オバマ政権、金融規制案を発表

オバマ米大統領が、金融機関の自己資金での証券売買や銀行のヘッジファンド投資・出資などを大幅に制限する金融規制法案を発表。さっそくNY株を始め、日経平均も大幅下げで、市場の反発は大きいが、それは株などの投機でボロ儲けをしてきた連中が「ボロ儲けをやめろ」と言われているのだから、株価が下がるのは当然のこと。

日本のメディアでは、株価が下がる、円高になる等々、ともかく目先のことで反対したり疑問符をつけたりする論評が多いが、スティグリッツ氏のコメントや、フランス、イギリス政府関係者の歓迎発言の方が、よっぽどポイントを押さえている。

米国:高リスク取引制限 金融規制案を発表 : 毎日新聞
米金融規制:実現性は未知数 システムに悪影響も : 毎日新聞
NY株213ドルの大幅安 ドル安 米の規制強化策で : 朝日新聞
英FT紙「ウォール街に宣戦布告」 米の金融規制強化策を批判 : NIKKEI NET
米大統領の金融新規制案は「大きな前進」=スティグリッツ氏 : Reuters
仏財務相、米大統領の新たな金融規制案を歓迎 : Reuters
米金融規制案、方向性として「安心できる」=英首相報道官 : Reuters

リーマンズ・ショックから、またぞろ銀行の自己資本比率を引き上げる話が出ているが、日本の金融機関が、BISの自己資本規制で不利な立場に追い込まれたことを真面目に想起すべきだ。金融機関には、堅実な投資先を開拓する努力が求められるのであって、リスクの大きな投資を放任したまま自己資本比率ばかり規制するというのは、そもそも議論が逆立ちしているだろう。

規制がいいか悪いかなどという一般論を議論しているのではない。リーマンズ・ショックに代表されるような金融投機バブルが再燃しないようにどうしたらよいか、ということが問題となっているのだから、せめて英仏政府関係者並みの水準で、日本のメディアもものを言ってもらいたい。

米国:高リスク取引制限 金融規制案を発表

[毎日新聞 2010年1月22日 東京夕刊]

 【ワシントン斉藤信宏】オバマ米大統領は21日、金融機関の規模や業務範囲を大幅に制限する新たな金融規制改革案を発表した。顧客からの依頼のない自己資金を使った証券売買の制限や、銀行によるヘッジファンドの所有を禁止することなどが柱。大統領は「顧客に奉仕するという使命から逸脱することを容認できない」と金融機関の経営姿勢を厳しく批判。「米国の納税者を守るためにも、金融機関によるヘッジファンドなどへの危険な投資を許してはならない」と強調した。
 規制強化案は、米議会で審議中の金融規制改革法案に盛り込まれる見通し。実現すれば80年代以降、規制を緩和して金融自由化を推進してきた米国の金融行政が大転換されることになる。
 大統領声明によると、規制強化により、銀行によるヘッジファンドや投資ファンドへの資金提供を禁止、これまで盛んだった自己資金を使った証券、債券などの取引も大幅に制限される。また、金融機関の規模拡大を抑えるため、預金などの負債額に一定の制限を導入する方針という。オバマ大統領は「銀行が自らの利益のためだけに自己資金で投資したり、ヘッジファンドや投資ファンドなどに資金を提供したりすることは許されなくなる」と説明した。
 オバマ大統領は今月14日、大手金融機関約50社を対象に最低でも10年間、資産規模に応じて総額900億ドル(約8兆2000億円)の「金融危機責任料」を課す方針を発表したばかり。リスクの高い取引を制限し、金融機関の破綻(はたん)が金融システムに影響を及ぼすのを回避するとともに、雇用の改善が遅れていることへの国民の不満が高まる中、規制強化で世論の支持を得たいとの思惑もありそうだ。だが、米金融業界の競争力低下は避けられないとの見方から、大手金融株は軒並み急落。ドル売りにもつながるなど、金融市場に「オバマ・ショック」が広がっており、景気への悪影響も懸念されている。

米金融規制:実現性は未知数 システムに悪影響も

[毎日新聞 2010年1月22日 20時32分]

 【ワシントン斉藤信宏】オバマ米大統領が21日、金融機関に対する規制強化策を打ち出したことで、金融自由化の波に乗って規模拡大を追求してきた米金融業界は大きな方針転換を余儀なくされる可能性が出てきた。ただ、大統領が声明に盛り込んだ銀行による「ヘッジファンドへの出資禁止」や「自己資金での取引制限」などがどの程度実現できるかは未知数だ。急激なルール変更は金融市場を混乱させ、落ち着きを取り戻しつつある金融システムに悪影響を与える恐れもある。
 オバマ大統領の発表した規制改革案は、金融機関の規模抑制と銀行によるリスク投資の制限が大きな柱となっている。大統領は「米国の納税者が『大きすぎてつぶせない』銀行によって人質に取られるような事態は二度と起こらないだろう」と規模の制限導入の意義を強調。「預金者の金でヘッジファンドに投資することは許さない」と投資規制にも意欲を見せた。
 規制強化が実現すれば、米国の金融行政は大きく方針転換することになる。だが、金融業界からは早くも「成長と活力を奪う非現実的な提案」(ゴールドマン・サックス幹部)などと反発が強まっている。
 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は「オバマ大統領の宣戦布告」と題した社説を掲載。その中で「極端な方針転換を伴う提案で、明らかに誤りだ」と批判し、世界経済への悪影響の波及に懸念を表明した。
 今回の提案は市場にとっても金融機関にとっても「あまりに唐突」(米エコノミスト)だったため、21日の金融市場は大きく動揺した。ただでさえ脆弱(ぜいじゃく)さの残る米国経済に規制強化の悪影響が及べば米景気の回復基調は一気に揺らぎかねない。焦点の雇用も回復がさらに遠のく可能性もある。
 オバマ大統領はウォール街の高額報酬に反発を強める米国世論を味方につける算段かもしれない。だが、すでに米下院のフランク金融サービス委員長が「3?4年かけてじっくり議論すべき提案だ」と法案成立までの険しい道のりを示唆するなど、与党・民主党内でも金融規制強化に対する温度差は大きい。
 また、米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、政府内でもガイトナー財務長官やサマーズ国家経済会議委員長らは大統領の提案に懐疑的だという。「大衆迎合的で危険だ」(FT紙)と指摘される提案が市場主義の国、米国で受け入れられるのか、金融規制改革の先行きは不透明さを増している。

NY株213ドルの大幅安 ドル安 米の規制強化策で

[asahi.com 2010年1月22日11時42分]

 【ワシントン=尾形聡彦】21日の米ニューヨーク株式市場は、オバマ政権が打ち出した金融規制強化策で金融大手の業績が悪化するとの見方が広がり、ダウ工業株平均の終値は前日比213.27ドル安の1万0389.88ドルへと大幅に値を下げた。終値ベースでは昨年12月中旬以来の水準。
 米政府の規制強化案で、銀行の収益の柱の一つになっている自己売買が制限されることから金融株が売られた。
 株安に伴い、ドル売りも進んだ。ニューヨーク外国為替市場の円相場は一時、昨年12月半ば以来となる1ドル=90円10銭程度まで円高ドル安が進んだ。

英FT紙「ウォール街に宣戦布告」 米の金融規制強化策を批判

[NIKKEINET 2010/01/22 11:44]

 22日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)は、オバマ米大統領が発表した金融規制強化策を受けて「オバマ氏がウォール街に宣戦布告」と題する社説を掲載した。商業銀行のリスク投資を制限するなどの規制の内容について「大衆迎合主義的で危険だ」と批判した。
 同紙は米政府がこれまでに打ち出した金融機関に対する特別税などと比べて「今回の提案は極端な方針転換であり、誤りだ」と論評。金融機関の業務に線引きをすることは簡単ではないと指摘した。
 そのうえで「重要な政策は、金融機関が自らのリスクと金融システムに与える脅威に見合った十分な自己資本を積むことだ」と主張した。(11:44)

米大統領の金融新規制案は「大きな前進」=スティグリッツ氏

[Reuters 2010年 01月 22日 13:53 JST]

 [ニューヨーク 21日 ロイター] ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏は21日、ロイター・インサイダーTVとのインタビューに応じ、オバマ大統領がこの日発表した金融新規制案について「大きな前進」だとの認識を示した。
 デリバティブ規制の強化が必要とも主張した。
 同氏は「規制は細部が重要だが、大きな前進といえる」と発言。今回の規制案は「大きすぎてつぶせない」銀行が過度のリスクをとるという問題に対処したものだと述べた。
 同氏は「投資銀行でさえも厳しい規制が必要」というのが2008年の金融危機の教訓だと指摘。
 ただ、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)への投資で政府による救済が必要になった保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の例を挙げ、今回の案ではデリバティブの規制がまだ不十分だとの見方を示した。

仏財務相、米大統領の新たな金融規制案を歓迎

[Reuters 2010年 01月 22日 18:25 JST]

 [パリ 22日 ロイター] フランスのラガルド経済財務雇用相は22日、オバマ米大統領が21日発表した金融機関のリスクテークを制限する提案について、米国が国内金融業界の規制にようやく目を向けたとして歓迎する姿勢を示した。
 同相はラジオ局ヨーロッパ1で、今回の動きは「極めてすばらしい前進だ」と評価。フランスが米国の動きに倣うのかとの問いに対し、「実際は逆だ。米大統領がわれわれの先例に倣っていることを嬉しく思う」と答えた。
 さらに「米国の金融界では規制という言葉がタブー視されていたが、(米政府は)銀行の行き過ぎの制限において規制が重要だと考えている」と述べた。

米金融規制案、方向性として「安心できる」=英首相報道官

[Reuters 2010年 01月 22日 23:04 JST]

 [ロンドン 22日 ロイター] ブラウン英首相は、オバマ米大統領が21日発表した金融機関のリスクテークを制限する提案について、英国の取り組みと一致しており、方向性として「安心できる」と考えている。首相の報道官が22日、述べた。
 記者団に対し「完全な詳細は見ていないが、今後(オバマ大統領の)提案を研究していく。首相は方向性として非常に安心できると考えている」と語った。
 報道官によると、ブラウン首相は、金融セクター内での過度のリスクテーク抑制に向け、世界各国が各々の状況の下それぞれの方法に従って取り組む必要があるとの見方を示した。

フィナンシャル・タイムズ紙は、今回の金融規制案について「大衆迎合主義的で危険だ」と言うが、これまでの「金融機関迎合主義」の方が危険だったというのが、リーマンズ・ショックの教訓だろう。

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