米軍普天間基地:滑走路近くの鉄塔、防衛省が撤去へ

沖縄県宜野湾市にある米軍普天間基地の滑走路の直前にある無線用鉄塔が、防衛省側の負担で撤去されることになったという記事。

最初はへえ?とだけ思ってみていましたが、よく読んでみると、これは、去年7月にメア駐沖米総領事が「滑走路の近くの基地外に、宜野湾市が建設を許しているのが疑問だ」と発言して物議をかもした、いわく付きの鉄塔だったのです。

普天間の滑走路眼前の鉄塔「思いやり撤去」 防衛省負担 : 朝日新聞

そもそも、本来ならば空港法で、滑走路直下に障害となるような建築物を建てることは禁止されています。ところが、在日米軍基地にかんしては、「治外法権」を認めるために、さまざまが法律が適用除外になっています。航空法のこの規定もそうで、その結果、通常なら滑走路設置が認められないような住宅街のど真ん中に米軍基地が堂々と置かれていたりするわけです。

ところが、あべこべの事態もありうるわけで、航空法の適用が除外されているために、ちゃんと建築申請すれば、米軍基地滑走路の真下に、航空法で制限されている以上の高さの建築物を建てることができてしまうわけです。

そこで、つねづねこの鉄塔が邪魔になっていたアメリカ側は、伊波・宜野湾市長が「普天間基地では、米軍自身の安全基準でも認められないようなところにまで住宅が建っている。アメリカ国内だったら、こんなところに基地を置けないはずだ」と主張したのにたいして、「それは基地外の建設を制御する安全基準だ。逆に滑走路の近くの基地外に宜野湾市が建設を許しているがおかしい」とやっちゃったわけです。

結局今回、この鉄塔は、所有者の了解を得て、防衛省が経費を負担して撤去することになったわけですが、「事業仕分け」的に(あるいは蓮舫さん風に)言えば、そもそもどうして合法的な建築物を国が経費を負担して米軍のために撤去しなければならないのか? ということです。

防衛省幹部は「理屈の上では、米軍施設周辺ではどんな高層建築も自由にできる野放しの状態」と話したそうですが、アメリカ従属が骨身に染み付いている木っ端役人には、ものごとが転地さかさまにしか見えないようです。米軍基地こそ、航空法の適用除外で「野放し」になっているのが分からないんでしょうか。

普天間の滑走路眼前の鉄塔「思いやり撤去」 防衛省負担

[asahi.com 2009年12月15日15時0分]

普天間基地の滑走路と隣接する鉄塔の高さ(「朝日新聞」2009年12月15日付)

 移設問題に揺れる、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場。その滑走路の延長線上に立つ民間の無線中継用鉄塔を、米軍から調整依頼を受けていた防衛省が、約1千万円を負担して撤去に乗り出す。民間空港なら航空法の高さ規制がかかるのに、米軍基地を適用外としたため招いた異例の事態。合法的な施設で強制撤去はできないため、防衛省が「思いやり」で費用を負担することになった。
 鉄塔は、滑走路南端から約650メートル先にある。地上4階建ての建物の屋上に立つ。2006年春ごろ建設を始め、07年4月ごろに完成した。同省や市などによると、所有者の男性は、業務用無線の中継局として民間企業に提供しようと鉄塔を建設した。
 建物も合わせると、地上からの高さは約40メートル。「米軍機と鉄塔が接触する可能性が高いとまでは言えないが、操縦士の視界には間違いなく入る」(防衛省幹部)。航空法には離着陸の妨げにならないよう、「進入表面」という高さ規制がある。これを当てはめると、約11メートルのオーバーとなる。民間空港ならば、許可は下りなかった建物だ。
 航空法は、飛行場の設置に国土交通相の許可が必要としている。一方、「日米安保条約6条に基づく航空法の特例法」で、米軍の飛行場の設置については航空法の「国交相の許可」の適用除外とした。航空法の高さ規制の条項も米軍基地には適用されないとの法解釈になっているという。
 同省は、普天間を拠点とする米海兵隊の依頼に基づき、06年5月ごろから所有者の男性に鉄塔建設を中止するよう要請してきた。しかし、規制の根拠法令はなく、建設を中止させる権限はない。建築確認を受け付ける市も、申請書類が整っていて違法性がなければ、許可しないわけにはいかない。
 日米両政府が1996年に普天間の「全面返還」で合意した理由の一つに、住宅地に囲まれていて事故の危険性が高いことが挙げられていた。同省は、飛行場周辺で高層の建築確認申請があったら、省との調整を呼びかけてほしい、と市に依頼してきた。実際、調整が利いてマンションの高さを低くした事例もあったという。市側は今回も建築主に調整を求めたが、法的拘束力はなく、うまくいかなかった。
 自衛隊基地の場合は自衛隊法で航空法の高さ規制が準用されており、同様の事態は米軍基地でしか起こらない。
 最終的には建築主の合意を得て、防衛省が撤去費用を負担することとなった。法的根拠があれば「補償費」で対応できるが、今回は「米軍基地周辺住民への見舞金」という位置づけの予算で対応するという。
 同省幹部は「理屈の上では、米軍施設周辺ではどんな高層建築も自由にできる野放しの状態で、どこで今回のような問題が生じてもおかしくない。むしろ今まで起きなかったのが不思議なくらいだ」と話す。
 男性は取材に対し、「撤去に合意したのは事実だが、詳細をお答えする段階にない」と話している。

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