日経新聞 「原発の最悪事態も想定し万全の対応を」の社説を掲載

日本経済新聞が、今朝の新聞で「原発の最悪事態も想定し万全の対応を」と題する社説を掲げました。

社説は「使用済み核燃料の過熱は予断を許さない」「原子炉が壊れて多数の人が被曝する惨事の恐れはなお拭いきれない」と指摘。さらに「放出された放射性物質は原発から半径30キロメートルを超える地域まで、微量ながらも広がりつつある」と懸念を表わし、「万が一の事態も想定し、広範囲の住民避難や医療提供の準備も急ぐべきだ」と提起しています。

原発の最悪事態も想定し万全の対応を:日本経済新聞

原発の最悪事態も想定し万全の対応を

[日本経済新聞 2011/3/17付]

 福島第1原子力発電所は火災や発煙が続き、危機的な状況から脱せない。政府や東京電力の情報収集や提供も要領を得ず、避難指示が出ていない地域から一部住民が退避し始めるなど、混乱が広がっている。
 原発の重大事故という非常事態を乗り切るため、内外の知恵と人員、機材を総動員し、一刻も早く事態を鎮静させなければならない。情報提供も、より迅速、的確にし、不安の連鎖を早く断ち切る必要がある。
 火災の原因になった、原子炉の外の使用済み核燃料の過熱は予断を許さない。ヘリコプターから水を投下して冷やす作戦も、上空の放射線が強く、壁に突き当たった。原子炉が壊れて多数の人が被曝(ひばく)する惨事の恐れはなお拭いきれない
 米政府は支援チームを派遣し、原子炉を設計した米ゼネラル・エレクトリック(GE)も電源車の提供を表明した。危機を乗り切るため支援受け入れをためらうべきではない。
 放出された放射性物質は原発から半径30キロメートルを超える地域まで、微量ながらも広がりつつある。万が一の事態も想定し、広範囲の住民避難や医療提供の準備も急ぐべきだ
 屋内退避の対象である半径20〜30キロメートル圏内には約14万人の住民がいる。圏外への避難が必要になっても混乱が生じないよう、情報を周知徹底し、秩序だって避難できるような手立てが要る。子どもが強い放射線に被曝すると、甲状腺がんなどを発症しやすい。子どもや妊婦を優先的に避難させる方法も準備が必要だ。
 首都圏以西や北海道などでも大気中の放射線量の測定を強め、迅速に公表する体制を早く整えるべきだ。47都道府県が数値の公表を始めたが、生の数字の公表だけでは国民が戸惑う。健康被害をどの程度心配すべきか、丁寧な情報提供が要る。
 国民が知りたいのは客観的にみて事故がどれほど重大で、政府がその克服にどんな基本作戦を練り、国民がどう行動すべきかだ。政府の情報提供はそれに応えていない。これでは不安がさらに広がる。
 安全・安心を担う原子力安全委員会や経済産業省原子力安全・保安院は首相官邸や東電の発表の追認に終始し、監督機関としての使命と責任を果たしていない。外部の専門家を交えて事故認識や対応方針を分かりやすく表明し、国民の不安をできるだけ取り除く必要がある。
 原発の非常事態が長引けば、生産活動の回復が遅れて経済への打撃が増し、被災者の支援や復旧にも悪影響を及ぼす。一刻も早い事故の収束に全力を集中しなければならない。

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