「強い処をより強く」にはルールが必要

「朝日新聞」本日付の「経済気象台」で、コラム氏が「強い処をより強く」と題して、こんなことを書いている。

 ……最近気になるのは、強者を否定する論説がこの国の一部に見られることである。
 否定しないまでも強者を矯めて弱者を育てよう、とする空気がある。あえていうが、こんなことをすれば両者共倒れは必至である。企業が育つということはそんなに甘いものではない。……

強い処をより強く – 経済気象台 : 朝日新聞

したり顔でこんなことを言っているが、僕にいわせれば、このコラム氏は経済のことがまったく分かってない。規制緩和すれば経済は成長するという、いまだにこんなワンパターンなことしか言えないのか、とあきれてしまうだけ。

なるほど、国富を増やすことは必要だし、企業が育つというのは甘いものではない。しかし、そのために「強い処をより強く」といっているだけではだめである。企業が本当に「より強く」なるためには、ルールが必要なのだ。

本当に「国富」を増やそうと思ったら、企業は、本気で技術革新をおこない、新しい産業分野や活路をみずからきりひらいていかなければならない。

ところが、この間の規制緩和で、企業はそうした苦しい努力などしなくても、正社員を派遣労働者に置き換え、下請け企業を買い叩きすることによって、安易に利益を拡大できるようになってしまった。

その結果、大企業の収益は伸びても、国民の所得は落ち込み、日本経済を支えてきた中小企業、町工場は寂れる一方である。自動車なども国内では売れなくなってしまった。こんなやり方を続けていけば、それこそ「共倒れ」である。

しかし、企業は利益をあげることを求められる存在だから、目の前に、安易な道が広がっていれば、そちらに走ってしまう。だから、大企業がそんな「甘い」道に走れないように、きちんとしたルールをつくることが必要なのだ。

「国富を増やす戦略」をというのであれば、まずこれまでの規制緩和路線からの根本的な転換が必要である。正社員を派遣労働者に置き換えてコストを引き下げるようなことで利潤を上げるのではなく、まっとうに技術革新につとめ、新しい分野を開拓する方向に企業を誘導しなくてはならない。そのために、労働者の権利や賃金を守り、下請け企業が公正な取引ができるように、しっかり政治がその役割をつとめる必要がある。

「強い処をより強く」するためにこそ、ルールが必要なのである。

強い処をより強く

[朝日新聞 2010年2月10日0時7分]

 ここにきてようやく分配論より国富論だ、という機運が盛り上がってきた。それはそうであろう。おやじの収入は減りつつあるのに、あれも欲しいこれも欲しいの大合唱で散財を続けた結果、首が回らなくなったことに気がついたのである。
 今年は国の富を増やす戦略の年になりそうである。国家戦略の基本は世界に通用する技術を持つ強力な企業を幾つ持つかに尽きる。
 政治家が共同体だとか、口ざわりのよい話を持って走り回ってみても欲しいものを持たない国を誰が相手にするものか。この意味において、産業は一流、政治は三流というこの国のテーゼは依然として生き続けているのである。
 相手の政治家が喜んで会ってくれるのは、この国の技術と産業のノウハウがほしいからであり、舌足らずな政策論を聞くためではない。この意味で最近気になるのは、強者を否定する論説がこの国の一部に見られることである。
 否定しないまでも強者を矯めて弱者を育てよう、とする空気がある。あえていうが、こんなことをすれば両者共倒れは必至である。企業が育つということはそんなに甘いものではない。
 確かに、この国の世界に通用する大企業は既成階級に属し改革の妨げとなる点はあるかもしれぬ。しかし改革の名のもとに自らに票を投じない者すべてを差別化するのは、独善的利権政治そのものではないのか。
 今の日本の混迷と不安はこの点にある。言いたいことはこうだ。
 「政府は邪魔をするな。いろいろ施策を行うことによって官僚制に代わる独裁制を築きつつあることに気付くべきだ。弱者救済を実現する道はただ一つ、強い処(ところ)を更に強くすることによって国富を増すしかない」(可軒)

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