被災地の声をなぜ一般紙は伝えないのか

25日、衆議院東日本大震災復興特別委員会で開かれた参考人質疑。青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県の商工業、農業、漁業団体の代表が、それぞれ政府に対して被災地の要望を切々と訴えました。

参考人となった方々の話は、こちらから動画↓で見ることができます。正直言って涙なくして聞くことができません。

2011年5月25日 (水):震災復興特別委員会:衆議院TV

「生乳の廃棄、ニワトリや乳用牛、肉用牛の死亡などの被害、農地や用水パイプライン、ライスセンターなどの共同利用施設が甚大な被害を受けた」(岩手県農業協同組合中央会の長澤壽一会長)、「大震災でお金があってもモノが買えない状態が発生した。(食料)自給率を上げることが必要だ。TPP参加は絶対にやめてほしい」(青森県農業組合中央会の工藤信会長)、「村井君(宮城県知事)が、国でやるの、会社を入れるの、と言い出している。水産を預かる我々さ話持ってこないで、なんでこそこそとやるのか」(宮城県漁業協同組合経営管理委員会・木村稔会長)、「会員業者の7割が事業を継続したいと願っている。思い切った手立てを」(岩手県商工会連合会・千葉庄悦会長)、「原発事故の収束がなければ農業の再生復興はありえない」「もとの大地にもどしてほしい」(福島県農業協同組合中央会・庄條徳一会長)など、共産党の「しんぶん赤旗」は、3面全体の3分の2を使って参考人の発言を詳しく紹介しています。

ところが、一般紙を見てみると、「朝日」「毎日」は記事なし。「読売」は1段12行、「日経」は、通常の活字より一回り小さい活字で1段10行のベタ記事。いちばん詳しく報道していたのは「東京新聞」ですが、それでも1段26行しかありません(共同通信の配信記事)。「産経新聞」は、インターネット(MSN産経ニュース)ではその共同通信配信記事を一部省略して流したものの、紙面には載せなかったようです。NHKは、ニュースでは取り上げたようですが、参考人質疑の国会中継はやっていません。

こんなことで、メディアの役割を果たせるんでしょうか?

2次補正編成を求める声相次ぐ 復興委で参考人質疑:日本経済新聞
早期の原発事故収束を要請 衆院震災特委で参考人質疑:東京新聞
衆院 被災地の農漁業者が意見:NHKニュース

2次補正編成を求める声相次ぐ 復興委で参考人質疑

[日本経済新聞 2011/5/25 19:44]

 衆院東日本大震災復興特別委員会は25日、被災地5県の業界団体の関係者15人を呼んで参考人質疑をした。出席者からは「2011年度第2次補正予算を迅速に実施してほしい」(宮城県商工会連合会の天野忠正会長)などの要望が相次いだ。風評被害を抑えるには福島第1原子力発電所事故の早期収束が必要だとの意見も出た。
 東邦銀行会長を務める福島県商工会議所連合会の瀬谷俊雄会長は、枝野幸男官房長官が金融機関に東京電力向けの債権放棄を促したことについて「言語道断。民間の世界への不当な干渉だ」と強く批判した。震災の被災者や被災企業が抱える「二重ローン」問題について他の出席者からは配慮を求める意見が相次いだが、瀬谷氏は「極めて難しい問題」と慎重な姿勢を示した。

早期の原発事故収束を要請 衆院震災特委で参考人質疑

[東京新聞 2011年5月25日 13時23分]

 衆院東日本大震災復興特別委員会は25日午前、復興基本法案などに関する参考人質疑を行い、福島、茨城両県の農漁業関係者らから東京電力福島第1原発事故の一刻も早い収束を求める声が相次いだ。
 福島県商工会議所連合会の瀬谷俊雄会長は、来年1月までに原子炉を安定状態にするとしている東電の工程表について「県民は誰も信用していない」と指摘。復興に関し「原発周辺の土地を国が買い上げるなどの抜本的手だてが必要だ」と強調した。
 福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は「原発事故の収束が再生の前提だ。収束のためなら、われわれは我慢する。国もあらゆる努力をしてほしい」と要望。
 同県農業協同組合中央会の庄条徳一会長は「先祖から受け継いだ農地が放射性物質で汚染され、農業が成り立たない」とし、汚染除去に向けた方策の検討や、被害の早期補償を訴えた。
 茨城沿海地区漁連の今橋一也専務理事は「放射能の問題で漁業者は苦慮している。国が責任を持って検査態勢を構築し、安心して漁業に従事できる環境を整えてほしい」とした。(共同)

衆院 被災地の農漁業者が意見

[NHKニュース 5月25日 14時54分]

 衆議院の東日本大震災に関する特別委員会は、被災地の農業や漁業の関係者らを招いて参考人質疑を行い、東京電力福島第一原子力発電所の事故の早期の収束や風評被害への補償に万全を尽くすよう求める意見などが出されました。
 衆議院の東日本大震災に関する特別委員会は、25日、被災した5つの県から農業、漁業や商工業の関係者を招いて参考人質疑を行っており、午前中は福島県と茨城県の関係者6人から意見を聞きました。この中で、福島県農業協同組合中央会の庄條徳一会長は、「福島第一原発の事故の収束がなければ、農業の再生復興はあり得ない。今回の原発事故は、原子力政策を推進した国や電力会社による『人災』であり、いかなる風評被害についても補償を行うべきだ」と主張しました。また、茨城沿海地区漁業協同組合連合会の今橋一也専務理事は、「われわれの漁業の再開は、福島第一原発事故の早急な収束が大前提だ。安心して漁業が行えるよう、国が責任を持って、水産物の安全性についての検査態勢を構築してほしい」と述べました。

MSN産経ニュースで流れた記事はこちら↓ですが、中身は、「東京新聞」が掲載した共同通信の記事と同じ。

【東日本大震災】「早期の事故収束を」 衆院震災特委で被災地の農業、漁業関係者が訴え:MSN産経ニュース

その代わりに、僕たちがメディアから聞かされ続けたのは、海水注入の中断を指示したのかしなかったのか、東電から報告があったのかなかったのか、それは文書だったのか口頭だったのか、はたまたFAXの隅に書いただけだったのか、「再臨界の可能性がゼロではない」は「可能性がある」ということなのか「限りなくゼロに近い」ということなのか、原子力安全委員会の斑目委員長の名前は折れているのか折れていないのか、そんな話ばかりでした。(NHKも、自民党・谷垣総裁がこの問題を取り上げた23日の衆院大震災復興特別委員会は午前・午後にわたってすべて生中継しました)

そして、すったもんだしたあげく、現地の東電所長の判断で「注水は中断してなかった」ことが判明(ただし未確認)。――もはや“大山鳴動してネズミ1匹も出ず”としか言いようがありません。斑目委員長が「私はいったい何だったのか」と憤慨したそうですが、いちばんあきれているのは、原発事故で避難を余儀なくされている福島県民のみなさんでしょう。

いったい記者のみなさんは国会でなにを取材しているのでしょうか? これほど深刻な原発事故が起こっているのに、「政局」がらみでしかものごとが見れず、そういう角度からしか取材・報道できない政治部の記者さんたちは、もはやメディア失格としかいいようがありません。

こんな体たらくの全国紙に比べたら、地方紙はもう少し詳しく報道しています。

「農業被害100億超も」衆院委でJA常務理事ら:茨城新聞
宮城県漁協会長「知事提案、仁義が違う」 水産業特区を批判:河北新報

「農業被害100億超も」衆院委でJA常務理事ら

[茨城新聞 2011年5月26日]

 衆院東日本大震災復興特別委員会が25日開かれ、県農業協同組合中央会の成田治彦常務理事ら本県関係の3人が参考人として意見陳述し、「(農業被害額は)県全体で100億円を超える可能性がある」などと窮状を訴えた。
 成田常務理事は「JAグループでも野菜等の販売額が相当落ち込んでいる。損失額について、国に仮払いをお願いしてきたが、まだ音沙汰がない。政治判断をお願いします」と強調。さらに「生産する側が不安を抱えたままでは農業の浮沈に関わる。農業が安心して営める基盤をつくってほしい」と要望した。
 県商工会連合会の外山崇行会長は「風評被害が拡大し、農林水産業だけでなく、小売り・製造・サービス・観光とあらゆる業種に影響が及んでいる。中小零細企業にも補償が必要」と訴え、生活資金の支援を求めた。
 また茨城沿海地区漁業協同組合連合会の今橋一也専務理事は「漁港などを補修する公共事業の動きが非常に遅い。水産物の安全についても国が責任をもって対応してほしい」と検査態勢の確立を求めた。

宮城県漁協会長「知事提案、仁義が違う」 水産業特区を批判

[河北新報 2011年05月26日木曜日]

 「水産を預かる側に一言もないまま、知事が話を進めたのは仁義が違う。われわれは反対だ」。25日の衆院震災復興特別委員会に宮城県漁協の木村稔会長が参考人として出席し、村井嘉浩知事が打ち出している「水産業復興特区」構想を痛烈に批判した。
 特区構想は養殖業などへの企業参入を可能にする新たな仕組み。木村会長は「過去には輸出が駄目になったり、漁業者に借金を背負わせたりして去った企業がある」と述べ、「子々孫々まで漁業を続けるのが漁村の姿。漁師が給料取りになる考えは受け入れられない」と持論を述べた。
 海の中に沈むがれき処理についても触れ「撤去が全然進まない。大量のがれきをどけないと養殖もできないし、船も出せない。県庁に何回も要望しているが、なかなか来ない」と訴えた。

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