次々と密約が明らかに 米兵裁判権を放棄

日米地位協定によって、公務中の在日米軍兵の犯罪については米軍が管轄するが、公務外の犯罪については、日本に裁判権があることになっています。にもかかわらず、実際には公務外であっても日本が裁判権を行使した事件はきわめて限られています(実際には公務外であっても、米兵側が「公務だ」と主張して日本側の裁判権を逃れるということを別にしても)。

なぜそうなるのか? 実は、地位協定では日本側が裁判権を持っていることになっていても、「日本側は裁判権を放棄する」とした日米密約が存在しているからだ、と、これまでも指摘されていました。その密約を裏付ける文書が外務省で見つかったのです。

「米兵裁判権を放棄」日米の秘密合意明らかに : 読売新聞

この「密約」は、いまも有効な「密約」です。文書が見つかった以上、断固廃棄しなければなりません。

「米兵裁判権を放棄」日米の秘密合意明らかに

[2010年4月10日14時31分 読売新聞]

 日米地位協定の前身にあたる日米行政協定で、日本に駐留する米兵らの犯罪について、米側に実質的に裁判権を譲るとした日米間の「秘密合意」が存在したことが10日、外務省の調査で明らかになった。
 日米行政協定では、米兵らの公務外の犯罪は日本に裁判権があると規定していたが、研究者らが米国の公文書で秘密合意の存在を発見、指摘してきた。日本側でこの点が判明したのは初めて。
 文書は、1958年10月4日に当時の岸信介首相、藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使らが日米安全保障条約の改定交渉をした際の「会談録」。外務省が昨年、日米間の核持ち込みなどの「密約」に関して調査した際に見つかった。
 この中で、マッカーサー大使は、日米行政協定の改定をめぐって開かれた53年10月28日の日米合同委員会の議事録に、米兵の公務外での犯罪について、「日本側は裁判権の行使を譲る」と記録されていることを指摘。大使は「公にして差し支えないなら、甚だ好都合である」と日本側に公表するよう求めたが、日本側が応じなかった経緯が記録されている。この結果、裁判権の放棄は、秘密合意のまま維持されたとみられる。
 駐留米兵の犯罪をめぐる裁判権の所在は、駐留国の主権にかかわる問題ととらえられてきた。韓国でも朝鮮戦争後、裁判権を米軍が事実上握り、米側に有利な状態が続いたことで国民の不満が高まった。
 在日米軍をめぐっては、国際問題研究者の新原昭治氏が2008年、米国の国立公文書館で、日本側が日米合同委員会で「日本に著しく重要と考える事件以外では、裁判権を行使するつもりがない」との見解を示した文書を発見した。今回の文書はこれに符合する。
 日米間の「密約」を検証した外務省有識者委員会の坂元一哉阪大教授は、「外務省の他の文書などから、この日米申し合わせは、60年の安保改定時も引き継がれたと理解している」と指摘し、60年に発効した日米地位協定下でも適用された、との見方を示す。現在は米兵が日本で起訴される例はあるが、「法務省の統計上、米兵の起訴率は同じ犯罪での日本人の起訴率より低い」との分析がある。

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