工芸ガラスの製造工程

岩田糸子『ガラス工芸』保育社カラーブックス

ガラス瓶の製造工程についてあれこれ調べていますが、ご紹介もいただいた岩田糸子『ガラス工芸』(保育社カラーブックス、1975年、絶版)を手に入れて、読んでみました。

本書は工芸ガラス作品の紹介が中心ですが、後ろに工芸ガラスの製造工程について、少しまとまった解説がついています。その中に、吹き竿をつかった手作業について、次のように記述されていました。

……吹き竿による手作業の製法は、通常数名が一組になって流れ作業の形式になります。最初の人が(1)玉取りといって、竿の先にガラスだねを巻きとって下玉を作ります。(2)次の人は下玉にガラスだねを何回か重ねて適量にします。(3)次の人は胴の形を作り、(4)別の人がポンテをとって口をきりおとし、口焼きをします。そして(5)仕上げの人に回します。仕上げの人が形を整え終わると(6)運びの人が徐冷炉に入れる訳です。これは一般的な単純な作業の場合であって、これで6人の手を経たのです。(同書、121ページ。(1)〜(6)の数字、強調は引用者)

まず、分かったことは、ガラス種を吹き竿に巻きつける gather の作業が「玉取り」と呼ばれていること。あるいは、gatherer の人も「玉取り」と呼ばれていたかも知れません。

それから、(3)の「胴の形を作る」人は、122ページ上段では「胴吹き」とも呼ばれています。

(4)に出てくる「ポンテ」というのは、最初に吹き竿がついている場所はガラス瓶の口になる訳ですが、口の部分も加工するためには、別の竿に移して、吹き竿を外さなければなりません。そのために底の方にガラス種をつけて、そこに別の竿をつけるのですが、そのために底につけるガラス種がポンテ、この作業が「ポンテをとる」と呼ばれます[1]。口の部分を作る作業が「口焼き」と呼ばれるのは、口の部分を加工するために、もう一度ガラスを熱するからでしょう。

(2)の人だけ何と呼ばれたのか分かりませんが、この記述にしたがえば、ガラス製造工程は、(1)「玉取り」、(2)不明、(3)「胴吹き」、(4)「口焼き」?(あるいは「ポンテとり」?)、(5)「仕上げ」、(6)「運び」の6人一組ということになります。

これは、あくまで工芸ガラス製品、それも「宙吹き」でつくられる工芸品の製造工程のことですので、ガラス瓶製造工程がそうだったかどうかは確認できません。しかし、(1)がマルクスのいう gatherer、(3)が blower、(5)が finisher、(6)が taker-in に相当しそうです。想像力をたくましくすれば、(4)は、マルクスが putter up oder whetter off と書いていたものに当たるのかも知れません。

いずれにしても、作業工程の呼称が一部なりとも分かったので、一歩前進です。(^_^)v

保育社の「カラーブックス」シリーズは植物図鑑とか昆虫生態図鑑とか、いろんな種類が出ていて、僕も昔はずいぶんと重宝しました。

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  1. 「型吹き」でつくる瓶の場合は「ポンテをとる」工程はありません。 []

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  1. こんにちは。

    お役に立つかわかりませんが、2月から始まったNHKの番組です。
    https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=61897242011

    テキストに吹きガラスの製造工程が詳しく書いてあります。

  2. cosmosさん、ありがとうございます。

    早速明日、本屋さんで買ってみようと思います。テレビの番組も見てみます。

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