原子炉建屋で4,000ミリシーベルト毎時の湯気

東京電力福島第一原発1号機の原子炉建屋内で、配管の周辺から湯気が立ち上り、放射線量が最高で4,000ミリシーベルト毎時に達していることが明らかに。これは、3分余りで作業員の被曝限度(250ミリシーベルト)を超え、15分間で急性放射線障害の症状が出るほどの高レベル。

残念ながら、この状態では、1号機の原子炉建屋内での作業は不可能だろう。東京電力が「今後、継続して監視する」と言っているのも、監視する以外には出来ることは何もない、ということだろう。

1号機内で4000ミリ・シーベルト:読売新聞
地震翌朝、原発敷地外に放射性物質 保安院公表遅れ:日本経済新聞
高濃度汚染水の放射能量、72万テラ・ベクレル:読売新聞
東電、海水浄化を9日から実施 福島第1原発:日本経済新聞

1号機内で4000ミリ・シーベルト

[2011年6月4日13時14分 読売新聞]

 東京電力は4日、福島第一原子力発電所1号機の原子炉建屋1階南東部の床を貫通する気体輸送用の配管周辺の隙間から湯気が上がっているのを、調査に入った米国製ロボット「パックボット」で確認、撮影したと発表した。
 湯気が立ち上っている周辺の放射線量は、最高で毎時4000ミリ・シーベルトで、3月11日の事故発生後に測定された中では、最も高い数値だった。3分余りで作業員の被曝(ひばく)限度である250ミリ・シーベルトを超え、15分間続けて作業すると、吐き気など急性放射線障害の自覚症状が出るレベルだ。
 1号機では、格納容器から汚染水の漏出が続いている。
 東電では、格納容器の下部にある「圧力抑制室」付近から漏れ出した、約50度の汚染水から湯気が発生、1階に噴き出していると見ており、「今後、継続して監視する」と話している。

他方、こちらの記事↓。東京電力が1号機でベント(排気)をおこなう2時間ほど前に、原子力安全・保安院は、浪江町や大熊町で放射性ヨウ素や放射性セシウムを測定していたという。つまり、ベント実施以前から原子炉は壊れていたのだ。

地震翌朝、原発敷地外に放射性物質 保安院公表遅れ

[日本経済新聞 2011/6/3 23:13]

 経済産業省原子力安全・保安院は3日、東京電力福島第1原子力発電所が東日本大震災で停止した直後の大気中の放射性物質濃度などのデータを公表した。地震翌日の3月12日朝、1号機で最初に排気用の弁の開放(ベント)をする前に原発敷地外で炉心の激しい損傷を示す放射性物質が検出されていた。2カ月半も未公表だった。直ちに公表していれば事故の正確な実態把握や避難計画の検討に役立った可能性がある。
 公表したのは地震直後の3月11〜15日に、政府の原子力災害現地対策本部と福島県が測定したデータ。15日に保安院の担当者らが大熊町の緊急時対策拠点から福島市に退避した際に持ち出し忘れたデータを、5月28日に回収したという。
 データによると3月12日午前8時30分過ぎに浪江町や大熊町で放射性ヨウ素や放射性セシウムを測定。核燃料が1000度にまで過熱しないと出ないとされる放射性テルルも検出された。
 東電は12日午前10時17分に、1号機の格納容器の圧力を下げ水素爆発を防ぐためにベントを始めた。今回の公表データは、それ以前に炉心の激しい損傷が原因とみられる放射性物質が建屋の外に出ていたことを示す。弁の故障や建屋の損傷などが早い段階から起きていた可能性がある。
 保安院は12日午後に、原発敷地内で放射性セシウムが検出されたと発表。敷地外の放射性物質は13日以降の測定値しか公表していなかった。
 新データは原子炉の異常がどのように進んだかを理解する手掛かりとなる。すぐに公表していれば事故の深刻度をより正確に把握し、避難地域を的確に判断するのにも生かせたとみられる。
 保安院の西山英彦審議官は「意図的に隠すつもりはなく、情報を整理して公表する発想がなかった」と弁明した。福島第1原発事故を巡っては、政府が放射性物質の拡散予測を3月下旬まで公表しなかった。東電も5月28日に大量の放射線量の未公表データを明らかにするなど、透明性が不十分との批判が多い。

「意図的に隠すつもりはなかった」と弁明しているが、検出されたのは12日で、緊急時対策拠点(オフサイトセンター)から退去したのは15日。しかも、13日以降のデータはきちんと公表しているのだから、そんな言い訳が通用しないことは明らか。放射性物質が環境に大量放出され、住民の避難などにいちばん大事な時に、原子力安全・保安院は、データを隠した(そうでなければ、「発表し忘れた」)のだ。

最後は、こちら↓。今月20日ごろには、原子炉建屋やタービン建屋にたまっている汚染水があふれ出すと言われているが、その汚染水の放射能の量は、全部で72万テラ・ベクレル(あるいは72京ベクレル[1])にもなる。

高濃度汚染水の放射能量、72万テラ・ベクレル

[2011年6月3日21時53分 読売新聞]

 東京電力は3日、福島第一原子力発電所の原子炉建屋などにたまった計10万5100トンの高濃度汚染水について、含まれる放射能量が約72万テラ・ベクレル(テラは1兆倍)に上ると発表した。
 同原発で1年間に放出が許されている量の約300万倍にあたる。
 東電では、1?3号機の原子炉に現在のペースで注水し続けると、こうした汚染水の水位が上昇して、20日にも地表へあふれ出す恐れがあると推測した。15日までに汚染水処理施設を稼働させて流出を防ぐ方針だが、大雨が降ると、あふれる時期が早まる可能性がある。梅雨の季節を迎え、汚染水処理問題は、時間との勝負という様相を強めている。

この72万テラ・ベクレルという数字、見当もつかないという人も多いだろうが、4月12日に、原子力安全・保安院が今回の原発事故が国際基準でレベル7に相当すると発表したとき、それまでに大気中に放出されたとされる放射性物質の放出量が37万テラベクレル(原子力安全・保安院)あるいは63万テラベクレル(原子力安全委員会)だったから、それを大きく上回る量だということが分かる。4月12日以降、大気中にまったく放出されていないとしても、合計で109〜135万テラベクレルの法は性物質が放出されたことになるが、これはチェルノブイリ原発事故(520万テラベクレル)の5分の1ないしは4分の1に相当する量でもある。

で、その汚染水を、東芝製の浄化装置や仏アレバ社製浄化装置を使って浄化処理するのだという。

東電、海水浄化を9日から実施 福島第1原発

[日本経済新聞 2011/6/4 10:33]

 東京電力は9日から、福島第1原子力発電所の取水口付近の海に流れ出た放射性物質を含む汚染水の浄化作業を始める。海水をポンプでくみ上げて浄化装置に送る通水試験を実施する。また、4日から、タービン建屋や原子炉建屋にたまった高濃度汚染水を浄化してためるためのタンクなどを搬入する。原子炉を安定冷却させるうえで大きな課題である汚染水の対策を急ぐ。
 福島第1原発では2、3号機の取水口付近のピット(立て坑)から大量の高濃度汚染水が漏れ出たため、フェンスなどを張って放射性物質が拡散しないようにしている。東電は海水を浄化して海に戻すことを決め、東芝製の浄化装置2台を設置した。装置は海水に含まれる放射性物質をゼオライトと呼ぶ鉱物で吸着処理する。2台で毎時60トンの処理が可能。9割以上の放射性セシウムを除去できるという。
 一方、原子炉で発生する汚染水を浄化して一時的にためたりするための仮設タンクなどを搬入する。仏アレバ社の浄化装置は10日から試運転を開始する。この装置は化学物質を使って放射性物質を沈殿させ、汚染水に含まれる放射性物質の濃度を下げる。1日あたり1200トンを処理できるという。東電は処理した汚染水を原子炉に戻して冷却する「循環注水」に利用する考えだ。
 現在、敷地内には合計で約10万5100トンの汚染水がたまっている。放射性物質の量は72万テラ(テラは1兆)ベクレルに達し、海などへの流出を防ぐため集中廃棄物処理施設などにためている。ただ、原子炉への注水は今後も続けなければならず、20日にも再び海に流れ出す危険性が増している。

東芝の浄化装置は、ゼオライトという鉱物に放射性物質を吸着させ、アレバの装置は、化学物質を使って放射性物質を沈殿させて、汚染水をきれいにする。原子炉の安定的な冷却をすすめるためには欠かせない重要な作業だが、かりに汚染水の放射性物質を100%除去できたとしても、そのあとには、72万テラ・ベクレルの放射能を帯びたゼオライトや化学物質が残るわけで、放射性物質そのものは(時間の経過とともに崩壊する分以外には)少しも減らない。

それを、どうやって、どこに安全に保管するのか? 原発は「トイレなきマンション」と言われるが、放射性廃棄物を最終的に処分する方法がない、というのは、こういうことなのだ。

  1. テラは1兆のこと。1兆の1万倍が京(けい)だから、どちらでも同じこと。 []

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