原子力安全委 20〜30km圏に「積極的自主避難」が望ましい

政府が、現在屋内退避となっている福島第1原発20〜30km圏についても、住民に「自主避難」を促しました。

枝野官房長官の発表だと、「必要な物資が届かず日常生活が困難になってきている」というのがその理由のように聞こえますが、原子力安全委員会発表では、「放射性物質の放出が収まる見通しが立っていない」[1]ことが主たる理由になっています。

「ただちに健康に影響はない」「いまの水準程度なら大丈夫」という「安心理論」はもはや成り立たなくなってきた、ということです。「放射性物質の放出が収まる見通し」が立たない以上、30km以遠なら絶対安全だということもできない、ことになります。

30キロ圏内も自主避難促す:NHKニュース
“自主避難の促進望ましい”:NHKニュース
被ばくの水、放射性物質の濃度は1万倍:TBS News-i
“3号機原子炉 損傷の可能性”:NHKニュース
【放射能漏れ】原発・北西40キロ飯館村土壌からヨウ素117万ベクレル、セシウム16万3000ベクレル 文科省:MSN産経ニュース
【放射能漏れ】汚染は数十年続く 避難範囲広がる恐れも指摘 仏原子力当局:MSN産経ニュース

大気中の放射線に始まり、ほうれん草の汚染から水道水の汚染が問題となり、さらに土壌の汚染も明らかになっています。こういう事態は、冷却機能が失われ、格納器の弁を開けなければならないような事態が起こったときから、あるいは水素爆発で建屋が破損されたときから、十分予測できたことでした。

しかし、理論的に予測されるというのと、実際にそうした事態に立ち至ったということとは、やはり天地ほどに違います。

毎日、天気予報を確かめるように、テレビニュースで野菜や水道水の放射能汚染が基準値以下かどうかを確かめながら生活する――そういう事態がやってくるのでしょうか。「計画停電が不公平だ」とか「プロ野球のナイターをどうするか」といった議論をしていたことが、なつかしく思い出されるような事態がやってくるのかも知れません。

こうなったら、もともと安定ヨウ素剤をもらえない[2]40歳以上のみなさん、そろそろ最後の腹をくくるべきときではないでしょうか。

しかし、赤ちゃんや子どもたち、あるいは妊娠中のお母さんは別です。仕事や学校、家族のことなど、いろんな問題があるかも知れませんが、子どもたちにリスクを押しつけることはできません。大げさに言えば「国民移住計画」みたいなものをつくって、一時的な避難ではなく、数年あるいは数十年にわたる避難生活が可能になるような措置を本気で考えなければならないのかも知れません。

これが杞憂[3]に終わってくれることを願わずにはいられません。

30キロ圏内も自主避難促す

[NHKニュース:3月25日 12時37分]

 枝野官房長官は、午前の記者会見で、屋内退避の指示が出ている福島第一原子力発電所の半径20キロから30キロの範囲の地域について、必要な物資が届かず日常生活が困難になってきているとして、住民に自主避難を促すとともに、避難指示が出たら速やかに避難できるよう地元自治体に準備を指示したことを明らかにしました。
 この中で、枝野官房長官は、屋内退避の指示が出ている福島第一原子力発電所の半径20キロから30キロの範囲の地域について、「自主避難を希望する人が増えるとともに、商業や物流などに停滞が生じており、社会生活の維持が困難になりつつある。今後の事態の推移によっては、放射線量が増大して、避難指示を出す可能性も否定できない」と述べ、今後、政府として、避難指示を出す可能性も否定できないという認識を示しました。そのうえで、枝野官房長官は「区域内の住民の生活支援と自主避難を積極的に促進し、避難指示を想定した準備も加速する必要がある。地元の市町村は、住民の自主避難を促進し、政府の避難指示が出た場合、直ちに避難できるよう国や県と密接に連携して、適切に対応してほしい」と述べ、地元の市町村に対し、住民に自主避難を促すとともに、避難指示が出たら速やかに避難できるよう準備を指示したことを明らかにしました。さらに、枝野官房長官は「現地の皆さんには、物流などが滞っている状況のなかで、大変ぎりぎりのご苦労をお願いしている。生活支援を強化するのは当然だが、同時に自主退避という手段もあるということを周知をしてもらったほうがよいと判断した」と述べました。

“自主避難の促進望ましい”

[NHKニュース 3月25日 13時53分]

 福島第一原子力発電所の事故で、屋内に退避するよう指示が出ている半径20キロから30キロの地域について、国の原子力安全委員会は、放射性物質の放出が収まる見通しが立っていないとして、「放射線量が高い場所に住む住民に対し、積極的な自主的避難を促すことが望ましい」という見解を示しました。
 内閣府の原子力安全委員会は、25日午前、福島第一原発の事故で、放射性物質が広い範囲で検出されていることなどについて、国の専門的な機関としての見解を示しました。それによりますと、屋内に退避するよう指示が出ている半径20キロから30キロの地域について、放射性物質の放出が収まる見通しが立っていないとして、「放射線量が高い場所に住む住民に対し、積極的な自主的避難を促すことが望ましい」という考えを示しました。また、避難や屋内退避、それに食べ物の摂取制限の対象となる「防護対策」を行う区域について、「すぐに変更する必要はないが、今後、適時検討することが肝要」という見解を示しました。

被ばくの水、放射性物質の濃度は1万倍

[TBS News-i 最終更新:2011年3月25日(金) 11時51分]

 深刻な事態が続く福島第一原発です。24日に放射性物質が含まれる水に足がつかる被ばくをした作業員2人は、千葉県にある専門施設で治療を受けることになりました。一方、この水に含まれる放射性物質の濃度は通常の原子炉の中にある水の1万倍に上ることがわかりました。
 福島第一原発では電気を復旧させる作業が続いていますが、作業員2人は3号機の原子炉がある建物とは別の、タービンがある建物の地下で電気を復旧させる作業中に被ばくしました。床にたまっていた放射性物質が含まれる水に足がつかったためでしたが、東京電力がこの水を調べたところ、通常の原子炉内にある水に比べて放射性物質の濃度は1万倍、しかも通常の運転中の原子炉には存在しない物質も含まれていました。東京電力によりますと、核燃料が損傷したため生じたものである可能性が高いということです。
 「通常の炉水にはないもの。燃料が若干損傷して、その中から漏出したものと推定」(東京電力の会見)
 作業員が被ばくした場所は本来、放射性物質を含む水がない場所で、東京電力によりますと、前の日には水は確認されていなかったということです。この水がどこから流れてきたかはわかっていません。
 福島第一原発では25日も電気を復旧させる作業が行われていますが、24日に作業員が被ばくした場所の放射線量は極めて高く、東京電力では水の排出作業も急ぐ考えです。(25日11:05)

“3号機原子炉 損傷の可能性”

[NHKニュース 3月25日 12時7分]

 福島第一原子力発電所の3号機の建物から高い濃度の放射性物質が検出されたことについて、経済産業省の原子力安全・保安院は、「3号機では原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」と述べて、『放射性物質を閉じ込める機能』が低下し、原子炉から放射性物質が外に漏れ出しているという見方を示しました。
 原子力安全・保安院は、25日午前10時半ごろから記者会見し、24日、作業員3人が被ばくした3号機のタービンがある建物で、運転中の原子炉の水のおよそ1万倍の濃度の放射性物質が検出されたことについて、原子力安全・保安院は、「3号機では一定の閉じ込め機能はあるようだが、原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」と述べて、『放射性物質を閉じ込める機能』が低下し、原子炉から放射性物質が外に漏れ出しているという見方を示しました。
 一方、東京電力福島事務所によりますと、福島第一原発の1号機では、原子炉の表面で計った温度が、一時、設計段階で想定されていた最高温度の302度を超えておよそ400度に達していましたが、25日午前6時現在では204.5度まで下がったほか、原子炉が入っている格納容器の圧力も、24日午前5時現在でおよそ3.85気圧だったのが、25日午前6時現在でおよそ3.10気圧になっています。東京電力は、25日朝から外部電源を復旧させる作業を再開していて、1号機から4号機を中心に、本格的に電気を流す前にポンプなどの機械や装置が故障していないかを確認する作業を進めています。このうち、2号機では、25日中に中央制御室の照明が点灯する見通しです。また、3号機では、原子炉にポンプを使って真水を入れる作業を行うほか、川崎市の消防の協力を得て使用済み燃料プールに水を放水する予定です。さらに、4号機では「残留熱除去系」と呼ばれる水を循環して熱を取り除く装置を動かし、使用済み燃料プールの冷却を始めたいとしています。

原発・北西40キロ飯館村土壌からヨウ素117万ベクレル、セシウム16万3000ベクレル 文科省

[MSN産経ニュース 2011.3.23 13:15]

 文部科学省は23日、福島県の東京電力福島第1原発周辺で採取した土壌中の放射性物質の調査で、北西約40キロの飯館村内で土1キロ当たりヨウ素を117万ベクレル、セシウムを16万3千ベクレル検出したと発表した。
 同省によると、放射性物質は、20日に採取した土壌から検出された。土壌の放射性物質の量には国の基準値がなく「直ちに退避が必要なレベルではない。しかし、長期的な影響については専門家の考えを聴く必要がある」としている。

汚染は数十年続く 避難範囲広がる恐れも指摘 仏原子力当局

[MSN産経ニュース 2011.3.22 00:25]

 フランスの公的機関、原子力安全局(ASN)のラコスト局長は21日の記者会見で、福島第1原発の事故で放出された放射性物質による汚染は、今後数十年続く可能性があると表明した。また汚染が避難指示区域である原発から20キロの範囲を超えて広がる恐れも指摘した。
 同局長は「放射性物質の放出は既に深刻であり、なお続いている。日本にとり(汚染との闘いは)何十年も続くことになるだろう」と指摘した。
 特に土壌への残留放射性物質の問題が深刻だとした上で「日本政府はまだ放射性物質の汚染地域の地図を示していないが、原発から20キロの範囲を超えて広がることもあり得ないことではない」と述べた。
 また別の担当者は「気象条件を考慮に入れると、汚染地域が原発から100キロ圏に広がることもあり得る」と述べた。(共同)

  1. 原子力安全委員会「緊急時モニタリング及び防護対策に関する助言について」(2011年3月25日発表、第19回原子力安全委員会第1号)では、次のように指摘されている。
     「今後なお、放射性物質の放出が継続すると考えざるを得ない状況を踏まえると、20〜30kmの屋内退避区域のうち、線量が比較的高いと考えられる区域に居住する住民については、積極的な自主的避難を促すことが望ましい」
     「線量が比較的高いと考えられる区域」とは、23日に原子力安全委員会が発表した「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算について」で、試算された被曝線量の高い地域のことと考えるのが妥当だろう。 []
  2. 「安定ヨウ素剤 取扱いマニュアル」では、40歳以上の場合は放射線被曝によって甲状腺癌を発症するリスクが認められないことから、服用対象者とはしないことになっています。 []
  3. 「〔杞の国の人が、天が落ちて来はしまいかと心配したという「列子天瑞」の故事による〕あれこれと無用な心配をすること。取り越し苦労」三省堂『大辞林』。 []

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