加憲」を検討する立場で、将来的に新条項の創設が3党の接点になる可能性も垣間見える。
 ただ、民主党支持層では改正反対派も43%を占め、連立を組む社民党の支持層では大半が反対している。現政権のもとで9条改正が検討される状況にはないと言えそうだ。

◇自衛隊海外派遣、「恒久法反対」過半数 インド洋給油の継続賛成は48%

 来年1月15日に期限が切れる海上自衛隊のインド洋での給油活動について、鳩山由紀夫首相は「単純延長はしない」との方針を示している。世論調査では、給油活動の継続に賛成が48%、反対が44%と回答が二分。麻生政権時代の08年10月の電話調査でも賛成47%、反対43%で、賛否が拮抗する状況が続いている。
 自衛隊の海外派遣については、給油活動の根拠法となっているテロ対策特別措置法などの時限立法ではなく、いつでも海外派遣できる「恒久法」の制定を自民党が主張している。恒久法の制定については、反対が56%と半数を超え、賛成は36%だった。自民党支持層では賛成が49%で反対の43%を上回ったが、民主党支持層では反対が60%を占めた。
 ただ、民主党の小沢一郎幹事長は恒久法の制定に前向きといわれる。従来の政府の憲法解釈では、海外での武力行使は違憲とされているが、小沢氏は「国連決議があれば武力行使も可能」との立場。民主党の衆院選マニフェストの原案となった「09年政策集」にも、国連による軍事的措置を定めた国連憲章42条に基づく活動にも積極的に参加することが明記されている。
 世論調査では、自衛隊の海外活動を今後どうすべきかを質問。「停戦後の国連平和維持活動(PKO)まで認める」との回答が53%で最も多かった。小沢氏の主張に近い「場合によっては武力行使も認める」は10%にとどまり、民主党支持層でも9%と理解は広がっていない。

◇米国に好意、76% 日本外交は「国連重視で」

 「緊密で対等な日米関係」を掲げる鳩山政権が日本で誕生し、米国では国際協調を重視するオバマ大統領が1月に就任したことで、日米関係も転機を迎えている。世論調査で米国が好きかを聞いたところ「好き」(18%)と「どちらかといえば好き」(58%)の合計が76%に達した。オバマ大統領の就任によって変わったかについては「変わらない」との回答が80%を占めた。
 日本の外交・安全保障政策について、国連重視と対米協調重視のどちらでいくべきかの質問では「国連重視」との回答が76%で、「対米協調重視」の17%を大きく上回った。支持政党別にみると、民主党支持層は79%、自民党支持層も71%が国連重視派だった。民主党は従来の自民党政権の姿勢を「対米追随」と批判してきたが、支持層の考え方に大きな違いはないようだ。

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■ことば

◇国民投票法
 憲法改正の手続きを定めた法律。07年5月に成立した。憲法は改正について、衆参各院総議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成を得ることを要件としているが、1947年5月の憲法施行後60年間、その手続きが法制化されていなかった。衆参両院に憲法審査会を設置する規定はすでに施行され、10年5月の完全施行で同審査会による憲法改正案の審査、提出が可能となる。

◇恒久法
 時限を定めない一般法のこと。自衛隊の海外派遣を常時可能とする法律の意味でも使われる。国連平和維持活動(PKO)協力法は時限立法ではないが、海外派遣対象が国連決議に基づく停戦監視などに限られる。イラク復興支援やインド洋給油活動はそのつど、特別措置法(時限立法)を制定して自衛隊を派遣した。自民、公明両党の連立政権で派遣基準や活動メニューを定める恒久法の制定が検討されたが、実現しなかった。

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◇世論調査の質問と回答◇

◆憲法改正に関する論議に関心がありますか、ありませんか。

全体 男性 女性
かなり関心がある 14 19 9
ある程度関心がある 52 51 54
あまり関心がない 26 23 28
全く関心がない 7 6 8

◆今の憲法を改めることに賛成ですか、反対ですか。

賛成 58 62 55
反対 32 32 32

◇<「憲法改正に賛成」と答えた方に>賛成する理由は何ですか。

今の憲法が時代に合っていないから 54 55 52
今の憲法は米国から押しつけられたものだから 10 12 9
今の憲法は制定以来、一度も改正されていないから 22 17 27
自衛隊の活動と憲法9条に隔たりがあるから 9 13 6
今の憲法は個人の権利を尊重しすぎているから 3 2 3

◇<「憲法改正に賛成」と答えた方に>どのように改めるべきだと思いますか。(三つまで)

憲法の文章が翻訳調なので、分かりやすい日本語にする 36 33 38
自衛隊の位置づけを明確にする 37 43 30
集団的自衛権を行使できるようにする 13 20 7
象徴天皇制を見直す 9 9 9
国会の2院制を廃止して1院制とする 15 17 14
首相を国民の直接投票で選べるようにする 42 40 44
地方分権を現在より拡大する 32 36 27
国民の新たな権利を作る 22 18 26
国民の新たな義務を盛り込む 14 14 14
憲法改正の要件を緩和する 14 14 15

◇<「憲法改正に反対」と答えた方に>反対する理由は何ですか。

今の憲法が時代に合っているから 8 9 7
改正するほどの積極的理由がないから 32 36 29
9条改正につながる恐れがあるから 36 34 38
個人の権利を制限したり、義務を規定する恐れがあるから 5 5 5
国民や政党の議論がまだ尽くされたとは言えないから 17 15 9

◆憲法9条は第1項で戦争放棄を、第2項で戦力の不保持を定めています。9条改正についてどう考えますか。

何らかの改正が必要だ 48 55 42
一切、改めるべきでない 43 40 46

◇<「何らかの改正が必要」と答えた方に>どのように改正するのが望ましいと思いますか。

戦争放棄を定めた第1項だけ改めるべきだ 9 10 9
戦力の不保持を定めた第2項だけ改めるべきだ 26 32 20
1項、2項とも改めるべきだ 17 19 13
新たな条項を付け加えるべきだ 44 37 53

◆米国という国が好きですか。

好き 18 21 15
どちらかといえば好き 58 55 60
どちらかといえば嫌い 16 16 17
嫌い 3 3 3

◆米国という国に対する好き、嫌いは、今年1月のオバマ大統領就任の後、どう変わりましたか。

より好きになった 17 15 19
より嫌いになった 1 1 1
変わらない 80 82 77

◆日本の外交・安全保障政策は国連重視でいくべきだと考えますか、それとも対米協調重視でいくべきだと考えますか。

国連重視 76 76 76
対米協調重視 17 20 15

◆日本は現在、アフガニスタンでのテロとの戦いを支援する目的で、海上自衛隊がインド洋で米艦船などへの給油活動を行っています。来年1月に期限が切れますが、給油活動を継続することに賛成ですか。

賛成 48 55 42
反対 44 40 48

◆自衛隊の海外派遣は、国連の平和維持活動(PKO)や災害救助を除き、インド洋での給油やイラク支援も、そのつど期限を限定した「特別措置法」で実施されています。これを、必要に応じていつでも海外派遣できるよう、期限を定めない「恒久法」を作ろうという意見があります。この意見に賛成ですか。

賛成 36 42 31
反対 56 53 59

◆自衛隊の海外での活動は、今後、どうすべきだと思いますか。

一切すべきではない 9 8 9
停戦後のPKOまで認める 53 51 55
紛争中の国での復興支援も認める 23 26 21
場合によっては武力行使も認める 10 13 8

◆日本は、核兵器について「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を基本方針としています。しかし1960年の日米安保条約改定の際、核兵器を搭載した米艦船の寄港や領海通過を認める密約があったことを外務省OBが証言し、米国の公文書でも裏づけられています。政府は「密約は存在しない」と主張してきましたが、密約の存在を認めるべきだと思いますか。

認めるべきだ 60 64 55
認める必要はない 32 32 33

◆非核三原則をどうすべきだと思いますか。

三原則を堅持すべきだ 72 70 73
三原則は見直すべきだ 24 27 21

 (注)数字は%、小数点以下を四捨五入。無回答は省略。

——————————–?

◇調査の方法

 9月11?13日の3日間、層別2段無作為抽出で選んだ全国300地点の20歳以上(9月30日現在)の男女4568人を対象に面接調査した。回答者は2615人、回答率57%。

毎日新聞世論調査:「密約認めるべきだ」60% 「三原則堅持を」72%

[毎日新聞 2009年11月1日 東京朝刊]

 毎日新聞は民主党政権が発足した9月、憲法や外交・安全保障に関する全国世論調査を面接方式で実施した。従来の政府が認めてこなかった、核兵器を搭載した米艦船の日本への寄港や領海通過を容認した日米間の密約の存在について、「認めるべきだ」と回答した人は60%で、「認める必要はない」の32%を大きく上回った。非核三原則については「堅持すべきだ」が72%を占め、「見直すべきだ」は24%だった。
 核持ち込みを巡る日米間の密約は、1960年の日米安全保障条約改定時に結ばれたとされ、米公文書などで存在が明らかになっている。
 民主党は衆院選前、密約を裏付ける文書を公表すると公約したが、世論調査では民主党支持層の59%が密約を「認めるべきだ」と答え、自民党支持層でも56%に達した。
 「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則は日本の国是とされ、核搭載艦船の寄港や領海通過も「持ち込み」として禁じている。非核三原則については、20、30代の約8割が「堅持すべきだ」と答え、若い世代ほど守る意識が強い傾向がうかがえた。
 また、密約を「認めるべきだ」と答えた人も、「認める必要はない」とした人も7割以上が「堅持すべきだ」と回答した。【須藤孝】

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