日本学術会議が緊急集会「今、われわれにできることは何か?」

日本学術会議が、18日、緊急集会「今、われわれにできることは何か?」を開きました。

脆弱なシステム、改善に向け行動 大震災受け日本学術会議声明:日本経済新聞
原発事故 鎮静へ総力/学術会議が緊急集会:しんぶん赤旗

日本学術会議は、「日本学術会議法」にもとづいて設置されている「わが国の科学者の内外に対する代表機関」(同第2条)であり、独立して職務をおこなう(第3条)とともに、「科学を行政に反映させる」ため、あるいは「科学を産業及び国民生活に浸透させる」ために必要なことを「政府に勧告する」権限を与えられています(第5条)。

日本学術会議の報告はこちら↓。

日本学術会議 緊急集会「今、われわれにできることは何か?」に関する緊急報告

そのなかでは、学術会議にふさわしく、さまざまな貴重な提案が指摘されています。

たとえば原発事故にたいしては、事故対応、周辺地域と住民の避難・医療・環境評価、現場作業に従事している人たちへの措置などにかんし、「日本全体のみならず海外の知識と経験を活用することが必須であり、関係者・関係機関の総力をあげて対応する体制を構築する必要がある」として、首相官邸、原子力安全・保安院、東京電力だけでなく、原子炉メーカー、原子力安全委員会、原子力研究機構、大学および研究所、医療保険関係団体・機関の英知と経験をそう結集する仕組みを緊急に構築すべきだと提言しています。

そして「直ちに実行に移すべき行動」として、「敷地外への放射能の拡散状況の下で、環境放射能の評価システムを用いた測定結果などを公表し、情報を国民と共有すべき」だとしています。

また、復興に向けて、「医療・保健、原子力、エネルギー、環境、食品、水利、土木・建築、運輸、経済、法律、行政、自治など、広い範囲や分野における科学技術の専門家集団と知識と経験が必須」だとして、「省庁、組織、世代を超えて結集した国全体としての総合的な体制の整備」を呼びかけています。

いま政府は、原発事故への対応と、被災地の救出・支援で手一杯と感じられます。しかし、野菜や水道水、あるいは雨、海からも放射性物質が検出されるようになっており、もっと広範に観測し、しかも核種[1]を含めて継続的に発表していく体制が必要です。

学術会議のこの提言が生かされることを願わずにはいられません。

それにしても、こんな重要な会議を報道したのが、「日本経済新聞」と共産党の「しんぶん赤旗」しかないというのは残念な限りです。

脆弱なシステム、改善に向け行動 大震災受け日本学術会議声明

[日本経済新聞 2011/3/19 9:26]

 日本学術会議(会長・金沢一郎東京大学名誉教授)は19日までに、東日本大震災とその後の原子力発電所の事故を受けた声明をまとめた。大災害によって明らかにされた社会・経済システムの脆弱(ぜいじゃく)性を謙虚に受け止め、その改善のためにあらゆる学術を活用するよう、責任を果たしていくと表明している。
 声明では、東京電力福島第1原子力発電所の深刻な事故に対し、科学者が所属する組織の枠を超えて知識を結集し、被害を最小限にとどめる対策を講じていくべきだと強調した。放射性物質の漏れに代表される深刻な情報の正確な伝達や、救援物資の輸送が思うように進まないシステムの運用についても、次代に引き継ぐ社会を築いていけるよう行動すると唱えた。
 学術会議は人文・社会科学を含めた国内約84万人の研究者を代表する機関。災害などを受けて声明をまとめるのは極めて異例だ。

原発事故 鎮静へ総力/学術会議が緊急集会

[2011年3月19日 しんぶん赤旗]

 日本学術会議(金沢一郎会長)は18日、東京都港区の日本学術会議講堂で、東日本大震災とその後の原発事故に対して学術の立場からどんな貢献ができるのかを考える緊急集会を開きました。
 「今、われわれにできることは何か?」と題した集会には、学術会議会員をはじめ190人が参加しました。
 金沢会長はこの日発表した学術会議幹事会の声明を引いて、「今回の災害が顕示した日本の社会・経済システムの脆弱(ぜいじゃく)性を謙虚に受けとめ、その改善の方策を真しに模索して、次代に安心して引き継ぐことができる新しいわが国の社会を構築するために科学と技術を活用する方法を、社会に向けて説明する責任を自覚して行動する」とのべ、「具体的に何ができるのか、議論したい」とあいさつしました。
 福島第1原発の状況について報告した田中俊一・元原子力委員会委員は、住民に対する情報提示と日本全体の知恵と能力の活用が課題であり、事態は切迫しており、「わが国の総力を挙げて事故の鎮静化を」と訴えました。
 会員などからは「情報コントロールが激しくなっている。学術会議と政府の情報交換を急いで」「被災地が広域で情報が偏っている」「日本の能力が発揮できていない」など現状の問題を指摘する意見が出されたほか、「今すぐ政府に意見をあげる体制を」「先導して政府と協力して被災地の復興のグランドデザインをつくるべきでは」「専門性を生かして課題別に作業グループをつくろう」「外国のアカデミーと一緒になって対応を」など、さまざまな提案が出されました。
 これらの意見を受けて、学術会議に災害対策委員会を設けて、政府に提言するなどの活動を行うことになりました。

  1. 放射性ヨウ素131は半減期8日なので、高い濃度が検出されても、8日で半分、16日で4分の1、24日で8分の1に低下していきます。他方で、放射性セシウム137は半減期30年。さらにセシウム137は体内に取り込まれると、排出されるまで100〜200日かかり、その間、ガンマ線を出し続けることになる(いわゆる体内被曝)。 []

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