読響定期演奏会500回、おめでとうございます

読響第500回定期演奏会(2011年1月22日)

先週の土曜日、サントリーホールで読響の定期演奏会を聞いてきました。今回で読響定期演奏会は500回ということで、それを記念する特別小冊子をいただきました。

  • 池辺晋一郎:多年生のプレリュード―オーケストラのために
  • リスト:ファウスト交響曲

指揮は、読響正指揮者の下野竜也氏。

1曲目は、500回を記念しての2010年度読響委嘱作品。現代音楽ではありますが、池辺先生がプログラムに「地を這うような、あるいは重く沈潜していくような頑迷な『現代音楽』ではなく」と書かれているとおり、いわゆるぞわぞわぞわ〜、ぎゅるぎゅるぎゅる〜の現代音楽にくらべれば、ずっと聞きやすい作品でした。しかし、ところどころ「大河ドラマ」のように聞こえてくるのは気のせいでしょうか。(^_^;)

2曲目は、リストの「ファウスト交響曲」。ファウストを題材にした作品はたくさんあります。しかし、現在の日本では『ファウスト』を全部読み切ったという人はどれだけいるでしょうか。でも、当時は、誰もが読み、誰もが共感した作品。かなりジャンルは違いますが、たとえば日本人なら忠臣蔵といえば筋を説明しなくてもすむように、当時のドイツ人あるいはヨーロッパの人々にとっては、「ファウスト」といえば、わざわざあれこれ説明しなくても分かる――そういうことが当然前提になった作品でもあります。

それにしても、リストのそれは全体で1時間を超える大作。3楽章構成で1楽章だけで30分以上あり、ずうっと聴いてもうそろそろ終わるだろうと思ったら、そこから第1主題が戻ってきて、また延々と続くといった感じ。それだけ、聴く方も演奏する方もなかなかしんどい曲ですが、この日の演奏は、良きにつけ悪しきにつけ下野さんらしい生真面目な演奏という感じでした。もっとメリハリをつけて、深刻なところは思いっきり深刻にやってほしかったし、逆に、第2楽章「グレートヒェン」はもっとチャーミングでもよかったのではと思いました。

ラストの歌がはいるところは、テノールの吉田浩之さんの声がよく響き、渋い男声合唱とあいまって、しっかりまとめ上がっていたのではないでしょうか。それにしても、ここで歌い上げられる「永遠に女性的なるもの」って、いったい何なんでしょうねぇ…。

さて、演奏終了後、作曲家の西村朗氏、音楽評論家で慶応大准教授の片山杜秀氏、ジャーナリストの江川紹子さん、それに式を終えたばかりの下野氏をパネラーに、「アフタートーク」が開かれました。

テーマは「今、オーケストラに何を求めるか?」。まあ、実際問題、司会をした読響の横田弘幸理事長が最初に弁解がましくしゃべっていたように、どんなことでも話せるテーマで、しかも時間はわずか約50分程度では、最初から議論が深まるとはあまり期待していませんでしたが、そんな何でもありのテーマのなかで、横田理事長を先頭に、「入場料だけで運営できるオーケストラはヨーロッパにだって存在しない」「国・地方自治体の援助や企業の寄付で支えていくことが大事だ。そういう点で『経済効率』ばかりが強調される昨今の風潮はいかがなものか」ということが、こもごも語られたのは、なかなか興味深い現象でした。国内オケのなかではN響についで、財政的に安定しているといわれるあの読響でさえ、民主党政権の「事業仕分け」で助成が減らされて大変だ、ということなのでしょうか。

音楽にかんして、なるほどと思ったのは、下野さんの、なぜ人気のない現代音楽をプログラムに入れるかということについて、「50年後、100年後に作品を引き継いでゆくために、演奏している」という発言。これは、なるほど、演奏家ならではの発想だなぁと思って聞きました。

しかしなにより大変だなぁと思ったのは、大作の演奏を終えた下野さんが、発言席に座って、いかにも疲れた、ほっとしたというような、こういっては失礼ですが、ちょっとぼぉ〜っとした表情をされていたこと。ご本人も、「指揮が終わったばかりで、なにも考えられない」と発言されていましたが、あらためて指揮をするという作業が、大変な集中力やエネルギーをつかう仕事だということをつくづく実感しました。

読響定期演奏会500回、拍手鳴りやまず:読売新聞

読響定期演奏会500回、拍手鳴りやまず

[2011年1月23日00時03分 読売新聞]

 来年創立50周年を迎える読売日本交響楽団の通算500回目となる定期演奏会が22日夜、東京・赤坂のサントリーホールで開かれた。
 同楽団が作曲家の池辺晋一郎さんに委嘱した新作「多年生のプレリュード」が、同楽団正指揮者の下野竜也さんの指揮で初演されたのに続き、今年が生誕200年となるリストの大曲「ファウスト交響曲」が演奏された。聴衆からは再三のカーテンコールがわき、5分以上にわたり拍手が鳴りやまなかった。
 終演後には同ホールで、アフタートーク「今、オーケストラに何を求めるか?」が行われ、作曲家の西村朗さん、音楽評論家の片山杜秀さん、クラシック音楽好きで知られるジャーナリストの江川紹子さんが、下野さんを交えて対談した。

【関連ブログ】

【演奏会情報】 読売日本交響楽団第500回定期演奏会
指揮:下野竜也/テノール:吉田浩之/男声合唱:新国立劇場合唱団/合唱指揮:冨平恭平/コンサートマスター:藤原浜雄/会場:サントリーホール/開演:2011年1月22日 午後6時

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