IAEA、津波の過小評価、規制機関の独立問題を指摘

IAEAの調査団の報告書案の内容が明らかになったとNHKが報道。概略だろうから、たとえば「事故直後に実際にとられた対応策以上のことが現実的に実行可能だったとは考えにくい」という評価はどういう意味なのか分かりにくいところもあって、報告書の評価は正式の報告書の発表を待って、きちんと議論する必要がある。

しかし、津波の想定が過小評価だったこと、原子力発電の規制機関を独立させるようにというIAEAの勧告が日本政府によって守られなかったことを問題点として指摘しているというのは、日本の原発推進体制の根本的な問題点を指摘したものといえる。

IAEA 報告案が明らかに:NHKニュース
福島第1原発:津波の危険を過小評価 IAEA報告書素案:毎日新聞

IAEA 報告案が明らかに

[NHKニュース 6月1日 5時29分]

 東京電力福島第一原子力発電所の事故調査のために来日したIAEA=国際原子力機関の調査団がまとめる報告の案が明らかになりました。事故直後の状況を考えると、実際に行われた対応は実行可能な最良の方法だったと評価する一方、津波の想定は過小評価だったとするとともに、3年前に指摘した安全規制当局の独立性が改善されておらず、事故対応にとって問題だったと厳しく指摘しています。
 IAEAの調査団は、今回の事故の教訓を世界の原発の安全に生かそうと、12か国の専門家18人を日本に派遣し、先月24日から調査を行っていたもので、1日、日本政府に調査概要を報告します。その報告の案が明らかになり、この中で調査団は、まず、4つの原子炉がメルトダウンの脅威にさらされたことは今回の事故の特徴だとしています。そのうえで、すべての安全系が喪失し人材や照明が不足する中、事故直後に実際にとられた対応策以上のことが現実的に実行可能だったとは考えにくいとして、現時点で最良の方法だったと評価しています。
 その一方で、津波の想定が過小評価で、予期せぬ高さの津波に対処することができなかったとしています。また、今回のような過酷事故=シビアアクシデントに対応する手順が、照明や電力が入手できることを前提にして作られていることを問題視し、適切に修正される必要があるとしています。
 さらに、IAEAは3年前に日本政府に対し、安全規制当局である原子力安全・保安院に独立性を持たせるべきだと指摘していましたが、その点が改善されておらず、今回の事故対応にとって問題だったとしています。調査団の正式な報告書は、今月20日からウィーンで開かれるIAEAの閣僚級の国際会議で報告されることになっています。

福島第1原発:津波の危険を過小評価 IAEA報告書素案

[毎日新聞 2011年6月1日 2時00分(最終更新 6月1日 2時50分)]

 福島第1原発事故の原因解明に向け来日中の国際原子力機関(IAEA)の調査団がまとめた報告書の素案が31日、明らかになった。津波の危険性を過小評価していたと指摘したほか、規制当局の経済産業省原子力安全・保安院の独立性などを求めている。
 調査団は6月1日に官邸を訪れ、日本政府に手渡す。
 IAEA関係者によると、素案は「津波の危険性は明らかに過小評価されていた」として「原発の設計者や運営者は、天災のリスクの評価手法を最新の基準に更新し、きちんと評価すべきだ」と注文をつけた。
 保安院について「定期的な審査も含めて、深刻な事故に適切に対処し、取り締まりの独立性が保たれるべきだ」と言及。IAEAが過去にも指摘したのに引き続き、保安院の独立性を確立するよう求めた。
 緊急時の対応について、初期段階の重要性を強調。「重大事故に対応できるように、初期対策をしっかりと策定しておくべきだ」とした。
 1、3号機の爆発の原因となった水素について、発生と爆発の危険性を詳細に評価し、危険を低減する取り組みが必要だとした。
 一方で「特殊な環境下でも、献身的に覚悟を持って働く熟練作業員たちの対応は模範とすべきだ」と称賛。原発周辺での住民の避難を含めた日本政府の対応を「素晴らしく、よく組織化されている」としている。
 東電が作成した事故収束への工程表について「新たな状況が発生した場合は修正が必要。国際協力による援助も考えられる」とした。
 素案は、福島原発の事故を、原子力安全の教訓とするよう国際社会に呼び掛けた。

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