ホンダ中国工場スト、24%の賃上げで合意したが…

ホンダ中国工場でのストライキ。4日に、約24%の賃上げで合意が成立したもよう。しかし、いったん組合と合意しかかったものの、従業員から抗議があがって、小競り合いまで起きたようだ。はたして、今回の賃上げ案で本当に妥結するのかどうか。

ホンダ、中国部品工場でスト妥結と発表:Reuters
ホンダ、中国のスト終結 賃上げ合意で通常稼働へ:日本経済新聞
ホンダ中国部品工場で乱闘 スト続行巡り従業員ら数百人:SankeiBiz

ホンダ、中国部品工場でスト妥結と発表

[ロイター 2010年 06月 5日 08:51 JST]

 [仏山(中国広東省)/東京 4日 ロイター] ホンダは4日、賃上げを要求するストライキで操業が停止している中国・仏山の自動車部品工場で、従業員との間で合意が成立したと発表した。
 これを受け約3週間滞っていた同工場の操業は正常に戻ることになり、ホンダは自動車需要が伸びている中国での通常の生産が可能になる。
 変速機を製造する同工場の従業員は、年収の少なくとも15%引き上げなどの要求に対する経営側の反応を待つためにストを一時停止し、4日に経営側との話し合いに応じた。
 従業員側は経営側が要求を受け入れなければ再びストに入るとしていたが、ホンダの広報担当者は合意が成立したことを明らかにし、部品工場、および自動車組立工場の操業は通常状態に戻ると述べた。
 スト妥結により、ホンダは中国の4工場で「アコード」や「シビック」などの人気車種の組み立てが可能になる。1週間以上絶たれていた部品の供給が再開されたため、ホンダは4日、4工場での組み立て作業を再開している。

ホンダ、中国のスト終結 賃上げ合意で通常稼働へ

[日本経済新聞 2010/6/5 0:24]

 ホンダはストライキが続いていた中国の部品工場(広東省仏山市)で4日、労使間で賃金交渉がまとまり、週明けから中国の全工場が通常稼働に戻ると発表した。ホンダが提示した賃上げ額を組合側が受け入れたことで、ストは完全に終結する。ストの影響で止まっていた完成車全4工場は週明けから、約2週間ぶりに通常操業に戻ることになる。
 ホンダが組合側に提示したのは従来の1544元(初任給、2万円弱)から366元(約5000円)を上積みした1910元(2万5000円強)の賃上げで、労使間が合意した。当初、組合側は完成車工場並みの2000〜2500元(約2万6000〜3万3000円)程度の賃上げを求めていたが、これ以上の改善は期待できないと判断したようだ。
 5月17日、部品工場で賃上げを求めるストが発生し、変速機の生産がストップ。変速機が中国のホンダの完成車工場に供給できなくなる事態に陥り、同24日から中国の完成車工場の生産が停止する事態に陥っていた。
 ストが完全に終結したことで、ようやくホンダの中国事業が通常稼働に戻る。ホンダはストによる影響は明らかにしていないが、ストによって生産が遅れた台数は約3万台に上ると見られる。

ホンダ中国部品工場で乱闘 スト続行巡り従業員ら数百人

[SankeiBiz 2010.6.1 18:02]

 【上海=河崎真澄】中国紙、財経新聞(電子版)によると、従業員のストに揺れる広東省仏山市のホンダ系自動車部品メーカー、本田自動車部品製造で5月31日、経営側を支持してスト回避に動いた労働組合員と、スト続行を主張する従業員の合わせて数百人が工場内で乱闘となり、7、8人の従業員が負傷した。
 通常業務に復帰しようとした組合員が、スト続行を主張する従業員をビデオで撮影したところ、従業員側が「労組は労働者の代表ではないのか」「中国人ではなく日本人(経営側)の肩を持つのか」などと抗議して顔に殴りかかって、流血の騒ぎになったという。
 その後、数十人の地元警察が出動して、工場周辺の道路を封鎖したが、同紙によると、警察当局は乱闘や負傷者の確認を避けた。経営側は労組側に対し、スト参加者への責任は一切追及しないと表明していた。
 この部品工場では変速機を生産しているが、5月17日からのストで部品供給が止まり、ホンダの中国の完成車4工場が相次ぎ操業停止に追い込まれていた。部品工場では賃上げなどの条件に同意した労働組合員らが職場に復帰し、31日に生産を一部再開していた。

しかし、問題はホンダだけのことではすみそうにない。ホンダに続き韓国ヒュンダイの工場でもストライキが起こっているようだし、北京市は、7月から最低賃金の20%引き上げを決めた。労働者の賃金要求は、さらに広がっていくのではないだろうか。

日本経済新聞が、フィナンシャル・タイムズ紙の論評を掲載している。

中国リスク「飛び火」懸念 ホンダに続き現代自でもスト:SankeiBiz
北京市、7月から最低賃金を20%引き上げへ=新華社:Reuters
[FT]権利の主張を認められた中国人労働者:日本経済新聞
ホンダから始まる賃上げ要求の流れ、中国工場ストは何を意味するか:AFPBB News

中国リスク「飛び火」懸念 ホンダに続き現代自でもスト

[SankeiBis 2010.6.1 05:00]

 部品工場のストでホンダ車の生産が全面停止に追い込まれた中国で、外資系製造業に労使紛争が飛び火する懸念が出ている。中国紙、京華時報(電子版)は31日、北京にある韓国現代自動車系の部品工場でも1000人規模の賃上げ要求ストが起き、完成車の生産に影響が出たと伝えた。完成車工場の従業員との賃金格差などを問題視した。出稼ぎ農民の減少による労働力の不足感も背景にある。ホンダの部品工場(広東省仏山)は同日、部分的に稼働を再開したものの、依然としてストは続いており、13億人の人口を抱えた「世界の工場」は転機を迎えているようだ。

要求撤回せず

 同紙によると、ストを打ったのは韓国現代系の自動車部品メーカーの北京星宇車科技。同社の部品供給先で特別手当が支給されたことを受け、手当要求をめぐって部品生産がストップした。現代側の調停でストは収拾に向かっているが、大幅な賃上げ要求は撤回されていない。
 ホンダの部品工場も現在は各従業員と個別に交渉を重ねている段階で、スト終結のめどは立っていない。ストに参加していない従業員を中心に、一部の変速機の組み立てを再開したが、生産量が少ないため完成車工場の再開には至っていない。
 ホンダと韓国現代で共通しているのは、完成車と部品工場の待遇差だ。日本や韓国など西側企業は、より高い付加価値の労働は高賃金で報い、それ以外はローコストを追求するのが一般的。だが、計画経済時代の意識も残る中国のブルーワーカーからすれば、同じ工場労働にもかかわらず部品工場が冷遇されたとの差別感がある。しかも工場労働者は、日本や韓国など本国から派遣された管理職や駐在員とのケタ違いの給与格差を中国メディアに指摘され、被害者意識を増幅している。
 中国に進出している外資系製造業の給与格差問題は両社に限らず、ほぼすべての業種に当てはまる。自動車業界の場合、中国内の急速な需要増への対応を急いだ完成車工場での厚遇があだになった格好だ。労組の全国組織である中華全国総工会が、外資系の製造業を照準として厳格な労使交渉を進めるよう指示しているとの情報もある。

あいまい契約火種

 工場従業員の大半は「農民工」と呼ばれる農村からの出稼ぎ労働者だが、少子化などの影響で製造業に供給される労働者数が、10年前の約1800万人から昨年は1000万人ほどに減少。しかも4兆元(約53兆円)にのぼる景気対策で内陸部の公共工事が増大し、「沿岸都市部に出稼ぎする労働者に不足感が出ている」(みずほ総研上席主任研究員の鈴木貴元氏)のが実情だ。
 中国では2008年の労働契約法施行で労働者の権利意識も高まり、昨年は06年の2倍の約60万件の労働争議が発生している。「同一労働、同一賃金」を明文化する「賃金法」の年内成立も検討されており、労組活動が勢いづいてきた。「中国人従業員とのあいまいな労使契約が多い日系企業に紛争が広がる懸念」(みずほ総研の鈴木氏)があるという。(上海 河崎真澄、高橋寛次)

北京市、7月から最低賃金を20%引き上げへ=新華社

[ロイター 2010年 06月 4日 09:35 JST]

 [北京 3日 ロイター] 新華社は3日、中国の北京市が最低賃金を20%引き上げる、と報じた。北京市の最低賃金は7月1日から、現在の月額800元から月額960元(140ドル)に引き上げられる。
 労働力の不足を背景に、中国では今年に入って、最低賃金を引き上げる省・都市が相次いでいる。ホンダの部品工場で起きたストでは、会社側が従業員に対し24%の賃上げを提示することで決着した。

[FT] 権利の主張を認められた中国人労働者

[日本経済新聞 2010/6/4 0:00]

(2010年6月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国広東省にあるホンダのトランスミッション工場のストに関する以下の見解を聞いてみてほしい。中国全土でホンダの自動車生産を一斉に停止させたストである。

政府系「環球時報」がスト容認

 最初の見解は次のようなものだ。「今回のストは経営者が労働者に払っている賃金の低さを反映したものだ。現体制は団体交渉を行う法的根拠を与えていない」。2番目の見解は次のようなものだ。「開放政策が始まってから30年、一般労働者は経済繁栄の分配が最も小さかった集団に属している。ホンダの4工場での生産ライン休止は、中国工場における組織労働者の保護の必要性を浮き彫りにしている」
 最初の発言の主は、韓東方氏。1989年の天安門広場での抗議活動の際、労働者と学生を団結させようとした元鉄道電気技師である。韓氏はこの問題で投獄され、刑務所で結核を患い、手術で肺を切除した。今、香港で亡命生活を送る同氏は、労働組合の活動家として働き、中国本土の労働者の権利を監視している。
 2番目のほとんど同じ見解の出所は、もっと意外だ。これは中国共産党機関紙「人民日報」が創刊したタブロイド紙「環球時報」の社説なのである。
 中国の新聞はストを是認することはおろか、ストについて報じる習慣もない。新たな権力の極をにおわすような動きや、面倒な問題が存在しない投資先としての中国のイメージを汚すことは何であれ、一般にタブーとされてきた。いずれにせよ、ストはまれだ。独立した労働組合は禁止されており、「公認労働組合」はめったに労働争議を起こさないからだ。

40歳未満の労働者数、20%も減少

 では、天安門広場で抗議活動を率いた反体制派の1人と中国共産党と密接な関係がある新聞が、これほど微妙な問題についてなぜ意見を一にしているのだろうか?
 まず、政府当局はメディアを通じて、現実を容認しているにすぎない。中国経済の離陸から30年間の発展を築く土台となった無限に提供される低賃金労働の時代は終わりに近づいている。その背景の1つには、人口動態がある。中国の一人っ子政策のために、40歳未満の労働者の数が20%も減少したのである。
 労働者の減少は、交渉力の増大を意味する。ホンダの従業員は50%の賃上げを要求している。中国に拠点を構える台湾系製造受託会社で、従業員の連続自殺に揺れる富士康科技集団(フォックスコン)はつい先日、30%の賃上げに同意した。
 1980年代から1990年代にかけて都市部に押し寄せた最初の出稼ぎ労働者と異なり、今の出稼ぎ労働者は望みが高く、選択肢も多い。多くの人は数年間貯蓄して故郷に戻るだけでは満足せず、急発展する都市部に定住したいと考えている。

工場の内陸部移転も影響

 都市部で暮らすためには高い賃金が必要になる。高い賃金を得られなければ、故郷にもチャンスがある。コスト上昇圧力に苦しむ一部の工場が内陸部へ移転し、東部の沿岸部や珠江デルタなどの工場集積地を離れて、多くの出稼ぎ労働者の出身地に近い省に拠点を移したからだ。
 当局が労働争議を慎重に容認する第2の理由は、より良い労働条件が共産党の利益にかなうためだ。中国の安い労働力を日本や米国、欧州から進出してきた多国籍企業に提供することは、手段であって目的ではなかった。トウ小平は、外資を金持ちにするのではなく、自ら金持ちになることが素晴らしいことだと言った。
 他国と同じように、中国でも企業収益の労働者の取り分は低下傾向にある。これは中国の指導者層が強調する「和諧(わかい)社会(調和の取れた社会)」のあり方に反する。ホンダ工場でのストや富士康科技集団(フォックスコン)での自殺に関する中国メディアの報道は、拡大する所得格差の分析に満ちている。
 形勢が労働者に有利になりつつある兆候はほかにもある。中国は2008年に、労働者と書面で契約を結ぶことを義務づける労働契約法を施行した。こうした風潮の変化や高まる賃金上昇圧力が、中国の低賃金や、ストが起きず、採用も解雇も自由な環境に慣れきった外資系企業に影響を及ぼすのは明らかだ。

海外企業の中国からの撤退はない

 だが、撤退する企業はほとんど出ないだろう。というのは、中国はもはや単なる低コストの生産拠点ではなくなったからだ。多くの企業にとって、中国は重要な市場にもなりつつあり、自社の世界的なサプライチェーンにとって欠かせない存在となっている。
 ウォルマート・ストアーズは毎年、300億ドル相当のモノを中国から調達している。ホンダのような日本の自動車メーカーは部品メーカー群を引き連れて中国に進出し、中国の部品サプライヤーとの関係を築いた。自動車について言えることは、多機能情報端末「iPad(アイパッド)」や携帯電話、デジタルカメラ、カラーコピー機についても言える。
 このような集積効果のために、メーカーが工場を閉めて移転し、ほかの場所で一からやり直すことはほぼ不可能になっている。
 こうした理由から、中国政府は賃金インフレを注意深く見守りながらも、大胆さを増す労働者を慎重に支持し続けるのかもしれない。だが、どんな理由があろうとも、組織労働者が政治的な勢力に発展する兆しは容認しないだろう。

労働者の権利、政治的権利と分離

 1989年の政治活動のせいで投獄され、亡命する羽目になった韓氏でさえ、労働者の権利と政治的権利は分けなければならないという現実的な結論に達した。「私は極力、中国の労働運動から政治色を排除するようにしている」と韓氏は言う。
 中国の労働運動の活動家が団体交渉から政治を取り除こうと考え、中国が国家としてスト参加者を応援している今、変化が起きているのは間違いない。

By David Pilling(翻訳協力 JBpress)

ホンダから始まる賃上げ要求の流れ、中国工場ストは何を意味するか

[AFP BBNews 2010年06月04日 20:01 発信地:東京]

【6 月4日 AFP】自動車大手ホンダの中国工場が前週〜今週、賃上げをめぐるストライキで操業を停止した。4日から徐々に稼動を再開する見込みだが、生産ラインが止まるという前例のない事態に、日本企業は中国市場への進出計画を見直す必要に迫られそうだ。
 急成長する経済とともに中国人労働者の賃上げ要求は強まっており、コスト増大に直面する日本企業の頭痛の種となっている。その一方で、中国人労働者の所得が増えれば、高級品需要の高まりが期待できるというとらえ方もある。

■「昇給なし低賃金」に不満、ホンダが前例に?

 前月27日からストに突入していた中国工場の従業員らに対し、ホンダが24%の賃上げを提案したことで、ホンダの部品工場は2日から稼動を再開した。中国合弁事業である広汽本田汽車(Guangqi Honda Automobile)と東風本田汽車(Dongfeng Honda Automobile)の完成車工場も、4日〜5日に操業再開の見込みがついた。ただ、いつからフル稼働できるかは不明だ。
 このような事態が起こることは誰も予測していなかったと、東海東京調査センターのアナリスト、加藤守氏。ホンダ工場のストによって中国人労働者の賃上げ要求の流れが強まる可能性は高く、そうなれば中国での生産コスト上昇は避けられないと指摘する。
 中国の労働組合の全国組織、中華全国総工会(All-China Federation of Trade Unions、ACFTU)によれば、中国の被雇用者の4分の1近くが過去5年間に昇給されたことがない。
 ここ数週間には、米コンピューター大手デル(Dell)やソニー(Sony)、パナソニック(Panasonic)などの委託製造を手がける台湾系大手電子機器メーカー・富士康集団(フォックスコン、Foxconn)の中国工場で自殺者が相次ぎ、同社が生産ライン従業員の賃金を3割引き上げた。
 こうした中、中国国内で労働問題はクローズアップされており、工場労働者の労働条件を疑問視する声や、独立した労働組合運動が禁止されている中国の安価な労働力の恩恵を被る企業に対する監督強化の要求が高まっている。
 自動車業界に詳しいミズノ・クレジット・アドバイザリーの水野辰哉代表は、中国経済と中国人の所得がともに伸びるにつれて、企業は今まさに戦略の見直しを迫られていると語る。

■裏に感情的なしこりも

 中国人民大学労働人事学院(School of Labor and Human Resources of Renmin university)の楊立雄(Yang Lixiong)教授は、中国国内に展開する外資系企業で中国人の昇進機会が限られている点を指摘する。「ホンダ工場の場合、経営陣の大半は日本人。現地の中国人が昇進するのは非常に難しい上、月給も低く、労働条件も良くはない」
 また、長きにわたる日中両国の対立の歴史を背景とした中国人従業員の日本人従業員に対する反感もある。今回のストでホンダの中国人従業員たちは、同じ工場で働く日本人の賃金は50倍だと訴えた。水野氏によると、中国人労働者の間には雇用側の日本企業に差別されているという気持ちが強く、「このほうがもっと感情的かつ根本的な問題で、政治的問題に発展する懸念もある」という。
 一方で、中国人労働者の賃金の上昇は、消費者でもある労働者の購買力を強化するため、必ずしもマイナス要因ではないと見るアナリストもいる。岡三証券の藤木宏和投資戦略部主任は、日本は価格面ではすでに周辺のライバル国に勝ち目はなく、競争できるのは高級品市場の需要に応える職人的な技術力の高さだと強調。ゆえに日本企業がターゲットとすべき層は、中間層から富裕層の消費者だと話している。

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