さて、こっちの八百長はどうする?

ところで、昨日の「朝日新聞」夕刊に大きく出ていた記事。このブログでも、以前に「エコ商品の罠」という記事で指摘したことがありますが、エコ商品だからといって、たとえばブラウン管20インチのテレビを液晶42インチに買い換えたら、結局、消費電力は増えてしまいます。

しかも政府あげて大宣伝してやった「家電エコポイント」制度。CO2を400万トン削減するという触れ込みでしたが、それがとんでもない水増し計算だったというのです。まず、1995年製の家電を買い換えるという勝手な前提。しかも、24インチのテレビは24インチの液晶テレビと買い換えるという、非現実的な想定。そして、2台目、3台目の「買い足し」まで「エコポイント」の対象にしてしまったずさんさ。

挙げ句の果てに、環境省の関係部局はしっかり元データの廃棄までやっている。とても大相撲の八百長どころの騒ぎではありません。

家電エコポイント、CO2削減試算ずさん 効果6分の1:朝日新聞

新型の省エネ家電の製造にかかったエネルギーとそこから発生したCO2、さらに買い換えられた旧型家電の廃棄処分で発生するCO2まで計算に含めると、ほんとうにCO2削減になったのか、検証してもらいたいものです。

家電エコポイント、CO2削減試算ずさん 効果6分の1

[asahi.com 2011年2月5日]

 「二酸化炭素(CO2)の削減効果は年間400万トン」。政府がそううたって2009年5月から進め、家電の買い替えを促した家電エコポイント制度。その根拠となったCO2削減予測値の算出方法が、実態とかけ離れたものだったことが分かった。算出に関する資料の廃棄が昨夏判明し、環境省が当時の担当者に聞き取り調査する中で明らかになった。
 家電エコポイント制度は、省エネ性能の高いエアコンと冷蔵庫、地上デジタル対応テレビが対象。対象品の購入で、商品券や地域特産品などと交換できるポイントがもらえる。1点は1円相当。2011年3月までに約7千億円の税金が使われる見込みだ。
 環境省は制度開始の際、家電1台あたりの消費電力の削減率は50〜60%に達すると試算。エアコン131万トン、冷蔵庫130万トン、テレビ104万トンの計365万トンを「100万トン単位になるよう四捨五入」(担当者)し、「400万トン削減」をうたった。
 しかし昨年3月に同省が実際の販売データに基づき行った試算では、削減率はエアコン23%、冷蔵庫46%、テレビ14%。削減総量も69万トンと当初予測の約6分の1だった。
 数値のずれは、買い替え対象商品をすべて1995年製と設定したのが一因だ。
 内閣府のデータでは、09年3月時点での一般世帯の平均使用年数は、エアコンが10.3年、電気冷蔵庫は9.9年、カラーテレビは9.2年。この値からすると、買い替え前の家電製品は95年製より新しく、エネルギー効率のよいものが多いことになる。
 さらに、すべて同じ大きさのものへの買い替えになると想定し、大型化という「増エネ」要因を考えなかった。テレビでは、32型から32型への買い替えが前提。しかし電子情報技術産業協会の統計では、算出に使われた95年時点で「30型以上」のカラーテレビは全体の4.6%。ほとんどは30型未満だ。一方、エコポイント事務局の統計では、昨年12月までにエコポイント制度で買われたテレビの36%が37型以上だった。
 また、テレビの場合、買い替えではなく、2台目を新しく買う「増エネ」行動も全く起きない想定だった。
 こうして算出された「400万トン」が財務省との折衝や国会説明など各所で使われる一方、環境省の担当者はその削減量をどう試算したかを記した資料は廃棄していた。
 環境省は廃棄に気づいた昨年7月から、内容について当時の担当者に複数回、聞き取り調査を実施。その結果明らかになった試算について「95年製を前提にした理由は不明。単一サイズしか考えなかったり、買い増しを想定しなかったり精密な計算ではなかった」としている。今年1月からは、古い家電の廃棄とセットでなければポイントがもらえないよう制度を変えた。(赤井陽介)

    ◇

 環境シンクタンク「住環境計画研究所」の中上英俊所長は、「相当エネルギー効率が悪かった時と比較し、大型化すら想定しないのは変。政権が経済対策を急ぐ中で焦って試算したのかもしれないが、もっと精密な予想は出来た」と指摘。「家電ごとに、計測器で実測した省エネ量に応じてポイントをつける仕組みを考えるべきでは」
 大和総研の小黒由貴子・主任研究員は「エコポイントで、家電を買う際に『省エネ』の尺度が消費者に根付いた」とし、経済対策としても一定の効果があったという。ただ、「試算はどんな条件だったかをセットで示すべきだ。妥当性を示したり、後に検証して次なる施策に役立てたり出来なくなる」と話す。

【追記】

8日の記者会見で、環境大臣も水増しを認めたが、「PRには使っていないので、公式な修正はしない」という。しかし、国会答弁で使っているのだから、あの答弁は間違ってましたという謝罪は必要だろう。ただし、「家電エコポイント制度」がスタートしたのは2009年5月だから、謝罪するのは、麻生内閣時代の担当者(公明党・斉藤鉄夫衆議院議員)だけどね。

松本環境相、エコポイント削減効果「粗い試算」:日本経済新聞

松本環境相、エコポイント削減効果「粗い試算」

[日本経済新聞 2011/2/8 11:09]

 松本龍環境相は8日の閣議後の記者会見で、省エネ家電への買い替えを促した「家電エコポイント制度」による二酸化炭素(CO2)削減効果について「粗い試算だった」と述べた。家電1台当たりの消費電力の削減率を50〜60%と見積もっていたが、実際は14〜46%と大幅にずれていた。
 試算に関する資料は環境省の担当者が廃棄。環境相は会見で、資料管理の徹底を事務方に指示したことも明らかにした。
 環境省は予算要求や国会説明でこの試算をもとに「家電エコポイント制度によるCO2削減効果は年間400万トン」としてきた。ただ、PRには使用していないため、公式な修正はしないという。
 環境省の削減効果の試算は、「すべての消費者が1995年の製品と買い替える」として計算した。だが、実際の家電の買い替えサイクルは約10年と短い。制度は2009年5月から始まっており、95年よりも省エネ効果の高い製品と買い替えていたことになる。
 試算では、ブラウン管テレビから液晶テレビやプラズマテレビに切り替わる中で、サイズが大型化していることを考慮に入れていなかった。実際の消費電力の削減率は、テレビが14%、エアコンが23%、冷蔵庫が46%だった。

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